看護学生の履歴書・エントリーシートの書き方│志望動機・自己PR例文つき
最終更新日:2024/08/08
看護学生の就活における基本事項である履歴書・エントリーシート(ES)の書き方を例文付きで解説。これらの書類は採用側にあなたの魅力や強みを伝える重要な武器です。書き方を身につけて第一志望を勝ち取りましょう。
目次
履歴書は自分の魅力を表現するツール
就活において履歴書は自分の魅力を伝えるためのツールであり、あなたの第一印象を左右します。
履歴書やエントリーシートは項目を埋めれば良いという訳ではありませんし、書くことがないからといって空欄にしたり嘘を書いたりしてはいけません。自分の魅力を表現できる履歴書の書き方をマスターして、就活を成功させましょう。
エントリーシート(ES)とは?履歴書との違いを解説
エントリーシート(ESと略されることもあります)とは、企業側が就活生のために用意する応募書類の一つです。
書類選考や面接時の参考資料として使用されることが多く、一般的に販売されているものではなく病院や企業ごとに独自に書類フォーマットを作成するケースが大半です。書類のフォーマットは企業説明会やインターネットからの応募で入手します。
エントリーシート(ES)と履歴書の役割の違い
エントリーシートと履歴書の役割の違いは下記になります。
- エントリーシート(ES):選考に使用する書類
- 履歴書:公的な書類
エントリーシートは一般企業を中心に導入されていますが、病院ではあまり導入されていません。記載内容は履歴書と大きな差異はありませんが、エントリーシートを必要とする病院に応募する際は、履歴書の内容と齟齬がないように気をつけましょう。
履歴書の提出のみの場合
履歴書のみを提出する場合は、履歴書の内容を基に採用選考が進むことになります。それぞれの項目をしっかりと記載する必要があるので「自己PR」「志望動機」などの自身をより表現できる項目は、自身を分析して、しっかりと書き込みましょう。
エントリーシートと履歴書の2つを用意する場合
前述した通り、エントリーシートは選考時に使用して、履歴書は入社後も含めた個人データの確認というように、2つの書類は使用目的が違います。そのため、内容に重複があっても問題ないでしょう。
例えば、エントリーシートと履歴書の双方に「自己PR」「志望動機」の項目があった場合は、エントリーシートの記載内容を選考時に主な参考資料にすると考えてしっかりと記載します。一方の履歴書はエントリーシートの内容を要約して記載するなどと、それぞれ書き分けてみてもいいでしょう。
履歴書の選び方と書き方のコツ
以下では履歴書の選び方と書き方のコツについて解説します。
履歴書の選び方
履歴書は市販されているので、ほとんどの人は購入して記載するでしょう。しかし市販の履歴書にはさまざまな種類があります。記入項目が要件に達していないものもあるので、就活に適切な履歴書を選ぶようにしましょう。
履歴書のサイズ
市販の履歴書はA4(A3・2つ折り)とB5(B4・2つ折り)の2種類があります。ダウンロード版は印刷用紙に合わせてサイズ変更できます。応募規定で指定がなければどのサイズを使用しても大丈夫です。提出書類や応募封筒とサイズが異なっていても問題ありません。
履歴書の種類
市販の履歴書は「JIS規格」「一般用」「転職用」「パート・アルバイト用」など種類が豊富です。それぞれ自己PR欄や志望動機欄のスペースが広い、職歴や資格のスペースが広いなど特徴があります。自分が記載しやすく、記入項目が要件に達している履歴書を選びましょう。
履歴書の書き方の注意点
次に履歴書の書き方の注意点を6つ紹介します。
①文字は丁寧にはっきりと書く
略字や略語は使用せず、正しい言葉で書きましょう。字が下手でも止め払いを意識し、一文字ずつ丁寧に書くと読みやすくなります。かすれたペンや消えるペンではなく、黒の油性ボールペンを使用してください。
②誤字・脱字は禁物
誤字・脱字は注意力散漫な印象を与えます。わからない言葉や自信のない漢字は調べたり、あらかじめ練習したりしてから履歴書に記載しましょう。
③空欄がないようにすべて記入
履歴書は空欄がないようにすべて記入します。記載する内容がない場合は「なし」「特になし」と書きます。空欄のままだと書き忘れなのか、意図的に記載していないのか採用担当者が判断できないからです。ただし自己PRや志望動機の欄は「なし」と記載してはいけません。
