多様化する看護師の働き方!職場の種類から選ぶポイントまで解説

多様化する看護師の働き方!職場の種類から選ぶポイントまで解説

最終更新日:2023/11/27

時代の変化により、看護師の働き方も徐々に多様化が進んでいます。今回は、看護師の多種多様な働き方から理想の働き方を見つけるポイントまで解説します。ぜひキャリア選択の幅を広げるきっかけにしてください。

近年の「看護師の働き方」とは

時代の流れや価値観の変化によって、近年の日本では多様な働き方が認められつつあります。そして、働き方の多様化は看護師業界にも及んでいるようです。ここでは様々なデータを用いて、看護師の働く場や看護業界の働き方改革など近年の看護師の働き方を深堀りします。

看護師の就業場所の割合

以下のグラフは、厚生労働省が発表した看護師の就業場所に関するデータをもとに平成18年と令和2年の看護師の就業先の割合を示したものです。

看護師の就業先の割合

出典:令和2年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況 表2就業場所別にみた就業保健師等 看護師の実人員数割合
   平成18年保健・衛生行政業務報告結果 表2就業場所別にみた就業保健師等数 看護師の実人員数割合
令和2年のグラフをみると病院や診療所で働く看護師は全体の8割以上を占めていますが、一方で訪問看護ステーションや介護施設、企業などに勤務する看護師も少なからず存在します。

病院で働く看護師は全体の約7割とまだまだ多いものの、約20年前の平成18年のグラフと比較すると、訪問看護や介護施設で働く看護師の割合は増加傾向であるのに対し、病院で働く看護師の割合はやや減少しています。このことから病院以外の職場で働く看護師が少しずつ増えていることがわかります。

「看護職の働き方改革」に関する取り組み

以下のグラフは、厚生労働省が発表している年齢別就業状況をもとに、看護師として働いている人の割合を年齢別で示したものです。

看護師として働いている人の割合

出典:看護職員就業状況等実態調査結果 表2 年齢別就業状況

グラフからもわかる通り、年齢が上がるにつれて看護師として働いている人の割合は減少傾向です。看護師の9割以上が女性であるため、ライフステージの変化による仕事との両立の難しさが要因のひとつとして考えられます。また、看護師の仕事内容や夜勤などによる肉体的な負担も離職の原因になっているようです。

このような状況を踏まえ、日本看護協会では看護師が働き続けられる環境づくりのために「看護における働き方改革」を推進しています。具体的には、夜勤や時間外労働など労働環境の見直しや、賃金などの処遇改善が盛り込まれています。

また、看護師が個人の事情に応じ多様な働き方を選択できることが目標として掲げられているため、看護師の働き方は今後さらに多様化していくことが予測されます。

「看護師の働き方」の種類を条件別で紹介

ここからは、看護師の働き方の種類について、就業場所・雇用形態・勤務形態の条件別に解説します。

1.就業場所別

看護師は就業場所によって働き方は異なってきます。それぞれの特徴をまとめてみました。

病院

病院は、24時間365日稼働しており、基本的に曜日や時間帯に関係なく交代制で勤務します。ただし、外来やオペ室など、配属先によっては日勤が中心になる場合があります。

また、国立や公立、医療法人など運営する母体によって病院の機能や規模は異なり、それぞれの病院や配属先によって仕事内容も様々です。夜勤がある場合は基本的に手当が付きますが、条件は運営母体や地域によって異なるため、志望先の病院に確認しましょう。

病院の働き方については以下の記事でも詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。

診療所(クリニック)

診療所は、基本的に診療時間に合わせて勤務し、日曜日や祝日は休みのところが多いでしょう。ただし、夜勤手当がないため、給料水準は病院勤務よりも低くなる傾向にあります。

仕事内容は、内科や小児科など各診療所が掲げている診療科によって異なり、待遇は、開業医や市町村など運営元によっても違いがあるようです。

訪問看護ステーション

訪問看護ステーションは、日中に利用者宅を訪問するため、基本的に日中の勤務が中心です。ただし24時間対応している事業所では、夜間や休日のオンコール勤務もあるでしょう。

