看護師の病院選びの基準とは?確認すべきポイントを解説

看護師の病院選びの基準とは?確認すべきポイントを解説

最終更新日:2024/01/16

新卒看護師として入職する病院は今後のキャリア形成に重要です。しかし、就活時に数多くある病院の中から自分にぴったり合った病院を探し出すのは難しいでしょう。今回は看護学生が就活時に知っておきたい病院選びのポイントを解説します。

病院選びの基準は人それぞれ異なる

看護師の仕事は、職場によって働き方が異なります。その人のキャリアプランや職場に求めるもの次第で病院選びの基準も異なるでしょう。以下は病院選びの基準について、新卒看護師にアンケート調査を行った結果です。

先輩に聞いた病院選びで重視したこと

新卒で入職する病院の決め手になったものについて、1000人以上の先輩看護師にアンケートを行ったところ以下のような回答が得られました。

先輩看護師の「病院選びの決め手」 TOP10

決め手となったもの第1位が「その病院で学びたいことがある」で約20%、その次に「教育体制」や「看護体制」があがりました。新卒で入職する病院は、待遇面よりも職場環境を重視する人が多いことがわかります。

一方で看護理念への共感や寮の充実度と回答する人も少なからずいることから、病院選びの基準は人によってさまざまであることが読み取れます。

看護学生は志望先の病院を選ぶにあたって重視したい点を洗い出し、自分なりの病院選びの軸を明確にしましょう。

病院選びの基準になるもの5選

病院選びの基準は人によって異なりますが、ここでは病院選びの基準になり得る5つの観点を紹介します。病院の求人情報のどこから確認すればいいかわからない人は、まずこの5点をチェックしてみてください。

運営母体

病院は運営母体により職場の特徴が異なります。以下の表に示した特徴はあくまで傾向であり、必ずしも当てはまるわけではありません。しかし特徴の違いによって待遇や学べる看護も異なるため、母体ごとの特徴は理解しておくとよいでしょう。

運営母体 特徴
国立・公立病院 〇〇県立病院 ・地域密着型の医療を提供する病院が多い
・公務員として働くので福利厚生が安定している
公的病院 独立行政法人
JCHO・済生会など
・全国にグループ病院がある
・福利厚生が充実している法人が多い
大学病院 〇〇大学病院 ・大規模病院で診療科が細かくわかれている
・教育システムが充実している病院が多い
一般病院 医療法人
社会福祉法人など
・病院の運営母体の半数以上を占める
・医療法人により病院規模や診療科の特徴、待遇が異なる

病院の種類

病院は機能、救急指定、診療科の違いで分類することができます。さらに、各分類のなかでも病院の特徴によって種類がわかれます。以下では、分類別に病院の種類と特徴を紹介するので参考にしてください。

機能別

病院の機能は、患者の重症度や学べる症例の幅に関係します。機能別では、医療法で示されている要件によって3つの種類に分けられます。

区分 要件 特徴
特定機能病院 ・厚生労働省により承認
・病床数400床以上
・16以上の診療科がある
・高度医療の提供・開発・研修を実施
・病院規模が大きい
・最先端医療とさまざまな症例が学べる
地域医療支援病院 ・都道府県知事の承認
・病床数200床以上
・紹介患者中心の医療提供
・かかりつけ医を後方支援する病院
・地域の中核病院
・他機関と連携しながら地域医療が学べる
一般病院 ・病床数20床以上 ・専門病院から総合病院までさまざまある
・病院により特徴や患者層が異なる

参考:特定機能病院について(厚生労働省)
   地域医療支援病院について(厚生労働省)
   医療施設の類型(厚生労働省)

幅広い症例を学びたい人は、高度医療を提供する特定機能病院を検討してみましょう。

救急指定別

救急指定の分類は、患者さんの重症度や緊急性に関わります。救急医療を担う救急指定病院は、消防法によりさらに3段階に分類されています。

区分 役割
第三次救急医療 救命救急センター
高度救命救急センター
重篤な救急患者を24時間体制で受け入れ
第二次救急医療 病院群輪番制病院 入院を要する重症救急患者を地域の病院が当番制により受け入れ
第一次救急医療 在宅当番医制
休日夜間急患センター
軽症救急患者を休日夜間急患センターや地域の医師が当番制により受け入れ

参考:救急医療の現状と課題について(厚生労働省)