④写真は第一印象を決める
写真はあなたの見た目を相手に伝える大切なツールです。人の第一印象は1秒以内に決まり、その印象は強く記憶に残ります。顔映りが良く清潔感のある写真にしたいなら、アプリや設置型証明写真機を使うのではなく、写真館やスタジオで証明写真を撮ることをおすすめします。
⑤提出前にコピーをとる
採用面接は履歴書をもとに行われます。ほとんどの就活では履歴書は事前郵送するので、コピーを取って手元に残しておきましょう。コピーがあれば面接当日まで見返すことができるので、面接で履歴書に記載した志望動機や自己PRと大幅に異なる回答をしないためにもおすすめです。
⑥書類の送り方にも注意
就活の書類は個人情報が記載された重要書類です。そのため、書類送付方法は普通郵便ではなく、書類紛失の際に追跡が可能な配達記録の残る「特定記録」で送ります(送付先から送付方法が指定されている場合は、送付先の指示に従ってください)。
また就活の書類には受付期限があります。「消印有効」「必着」に注意して指定された期日に届くように送りましょう。
履歴書を書くときのポイント
履歴書を書くときに注意すべきポイントがあります。以下の履歴書例の番号順に解説します。
ポイント①日付
履歴書を書いた日ではなく「応募先に提出する日」を記載します。郵送の場合は「ポストに投函した日」「郵便局に出した日」です。
ポイント②氏名
戸籍に登録されている字体を省略せずに記入します。
ポイント③印鑑
押印は認印で問題ありません。押印欄がない履歴書は、名前の右横の空欄に押印しましょう。提出先から押印を求められていない場合は、押印欄のない履歴書を選ぶと良いかもしれません。
ポイント④写真
一般的に3か月以内に撮影した写真を使用します。その理由は面接を受ける段階と変わらない印象である必要があるからです。面接と同じ服装やメイクで撮影するのがおすすめです。
写真は既定されたサイズにカットし、剝がれてしまわないように貼付します。万が一、写真が剥がれてしまった時のために写真裏に氏名を書きましょう。
ポイント⑤住所
住所は都道府県から記載します。番地やマンション名・部屋番号は省略しないように注意しましょう。
ポイント⑥学歴
一般的には高校以降の学歴を記載します。その理由は中学までは義務教育で、それ以降は自由意思での進学だからです。入学・卒業の年月を順に記載します。
ポイント⑦職歴
就業期間が短くても働いていた医療機関や企業がある場合はすべて記載します。同一の病院・企業でも部署移動をしている場合は忘れずに記載しましょう。今も働いている場合は「現在に至る」と記載します。
ポイント⑧免許・資格
免許や国家資格は正式名称で記載します。これから看護師資格を取得する場合は「○月に取得見込み」とします。TOEICなどの語学系資格や普通自動車免許も記載しましょう。
ポイント⑨志望動機
応募した理由や就職したらやりたいことを記載します。採用担当者が注目する項目のひとつですので、次項で自分の魅力が伝わる志望動機の書き方を解説します。ぜひ参考にしてください。
エントリーシートの提出が求められていない場合は、履歴書に志望した職場を選んだのかをなぜしっかりと記載しましょう。
ポイント⑩自己PR
過去の経験から学んだことと自分の強み、採用されたらどのように働きたいと考えているかを300文字程度にまとめます。こちらもエントリーシートの提出が求められていない場合は、志望動機と同様に注目される項目ですので、しっかりと記載しましょう。次項で自分の魅力が伝わる自己PRの書き方を解説します。こちらもあわせて参考にしてください。
ポイント⑪趣味・特技
趣味特技で多い「読書」や「映画鑑賞」などは具体例も添えて書きましょう。趣味や特技がない人は、記載欄のない履歴書を選びます。
なお、看護学生の就活対策についてまとめた「就活のトリセツ」では、履歴書の書き方、書類の送り方から面接対策までわかりやすく解説しています。こちらもぜひチェックしてみてください。
看護学生向け│やる気の伝わる志望動機の書き方
やる気が伝わる志望動機の書き方は、就活を成功させる重要な要素のひとつです。なぜならば面接の時間は限られていて、就職したい思いを十分に伝えきることが難しいからです。
ここでは、採用担当者に自身の強みや看護観など魅力を伝えられる志望動機の書き方を、例文とあわせて解説します。
