看護師向け│診療科の選び方解説。特徴からタイプ別でみるおすすめの科まで

看護師向け│診療科の選び方解説。特徴からタイプ別でみるおすすめの科まで

最終更新日:2023/07/20

看護師が働く職場にはさまざまな種類の診療科があります。新卒看護師として働く前に、将来のキャリアプランや自身の性格に向いている診療科を知っておくとよいでしょう。今回は看護学生に向けて、診療科ごとの特徴から自分に合った診療科の選び方までを解説します。

診療科は60種類以上存在する

看護師が働く病院の診療科は、細かくわけると60種類以上あるといわれています。看護学生にとって、たくさんあるなかから自分に合いそうな診療科を見つけるのは難しいかもしれません。

ただ働く診療科によって学べる看護が異なるため、将来のキャリアプランにあった診療科を知っておくことが大切です。また新卒看護師は入職前に配属先の希望を聞かれることもあるため、希望の診療科をある程度決めておいたほうが良いでしょう。

先輩看護師に聞いた「希望の診療科の有無」

以下は入職する前の希望の診療科について先輩看護師にアンケート調査を実施した結果です。入職前から希望の診療科が明確に決まっていた人は約65%いました。

入職後に配属されたい診療科はありますか?

希望の診療科を決めた理由として「実習で興味がわいた分野だから」「専門分野の看護を学びたいから」などの回答が多くみられました。

一方で希望の診療科が明確でない看護学生は約35%と少なくありません。希望先が決めきれない要因のひとつとして、現場経験のない看護学生にとって複数ある診療科の違いを理解しきれていないことが考えられます。

人気が高い診療科は?

以下のランキングは希望の診療科が「ある」と答えた先輩看護師に対して、具体的な希望の診療科を質問した結果です。救急、小児科、外科などの診療科を希望している人が多いことがわかります。

新卒看護師の希望の診療科TOP5

ただし希望の診療科を選ぶ理由は人それぞれで、人気が高い診療科を選べば良いというわけではありません。診療科ごとに特徴が異なるため、それぞれの特徴を理解して自分に向いている診療科を見つけるようにしましょう。

代表的な診療科の特徴

新人看護師として入職する際に、選択肢になり得る代表的な診療科とその特徴を表にまとめました。まずは、診療科ごとの特徴を理解しておきましょう。

診療科名 特徴
内科 ● 薬物療法が適応となる患者さんが対象
● 入院期間は比較的長く患者さんの回復までの経過はゆっくり
● 消化器内科・呼吸器内科・糖尿病内科など幅広い種類がある
● 長期的な視点でケアにあたる姿勢と継続的なケアの視点が必要
外科 ● 手術が適応となる患者さんが対象
● 患者さんの回復までの経過が早めではっきりしている
● 消化器外科・呼吸器外科・脳神経外科など幅広い種類がある
● 仕事の優先順位を決める判断力と素早く的確なアセスメント力が必要
循環器科 ● 心臓・血管など循環器に関する治療が対象で内科・外科にわかれる
● 生死に関わる重症疾患の患者さんから慢性疾患の患者さんまでいる
● 全身動態や心電図・バイタルサインの深い知識が必要
呼吸器科 ● のど(咽頭・喉頭)・肺・気官など呼吸器に関わる治療が対象で内科・外科にわかれる
● 慢性疾患から急性疾患の患者さんまでいる
● 呼吸生理・人工呼吸器の知識から緩和ケアの知識まで必要
手術室 ● 医師らとともに患者さんの手術を担当
● 看護師のおもな業務は、手術中に医師を直接介助する「器械出し」と間接介助の「外回り」にわかれる
● 手術に関する専門知識と冷静な判断力が必要
救急科 ● 救急患者さんの初期対応を担当
● 救急科をもつ病院の種類によって、軽症から重症患者さんまでさまざまな患者さんが対象
● 幅広い疾患の知識と臨機応変な対応力が必要
ICU・HCU ● 集中的に治療が必要な重症患者さんや手術直後の患者さんが対象
● 幅広い疾患の知識と高い観察力が必要
小児科 ● 主に0歳から18歳前後までの小児が対象
● 疾患と発達段階にあわせた看護の知識が必要
産婦人科 ● 妊産婦さんと婦人科系の疾患を抱える患者さんが対象
● 妊娠から出産後までの看護や周手術期の知識が必要
その他の
専門的な診療科
● 皮膚科・耳鼻咽喉科・眼科・泌尿器科・糖尿病科などが該当
● 部位や疾患により診療科が細かくわかれている病院もある
● それぞれ診療科に応じた専門的な知識が必要
精神科 ● 精神疾患を抱える患者さんが対象
● 精神科専門の病院が多く身体疾患は別の病院で治療する場合もある
● じっくり患者さんと関われるコミュニケーション能力が必要
美容外科 ● 美容に関する自由診療を希望する患者さんが対象
● 美容と周手術期の知識やサービス業としての接遇が必要

