国立ハンセン病療養所

私はハンセン病による後遺症を抱える入所者の看護に携わっています。業務は日常生活の支援をはじめ、慢性疾患の病状コントロールや慢性損傷のケアなど多岐にわたります。中には、手や足、顔の傷や変形を見られたくないと感じる方もおられます。そのようなときは無理にケアを進めるのではなく、日々の声掛けや共に過ごす時間を大切にしながら、少しずつ信頼関係を築いてきました。ある日「傷を見て」と声をかけていただいたとき、この仕事の尊さを深く実感しました。信頼を得て初めて成り立つ看護の奥深さを学んでいます。

私は「最期まで寄り添える看護」を大切にしたいと考え、新しい環境で働くことを決めました。当園では、病気の治療だけでなく、慢性的な症状や身体機能の障害、慢性損傷や合併症へのケア、日常生活の支援、そして看取りまで、幅広い看護に携わることができます。歴史的な背景を抱えながら暮らしてこられた入所者の方々の尊厳を守り、その人らしい人生を支えていけることに大きな魅力を感じ、入職を決めました。

研修の際には、各部署で働く同期と集まり、不安や悩みを共有する機会がありました。自分一人では気づけなかったことを学び合いながら取り組むことができ、とても心強い支えとなりました。互いに励まし合い、共に成長できる環境があることは、私にとって大きな力になっています。

ハンセン病という病だけでなく、かつての隔離政策や差別を乗り越えて歩んでこられた入所者の方々に「生きてきてよかった」と感じていただけるよう、寄り添いながらケアを行っています。カンファレンスを重ね、一人ひとりの思いや希望を尊重し多職種で協働しています。盆踊りや花火大会、お花見など四季折々の行事を共に楽しめる温かな雰囲気も魅力です。

看護には技術だけでなく、その人の思いや人生に寄り添う姿勢が大切です。大変なこともありますが、信頼関係を築いたときにいただける言葉や笑顔は、何よりの励みになります。就職活動では迷うこともあると思いますが、自分の大切にしたい看護を信じて、一歩を踏み出してください。