救急病院のなかでも比較的ゆっくりと看護を学びたい人は、三次救急施設は避けたほうがよいかもしれません。

診療科別

診療科によっても学べる看護内容は違います。それぞれのメリット・デメリットは以下の通りです。

メリット デメリット
総合病院 幅広い看護が学べる 希望する科に配属されない可能性もある
専門病院 専門的に学べる 違う分野の看護は学べない

幅広い領域を経験したい人は総合科、学びたい分野が明確な人は単科を選ぶとよいでしょう。

看護体制

看護体制の違いは、働き方に関わります。自分に合った働き方はそれぞれ異なるため、病院選びの基準になり得ます。ホームページに看護体制を掲載している病院もあるため、確認しておきましょう。

夜勤体制

夜勤は2交代制と3交代制があり、2交代制を採用している病院が多くなっています。それぞれのメリットとデメリットを理解し、自分のライフスタイルに合うほうを選ぶとよいでしょう。

メリット デメリット
2交代制 夜勤明けから休日までゆっくりと休める 1回の夜勤が長時間労働になる
3交代制 夜勤の労働時間が短い 勤務間の休みが短い

看護方式

看護方式とは、患者さんの看護をする方法のことです。人により、あうあわないがありますが、新卒看護師の人は実践してみないとわからない部分もあるため、参考程度に理解しておくとよいでしょう。

看護方式 特徴
プライマリー制度 1人の患者さんを1人の看護師が入院から退院まで担当
チームナーシング チームを組み病棟の患者さんを担当
PNS(ペアナーシング) 看護師2名がペアになり患者さんを担当
機能別看護 ケア係・点滴係など機能別に看護を担当

看護師の配置基準

人員配置の基準は、医療法上の基準と診療報酬制度上の基準があります。ここでは、看護師が何人の患者さんを受け持つかの基準となる診療報酬制度上の看護配置基準について解説します。

看護配置 患者さんの状態 病院の特徴
7対1 急性期 第三次・二次救急を担う大規模な病院
10対1 亜急性期〜回復期 地域の中核病院・一般病棟
13対1
15対1
回復期 回復リハ病棟・地域包括ケア病棟・急性期精神科病棟
20対1 慢性期 療養病棟・慢性期精神科病棟

受け持つ患者さんの人数を示すため忙しさをはかる指標になりますが、患者さんの状態で仕事内容が異なるため配置基準も参考程度におさえておくとよいでしょう。

教育制度

教育制度は、新卒看護師の成長に大きく関わります。制度ごとの特徴とどんな人に向いているのかを理解して、病院選びに役立てましょう。

教育制度 特徴 向いている人
プリセプター制度 新卒看護師にプリセプターと呼ばれる先輩看護師がつく 手厚いサポートを受けたい人
ラダー制度 看護師の経験に応じて段階的に教育を支援する 新卒から段階的に成長できる教育が受けたい人
ジョブローテーション 所属病棟以外の病棟をローテーションしながら研修を受ける さまざまな現場を見てみたい人

待遇(給料・休み・勤務形態・福利厚生)

給料や休日数、福利厚生などの待遇もモチベーションや働きやすさに直結するため、病院選びではしっかりチェックしましょう。

給料や休日数は、働くモチベーションの維持やワークライフバランスの実現につながります。働きやすさの目安となる福利厚生は、病院によりさまざまな種類があるので、下記の記事を参考にチェックしておきましょう。

病院選びでとくに確認すべきポイント

新卒看護師として入職する病院を選ぶ際に、とくに確認しておきたいポイントがあります。病院選びのときには注視してみてください。

新人教育制度が整っているか

看護師としての成長を左右する新人教育制度は、必ずチェックしておきたいポイントです。毎年新卒看護師を採用している病院は、新人教育制度を整備しているところがほとんどですが、新卒看護師の採用が少ない病院は教育制度が整っていないこともあるかもしれません。

また勤務時間内に研修があるか、看護師2年目や3年目にどのようなキャリアアップができるかもあわせて確認しておきましょう。

人間関係や病院の雰囲気

看護師の仕事にコミュニケーションは必須です。人間関係が悪くコミュニケーションが取りにくい職場は、ストレスを溜めやすく、病院を辞める理由のひとつになりかねません。

職場見学やインターンシップは積極的に参加し、働く看護師の表情や挨拶、態度から職場の人間関係や雰囲気を確かめましょう。入職を希望する病院に知り合いの先輩がいる場合は、職場の雰囲気を聞いてみるのもおすすめです。

同僚看護師の特徴

一緒に働く看護師の特徴によっても、働きやすさは変わります。同期が多い職場であれば一緒に頑張る仲間と助け合って仕事ができたり、幅広い年齢層の人がいる職場であればさまざまな意見や看護観が養えたりと、それぞれメリットがあります。