看護学生の志望動機の例文
志望する医療機関の求める人物像や看護観を理解したうえで、自分ならどのように働けるか、活躍できるかを書きます。たとえば「給料が良いから」「制服がかわいいから」といった志望動機は自分本位な動機なので基本的にはNGです。そのために医療機関の方針などをしっかりとリサーチして分析することが重要です。
採用担当者にあなたを「採用したことが病院のメリットにもなる」と感じてもらえることがベストです。
以下に例文を紹介します。
<例文1>志望先が高度救命救急センターなどを持つ急性期病院の場合
私が貴院を志望した理由は、地域医療の要となる急性期の看護に携われるためです。看護学実習で貴院を訪れた際に、高度な医療と看護のレベルに関心を持ちました。とくに救命救急センターで働く先輩看護師は、高い知識と技術に裏打ちされた的確な医療スキルと、患者に親身に寄り添うスキルを併せ持っていました。患者・家族の心理面を看るその姿に感銘を受け、私も医療・看護スキルだけでなく患者の心理や尊厳・想いに配慮した看護が提供できるようになりたいと考えました。貴院では新人の教育体制も充実しており、日々知識やスキルを積み重ねていけます。将来は特定看護師や認定看護師となり、自分だけでなくチーム全体でより良い看護を提供できるような働き方をしていきたいです。
<例文2>志望先が急性期から慢性期・終末期までを担う地域の基幹病院
私が貴院を志望する理由は、急性期から終末期まで、老若男女問わず地域に住む人々を支える看護に携わりたいからです。私の愛するこの町で貴院は誕生から看取りまでなくてはならない存在です。私や家族が病気になった時、怪我をした時さまざまな場面で、貴院の看護師の優しさや真摯な態度、高い看護技術に感銘を受けました。特に祖父が心筋梗塞で緊急入院し長期療養の末に他界した際、不安を抱える家族に寄り添い、最後まで家族の時間に配慮してくださったスタッフの皆様には今でも感謝の気持ちでいっぱいです。貴院の看護師のように患者や家族の心理や尊厳・思いに配慮した看護師になることが私の目標です。新人教育プログラムやプリセプターシップを通し知識やスキルを重ねながら、貴院を受診してよかったと患者さんに思っていいただける看護を提供していきたいです。
看護学生向け│自分の魅力を伝える「自己PR」の書き方
自身の魅力を伝える自己PRも、志望動機と同様に就活を成功へ導く重要なファクターのひとつです。しかし自己PRと言われても「何を書いたらいいかわからない」と悩む人が多いかもしれません。ここでは自己PRを書く時のコツと例文を紹介します。
「自己PR」の書くうえでおすすめの「PREP法」
自己PRはできる限り相手に簡潔に伝えることが重要です。以下で紹介する「PREP法」は、自己PRをわかりやすくまとめるうえでおすすめの手法なので、ぜひ取り入れてみてください。
PREP法
PREP法とは文章の構成を作るための考え方で、以下の頭文字を取っています。
- P:Point 結論・要点
- R:Reason 理由
- E:Example 具体例
- P:Point 結論・要点の繰り返し
PREP法では要点を2回伝えるので、相手の印象に残りやすい特徴があります。また簡潔に伝えられるので、自己PRをまとめるために最適な方法なのです。以下にPREP法を使った例文を2つ紹介します。
PREP法を用いた「自己PR」の例文
<例文1>
P:結論・要点
私の強みは相手の悩みや辛さに耳を傾け、寄り添うように行動できることです。
R:理由
コロナ禍で人と人との交流・接触が制限される中、コミュニケーションエラーが起きる経験をしました。実習では患者とのコミュニケーションが重要だと考え、実技の実践だけでなく患者との会話や傾聴に注力することを心がけました。
E:具体例
私自身そして家族に入院経験があります。辛いときや誰にも言えない悩みを看護師に聞いてもらい、寄り添ってもらったことが闘病生活を支えました。その経験を活かし、相手が何を求めているか相手の立場に立って考えてから行動するようになりました。実習では看護技術の実践を優先しがちですが、ゆったりとした落ち着いた時間を過ごしたい患者の気持ちをくみ取り、ケアは短時間でポイントを絞って実践し、会話や傾聴の時間を多く取るようにしていました。実習の間に患者さんは亡くなられましたが、ご家族から「沢山話を聞いてくれてありがとう」「側にいてくれてよかった」と行動を評価してもらえました。
