看護実習の事前準備ガイド|やること・予習・持ち物・初日の動き方まで解説
最終更新日:2026/01/28
看護実習は、事前に十分な準備をすることで、安心感や深い学びが得られます。しかし一方で「何をしておけばいいの?」と不安を持っている学生が多いのも事実です。この記事では、やることリスト、予習のポイント、必要な持ち物、心構え、困ったときの対処法についてまとめて解説します。事前の準備に役立てて、自信を持って実習に臨めるようにしましょう。
目次
看護実習の事前準備が大切な理由
看護実習では、いかに充実した事前準備ができるかで、得られる学びの深さや心の余裕が左右されます。準備が不十分なまま実習に臨むと、思わぬつまずきにつながり、その後の行動にも焦りや不安が生じかねません。
実際に、先輩学生からは実習前の準備不足の後悔について以下のような声が挙がっています。
- 事前準備が不十分だったため、指導者の質問に答えられず固まってしまった
- ケアの流れを復習しておらず、スムーズに介助できなくて患者さんを待たせたしまった
- 事前に必要な知識を確認しておらず、見ておきたかったケアの見学に入れなかった
- なんとなくまとめただけの事前学習を実習に持って行ったが、要点が押さえられていなかったため役に立たなかった
このように事前準備が不足していると、やるべきことがわからず、きちんと学ぶことができなくなってしまいます。最終的には、受け持ち患者さんに迷惑をかけてしまうことがあるかもしれません。
予習や持ち物チェックをしっかりとしておけば、当日の迷いが減り、行動に余裕が生まれます。実習で得られる学びも深まり、自己成長にもつながります。つまり、実習を有意義なものにするためには、事前準備は欠かせません。ステップだといえるでしょう。
【実習前の準備リスト】全体まとめ
ここでは事前準備のまとめとして、やることリストを紹介します。事前準備の全体像を把握し、何をいつまでやるべきか整理しておきましょう。
看護実習 事前準備リスト
- 実習スケジュールの確認
- 実習目的の確認と目標設定
- 記録様式や提出物の確認
- 病院・病棟情報の確認
- 事前学習
- 持ち物の準備
- 身だしなみチェック
まずは、実習スケジュールを確認し、何をいつまでに準備すべきかを明確にしましょう。スケジュールは実習全体、1週間、1日のそれぞれについて流れを把握しておくと、当日の行動をイメージしやすくなります。
また、実習目的をシラバスなどで確認し、事前に実習の目標を設定しておくことで、その実習で学ぶべきことが把握しやすくなります。
記録の様式や病棟の特徴についても、早めに確認しておきましょう。記録様式を知っていれば実習当日のメモが取りやすくなり、病棟の特徴や役割がわかれば実習中に迷ったときのヒントにもなります。
さらに、持ち物や身だしなみを整えることも、第一印象を左右するポイントになるので、事前準備としては欠かせません。
実習スケジュールや目標の立て方は、以下の記事で詳しく解説しています。参考にしてください。
事前学習編:知っておきたい予習ポイント
実習前の事前学習は、安心して現場に臨むための土台となります。学校から指示されている事前学習がある場合、実習のために最低限知っておかなければならない内容であることが多いため、必ず早めに取り組みましょう。
ただし、その課題だけでは不十分なケースもあります。実習で必要な知識は領域ごとに異なるため、自分の実習先についてポイントを押さえて学習を進めておきましょう。
ここでは、実習前にまとめておきたい予習リストと、効率よく予習するためのコツを紹介します。
【予習リスト】整理しておきたい項目
- 実習領域の特徴(発達段階の特徴やコミュニケーションのポイントなど)
- 実習で求められる役割(観察中心なのか、技術の実施があるのかなど)
- 実習を行う領域や病院、病棟で多い疾患の基礎知識(病態生理、症状、治療法、看護)
- 実習先でよく実施される検査や処置の概要
- 基本的な看護技術の流れとポイント(清拭、バイタルサイン測定など)
- 実習先の診療科でよく使われるスケールや指標
これらを事前に整理しておくことで、実習中に必要な知識をすぐに活用できるだけでなく、患者さんの状態を理解するためにも役立ちます。
また、実習中の行動がイメージしやすくなったり、記録を書くための情報収集がスムーズになったりするメリットもあります。
効率よく予習するコツ
実習が続くなか、限られた時間で学習を進めるためには、ポイントを押さえて取り組むことが大切です。ここでは、効率よく予習するコツを紹介します。
基本的な内容は早めに整理する
どの領域の実習でも共通して必要となる基礎的な知識・技術は、実習前の時間に余裕のあるときに整理しておくと、実習中の負担が減ります。低学年のときや、領域実習がはじまる前までに学習しておくと、より安心です。
