看護学生の自己PRの書き方ガイド│履歴書・面接で使える強み別例文集
最終更新日:2025/08/01
自己PRは、自分の強み(アピールポイント)や性格をいかに的確に表現し、志望先の採用担当者に伝えられるかが重要です。限られた文字数や時間で、自分の魅力をわかりやすく効果的にまとめられるようにしましょう。今回は、看護学生の就活で活用できる自己PRの書き方と強み別に例文を紹介します。
目次
就活における自己PRの重要性
自己PRとは、自分の長所や経験、スキル、価値観を相手に伝えるための手段です。履歴書作成時や面接で求められることがあり、採用担当者へ自分の強みをアピールする機会となります。
自己PRが採用に与える影響
採用担当者は、応募者が職場にどのように貢献できるか、どのような場面で力を発揮できるかを見定めるため、自己PRを判断の材料にします。医療サービスの質向上や経営の安定化のため、病院はより優れた人材の確保を目指しており、自己PRや志望動機から総合的に応募者の人物像を見極め、採用を決定します。そのため、自己PRは採用を左右する重要な要素だといえます。
採用担当者が自己PRで重視するポイント
魅力的で有効な自己PRを作成するためには、病院が重視するポイントを理解しておく必要があります。ここでは、採用担当者が自己PRで着目する3つのポイントを解説します。
1.看護学生の人柄
採用担当者は、限られた情報のなかで応募者の採用を決めなければなりません。そのため、自己PRでは応募者の人柄や強み、理論的思考、伝える力などをチェックしています。
採用担当者により伝わる自己PRにするためには、自身の強み(アピールポイント)を明確にし、わかりやすく伝えることが大切です。
2.病院との相性
採用担当者は自己PRを通して、自施設が求める人物像と応募者の人間性が合致するかを確認します。優れた人材であっても、病院との相性が悪い場合は、期待したほどの活躍が見られなかったり、早期退職につながったりと、病院側にとってデメリットになるためです。
理念や風土、重視する看護観は病院ごとに異なります。病院の特徴と自分の強み、看護観を結びつけて表現できれば、入職に対する意欲と相性のよさがアピールできるでしょう。
3.入職後に活躍できるか
新卒看護師には、即戦力よりも成長の可能性や学習意欲が重視されます。採用担当者は、自己PRの内容から応募者が入職後に看護師として活躍できるかを見極めます。
自分がこれまでの経験をいかに成長につなげてきたか、いかに困難を乗り越えて目的を成し遂げたかなどのエピソードを交えると、自主性や成長性がアピールできるでしょう。
履歴書・面接で「効果的に伝わる自己PR」のポイント
ここでは、魅力的で伝わりやすい自己PRを作成するための4つのポイントを解説します。自分の強みを効果的にアピールし、採用担当者の印象に残る自己PRを作成するために、ポイントを理解しておきましょう。
強みは1つに絞る
複数の強みを羅列すると各々の印象がぼやけてしまうため、アピールする強みは1つに絞ることが大切です。履歴書の記入欄や面接時間は限られています。最も伝えたい強みを選択し、それを軸に自己PRを作成しましょう。
そして、選んだ強みが看護師としてどのように活かせるかを結びつけて伝えることも重要です。「患者さんの気持ちに寄り添える共感力」や「最後までやり抜く責任感」など、看護師に必要な能力を意識して強みを選択しましょう。
具体的な経験談を盛り込む
自己PRは、具体的なエピソードを交えることで説得力が増します。「責任感が強い」「協調性がある」といった抽象的な表現を避け、どのような場面で強みを発揮したのか具体的なエピソードを盛り込みましょう。
どのような状況下で、自分がどのような行動をとり、結果がどうなったのか、客観的視点を交えながら具体的に強みを説明するようにします。採用担当者によりリアルなイメージを与え、印象にも残りやすくなるはずです。
自分の言葉でまとめる
自己PRのテーマがよくある内容であっても、必ず自分の言葉でまとめましょう。「責任感」や「観察力」「コミュニケーション能力」など、多くの看護学生が選ぶテーマだとしても、自分の体験談を交えて内容を作成することで、オリジナリティのある自己PRになります。
自分の言葉でまとめるプロセスにより自己理解を深めることが、面接で質問を受ける際も一貫性のある回答につながります。大切なポイントといえるでしょう。
看護や志望先の理念と関連づける
