段階的参加型シャドーイングで
できることを増やしていく
A師長 昨年の新人研修はどうでしたか。
B看護師 学生時代はコロナ禍で実習はほぼ中止になり、入職時は看護師に必要な技術が身についていない状態でした。4月の2日間の演習で、採血・点滴管理など技術の基礎を学ぶことができ、病棟でも同期の看護師と練習を重ねました。技術をしっかりと身につけてからは、自信を持って患者さんに行えるようになりました。
A師長 採血の技術だけではなく、患者さんの情報収集、物品の準備、患者さんへの説明の仕方、物品の片付け、記録といった一連の業務を新人2~3人に指導者が1人ついて、丁寧に教えています。
B看護師 がん研の看護師として、患者さんと目線を合わせ、反応をきちんと確認してから次の動作に移るといった基本中の基本も学ぶことができました。
A師長 段階的参加型シャドーイングも役に立ったのではないでしょうか。一般的なシャドーイングは先輩の後につき実践を見て学びますが、当院では先輩が「こういう点を注意するとうまくいくよ」などと言語化して説明することで、新人は先輩が何を考えてケアしているのかを理解できます。新人でも血圧測定や清拭など、できることはどんどん参加してもらうのが特徴です。
B看護師 自分のペースでできることを段階的に増やせるのが良いですね。チェックリストに「できること」「できないこと」「見学1回済」「技術経験1回済」などと書き出し、進捗状況を部署内の全先輩が把握できるようになっています。そのため、プリセプターやアソシエイトの先輩以外からも「バルーン抜去の患者さんがいるから見にくる?」と声をかけてもらえ、さまざまなケアにかかわることができ、勉強になります。
がん専門病院の看護師として
学習意欲を持ち続けたい
A師長 早い段階から看護師というマインドと、ケアに必要な動きに慣れるための教育手法を採用しています。全スタッフで新人を育てる風土を何年もかけてつくり、定着していることの証です。Bさんは看護実践力向上研修が始まり、所属する病棟以外での看護技術の研修に励んでいますね。
B看護師 現在の病棟では、乳腺にかかわる知識は深められますが、経管栄養や気管内挿管の介助を行う機会はほとんどありません。手術室とICUで、人工呼吸器の操作、男性への膀胱留置カテーテル挿入など未経験の看護技術を経験できました。A師長は1年間休職して大学院へ進学されたのですよね。
A師長 はい。病棟師長に着任して数年経過したころに、どのように看護管理をすれば良いのか迷い、大学院で学ぶことにしたのです。
B看護師 私も学習意欲を忘れずに成長したいです。1年目に比べ多少の余裕ができたので、院外研修にいきたいと思います。
A師長 学びの意欲があるのは素晴らしいことです。看護師は入職してからどうやって成長していくかが重要で、当院はチャレンジする人を応援していますよ。
B看護師 がんの最先端治療の専門知識をどん欲に学んでいきたいと思います。