生理的様式:感覚
このチャプターは、生体の内外の環境からの刺激を知覚する生理的システムを扱います。チャプター6では、人間の五感と疼痛、それらの表出となる表情に関連するアセスメント項目をまとめました。
※アセスメントガイドの内容はあくまで一例です。必ず実習で受けもつ患者さんや通っている学校での授業・教科書・指導などに合わせた情報収集を心がけましょう。
視覚
視覚について
視力はどの程度か、眼球運動は正常にできるのか、眼圧は正常か、色や文字や物体が識別できるかといった、外界の対象や形態などを知覚する目の能力をアセスメントします。このことによって、周囲の状況や状態をどのように知覚し、日常生活(見当識や書面の読解、交通指標などの識別など)に影響が及んでいるのかを推測します。眼鏡などの矯正具の使用の有無なども確認が必要です。
異常時
視覚異常がある
■視覚に異常がある場合の症状
- 眼瞼下垂がある:眼瞼挙筋の発育異常(先天性)や瞼を引っ張り上げる腱膜の異常(腱膜性)、重症筋無力症など筋肉の異常(筋原性)、動眼神経麻痺など神経の異常(神経原性)などが原因で物が見えにくい状態
- 近視:屈折異常の1つで、眼球内に入ってきた平行光線が、網膜より手前に焦点を結んでしまう状態。近くの物は見やすいが、遠くの物はぼやけて見える状態
- 遠視:屈折異常の1つで、遠方から眼内に入った平行光線が網膜の後方で焦点を結ぶ状態。 遠くの物は見えやすいが、近くのものが見えづらい状態
- 乱視:屈折異常の1つで、角膜や水晶体が歪むことによって屈折がずれ、光線が網膜上の一点に集まらず、物がはっきり見えにくい状態
- 色覚異常:色覚が正常色覚ではない状態を示す診断名。正常とされる多くの人とは色が異なって見える・感じる状態
- 半側空間無視:大脳半球病巣と反対側の刺激を認知する能力が障害され、注意力が片側に偏るために空間の半側を無視する状態。左半側空間無視が多い
- 同名半盲:大脳が脳卒中や外傷などにより一側の視索や側頭葉、後頭葉が障害されると、両眼とも同じ側(障害とは反対側)の視野が欠損する
- 異名半盲:脳腫瘍、頭蓋外傷などにより視交差の内側部分(左右の視神経が乗り換える部分)が障害されると両眼とも反対側の鼻側又は耳側半分の視野が欠損する
視力の種類
- 静止視力:目と対象物が静止している状態の視力で視力表などを使用して測定できる
- 動体視力:動いている物体から視線を外すことなく見分けられる視力
- 裸眼視力:矯正器具(眼鏡やコンタクトレンズなど)を使用しない状態の視力
- 矯正視力:近視・遠視や乱視など屈折異常を矯正して測定した視力。メガネやコンタクトレンズを用いて測定した矯正視力と、眼科などで屈折異常を適切に矯正して測定した最良矯正視力がある
- 片眼視力:片眼のみで見た状態の視力
- 両眼視力:両眼を同時に使って見た状態の視力で、通常は片眼視力より10%ほど視力は良くなる
- 遠見視力:5mの距離で測定された視力
- 近見視力:30㎝の距離で測定する視力で、近くのものを見るときの視力
- 深視力:遠近感や立体感、動く対象物の遠近感などを正しく認識する能力
- 中心視力:網膜黄斑部中心窩で見た状態(視力が一番良い状態)の視力
■眼鏡の使用について
眼鏡は、目の屈折異常を補正することや目を保護する目的などで使用します。裸眼での見えにくさには原因によりさまざまなタイプ(視力低下、視野狭窄など)があり、原因によって眼鏡の種類は変わります。
※このページは、有資格者の現役看護師が学生時代の実習と臨床経験にもとづいて作成したアセスメントシートで、あくまで一例です。必ず実習で受けもつ患者さんや通っている学校での授業・教科書・指導などに合わせた情報収集を心がけましょう。
※紹介する検査値の基準値は、LSIメディエンスに準拠しています。