採用担当者は「この応募者が入職したら、当院にどんな価値をもたらしてくれるか」を知りたいと考えています。そのため、自己PRは看護師の役割や志望先の理念と関連づけることが重要です。
採用側の理念や求める人物像を理解し、自分の強みが志望先でどう活かせるか結びつけて自己PRを作成しましょう。
実践編│「伝わりやすい自己PR」の書き方【4ステップ】
ここでは、4つのステップで作成できる「伝わりやすい自己PR」の書き方を解説します。作成の流れに沿って、具体例も交えながら解説するので参考にしてください。
1.自分の強みを分析する
自己PRのテーマを決める際には、自己分析によって客観的に自身の強みを把握する必要があります。まずは、自分の性格やこれまでの経験を振り返り、アピールできる強みを見つけましょう。
以下に、強みを見つけるためのヒントをまとめました。複数の方法で分析し、さまざまな視点から見つけた強みを思いつく限りノートに書き出してみましょう。
| 強み分析の方法 | |
|---|---|
| 経験を振り返る | 実習、学生生活、アルバイトなどで、自分がうまくできたこと、力を入れたこと、褒められた経験を振り返る |
| 長所や短所から考える | 自分の性格や行動の特徴をもとに、強みにつながる要素を見つける 短所の裏返しもヒントになる |
| 看護観や看護師を目指した理由から考える | 看護師を目指したきっかけや大切にしたい価値観から、自分らしさや強みを掘り下げる |
| 周囲の意見から考える | 友人、家族、実習先の指導者などに「自分はどんな人か」を聞き、自分では気づかない強みを発見する |
| 自己分析ツールを活用する | 自己分析ツールを活用し、客観的に自分の特徴を分析する |
ナース専科就職ナビでは、看護学生向けに自己分析のやり方を解説しています。自己分析は、自己PRの作成だけでなく、病院選びやキャリアプランを考える際にも役立つため、ぜひ活用してみてください。
【強み分析:実践例】
- ノートに分析した強みをリストアップ
- 周囲からの意見
・患者さんの話をじっくり聞くのが好き → 傾聴力
・アルバイトで気が利くと褒められた → 観察力
・長所は細かい点まで気づきやすいところ → 観察力
・短所は物事を進めるのに時間がかかる → じっくり取り組む力
・患者さんの変化に気づくのが早いと思う → 観察力
・クラスの雰囲気を盛り上げるのが上手 → 観察力
➔ これらを総合し、看護師として活かせる強み「観察力」に決定!
2.強みを裏付けるエピソードを選定する
説得力のある自己PRにするには、強みを裏付けるエピソードを選ぶことが必要です。1で決定した強みが発揮された具体的なエピソードを思い出し、印象的なものを選んでみてください。同時に、そのエピソードを選ぶ理由も明確にしておきましょう。
【エピソード選定:実践例(「観察力」を裏付けるエピソード)】
- 実習で受け持ち患者さんの声のトーンが暗いことに気づき、声かけをすることで相手の不安を軽減できた
- アルバイト先の飲食店で、お客様に合わせた個別対応をし、「気が利く」と褒められた
- 話し合いの場でメンバーの1人があまり議論に参加できていないことに気づき、自然と発言できるよう質問を投げかけた
➔ 看護師としての熱意が伝わるよう、患者さんとのエピソード1を選定
3.応募先の情報を収集し、貢献を明確にする
ステップ3では、志望する病院の理念や看護方針などを調べ、選択した強みにより志望先で自分がどのように貢献できるかを考えます。病院の公式サイト、パンフレット、見学時の印象などをヒントに、具体化してみてください。
【強み貢献の明確化:実践例】
アピールしたい強み:「観察力」
病院理念:「患者様に寄り添った看護」
➔ 看護師としての熱意が伝わるよう、患者さんとのエピソード1を選定
4.伝わる構成に沿って書く
収集した情報から構成を組み立て、文章を作成します。相手に伝わりやすい文章構成の基本は「結論」「理由・エピソード」「抱負」の3部構成です。文章を書き始める前に、構成を整理すると、スムーズに書き進められます。
【文章構成:実践例】
結論:観察力
エピソード:受け持ち患者さんの声のトーンが暗いことに気づき、声かけをして不安が軽減できた、周囲からも気遣いや観察力を評価されている
抱負:観察力を活かし、患者さんに対する理解を深め、個別性に合わせた看護を提供したい
構成が決まったら、以下の点に注意して自己PR文を書きましょう。
【自己PR文作成の注意点】
- 履歴書の記述欄は8割以上が埋まるようにする(300~400字程度が一般的)