運営元は病院や民間企業などがあり、対象は小児から高齢者まで幅広く、提供する看護は身体のケアからこころのケアまで多岐にわたります。精神科や小児などを専門とする訪問看護ステーションもあります。なお、訪問看護ステーションは国による在宅医療推進により、年々増加傾向です。

訪問看護師の働き方や役割については、以下の記事で詳しく解説しているのでぜひチェックしてみてください。

福祉施設

福祉施設とは乳児から高齢者までの生活を支援する施設で、老人福祉施設、児童福祉施設、障がい者支援施設などがあります。

入所型、デイサービス型、ショートステイ型、グループホーム型など様々な形態があり、施設形態や施設基準により看護師の勤務形態や仕事内容が異なります。福祉施設は病院よりも生活に近い場となるため、医療的処置よりも生活を支える看護が求められます。

行政・学校

看護師が行政や学校で活躍する場としては、役所の福祉・保健課や保健所、幼稚園や保育園などが挙げられます。仕事内容の詳細は職場によって異なりますが、一般的には病院や診療所で行うような診療の補助などの看護業務よりも、健康相談や生活指導、健診の補助などが中心になります。

また、上記で挙げた職場以外に、看護学校や看護大学で看護教員として働く看護師もいます。勤務時間帯は、どこの職場も基本的に平日の日中になることが多いようです。

企業

一般企業では、従業員の健康管理に携わる産業看護師や、製薬会社の治験コーディネーターとして活躍できます。また、専門知識を活かして医療関係の仕事に携わったり、イベントやツアーナースとして働いたりと様々な働き方が可能です。

一般企業の場合、待遇は会社によって異なります。また、仕事内容や勤務形態も様々です。多種多様な働き方が存在するので理想の働き方を叶えられるかもしれません。ただし、求人数は少ないので採用倍率は高い傾向にあります。

2.雇用形態別

雇用形態とは従業員と経営側で結ぶ雇用契約の種類のことです。雇用形態によって働き方が異なってきます。以下ではそれぞれの働き方の特徴を詳しく解説します。

正社員

正社員とは、正規雇用として雇い主と直接契約を結ぶ働き方をいいます。厚生労働省のデータによると、看護師として働いている人の8割以上が正社員です。常勤看護師とも呼ばれ、一般的に労働期間の定めがなく、フルタイムで勤務します。勤務時間や休日数、給料や福利厚生は雇い主が定めている就業規則により決められています。

医療関係の施設で正社員として働く場合、ボーナスや昇給があり収入が安定する、しっかりとした教育が受けられる、社会的信用が高いなどのメリットがあるでしょう。

パート・アルバイト

パート・アルバイトとは、非正規雇用として雇い主と直接契約を結ぶ働き方です。労働時間や休日は雇い主と本人の合意のうえで決まります。一般的に時給で報酬が決まる場合が多く、病院によってはボーナスがない場合もあります。

パート・アルバイトのメリットは、雇い主の合意があれば短時間勤務や出勤日数を調整できる点です。しかし、給料水準や福利厚生、教育支援などの条件は正社員よりも低くなる傾向にあります。

派遣

派遣とは、人材派遣会社から紹介された派遣先で勤務する働き方です。派遣会社と雇用契約を結ぶため、給料や手当は派遣会社から支給されます。一方、業務上の指示は派遣先から受けます。

労働期間が定められている場合が多く、産休の代替えとして数カ月間勤務するケースや、一時的な補填として単発勤務になるケースもあります。自由度の高い働き方ができる点が魅力ですが、一方で正社員と同等の待遇は望めないことが多く、契約の打ち切りもあり不安定さはあるでしょう。

業務委託

業務委託とは、雇用契約を結ぶのではなく、個人事業主として依頼主と個人契約を結ぶ働き方のことです。企業や個人から依頼された仕事に対して報酬を受け取ります。業務委託で働ける看護師の仕事としては、旅行に同行するツアーナースや健診看護師、研修などの講師、医療系記事のライターなどがあります。