P:結論・要点の繰り返し
貴院でさまざまな経験を積み、もっと患者の抱える辛さや悩みに耳を傾け寄り添える看護師を目指したいと思います。
<例文2>
P:結論・要点
私の強みは学習意欲が高く自己研鑽が好きな所です。
R:理由
子供のころからわからないことをわからないまま放置するのが嫌いで、探求心旺盛な子どもでしたが、看護学生になり医学・看護の専門性に感銘を受けて以降、より積極的に、納得するまで理解や解決に努めるようになりました。
E:具体例
私の卒業論文のテーマは「環境における菌の汚染と効果的な消毒方法」です。コロナ禍で菌や環境の消毒に多くの人の関心が集まっていた時期で、さまざまな消毒方法がニュースを騒がせていました。研究過程でドアノブや文房具、テーブル、スマートフォン、白衣まで私達が日常触れる環境にはどのような菌がいて、どのような消毒薬に効果があるのかを論文やガイドラインを元に調べました。同じドアノブでもトイレと教室では菌種が異なり、効果がある消毒薬も異なっている事が明らかとなり、学内での消毒薬の種類や使用方法を提案し改善しました。論文や文献を調べれば調べるほど知識が深まり、答えに近づく経験は私の探求心を満たしましたし、答えを得たときの満足感は何事にも代えがたい経験でした。
P:結論・要点の繰り返し
貴院に就職できたら、まずは新人教育プログラムやプリセプターシップを通して看護の基礎知識やスキルを積み重ねたいです。さらに認定看護師や専門看護師・特定看護師などの専門性を持った看護師を目指して自己研鑽を積み、将来的には知識や経験を活かして病院の発展にも寄与したいと考えています。
履歴書・エントリーシートをスムーズに仕上げるコツ
履歴書やエントリーシートをスムーズに仕上げるコツを紹介します。締め切り直前で焦らないように、以下を参考に作成に着手しましょう。
早めに準備する
人は苦手なことを後回しにしてしまいます。自身の魅力を十分に伝えられる履歴書やエントリーシートを作成したいなら、早めに準備しましょう。
準備期間が長ければ一度にすべてを完成させなくても大丈夫。1項目ずつもしくは1行ずつ文章を作成します。PREP法を使うなら「今日は“P”だけ」と1つずつ書いていくのもおすすめです。時間をかけて考えると思考がまとまり、より良い文章を書ける可能性が高まるでしょう。
下書きをしてから記載する
下書きでは文章の構成を何度も直せます。書きたかったエピソードを書き忘れることも予防できます。また、誤字脱字を避けるためにも下書きは有効な手段です。下書きをしてから本番の履歴書やエントリーシートに書き写すようにしましょう。
履歴書・エントリーシートの作成に困ったら
履歴書やエントリーシートの作成に困ったときにおすすめの3つの方法を紹介します。
作成ツールを利用する
インターネット上には履歴書やエントリーシートの作成ツールがあります。志望動機や自己PRなどの作成をサポートしてくれるサイトもあります。活用するのも手段のひとつです。
注意すべき点は、作成ツールはあくまでも「サポート」だということ。参考程度にとどめて自分らしい言葉で書くようにしましょう。
書籍を参考にする
履歴書やエントリーシートの作成に悩む人は多く、さまざまな書籍が発売されています。看護系雑誌に特集が組まれることもあります。
『ナース専科 就職』にも「履歴書・志望動機・自己PRの書き方」を特集しているページがあります。ぜひ参考にしてください。
誰かに添削してもらう
履歴書やエントリーシートは第三者が読むものです。とくに志望動機や自己PRは「読んだ人に、あなたの言いたいことが伝わるか」が重要です。家族や友人、教員など身近な人に読んでもらって感想を聞いてみましょう。
伝えたいことが伝わらないことは少なくありません。どのように改善したら良いのかも一緒に考えてもらうと、より良い履歴書やエントリーシートが作成できるでしょう。
履歴書・エントリーシート(ES)で自分の魅力を伝えよう
履歴書やエントリーシートはあなたの第一印象を左右するとても重要なツールです。履歴書やエントリーシートの書き方にはマナーやルールがあります。多くの人が苦手に感じる志望動機や自己PRには、相手に伝わりやすく文章を書くための方法があります。本記事を参考に、あなたの魅力が伝わる履歴書やエントリーシートを作成し第一志望の内定を獲得してください。