早めに学習しておくと役立つ基礎的な知識・技術は以下のとおりです。
| バイタル測定 |
・ 測定方法 ・ 基準値 |
| フィジカルアセスメント |
・問診、視診、触診、打診、聴診の基本手技 ・観察の視点とアセスメントのポイント |
| 保清ケア |
・入浴介助、洗髪、清拭、足浴、手浴、陰部洗浄、口腔ケア ・ADLにあわせたケアのポイント |
| 排泄ケア |
・便器、尿器の使い方 ・オムツ交換の基本手技 |
| 寝衣交換 |
・パジャマタイプ、浴衣タイプの基本手技 ・麻痺のある患者さん、輸液中の患者さんのケアの流れ |
| 移乗・移送 |
・車椅子、ストレッチャーへの移乗・移送の基本手技 ・ADLにあわせたケアのポイント |
| 食事介助 |
・食事介助の基本手技 ・経管栄養の基本手技 |
| 環境整備 |
・療養の基本環境 ・ベッドメイキング |
| 血液検査 | ・一般的な項目の概要と基準値 |
| 代表的な疾患 | ・糖尿病や高血圧など、罹患者が多い疾患の病態生理 |
必要な予習を明確にして取り組む
実習領域や病棟、診療科によって求められる知識や看護は異なります。まずはその領域や診療科で多い疾患、観察の視点、必要な看護などを把握することが大切です。また、必要な知識に対して、自分は何がわかっていないのかも明確にしておきましょう。
せっかく調べても、実習で使わなかったり、役に立たなかったりする場合もあるので、やみくもに取り組むのは控えましょう。今回の実習で押さえるべき点を明確にし、内容を絞ることが効率的に予習を進めるカギです。
同級生や先輩のアドバイスをもらう
実際に看護実習を終えた先輩や、自分よりも先にその実習が終わっている同級生など、経験者からの情報やアドバイスは重要です。どのような患者さんが多かったか、必要なケアや記録でつまずきやすいポイントは何かなどを聞き、学習を進める際の参考にしましょう。
学習内容を“活用できるかたち”で整理する
事前に学習したことは、ノートにまとめて終わりではなく、実習中に活用しやすいかたちにまとめることに意味があります。必要なときにすぐに確認しやすいよう、以下のような工夫をして整理しておきましょう。
- インデックスで分類し、すぐ開けるようにする
- マーカーで観察ポイントや重要部分を強調する
※マーカーの色を疾患やケアなどグループごとに色分けしておくのもおすすめ! - 図や箇条書きで見やすくまとめる
- ポケットに入るミニサイズのメモにまとめておく
ポイントは「見返しやすい=使いやすい」状態にしておくことです。バイタルサインやケアの手順など、病棟内や患者さんの前で確認するかもしれない項目は、ポケットサイズのメモにまとめておく、疾患の病態整理など実習控室や自宅で確認することが多い項目は教科書に付箋を貼っておくなど、見返すシチュエーションも意識してまとめておくと使いやすいでしょう。
持ち物準備編:実習に必要&便利アイテム
ここでは、看護実習に必要な持ち物リストと、あると便利なアイテムを紹介します。
看護実習の持ち物チェックリスト
- メモ帳(ポケットサイズでなるべく大きめ)
- 筆記用具(シャープペン、三色ボールペン、消しゴム、定規など)
- ナースウォッチ(秒針付き)
- 聴診器
- 名札、学生証
- 白衣、ナースシューズ
- 参考書
- お弁当、飲み物
こちらは多くの実習先で必須とされる基本アイテムです。安全性に配慮し、メモ帳やナースウォッチはストラップが付けられるものがおすすめです。
実習先によっては、聴診器を貸し出してくれるところもありますが、使い慣れた自分の聴診器があると安心です。忘れてはいけない持ち物のチェックは前日に行うことを習慣化しておきましょう。
あると便利な物
- メモテンプレート(観察項目や記録のひな形をまとめたもの)
- ポケット早見表(スケール、基準値、略語など)
- ヘアピン、ヘアゴム
- 予備の靴下、マスク
- ハンドクリーム、リップクリーム(無香料)
- 爪切り(携帯用)
- 小さめのポーチ
メモのテンプレートがあると観察や情報収集がスムーズになり、記録時間の短縮につながります。ヘアピンや予備の靴下、爪切りなどは万が一に備えて準備しておくと安心です。
また、病棟は乾燥しやすく、さらに実習中は何度も手洗いするため、先輩から保湿アイテムは必需品であるとの声も多くありました。そのほかにも、実習中は意外に荷物が増えがちなので、小さめのポーチでカバンやポケットの中身を整理しておくと、必要な物がすぐに取り出せるのでおすすめです。
心構え・マナー編:実習前に意識しておきたいこと
ここでは、実習の心構えやマナーを解説します。看護実習は、学生の学びの場であると同時に、患者さんに関わらせていただく時間でもあるため、学ぶ姿勢や周囲への十分な配慮が必要です。実習中は、特に次の3つのポイントを意識して行動しましょう。
