チームナーシングとは?リーダー・メンバーの役割からメリットまで

チームナーシングとは?リーダー・メンバーの役割からメリットまで

最終更新日:2024/08/22

チームナーシングは看護の提供方法を示す看護方式のひとつです。チームナーシングは多くの医療現場で導入されています。今回はチームナーシングを取り上げ、リーダーやメンバーが担う役割からメリット・デメリットまでを解説します。ぜひ参考にしてください。

チームナーシングとは

チームナーシングとは病棟に勤務する看護師を2つ以上のチームに分け、チーム全体で一定数の患者さんを受け持つ看護方式です。日本では機能別看護方式の次に導入された看護方式であり、現在でも多くの病院で採用されています。
チームナーシングとは
チームのリーダーやメンバーは能力に応じて決められることが多く、役割分担をしながら患者さんに看護を提供します。

ほかの看護方式との違い

日本で採用されている看護方式にはいくつかの種類があります。以下の表はチームナーシングとそのほかの代表的な看護方式の特徴をまとめたものです。

看護方式の種類
チームナーシング 看護師を2つ以上のチームに分け、チーム内でリーダーやメンバーが役割分担しながら看護を担当する
固定チームナーシング 一定期間チームと役割分担が固定されている
モジュールナーシング
(モジュール型継続受け持ち方式)
看護師を2つ以上のチームに分割し、そのなかからモジュール(単位)を編成して患者さんを受け持つ
機能別看護方式 点滴係、検温係、リーダー業務など、業務内容ごとに担当が割り振られて看護を担当する
プライマリーナーシング 入院から退院まで1人の患者さんに担当看護師がつき、継続的なケアを提供する
患者受け持ち方式 勤務時間帯に受け持ちになった患者さんの看護を担当する
PNS
(パートナーシップナーシング)
2人の看護師がペアになり、お互いに協力しながら複数の患者さんを受け持つ
※基本的に先輩看護師と後輩看護師がペアを組むことが多い

看護方式には、複数の看護師がチームを組んで患者さんを受け持つかたちや、1人の看護師が専任で特定の患者さんを受け持つかたちなどありますが、どの方式を取り入れているかは病院によって異なります。さらに、チームにより行う看護方式にも、いくつか種類があります。

ここからはチームナーシングと表で紹介したほかの看護方式との違いを詳しく解説します。

プライマリーナーシングとの違い

チームナーシングとプライマリーナーシングの違いは、患者さんの受け持ち方です。

チーム全体で患者さんを受け持つチームナーシングの場合、看護師は勤務時間帯ごとに受け持ち患者さんが変わり、それに対応します。一方プライマリーナーシングでは、1人の看護師が入院から退院まで専任で患者さんを担当します。そのため、看護師は勤務時間帯には自分の受け持ち患者さんのみを担当するのが基本です。

固定チームナーシングとの違い

チームナーシングと固定チームナーシングの違いは、同じチームで稼働する期間です。

チームナーシングは一般的に日にちごとや週ごとにチーム編成が変わりますが、固定チームナーシングは一定期間チームを固定して患者さんに看護を提供します。その場合、1年程度メンバーを固定する病院が多いようです。

モジュールナーシングとの違い

チームナーシングとモジュールナーシングの違いは、チームの分け方です。

チームナーシングは病棟の看護師を2つ以上のチームに分けるのみですが、モジュールナーシングはチーム内にさらに少人数のチーム(モジュール)をつくります。そのため、1チームが担当する患者さんの人数は、チームナーシングよりモジュールナーシングのほうが少なくなります。

機能別看護方式との違い

チームナーシングと機能別看護方式の違いは、看護師の業務内容です。

チームナーシングではリーダーとメンバーに役割が分かれ、メンバー全員がそれぞれの受け持ち患者さんに対してバイタル測定や保清、点滴などを行います。一方機能別看護方式は、業務内容ごとに役割を分担します。仮に点滴係だったとしたら、基本的に病棟内の患者さんの点滴や留置針の差し替えのみを担当します。

