集合教育と少人数のW教育で
病院全体で新人を育てる体制
榎本 就職の際は特定機能病院で診療科数が多いこと、教育体制の充実を基準に選びました。斎藤さんはどうでしたか。
斎藤 学生時代から急性期病院を希望しており、症例数や研修の多さで決めました。ガールスカウトに所属していたとき、国境なき医師団の白川優子さんの存在を知り、手術室看護師を目指しました。
榎本 当院の新人教育の特徴は、病院全体で育てる、集合教育と少人数のW教育ですが、研修を受けた印象はどうでしたか。
斎藤 手術室で経験しない日常生活援助や採血、清拭などの基礎看護技術を習得でき、安心につながりました。また少人数のため丁寧な指導で質問しやすい環境でした。
榎本 そうですね。集合研修では基本的な看護技術を身につけられます。手術室では1年目から、器械出しと外回りの業務を同時に経験します。器械出し看護師は事前に使用する器械を準備し、手術中は進行を予測して医師に必要な器械をわたします。外回り看護師は手術が円滑に進むよう、全体を把握しサポートします。斎藤さんも先輩からの指導のもとで、着実に成長していますね。
斎藤 初めは緊張から失敗して落ち込んでばかりでしたが、術前準備を徹底し、経験した手術の特徴や物品を覚えていきました。外回りでは、患者さんの全身状態の観察や、麻酔科医との連携も求められます。さまざまな手術を経験したことで先を読み、何をすべきかの判断力も養われました。
榎本 当院では新人を見守り、看護部全体で育成していく環境がありますが、先輩からの指導を受けて感じたことはありますか。
斎藤 どの先輩も頻繁に声をかけてくれるので安心感がありました。特にプリセプターの榎本さんから勉強法を学べたことが、印象に残っています。榎本さんのノートを見て、勉強量の多さに驚くとともに、仕事に対する姿勢を学びました。
多岐にわたる診療科と術式を
経験できる環境で成長
榎本 手術室では患者さんとかかわる時間は短いですが、不安を抱えながら手術に臨む患者さんのそばで寄り添う看護師の存在は大きいと思います。斎藤さんは患者さんへの声かけもスムーズですね。
斎藤 初めは患者さんにとって手術がどういうものか、考えられませんでした。患者さんの「大丈夫」という言葉だけで安心せず、術前訪問での会話からその思いを引き出し、手術に反映させることを心がけています。
榎本 後輩が先輩に質問をしたり、自分で考えてスムーズに手術に臨んだりする姿を見たとき、指導する喜びを感じます。私自身は今後、リーダー業務の役割を担うことになりますが、手術室全体を把握し、指揮できることが目標です。
斎藤 私はまだ具体的な目標はありませんが、資格取得などを含めて、ビジョンを明確にし、キャリアアップしたいと思います。
榎本 当院は診療科が多いため、多くの術式の経験が積めること、スタッフ数も多いので、個々の看護の方法を見られることも魅力です。お互いに学びを深め、患者さんに最善の手術を提供していきましょう。