どのような看護師層がよいかは人それぞれなので、自分の働くイメージを膨らませながら情報収集してみましょう。

病院設備と立地

病院設備は新しいほうが働きやすい傾向です。なぜなら、病院によっては昔の基準で建築されていて「病室や廊下が狭い」「入浴室が遠い」など働きにくいところもあるからです。病院見学では病院設備と病棟の動線を確認しておきましょう。

また夜勤もあるため、通勤しやすい立地の病院を選んだほうがよいでしょう。公共の交通機関を使って通勤する場合は、夜勤時間と交通手段の確認もしておきましょう。

離職率

離職率が聞ける場合は、確認しておいたほうがよいポイントです。離職率が高い病院は、人間関係や待遇など、何らかの問題があるかもしれません。また、可能であれば入職3年目までの離職率を確認しておくと安心です。

日本看護協会によると、2021年度の新卒看護師の離職率は10.3%となっているため、このデータを参考に離職率が高すぎないか確認しておきましょう。

残業時間

残業時間は、ライフワークバランスが保てるかの目安になります。新卒看護師は覚えることがたくさんあるため、残業が多すぎる職場は疲れてしまうかもしれません。事前に残業時間を聞いておくことで、入職後の働き方がイメージしやすくなるでしょう。

ただし病院によって、看護師の仕事である情報収集や自己成長の時間が残業とみなさなれない場合があるため、病院が発表している残業時間と実際に働いている人の意見の両方が聞けると安心です。

看護学生が病院選びの軸を明確にするには?

病院選びの軸を明確にする手段として以下のような方法が挙げられます。

  • 自己分析を行う
  • 説明会・インターンシップに参加する
  • 先輩看護師に相談する

自分に合った病院に入職するためには、病院選びの基準や確認したいポイントを理解することが大切ですが、看護師として働くうえで重視したいことを把握することも必要です。病院選びの前に病院選びの軸を明確にしておきましょう。

自己分析を行う

まずは自己分析を行い、看護師としてのキャリアプランを考えてみましょう。キャリアプランが明確になると、病院選びの軸も定まります。

キャリアプランは、自分の看護観や看護師を目指した理由をもとに考えると導きやすいでしょう。適性をもとにキャリアプランを考えたい人は、診断ツールを用いた自己分析もおすすめです。以下の診断テストは簡単な質問に答えるだけで、自分に向いている診療科がわかります。気になる人は参考にしてください。


看護学生の適職診断テスト

ナース専科就職ナビより

病院説明会・インターンシップに参加する

病院説明会やインターンシップは新たな気づきを得る機会になるため、病院選びの軸を明確にするうえでも役立ちます。求人票に書かれていないことも聞けるので、少しでも気になる病院の説明会・インターンシップは、積極的に参加してみましょう。

ナース専科就職ナビでは、全国5,000件以上の病院説明会やインターンシップが検索できます。交通費支給のインターンシップや先輩ナースと交流できる説明会もあるため、活用してみてください。


インターンシップ 病院見学会

ナース専科就職ナビより

先輩看護師に相談する

看護の現場を知っている先輩看護師の意見は、病院選びの視点を広げるためにも貴重です。病院で働いたことがない看護学生が思いつかない現役ならではのアドバイスや、自分の適性などの意見がもらえるかもしれません。

身近に先輩看護師がいる場合は、積極的に相談してみましょう。また看護学校の先生も、臨床現場を知る貴重な先輩です。担任や就職担当の先生にも意見を聞いてみると良いでしょう。

病院選びのポイントを押さえて自分にあった病院を見つけよう

看護師としての一歩を踏み出すうえで、最初の病院選びは重要です。自分にあった病院であれば、新人時代に成長できるだけでなく、その後のキャリア形成にもつながります。自分にあった病院を見つけるために、病院選びのポイントと働くうえで重視したいことを整理して情報収集をしましょう。

参考

特定機能病院について(厚生労働省)

地域医療支援病院について(厚生労働省)

医療施設の類型(厚生労働省)

救急医療の現状と課題について(厚生労働省)

医療法に基づく人員配置標準について(厚生労働省)

7対1入院基本料について

2022年 病院看護実態調査(日本看護協会)

執筆者情報

プロフィール画像

柴田 実岐子

shibata-mikiko

福岡県生まれ。大学卒業後、一般企業に勤務し、社会人から看護師免許を取得。急性期外科などで経験を積んだのち、精神科、慢性期の一般病棟、健診センターなどさまざまな職場で勤務。さらに夜勤専従・派遣・応援ナースなど、多種多様な働き方を経験した。現在は離島移住をきっかけに、へき地医療に従事しながらライターとして活動中。