小さな刺激でも赤ちゃんにはストレス。
先輩の丁寧なケアを見習い、実践する
学生の時の小児科実習で、小児がんの患児のケアを担当したことで興味を持ち、小児科を希望しました。入職から4年間、多くの小児がんの子どもたちを看てきました。
小児科では主に子どもたちに視点をおいてケアしていましたが、「家族はその時、どんな気持ちなのだろうか」という思いが強くなり、より家族ケアを中心とした看護を学びたいと思うようになりました。
入職5年目に、広い視野で多様な患者さんに対応できるジェネラルナースを育成するジョブローテーション研修が始まり、新生児集中治療室(NICU)なら家族ケアを深められ、新生児の看護を小児にも活かすことができると思い、NICUを希望しました。
これまでは言葉が話せるようになった子どもが対象だったので、症状や自分の気持ちをある程度伝えてくれましたが、新生児はバイタルや全身状態から病態の変化を読み取らなければならず、そこがとても難しいです。さらに300~500gの超低出生体重児は、ちょっとした刺激でもストレスとなり、大きくバイタルが変化してしまいます。先輩たちがケアすると赤ちゃんの落ち着き方が早く、バイタルの変動も少ないので、先輩たちの丁寧なケアを観察し、見習いながらケアをしています。
また、新人でない私にも異動後の研修1年目はプリセプターがつき、看護計画をはじめ、日々のケアもマンツーマンで指導してくれました。再び新人になった気持ちで、NICUに必要な知識と技術を、ひとつずつ確実に身につけていこうと思っています。
家族に寄り添う難しさを実感。
最善の家族介入を探る
家族ケアを学びたいと思いNICUでの研修を行っていますが、家族に寄り添うのは思った以上に難しいです。早く生まれた超低出生体重児や染色体異常がある場合など、そのショックを受け止め、子どもに愛着を感じてもらえるにはどのような家族介入が必要なのか、これから親子関係を築いていく場面でどのようにサポートしていこうかと、日々悩みながらケアをしています。
NICUには新生児集中ケア認定看護師が2人いるので、日々のケアでわからないこと、困っていることは何でも相談できます。先輩たちもたくさんの症例をみてきているので、的確なアドバイスをくれます。それに何よりNICUのスタッフはみんな、とにかく赤ちゃんが好きで、赤ちゃんを大切にしているところが素晴らしいです。
ジョブローテーションの期間は2年間で、基本的には元の部署に戻ります。長年働いて慣れ親しんだ部署を変わるとなると勇気やエネルギーが必要で、なかなか踏ん切りがつかないかも知れません。しかしジョブローテーションなら戻る場があり、ここでの経験も元の職場で活かせるという安心感の中で働けるので、とても良いシステムだと思います。今は、できればもう少しNICUでの看護を経験したいという気持ちが強くなってきました。
NICUでの経験により、新生児から小児まで看護の幅が広がり、さらに家族ケアも学べました。この経験をいずれは小児、特に小児がんの子どもたちの看護に活かしていきたいです。
