看護学生の悩み・ストレスの実態調査│解決するための対処方法を解説
最終更新日:2024/08/08
日々忙しい看護学生は、どのような悩みを持ち、何にストレスを感じているのでしょうか?ナース専科では悩みやストレスを感じていることについて看護学生269人にアンケートを実施。看護学生の悩みやストレスの実態と解決方法を紹介します。
看護学生の悩みとストレス
悩みやストレスの原因となる出来事は日常生活にあふれています。ナース専科が看護学生を対象におこなったアンケートでは、多くの看護学生が悩みやストレスを抱えていることがわかっています。
看護学生の悩みの主な原因は、看護師国家試験の勉強や合格できるかという不安、臨床に出た際に看護師としてやっていけるのかという将来についてです。またストレスの主な原因は、人間関係や日々の学習や課題・記録、看護実習など多岐に渡ります。
看護学生生活を乗り切るためには、自分のストレス状態に気づき、自分に合ったストレス対処法を見つけることが重要です。今回は看護学生の悩みやストレスの実態と、対処法について解説します。
看護学生の悩みとストレスの実態
ナース専科が看護学生を対象におこなったアンケートでは、看護学生がどのようなことに悩んでいるか聞きました。その一部を紹介します。
- 「課題だけでなく予習や復習をしないと授業についていけません。看護学生になってから、自由時間が少なく常にあれをやらなきゃと追われていることがストレスです」
- 「看護学生になってから、周りの人から看護師は将来安定している期待されたり、学生でも病気や治療など何でも知っていると思われたりしています。とてもプレッシャーになっていてつらいです」
- 「看護実習で患者さんとうまくコミュニケーションがとれないことが悩みです。頑張って勉強して看護計画を立案しても、ほめられず指摘されてばかりでストレスに感じます」
- 「国家試験に落ちてしまったらどうしようと悩みます。ほかの学生と比べてしまうのもストレスです」
みなさんも同じような悩み・ストレスに心当たりはありませんか?次からは、看護学生の悩み・ストレスの要因に着目して分析していきます。
データから分析する看護学生の悩み・ストレスの要因
看護学生を対象にナース専科がおこなった、悩み・ストレスにつながるつらいと感じることに関するアンケートでは、以下のような結果が得られました。
※ナース専科調べ(2022年7月29日/有効回答数:269)
アンケート結果からは、約8割以上が看護学生の生活がつらいと感じていることがわかりました。
実際に看護学生はどのようなことをつらいと感じているのでしょうか。アンケート項目の上位5位をまとめました。
※ナース専科調べ(2022年7月21日-7月29日/有効回答数:230)
前述の研究と同様に、看護実習や定期試験・国家試験など学習面でつらさを感じている看護学生が多いことがわかります。特に看護実習は9割近い看護学生がつらいと感じていて、悩みやストレスの原因になっているのです。
ストレスを感じやすい人の特徴
ストレスを感じやすい人は2つのタイプにわけられます。
せっかちタイプ
- 競争心が強い
- 短気な性格
- 些細なことでイライラしやすい
- 自分のペースで効率よくこなしたい
- わがまま
- 完璧主義
せっかちタイプの人は自分のペースで物事が運ばなかったり、上手くできなかったりするとストレスを感じます。また「きちんとしなければ」「期日までに終わらせなければ」と、常に緊張していて焦りや不安を抱えやすく、知らず知らずのうちにストレスを感じてしまうのもせっかちタイプの人の特徴です。
いい人タイプ
- 気配りができる
- 周囲と良好な関係を築ける
- 真面目
- 几帳面
- 我慢強い
- 不満や愚痴を言わない
いい人タイプは、自分の感情を表に出すことが苦手です。無意識のうちに本音や怒り、不安を抱え我慢してしまうため、知らず知らずのうちにストレスを貯めこんでしまいます。本人だけでなく周囲もストレスを感じていることに気づきにくく、心身のバランスを崩しやすい傾向があるため注意が必要です。