業務委託の仕事は個人契約のため、働く時間や報酬の自由度は高いといえます。ただし、看護師が業務委託で働ける仕事は多くないため、見つけるのが難しいかもしれません。

3.勤務形態別

24時間看護が必要な職場もある看護師の仕事には、様々な勤務形態があります。ここからは勤務形態別の働き方の特徴を紹介します。

交代勤務

交代勤務は、日勤と夜勤を交代で勤務する働き方です。基本的に1カ月ごとに勤務表が作成され、不規則で日勤や夜勤の勤務を行います。交代勤務は病院や入所型の施設で取り入れられていることが多く、日本看護協会の調査によると病院勤務の看護師の約6割が2交代制、約2割が3交代制で働いています。

交代勤務には夜勤手当がつくため、給料もそのぶん高くなります。一方で、生活が不規則になり体力的に負担に感じる人もいるかもしれません。2交代制と3交代制の違いが知りたい人は以下で詳しく解説しているので、参考にしてください。

日勤

日勤とは、8〜17時など日中のみの勤務を指す働き方です。病院内では一般外来や手術室、内視鏡室などの部署、訪問看護ステーション、行政、学校、企業などでの勤務が多いでしょう。また、病棟でも、日勤のみの看護師として働いている人もいます。

日勤を取り入れている職場は、土日が休みである場合も多く、生活リズムが整えやすいところがメリットです。しかし、夜勤手当がないため、給料水準が下がるかもしれません。

夜勤専従

夜勤専従とは、24時間稼働している施設で夜勤帯のみ勤務する働き方です。派遣やアルバイトとして雇用契約を結ぶ場合が多いようですが、なかには正社員として働いている看護師もいます。アルバイトや派遣の場合は月数回から勤務可能で、正社員の場合は月8回程度の夜勤勤務を行います。

求人先によっては給料に魅力を感じる人もいると思いますが、夜勤帯は看護師の数が少ないため一人にかかる責任が大きく、負担を感じることあるかもしれません。

単発・短期

単発や短期の働き方には、産休の代替要員や人員不足の施設の応援要員、健康診断業務、ツアーナース、イベントナースなど様々あります。行政や雇い主施設が直接求人を募集していることもありますが、一般的に派遣会社を通しての募集が多いようです。

興味がある仕事を自由に選択できるため、様々な業務に挑戦できます。ただし、仕事内容によっては看護師としての経験が問われる場合もあるようです。

看護師として働くうえで重視することは?

働くうえで重視したいことは、人によって異なります。しかし、なかには看護師として働くことがイメージできず、何を重視して職場を選択すべきかわからないという人もいるでしょう。

そこで、ここからは先輩看護師に聞いた「就職先の決め手」をいくつかご紹介します。先輩たちの様々な意見から、自分は働くうえで何を重視したいかを考えるきっかけにしてください。

先輩看護師に聞いた「就職先の決め手」

「就職先の決め手」について先輩看護師に質問したところ、様々な回答が得られました。以下では重視している内容に分けて、それぞれの回答を紹介します。

やりたい看護の実現

  • 精神看護に興味があり、習得できる病院を選択した
  • 最先端の医療にかかわりたかったため、大学病院への入職を決めた
  • 学生時代に障害者と老人に興味を持ったため、病院には就職せず障害者施設に入職した

やりたい看護が明確な人は、理想の看護を実現できる職場を軸に就職先を選んでいます。やりたい看護として診療科や領域が絞りきれていなくても、興味が持てる領域や、将来のキャリアプランに役立ちそうな領域を優先して選ぶのもひとつの手です。

充実した教育体制

  • 新人研修が充実していたため、入職を決めた
  • 実習での指導が丁寧、かつキャリアアップ出来るシステムが整っていたため
  • 最初の就職先はスキルを身に付けられる場がいいと考え、体制が整っている大学病院を選択した

