> 一宮西病院(西川 明美さん) | 専門領域で活躍する先輩ナース 2020年度
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巻末特集 専門領域で活躍する先輩ナース

写真:西川 明美さん

患者さんの「食べたい」思いに
応えるには……
その答えが認定看護師でした

一宮西病院
認定看護師

西 明美さん

「口から食べたい」に応えるために
当院第1号の認定看護師取得に挑戦

 名古屋市内にある三次救急の災害拠点病院で10年の経験を積んだ後、当院に入職しました。当院を選んだ理由は、地域で一番と評されるリハビリテーションと最新設備が整う療養環境。多職種が一丸となって急性期管理や早期回復の手助けをできる環境が、私には魅力的だったのです。配属は、嚥下障害への看護経験を活かし脳神経外科へ。脳神経疾患には胃ろうや経鼻胃管栄養が必要な患者さんも少なくありません。命を救えたなら人としての生活を取り戻してあげたいと思う半面、経口摂取には誤嚥性肺炎や窒息のリスクが大きく、看護師が踏み入るには難しい領域と感じていました。
 そんな考えを一蹴したのが、患者さんのご家族からの一言でした。経管栄養をつなぎ、「お食事ですよ」と患者さんに声かけすると、「これって食事なのですか」と言われ、ハッとしました。キャリアを重ねるごとに、自分の看護に対する物足りなさと、食事を「口から食べたい」という思いに応えられない悔しさを感じるようになり、当院第1号となる認定看護師へのチャレンジを決意したのです。摂食・嚥下障害看護認定看護師を目指し、半年間の教育を受けました。研修中は睡眠時間を削るなど大変でしたが、幅広い知識・技術を獲得できました。全国から集まった同志が支えてくれたことも、大きかったです。

多くの患者さんの笑顔が見たい。
「食べる」喜びは生きる源に

 現在、認定看護師としての活動は週2日。昼食時は摂食嚥下チームによるミールラウンドで食事中の姿勢や動作、食具、食物形態、嚥下機能などの評価、病棟看護師からの情報収集を、午後はNSTの回診を行っています。こうした多職種チームでの活動は、職種間で互いの技術や知識を出し合い、包括的な視点が加わることで、看護師だけではできなかった問題点の発見と、具体的なアプローチ方法を導き出すことにつながり、刺激にあふれています。
 忘れられない患者さんとの出会いもありました。意思疎通がかろうじて可能な施設入所している方で、「食べたい」という希望を叶えるためにご長女が相談にみえました。入院期間は1週間。患者さんには重度の嚥下障害があり、歯科衛生士、言語聴覚士、管理栄養士らと連携をとり、口腔内を清潔にすることから始めました。すると表情が豊かになり、ヨーグルトを数口摂取できるようになったのです。経口摂取への完全移行はできませんでしたが、機能維持ができるように口腔ケアや嚥下リハビリの方法を指導したところ、ご長女から退院後の希望が持てたと感謝のメッセージをいただきました。「食べる」喜びは生きる源、口は「生きる」ことの入り口だということを忘れてはいけないと胸に刻んだ介入でした。
 回復の過程で、患者さんが訴え・要求することの一つに「食」があります。食べることで回復力が高まり、人間らしい表情が現れる。病棟での食事介助には、座学では解消しにくい悩みや不安も数多くありますが、実際の食事場面で一つ一つ指導することで、退院後の生活を見据えた支援ができる看護師を育成できればと思っています。
 こうした取り組みには、毎年増員している認定看護師が看護の質的向上に大きく貢献しています。後輩には安心して自分の看護を見出し、成長してほしいです。

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社会医療法人 杏嶺会 一宮西病院

[住所]〒494-0001 愛知県一宮市開明字平1番地

[TEL]0586-48-0077

Profile プロフィール

脳神経外科・神経内科病棟
愛知県出身
高校で准看護師免許を取得後、名古屋市内の病院に勤務しながら正看護師に。2012年、一宮西病院に入職。2013年に摂食・嚥下障害看護認定看護師資格を取得、2018年1月より病棟師長となる。

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病棟師長として、チーム医療の一員として、後輩に指導することは多岐に渡る。幅広い知識と技術をさらに深め、多職種チームでの活動で「看護の力」を高めていきたいと話す。
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患者さんを生活者と捉え、退院後の生活を支える家族への指導も西川さんの重要な役割。

「全国から集まる先輩ナースたち」地元を離れて就いた憧れの仕事。ここから自身の看護を高めていきたい 地元の大学を卒業後、都心部から少し離れた病院を希望して当院へ。入職の決め手は手厚い福利厚生と、最新の医療機器がそろう職場環境でした。初めての一人暮らしで、転居後すぐは道もわからず迷子にもなりましたが、今は優しく対応してくださる先輩や同期の助けもあり、仕事もプライベートも充実した毎日を送っています。患者さんを笑顔にできる看護師を目指して奮闘中です。