診療科が標榜(掲げられている)かどうかは、病院の規模や種類によっても異なります。

外科、内科、循環器科、呼吸器科は、ある程度の規模の病院なら掲げられている代表的な診療科です。手術室、救急科、ICU・HCUの規模や対応件数は病院規模により異なるでしょう。

小児科、産婦人科、その他の専門的な診療科は規模が大きな病院に多い傾向です。精神科、美容外科の場合は、多くが単科の専門的な病院として運営しています。

気になる診療科がある場合は、病院を選ぶ際に病院規模や種類にもフォーカスして探すとよいでしょう。

タイプ別でみるおすすめの診療科

診療科はそれぞれ特徴が異なるため、働き方のタイプによって向き不向きがあります。また将来的にどのような看護師を目指したいかによっても選び方は異なるでしょう。ここでは働き方のタイプや目指すキャリアに合わせて、おすすめの診療科を紹介します。

さまざまな経験を積みたい人:「救急科」「ICU・HCU」

幅広く経験を積みたい人には救急科やICU・HCUがおすすめです。

救急科やICU・HCUは外科や内科などの垣根がないため、幅広い症例への看護が学べます。また緊急性を要する対応が必要な現場で、アセスメント力や判断力も身につけられるでしょう。

その反面、同時に多くのことを学ぶのが苦手な人や、常に緊張感のある環境が苦手な人には向かないかもしれません。

キャリアの幅を広げたい人:「外科」「内科」「循環器科」

キャリアの幅を広げたい人には、外科や内科、循環器科がおすすめです。

厚生労働省のデータによると、医師が従事している診療科は内科がもっとも多く、次いで整形外科などを含める外科が多い結果となっていて代表的な診療科だといえます。そのため内科や外科での経験は汎用性が高く、看護師として幅広いキャリアにつながります。

また循環器科で学べる心電図や血液・酸素の流れと全身を結びつけてアセスメントする能力は、どのような診療科でも必要になることが多いため、将来的に違う診療科に進んだとしても役立ちます。希望の診療科を決めかねている人にもおすすめできるでしょう。

専門性を高めたい人:「小児科」「産婦人科」「手術室」など

専門性を高めたい人には、小児科や産婦人科、手術室などがおすすめです。

小児科や産婦人科は対象となる患者さんや疾患が限定されるため、専門性の高い看護が学べます。また診療科に関係なくさまざまな疾患の手術にたずさわる手術室では、術式や器械出し、実際の人体の構造など手術室でしか学べない知識や技術が身に付くでしょう。

その他の専門的な診療科には、前述の表にある診療科以外にも、脳外科や脊椎外来、糖尿病科など、さまざまものがあるので気になる人は調べてみましょう。

患者さんとじっくり関わりたい人:「内科」「精神科」

患者さんとじっくり関わりたい人には、精神科や内科がおすすめです。

内科は、外科などに比べると入院期間が長く患者さんの経過も遅めなので、じっくりと患者さんと関わりながら看護ができます。また、精神科はさらに長期的な入院になることが多く、コミュニケーションを通じ患者さんと関わることが看護の中心になります。

ただし精神科は創傷処置や点滴などの医療処置が少ないので、医療処置に関する看護技術を行う機会は少ないでしょう。

幅広い年齢層とコミュニケーションをとりたい人:「整形外科」「皮膚科」「眼科」など

幅広い年齢層の方々とコミュニケーションをとりたい人には、整形外科や皮膚科、眼科などがおすすめです。

整形外科は、スポーツなどで骨折をした若い人から転倒などでけがをした高齢者まで、幅広い年代が対象です。さらに手術やリハビリテーションも行われるため、周手術期の看護や理学療法士など他職種との関わりも学べます。