チームナーシングの導入例

チームナーシングの導入の仕方は、単独で導入していたり、ほかの看護方式と併用するなど、病院・病棟によって様々です。

ここからは、実際に行われているチームナーシングの導入パターンをいくつか紹介します。細かい運用方法は、病院や病棟によって異なるため、気になる病院については、公式サイトなどで看護方式を確認してみてください。

チームナーシング単独

チームナーシングのみを導入している場合でも、病院や病棟によってチーム編成の特徴が異なります。

平均的に質の高い看護の提供を目指す場合は、スキルや経験を考慮してチームを編成します。看護提供に効率性が求められる場合は、病棟内の導線を考慮して患者さんを振り分けてチームごとに担当します。これらは一例ですが、病院機能や看護体制、病院施設の構造によっては優先される看護が異なるため、それに合わせて運用方法が工夫されているようです。

プライマリーナーシング×チームナーシング

チームナーシングとプライマリーナーシングを併用している看護方式の場合、基本的にプライマリーナースとして受け持ち患者さんを担当します。ただし、プライマリーナースが不在であったり、リーダー業務によって患者さんの受け持ちができないときは、ほかのチームメンバーが代わりに担当するかたちを取ります。

メンバーの受け持ち患者さんの情報はチーム全体で共有し、プライマリーナースを中心にチームで看護を提供する体制が整えられています。

機能別看護方式×チームナーシング

チームナーシングと機能別看護方式を併用している場合は、チームナーシングをメインに、一部のメンバーのみ機能別看護方式のやり方で動くケースが多いようです。

例えば、チームメンバーのなかで点滴係になった人は、チーム全体の患者さんの点滴準備・実施・確認を担当します。また、働き方に合わせて仕事内容が割り振れるように、時短勤務の看護師が機能別看護を担当するというように工夫している病院・病棟もあるようです。

チームナーシングにおける看護師の役割

チームナーシングでは、管理者である病棟師長や主任の下にいくつかのチームが編成されます。病院によっては、主任看護師もチームメンバーの一員として看護業務に携わる場合もあるようです。

チームナーシングの構図

それぞれのチームは、スタッフの経験年数やスキルを考慮して、同じ水準の看護ができるようにメンバーが編成されます。チーム編成やチーム内の役割分担が変わるタイミングは、病棟のルールによって異なり、日替わりや週替わりなど様々です。新人看護師もチームのバランスをみながら配置され、チーム内のフォローを受けながら経験が積めるようになっています。

チームのリーダーとメンバーは、それぞれ役割と仕事内容が異なります。リーダーとメンバーの役割と業務内容の例は、以下のとおりです。

チームナーシングのリーダーの役割

チームナーシングにおけるリーダーの役割は、患者さんが安全・安心に療養生活を送れるよう、責任者としてチーム全体を取りまとめることです。患者さんやメンバーの状況を把握し、患者さんが適切な看護が受けられるようにチーム内を采配します。そのほか、医師や他部署との連携、家族への対応、メンバーのサポートもリーダーの役割です。

リーダーの業務内容

リーダーの主な業務内容は以下のとおりです。ただし、業務内容は病院・病棟によって異なるため、ここで紹介する業務は代表的なものとして参考にしてください。

リーダーの主な業務内容
業務の割り振り ● メンバーの受け持ち患者さんの決定
● 入院、検査、処置など担当の決定
医師の指示受け・報告 ● メンバーから受けた報告をまとめ医師へ報告
● 医師から指示受けした内容をメンバーへ伝達
● 食事や薬剤などの変更内容を他部署へ連絡
他部署との連携 ● ベッドコントロールが必要な場合の対応
● 入退院や転棟時の他部署との連携
● 手術や検査時の他部署との連携
ご家族への対応 ● 転棟や退院などの連絡
● 病状説明やカンファレンスの日程調整
緊急時の対応 ● 急変時の指示や対応
● クレーム対応
チームメンバーのフォロー ● 忙しいメンバーの仕事の見直しと振り分け
● インシデント発生時のフォロー
● 新人看護師のサポート
引き継ぎ ● 次の勤務帯への引き継ぎ