- 誤字脱字に注意し丁寧に書く
- 他者の文章を丸写ししない
【最新版】看護の自己PR例文集‐強み別
ここからは、看護の自己PRの例文を紹介します。実践例の「観察力」のほか、「責任感」や「コミュニケーション力」など、強み別に例文10選を紹介しているので参考にしてください。
観察力
看護学実習で、受け持ち患者さんの表情や声のトーンがいつもより暗いことに気づき、「何か気になることはありますか」と声かけました。すると、検査に不安があることを話してくださり、話すうちに、患者さんの不安が軽減したようで、表情も和らいだという経験があります。この経験から、変化に気づき、声をかけることの重要性を実感しました。日頃から友人や教員によく周りを見ていると言われることも多く、自分の観察力には自信を持っています。
今後もこの力を活かして、患者さんの思いや背景に配慮し、個別性のある看護を実践していきたいです。
責任感
看護学実習では、体調を崩した実習メンバーの代わりに記録係を引き受けた経験があります。初めての役割に不安もありましたが、慣れないなかでもメンバーと連携を取りながら記録をまとめ、無事に提出できました。その際「助かった」「安心して任せられた」と声をかけてもらい、信頼を得るためにすべきこととやり遂げる喜びを実感しました。この経験から、責任感とは単に任務を果たすだけでなく、周囲と連携しながら最善を尽くす姿勢であると学びました。
今後も、患者さんやチームに対して責任を持って行動し、「安心して任せられる」と言われるような看護師を目指していきたいと考えています。
向上心
看護学実習中、受け持ち患者さんが急遽退院することになり、予定していたケアの必要がなくなったことがありました。その際、空いた時間をただ過ごすのではなく、ほかのチームメンバーの受け持ち患者さんのケアに積極的に参加しました。ケアのサポートに入ることは、複数の患者さんの状態やニーズを学べる貴重な機会となり、視野を広げることができました。また、チームでの役割や連携の重要性も実感し、自ら関わることで学びが深まることを体験しました。
今後も向上心を持ち続け、どのような状況でも前向きに学びを見つける姿勢を大切に、看護師として成長できるよう努めます。
コミュニケーション力
私は、大学時代に飲食店で接客のアルバイトをしていました。初めて来店された高齢のお客様がメニューに迷っていた際、急かさず丁寧に説明し、会話の内容から好みに合わせた提案をしたところ、「とても美味しかった」と感謝の言葉をいただきました。一方、リピーターのお客様には、好みを覚えて声かけをするなど、相手に合わせたコミュニケーション、しぐさや表情に気を配るコミュニケーションを意識していました。
看護師には、患者さんの表情や言葉から気持ちを汲み取り、安心感を与えられる関わりが求められます。今後もこの強みを活かし、患者さんの気持ちに寄り添える看護師を目指したいです。
協調性・チームワーク
高校時代、バスケットボール部でキャプテンを務めていました。メンバー同士の意見が対立した際は、一人ひとりの話をじっくり聞き、それぞれの考えを尊重しながらチームをまとめました。練習では、技術が苦手な部員に積極的に声をかけ、励ましながら全員が力を発揮できるようサポートしました。こうした経験から、チームで目標を達成するには、全員の協力と協調性のある行動が大切だと学び、チームで目標に向かって進むことのやりがいを実感しました。
この学びを大切に、看護現場でも患者さんのためにチームメンバーと連携し、協力し合いながら質の高いケアを提供していきたいと考えています。
素直さ・柔軟性
高校時代、部活動で先輩から技術指導を受けた際、最初は自分なりのやり方にこだわっていました。しかし、思いきってアドバイスを受け入れて実践したところ、パフォーマンスが大きく向上した経験があります。それ以来、私はアドバイスを素直に受け止め、必要に応じて自分のやり方を柔軟に見直す姿勢を大切にしています。看護学実習でも、指導者の助言や患者さんからの反応を素直に受け止め、その都度考えを修正するよう心がけています。
柔軟な姿勢は、状況に応じた対応、多様な価値観の理解、新しい学びの発見などにつながります。今後も固定観念にとらわれず、変化する医療現場に対応できる看護師を目指していきたいです。
共感力・思いやり
