> 国立成育医療研究センター | 小児専門病院で働くということ 2016年度

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THE LEADING NURSE

巻頭特集 The Leading Nurse2016

小児専門病院で働くということ

“命の誕生に携わりたい”
“子どもとかかわる仕事がしたい”
そんな思いを抱き、小児・周産期領域の看護を目指す看護学生は多い。
未来ある子どもと家族にかかわる小児・周産期看護は、重い責任を伴う領域だからこそ、やりがいもある。
「成育医療」を推進している国立成育医療研究センターの小児看護領域の取り組みとは─。

厳しい現実もある小児看護
大変だからこそ、看護の力を実感できる

小児看護を目指す学生は多い。しかし“子どもが好き”というだけでは務まらない厳しい現実もある。石井由美子副院長・看護部長は小児医療をめぐる“光と影”について語る。

「医療の進歩により、これまで助けることができなかった重い病気をもつ子どもたちの生命を助けることができるようになりました。生殖補助医療は出産を望めなかったご家族に新しい生命を授けています。とても素晴らしいことですが、一方で、人工呼吸器などの医療機器を使いながら過ごす子ども、ハイリスク妊娠、低出生体重児が増加していることも事実です。虐待の問題など社会の負の側面に向き合うこともあります。子どもと楽しく触れ合うイメージだけで就職すると、臨床現場に大きなギャップを感じることでしょう」。

また小児にかかわる看護師に求められる知識、技術もある。

「自分から訴えることのできない子どもの看護では、わずかな変化や言葉にならない訴えを読み取る観察力が求められます。子どもの未熟性や日々、成長・発達することへの理解、子どもをひとりの人間として尊重する倫理観、子どもの擁護者としての役割も必要です。病気や入院という体験が子どもに与える影響は計り知れません。だからこそ、そのときにかかわる看護師の役割は非常に重要です。決して嘘をつかない、理解できる言葉で丁寧に説明する、頑張りを認め褒めてあげる、小児看護の基本です。しっかり受け止めてあげると子どもたちもしっかり応えてくれます。小児看護の醍醐味ですね」。

同センターでは、胎児期に始まり、新生児期、幼児期、小児期、思春期を経て次世代をはぐくむ成人へ至るリプロダクションサイクルにある人々を対象とした成育医療を実践している。小児領域のあらゆる疾患に対して診療科の枠を超えチームで医療を提供するとともに、研究所では新しい治療法の開発や小児に関するデータの集積などを行っている。

「対象は病気を持った子どもだけではありません。健全な次世代をはぐくむために、子どもと家族の将来を見据えた長期的・継続的な支援を行っています。そして支援は病院内に留まらず地域や教育現場へと広がっています」。

無限の可能性を持つ子どもの力を引き出し、子どもと家族を支えることが小児領域における看護の役割だといえよう。

国立成育医療研究センター
看護部長
石井由美子さん

子どもの持つ力を最大限に引き出すことが成育看護の魅力 対談 小児看護専門看護師 × ジェネラリストナース

日常業務はこんなことをしています意思表現できない新生児のケア

患児を音や光から保護するための保育器内の環境管理、心拍数や呼吸などの観察、症状に応じて点滴、心電図管理を行っています。

NICU(2011年入職)
小児看護専門看護師
大沼仁子さん
神奈川県出身
聖路加看護大学卒業

各病棟の特性や看護は異なっても、
子どもたちを守り支えていく姿勢は共通

大沼 私は実習で成長発達を考えたケアを行うなかで、子どもたちの可能性に魅力を感じ、小児領域を目指しました。関さんは、何かきっかけはありましたか。
 埼玉県の大学病院のNICUで3年間勤務していましたが、NICUから転棟した子がどう発達していくかを学びたいと思い、当センターに転職しました。大沼さんは小児看護専門看護師として、どのような活動を行っていますか。
大沼 看護実践や看護研究の支援など幅広く取り組んでいます。なかでも力を入れているのがスタッフへの教育です。スタッフが看護観や価値観を養える研修を企画しています。大学院で小児看護を学び、子どもと家族の力を引き出す大切さ、不可能を可能にする子どものパワーを感じました。そして疾患を抱えた新生児の生きる権利、成長する権利を考えるようになりました。こうした学びを還元しています。現在病棟では、どんな取り組みを行っていますか。
 中間ケア病棟のため、NICUと連携を取って患児を受け入れています。退院を見据え、医師をはじめ理学療法士、ソーシャルワーカーなど、他職種と合同のカンファレンスを行っています。特徴としては遊びの支援や、患児とご家族の心理的支援を行うチャイルド・ライフ・スペシャリストにも参加してもらっていることです。

日常業務はこんなことをしています急性期から慢性期に対応するケア

検査や手術前後のケアをはじめ、急性期から慢性疾患のケア、内服管理、点滴管理、スキンケアなど、業務は多岐にわたります。

小児内科、外科病棟
(2012年入職)
関ひかるさん
埼玉県出身
埼玉県立常盤高等学校卒業

大沼 NICUでもカンファレンスを週1回実施し、医師、病棟師長、薬剤師、臨床心理士、訪問看護師にケア状況を見てもらい在宅に向けて情報を共有しています。全員で力を合わせてチーム医療に取り組んでいます。関さんの目標はありますか。
 チャイルド・ライフ・スペシャリストの資格を取得することです。身体面だけでなく心理面のケアを、ご家族を含めてサポートしていきたいと思います。
大沼 私は看護が楽しいと思えるよう、スタッフ同士の座談会や「看護を語る会」を開催し、先輩から後輩へ看護の楽しさを伝えています。看護を形にすることは難しいですが、今後も「看護とは何か」を考える機会をつくることが目標です。
 記録するだけでは看護とは言えないですね。私も自分自身の看護を患児やご家族に伝えていきたいと思います。
大沼 子どもを守ることを一緒に考えて働ける環境は、全病棟に浸透していますね。喜びと悲しみを経験しながら、看護師も成長できることが小児看護の魅力だと思います。これからも子どもたちの命を救うために、連携を取り合っていきましょう。