このパターンは、患者の役割や人間関係、役割を通じた社会とのつながりに関する内容です。患者の現在の生活状況(家族・仕事・社会など)における主要な役割とその責任の内容、疾病による患者の役割・責任の変化、それらに対する患者自身の認識や行動パターンを分析します。
※アセスメントガイドの内容はあくまで一例です。必ず実習で受けもつ患者さんや通っている学校での授業・教科書・指導などに合わせた情報収集を心がけましょう。とくにこのパターンでは、基準値などをもとに評価することができません。
年齢は、出生からの経過年数のことです。人間には、健全で幸福な発達をとげるために各段階(年齢)で達成する必要のある発達課題というものがあるといわれています。次の発達段階へスムーズに移行するため、各発達段階で習得すべき課題と達成する意義がありますが、課題については各研究者・提唱者によってさまざまであるため、その内容は多岐にわたります。教育心理学者のロバート・J・ハヴィガーストが発達課題について最初に提唱しました。
患者の年齢から現在の発達課題を知ることで、正常な発達過程を達成しているか、課題を抱えているかが推測できます。
※エリクソンの心理社会的発達理論やハヴィガーストの発達課題理論などを用いてアセスメントをします。年齢に応じた課題を達成している場合、正常な発達をとげていると考えられます。(エリクソンやハヴィガーストの各発達課題はあくまで一例なので、学校で使われている理論を参考に情報収集をしましょう。)
エリクソンの心理社会的発達理論では、「成功のみが賞賛されているわけではなく、不成功もそれなりに経験する必要性がある」といわれており、両者を統合したものが正常な成長に寄与します。また、前段階の発達課題は次段階の発達段階の基礎になります。
時期 | 年齢 | 発達課題 | 得られるもの | 補足 |
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乳児期 | ~1歳 | 基本的信頼 VS 不信感 | 希望 | 基本的信頼感を獲得できたら、今後出会うものを信じることができ「希望」を得られる。基本的信頼感を得られなかった場合、常に不信感を抱く |
幼児期 | ~6歳 | 自立性 VS 恥・疑惑 | 意思 | 自ら行動し自立性を得ると、自立性の基盤となる「意思」を得られる。自立性が得られなかった場合、疑惑を抱く |
学童期 | ~12歳 | 勤勉性 VS 劣等感 | 有能感 | 得意・不得意を自覚し目的を達成していく勤勉性を獲得すると、「有能感」が得られる。勤勉性が得られなかった場合、劣等感を抱く |
青年期 | ~18歳 | アイデンティティの確立 VS 役割の拡散 | 忠誠 | 自身の人間性をある程度確信すると、アイデンティティが確立される「忠誠」が得られる。アイデンティティが確立できない場合、自分が何者かわからなくなる(役割の拡散) |
成人期 | ~40歳 | 親密性 VS 孤独 | 愛 | 職場や家庭で役割・責任を担い、同性や異性との親密性を獲得すると「愛」を得られる。親密性が獲得できない場合、孤独を感じる |
中年期 | ~60歳 | 生殖 VS 停滞 | 世話 | 子育てや職場の後進育成など、次世代に貢献すること(生殖)で「世話」を獲得できる。生殖が獲得できない場合、他者との関係が減り自己満足・自己陶酔に陥る(停滞) |
老年期 | 60歳~ | 自己統合 VS 絶望 | 英知 | 自分の人生を回顧し受け入れること(自己統合)ができると、「英知」を獲得できる。自己統合が獲得できない場合、さまざまな衰えに対する絶望を抱く |
ハヴィガーストの発達課題理論では、「発達課題とは、人生のそれぞれの時期に生ずる課題で、それを達成すればその人は幸福になり、次の発達段階の課題の達成も容易になるが、失敗した場合はその人は不幸になり社会から承認されず、次の発達課題の達成が困難になる」といわれています。
時期 | 年齢 | 発達課題 |
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乳幼児期 | 1~6歳 |
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児童期 | 6~12歳 |
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青年期 | 12~18歳 |
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壮年期 | 20代~30代前半 |
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中年期 | 30代後半~60歳 |
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老年期 | 60代以降 |
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※このページは、有資格者の現役看護師が学生時代の実習と臨床経験にもとづいて作成したアセスメントシートで、あくまで一例です。必ず実習で受けもつ患者さんや通っている学校での授業・教科書・指導などに合わせた情報収集を心がけましょう。
※紹介する検査値の基準値は、LSIメディエンスに準拠しています。