教育制度の充実を重視する人は、病院が公表している教育システムの内容や病院規模から職場を選んでいるようです。実習中に受けた指導内容から病院の教育に対する姿勢を判断している先輩もいました。

ワークライフバランスの実現

  • 2交代か3交代かを選ぶことができ、希望の働き方が叶いやすいと感じた
  • 家から近く通勤に便利だったため、働きやすいと思った
  • 職場が海に近く、プライベートの時間でリフレッシュできると思った

ワークライフバランスを重視する人は、勤務体制や立地から職場を選んでいるようです。特に通勤時間の短さや通勤方法で職場を選んだという意見が多く、通勤にかける時間を減らしてプライベートを充実させたいと考えています。

充実した福利厚生

  • 安く住める寮があったことで決め手になった
  • 入職支度金がもらえて、労働組合があった
  • ほかの病院に比べて給与や福利厚生がよかった

福利厚生を重視する人は、待遇や寮の有無などを比較して職場を選んでいます。給料の額は求人票から明確に読み取れるため、職場選びの判断材料になりやすいでしょう。その他の条件も比べながら総合的に判断して職場を選んでいるようです。

自分に合った働き方を選ぶポイント

自分に合った働き方を選ぶためには、自分の価値観に合わせて働き方の優先順位を見極めることが必要です。ここでは、優先順位を決めるために具体的に何をすべきなのかを紹介します。

1.理想の看護師像を掘り下げる

まずは、理想の看護師像を掘り下げましょう。理想の看護師像とは、レポートの課題などとして取り上げられることも多い「看護観」にも通じます。実習などの経験から、自分が患者さんにどのような看護を提供したいのか、患者さんとどのようにかかわりたいのかを掘り下げてみましょう。

2.叶えたいライフプランを掘り下げる

次に、叶えたいライフプランを掘り下げてみましょう。ライフプランの掘り下げには、看護師としてのキャリアだけでなく、どのような生活を送りたいかも含まれます。1日の理想の生活、3年後の理想の生活、10年後の理想の生活と、時系列で叶えたいライフプランを考えてみるとよいでしょう。

3.1と2を掛け合わせて優先順位を考える

理想の働き方と理想のライフプランを掘り下げたら、それらを掛け合わせて優先順位を考えてみましょう。どこに価値観を見出すかは人それぞれであり、正解はありません。ポイント1とポイント2で掘り下げた内容をもとに、自分なりの優先順位をつけてみましょう。

4.最も叶えたい条件が実現できる働き方を探す

最後は叶えたい条件の実現に近い働き方を探します。様々な働き方があるため、特徴を理解したうえで自分の理想に近い職場をみつけましょう。説明会やインターンシップに参加すると、よりリアルな病院情報が得られたり、働く先輩の意見が聞けたりするのでおすすめです。

選択肢を理解し理想の働き方を実現しよう

看護師の働き方は、働く場所や雇用形態、勤務形態などによって異なります。近年は働き方の多様化も進んでいるため、選択肢の幅も広がっています。どのような働き方がよいというわけではなく、自分にあった働き方で、自分が納得できる就職先をみつけることが理想です。そのためには、働き方の種類を理解し、自分が働くうえでの優先順位を整理する必要があります。看護師として何を重視して働きたいかを今一度考え、理想の働き方の実現につなげてくださいね。

出典・参考

厚生労働省:令和2年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況

厚生労働省:平成18年保健・衛生行政業務報告

厚生労働省:看護職員就業状況等実態調査結果

日本看護協会:就業継続が可能な看護職の働き方の提案

日本看護協会:2021年 看護職員実態調査

執筆者情報

プロフィール画像

柴田 実岐子

shibata-mikiko

福岡県生まれ。大学卒業後、一般企業に勤務し、社会人から看護師免許を取得。急性期外科などで経験を積んだのち、精神科、慢性期の一般病棟、健診センターなどさまざまな職場で勤務。さらに夜勤専従・派遣・応援ナースなど、多種多様な働き方を経験した。現在は離島移住をきっかけに、へき地医療に従事しながらライターとして活動中。