リーダーは、スムーズに看護ができるよう、患者さんの状況と各メンバーのスキルに合わせて全体を調整します。

そのためリーダーには、全体を見渡せる広い視野や幅広い看護の知識、判断力が必要です。また、医師や他部署との連携、メンバー看護師との連携も必要になるため、コミュニケーション能力も求められます。

リーダー業務は多岐にわたり経験や知識も必要なため、ある程度看護経験を積んだ人が任される傾向にあります。

チームナーシングのメンバーの役割

チームナーシングにおけるメンバーの役割は、受け持ちになった患者さんへの看護の提供で、立案された看護計画に沿って責任をもってケアを実施しなければなりません。また、ほかのメンバーをフォローしたり、チームメンバーと協力しながらチーム全体で患者さんを看護することも役割になります。

メンバーの業務内容

メンバーの主な業務内容は次のとおりです。なお、メンバーについても詳細な業務内容は病院・病棟によって異なります。

メンバーの主な業務内容
受け持ち患者さんの看護 ● バイタル測定や状態観察
● ケアや処置、検査および手術出し
● 急変時の対応
リーダーへの報告・連絡・相談 ● 患者さんの状態を報告
● 医師への報告事項の伝達と指示内容の確認
● 仕事の進捗状況を報告
入退院・転棟の対応 ● 入退院時の患者さんへの対応と事務処理
● 転棟時の患者さんへの対応やベッド移動
他メンバーのフォロー ● 仕事が忙しい看護師のフォロー
● 新人看護師のフォロー

メンバー業務の中心は、それぞれの受け持ち患者さんへの看護です。リーダーから割り振られた入院対応や、ほかのスタッフへのフォローも行いながら、チーム全体で協働していきます。また、リーダーへの報告・連絡・相談やチームメンバーとの協力も欠かせず、コミュニケーション能力や協調性が大切になります。

チームナーシングのメリットとデメリット

ここではチームナーシングのメリットとデメリットを解説します。

ただし、チームナーシングに限らず、ほかの看護方式にもそれぞれメリットとデメリットがあります。看護の現場では各看護方式のメリットとデメリットを考慮して、病院・病棟の特徴や看護師の状況に合わせて工夫しながら運用しているところがほとんどであるということを理解しておきましょう。

チームナーシングのメリット

チームナーシングのメリットは、以下の3つです。

一定水準の看護を提供しやすい

チームナーシングのメリットは、患者さんに一定水準の看護が提供しやすくなることです。経験やスキルの異なるチームメンバーが協働することで、看護の質を保ちながら効率よく患者さんのケアが行えます。

また、複数の看護師が患者さんに関わるため、様々な看護の視点が生まれます。看護師同士が意見を出し合うことで、看護の質の向上が期待できるでしょう。

チーム内で協力して看護ができる

チームナーシングでは協力して看護ができることも大きなメリットです。チームで協力して業務に当たるため、困ったときもほかの看護師に相談や手助けを依頼しやすく、1人の看護師に業務量や責任が集中するのを防げます。多くの看護師が患者さんと関わることで、人的ミスのリスクを低減することもできるでしょう。

また、経験が浅い人や苦手分野がある人でも、チームメンバーがいることで安心感が得られ、精神的な負担の軽減にもつながるはずです。

チーム内でスキルアップが目指せる

チームナーシングでは、チーム内で新人看護師からベテラン看護師までがスキルアップを目指せることもメリットのひとつです。経験が違う看護師でチームを組むため、お互いが学び合う機会も少なくありません。例えば、中堅看護師はベテラン看護師のサポートを受けながら新人教育を学び、その一方でベテラン看護師は指導者の育成について学ぶなど、それぞれのキャリアに応じたスキルアップが図れます。