以前、友人が悩みを抱えていた際、無理にアドバイスするのではなく、まずは話を聞くことに徹したことがあります。すると、話を聞いてもらえただけで気持ちが軽くなったと友人に言われ、私も嬉しくなり、その友人との絆も深まりました。目の前の人がどんな思いでいるのかを想像し、相手の心に寄り添うことは、信頼関係の構築にもつながると実感しています。
私は、看護学実習でも、患者さんの気持ちに寄り添うことを大切にし、不安そうな表情や小さなつぶやきを見逃さず、声をかけるようにしてきました。看護師になってからも、この共感力を活かし、患者さんから信頼される看護師を目指したいです。
体力・精神力
中学・高校ではバレー部に所属し、合宿や連日の練習を乗り越え、大会で優勝した経験があります。厳しい練習を仲間と励まし合いながら最後までやり抜き、目標である優勝を勝ち取った経験は、体力だけでなく、困難に直面しても諦めずに努力し続ける精神力を養うことにつながりました。看護学生になってからも、実習や課題が重なる多忙な時期を体調を崩すことなく乗り切れました。この基礎体力と精神力はさまざまな場面で強みとなるでしょう。
看護師は夜勤や緊急対応など、体力と精神力が求められる仕事です。私は、体力と精神力、そして持ち前の粘り強さを活かして、どんな状況でも冷静に対応できる看護師を目指します。
計画性・継続性
看護学校では多くの課題や実習が並行して進むため、常にスケジュール管理を意識してきました。毎週の目標と日々のタスクを手帳に記録し、優先順位をつけて行動することで、締切に遅れることなく安定した成果を出せています。学習面では、苦手な科目には早めに取りかかり、30分でも毎日継続することで知識の定着を図ってきました。こうした積み重ねが自信にもつながっています。
看護師として働くうえでも、患者さんの状態管理や多職種連携には計画的な行動と継続的な学びが不可欠だと感じています。今後もこの強みを活かし、安全な看護が提供できる看護師を目指したいです。
行動力・好奇心
高校時代に医療に興味を持ってからは、地域の看護体験やボランティア活動に積極的に参加し、現場の雰囲気や看護師の仕事を肌で感じる機会を自ら作ってきました。看護学生になってからも、授業や実習で生じた疑問はすぐに教員や先輩に質問し、自ら調べて理解を深めるよう心がけています。初めてのことにも臆せず挑戦する行動力と、学ぶことを楽しめる好奇心が、私の成長を支えてきたと感じています。
今後も、看護の知識・技術はもとより、患者像の把握や疾患についても積極的に学び続け、より質の高い看護を提供できるよう努めます。
面接で自己PRを伝えるときのコツ
面接で自己PRについて問われた場合は、さらに印象づけるチャンスとなります。効果的に自己PRを行うためのコツを理解しておきましょう。
ここからは、面接での自己PRのコツを解説します。
履歴書と面接の内容に一貫性を持たせる
履歴書に自己PRの記入欄がある場合は、履歴書と面接時の内容に一貫性を持たせましょう。一貫性がないと、自己PRの説得力が薄れたり、準備不足という印象を与える可能性があるからです。
履歴書に書いた自己PRの核となる強みは同じにし、面接ではそれらをより深く具体的に伝えましょう。履歴書では書ききれなかった経験・エピソードや強みについての説明を加えることで、一貫性を保ちながら内容に厚みを持たせることができます。
明るくハキハキと話す
自己PRの内容が素晴らしくても、聞き取りづらい話し方をしてしまうと、印象が悪くなってしまいます。面接では、姿勢を正し、目を見て、明るくいきいきとした表情で話すよう心がけましょう。適度な声の大きさではっきりと話し、自然な笑顔で伝えることができれば、自己PRの印象もよくなるはずです。
模擬練習をする
緊張せずに自信を持って伝えるためには、面接前に模擬練習をしておくことがおすすめです。鏡の前や友人の前で練習したり、スマートフォンで録画したりして、自己PRの内容や話し方を客観的に見直しましょう。
自己PRは時間をかけ過ぎてしまうと印象が悪くなる可能性もあります。1〜2分程度で話せるよう時間を計って練習するようにします。また、自己PRに関連する質問への回答も準備しておくと安心です。
自分らしさを強みに変えて伝わる自己PRを
自己PRは、自分の強みや性格を伝える大切なチャンスです。自分にはアピールできることがないと思う人もいるかもしれませんが、誰にでも必ず強みはあります。客観的に自己分析をし、基本構成に沿って伝わりやすい自己PRを作成することが大切です。例文を参考にしたとしても、自分の言葉で表現することを忘れずに、あなたらしさが伝わるPRを目指しましょう。