皮膚科や眼科も患者さんの年齢層が比較的幅広いことが特徴です。また命に関わる疾患が比較的少ないため、精神的・身体的な負担が少ないでしょう。

向いている診療科を見つける方法

どの診療科が向いているかは人それぞれです。ここでは自分の向いている診療科を見つける4つの方法を紹介します。

自己分析をする

自己分析は自分の価値観や性格を理解するために必要不可欠です。とくに以下2つの観点で自己分析を行うと、自分に向いている診療科が見えてくるでしょう。

じっくり自己分析するためには、ノートに書き出し自分を客観的に振り返るのがおすすめです。

キャリア観点

まずキャリアの観点からは、自分が目指すキャリアの方向性を自己分析しましょう。どのような看護師になりたいかだけでなく、どのような働き方をしたいかを書き出すとより明確になるでしょう。

    【例】

  • 患者さんの気持ちに寄り添える看護師になりたい
  • 経験や知識が豊富な看護師になりたい
  • 医療の最前線でキャリアを積んでいきたい
  • ワークライフバランスを大切にした働き方がしたい

性格的な観点

自分の性格や考え方を自己分析することも必要です。自分が希望する将来像と性格や考え方の傾向との間にギャップがある場合もあるからです。今までの経験や実習を通して、やりがいと感じたことや得意・不得意だったことを書き出してみましょう。

    【例】

  • 新しい技術や知識を習得するのが得意
  • ものごとを効率よく進めるのではなくじっくりと取り組むのが好き
  • 実習のなかでとくに面白いと感じる分野があった

講座を活用する

就活講座に参加して診療科の理解を深めるのもひとつの手です。看護学生向けに開催されている講座では、各診療科のやりがいや働き方をさらに詳しく知ることができます。

オンライン開催で全国どこからでも無料で受けられる講座が増えているため、就活開始前の準備として活用してみてください。

先輩看護師に意見を聞く

看護学校の先生や身近な看護師の先輩に意見を聞くのも、自分に向いている診療科を知るうえで参考になります。

自分の身近な先輩であればリアルな現場の話が聞けるだけでなく、第三者からみた自分の適正について具体的なアドバイスがもらえるかもしれません。気軽に質問できる先輩看護師がいない人は、病院で働く看護師の意見が聞けるインターンシップも活用してみてください。

適職診断を受けてみる

看護師向けの適職診断はかんたんな質問に答えるだけで、あなたに向いている診療科や向いている理由がわかります。

無料で利用できるので、希望の診療科がしぼれている人はその診療科が向いているか、どの診療科を選べば良いか迷っている人は、自己分析を掘り下げる機会として活用してみてください。

看護学生の適職診断テスト

ナース専科就職ナビより

新卒看護師が希望する診療科で働くためには

できる限り希望の診療科で働くためは、自分の意思を明確に示しておくことが大切です。まずは採用面接や入職前面接のときに希望を伝えるようにしましょう。

また希望する診療科が専門的な診療科である場合は、就職先としてその科に特化した単科の専門病院を選ぶのもひとつの手です。専門的な病院を選べば、希望しない診療科に配属される心配もありません。ただし入職後にその診療科が合わないと感じる場合もあるので、よく検討したうえで選択しましょう。

希望以外の診療科に配属されたときは?

自分の意思を伝えていたとしても、希望通りの診療科に配属されるとは限りません。しかし自分の希望とは違う診療科に配属された場合にも、まずは前向きな姿勢を忘れずに業務に取り組みましょう

どの診療科に配属されたとしても看護師としての基礎的な仕事を学ぶことができるため、新人看護師にとって貴重な経験になるはずです。配属された診療科で学べることを吸収しましょう。

基礎を学んだのちにどうしても希望の診療科で働きたい場合は、異動願いを出すか、転職を検討する方法もあるということを覚えておきましょう。

特徴を理解して自分に合う診療科を見つけよう

看護師が働く病院には数多くの診療科があり、特徴や働き方が異なります。そこで、就職活動を始める前に看護学生は、各診療科の特徴を理解したうえで希望の診療科をいくつかもっておくとよいでしょう。診療科選びの講座の活用やインターンシップの参加、自己分析を通じて自分に合う診療科を見つけてみてください。

参考

診療科区分(厚生労働省)

医師・歯科医師・薬剤師統計の概況(厚生労働省)

執筆者情報

プロフィール画像

柴田 実岐子

shibata-mikiko

福岡県生まれ。大学卒業後、一般企業に勤務し、社会人から看護師免許を取得。急性期外科などで経験を積んだのち、精神科、慢性期の一般病棟、健診センターなどさまざまな職場で勤務。さらに夜勤専従・派遣・応援ナースなど、多種多様な働き方を経験した。現在は離島移住をきっかけに、へき地医療に従事しながらライターとして活動中。