新人看護師は、新人教育プログラムに加え、チームメンバーとして経験豊富な先輩看護師のサポートを受けることで幅広い知識が学べるでしょう。

チームナーシングのデメリット

チームナーシングにおいてデメリットとなりやすい点は、以下の2つです。

リーダーの能力に左右されやすい

チームナーシングのデメリットは、チームの動きがリーダーの能力に左右されやすいことです。仮に全体を把握する能力や判断力が乏しい人がリーダーとなった場合は、チーム全体がうまく機能しない可能性が高くなります。

とはいえ、すべてがリーダーの力量にゆだねられるわけではありません。たとえリーダーの能力に問題があったとしても、メンバーがそれぞれの役割を理解して協力し合う姿勢を大切することで、チームがうまくいくこともあります。

プライマリーに比べると寄り添った看護がしにくい

チームナーシングでは寄り添った看護がしにくいことがデメリットといえます。

プライマリーナーシングの場合は入院から退院まで一貫して同じ看護師が担当するため、患者さんの変化に気づきやすく、信頼関係も構築しやすいといえます。一方チームナーシングは、担当する看護師が変わるため、患者さん側からすると不安を感じることがあるかもしれません。そのため、患者さんの変化に細かく対応し、一定の看護を提供するには、看護師の連携が不可欠になります。

チームナーシングに関するよくある疑問

ここからはチームナーシングに関するよくある疑問を紹介します。

チームメンバーは誰がいつ決める?

チームメンバーの編成は、師長や副師長、主任などが年度初めの4月に決める場合が多いようです。看護師の退職や異動により、年度の途中にチーム編成が変わることもあります。

日々の業務のリーダーやメンバーの役割分担は、前日に決まるパターン、1週間ごとに決まるパターンなど、病院・病棟によって異なります。

夜勤もチームで看護をする?

夜勤帯は看護師の人数が少なくなるため、日勤帯のチームナーシングとは異なります。チームごとに看護師1名が夜勤帯の業務に就き、チームが受け持っているすべての患者さんを担当する場合もあれば、チームにこだわらず、病棟全体で病棟にいるすべての患者さんを看る場合もあり、形態は様々です。

チームナーシングと固定チームナーシングはどちらのほうが看護スキルが磨ける?

チームナーシングと固定チームナーシングは、それぞれ異なるメリットがあり、どちらがよりよいということはありません。

例えば、チームナーシングでは、いろいろな看護師と関わることで看護の幅が広がります。また固定チームナーシングでは、一定期間チームが固定されることで任された役割のスキルが磨けます。このようなメリットを活かせるよう、それぞれの看護方式の特徴を理解しておくとよいでしょう。

メリットを活かせるようにチームナーシングを理解しよう

チームナーシングは、リーダーやメンバーが協力してチーム全体で患者さんを受け持つ看護方式です。看護師の経験やスキルを考慮してチーム編成することで、役割分担をしながら患者さんに一定水準の看護が提供できます。また、チーム内の看護師がスキルアップしやすいという特徴もあります。チームナーシングのメリットを活かすために、その特徴と看護師の役割を理解しておきましょう。

参考

吉田由美:看護方式の採用状況に関する調査ー全国中規模以上の病院の場合ー.J-STAGE(2023年12月11日閲覧)

櫻井知賀:わが国における看護方式の変遷に関する文献検討.core(2023年12月11日閲覧)

執筆者情報

プロフィール画像

柴田 実岐子

shibata-mikiko

福岡県生まれ。大学卒業後、一般企業に勤務し、社会人から看護師免許を取得。急性期外科などで経験を積んだのち、精神科、慢性期の一般病棟、健診センターなどさまざまな職場で勤務。さらに夜勤専従・派遣・応援ナースなど、多種多様な働き方を経験した。現在は離島移住をきっかけに、へき地医療に従事しながらライターとして活動中。