立ち居振る舞い・清潔感のある身だしなみ
第一印象はその後の人間関係に影響を与えます。患者さんや指導者、ほかの医療スタッフに不安や不快な印象を与えないよう、身だしなみを整え、丁寧な立ち振る舞いをすることが大切です。常に清潔感のある身だしなみを心がけ、適切な言葉遣い、声のトーン、節度ある態度を意識しましょう。
実習中のマナーや身だしなみは、次の記事で詳しく解説しています。実習前に確認しておきましょう。
挨拶と報連相
挨拶は信頼関係を築くための第一歩です。患者さんはもちろん、病院スタッフにも自分から積極的に挨拶するよう心がけましょう。
また、実習中に欠かせないのが、「報告・連絡・相談(報連相)」です。わからないことや判断に迷う場面で早めに相談ができると、ミスやトラブルの防止、患者さんの安全確保につながります。さらに、こまめに報告することで、指導者から適切な助言やフィードバックを受けやすくなり、学びも深まりやすくなるでしょう。
以下のポイントを意識して、報連相を徹底しましょう。
報連相のポイント
- 迷ったら自己判断せず、早めに相談する
- 目的(報告・連絡・相談のどれなのか)と内容を簡潔に伝える
- 事実と自分の考えを分けて伝える
- タイミングを意識し、相手の業務を妨げないよう配慮する
- マイナスな情報ほど迅速に伝える
- 指示を受けた内容は、その場で復唱・メモして確認する
体調管理
実習中は忙しさや環境の変化から、体調を崩しやすくなります。睡眠不足や疲労の蓄積は、集中力の低下やミスにもつながるため、注意が必要です。実習前はできる限り睡眠時間を確保し、食事を抜かない、感染症の予防に心がけるなど、体調管理を意識しましょう。体調が悪いときは、早めに学校や実習先へ相談するようにします。特に感染症に罹患した場合は、実習先のスタッフや患者さんへ影響を考慮し、自己判断さずに指示を仰ぎましょう。
また、緊張や忙しさから、精神的ストレスを感じることも少なくありません。モチベーション保持やストレスへの対処法を身につけておきましょう。
こんなときはどうする?実習中に役立つQ&A
ここからは、学生が実習中に陥りやすいケースをもとに役立つQ&Aを紹介します。
実習の緊張や不安にどう向き合えばよい?
実習中に緊張や不安を感じることは当たり前で、最初から完璧にできる学生は存在しません。できないことに落ち込み過ぎずに、前向きに取り組みましょう。
また、評価されることばかりに意識が向くと、必要以上に緊張してしまいます。実習の中心はあくまで患者さんです。患者さんにとって安全・安心な関わりができているかを意識すると、行動にも集中しやすくなりますよ。
実習当日に事前学習が不足していたら?
事前学習が足りていないことに気づいたときは、ごまかさないことが大切です。わからないままで行動すると、患者さんへの安全配慮が十分にできなくなる可能性があります。
まずは、「何がわかっていないのか」「どこが不安なのか」を整理しましょう。そのうえで、実習中にできる範囲で情報収集や復習を行い、必要に応じて指導者に相談してみてください。そして、同じ状況を繰り返さないために、不十分だったところを振り返り、次につなげることが何より大切です。
指導者や先生に質問や相談するときの適切な方法とタイミングは?
質問や相談は、まずは自分でも考え、整理してから伝えることがポイントです。調べたことや自分の考えをまとめ、「ここまでは理解できましたが、○○がわかりません」と伝えると、質問・相談の内容を相手に理解してもらいやすくなります。
また、指導者や病院スタッフに質問するときはタイミングに注意します。ケアの合間や記録入力の手が止まっているときなど、相手の業務状況を見計らい、「今、お時間よろしいでしょうか」と一言添えて質問しましょう。
記録が終わらないときはどうする?対処法は?
記録が終わらないときは、情報が足りていないか、その場でメモが取れていないことが原因かもしれません。情報不足にならないよう、実習中は記録を念頭においた情報収集を意識し、主観・客観・アセスメントにつながる内容をメモしておくことが大切です。
また、時間が経つにつれて記憶は薄れてしまうため、その場でできる限り書き取り、帰宅後にブラッシュアップするようにしましょう。移動中や待ち時間などのスキマ時間を活用し、メモの整理や下書きを進めておくと、帰宅後の記録が格段楽になりますよ。
事前準備が「安心して実習に臨む」土台になる!
看護実習を充実した学びの時間にするためには、事前準備が欠かせません。準備を整えておくことで、不安を減らし、落ち着いて患者さんや看護に向き合えるようになります。その結果、実習での気づきや学びを深めることができます。最初からすべてがうまくいく人はいません。できることからひとつずつ準備を進め、実習に臨むようにしましょう。