ストレス・悩みに起因する体調不良のサインを見逃さない
ストレスや悩みが原因で体調を崩してしまう場合があります。その前兆をストレスサインといい、頑張りすぎている人ほどストレスサインを見逃しやすいといわれています。適度に悩んだり、ストレスを感じても看護学生としての生活を乗り切ることは、自身の成長の糧となりますが、無理をしすぎては意味がありません。
次に挙げる心や身体のサインに気づいたら、まずは休息を取りましょう。もしも複数の症状に悩まされる、症状が長く続く場合は医療機関で相談してください。
心のサイン
- 気分が落ち込む
- 漠然とした不安がある
- 些細なことでイライラする
- 涙もろくなる
- やる気がなくなる
- 人と会うのが面倒に感じる
- そわそわする
- 息苦しさを感じる
身体のサイン
- 食欲が無い、または食べ過ぎてしまう
- めまいや耳鳴りがする
- 眠れない
- 頭痛や肩こり、腰痛がある
- 下痢や便秘を繰り返す
- 胸がドキドキする
看護学生のストレス対処法
看護学生がストレスに上手に対処する方法を紹介します。
ストレスコーピングの考え方
ストレスコーピングとはストレスの原因に対して、上手に対処しようとする行動です。慢性的で過大なストレスで心身が影響を受けないように、代表的なストレスコーピングの方法を2つ紹介します。
問題焦点コーピング
ストレスの原因に直接働きかけて、それ自体を変化させてストレスに対処する方法です。具体的には以下の方法です。
ストレスの原因:看護実習のメンバーが、自分に対して冷たい態度を取り無視をする。
対処法:なぜそのような行動を取るのか本人に理由を聞き、行動の改善を求める。
ストレス解消法
心や身体から体調不良のサインを感じたら、ストレスコーピング以外にもできる具体的なストレス解消方法があります。
- ストレスの原因と距離をおく
- 考えるのをやめる
- 質の良い睡眠をとる
- 美味しいものを食べる
- 誰かと本音で話す
- 専門家に相談する
ストレスの原因と接している限り、知らず知らずのうち心身に影響を及ぼしています。ストレスの原因と物理的な距離を置き、心身を休めるようにしましょう。
ストレスの原因と物理的な距離を置いても、考えてしまっていると心身は休まりません。
特に夜中はマイナス思考になりがちです。しかし、考えるのをやめようとするとそのことばかり頭に浮かんでしまうもの。全く別のことを考えたり散歩したり、好きなことをして気を紛らわせましょう。
深く眠ったノンレム睡眠の時間が長いほど、心身を回復させる成長ホルモンが多く分泌されます。成長ホルモンが多く分泌されると自律神経の働きが整いやすくなるため、質の良い睡眠がとれます。質の良い睡眠をとるためには寝る直前までスマホを触るのは控えてください。そのほかにも部屋を適度に温めたり、肌触りのよいリネンを使ったり、アロマを炊くなどもよいといわれています。ぜひ、試してみてください。
甘いものや美味しいものを食べると、脳に糖分や脂肪分が行きわたり、快楽物質が分泌されストレスの軽減につながります。しかし、食べることだけでストレスを発散していると、過食症などの摂食障害に至るリスクもあるので、注意しましょう。
ストレスに感じている原因を誰かに話すことで、悩みが整理されストレスの軽減につながります。一人で抱え込まずに、友人や家族など、誰かに話してみるのもおすすめです。
ストレスを感じていても誰にも相談できなかったり、どうすればいいのかわからなかったりする状況もあるでしょう。そのような場合は学校の相談窓口や、心療内科、国や地域のこころの相談窓口を利用してください。
なお、国や地域のこころの相談窓口は無料で利用でき、守秘義務も守られます。チャットやメッセージで相談できるところも増えていますので、専門家に相談してみましょう。
-
厚生労働省 電話相談窓口
-
厚生労働省 SNS相談
-
こころの健康相談統一ダイヤル
解決方法を身につけて看護学生生活を乗り切る
日々の課題や看護学実習を乗り越えても、看護師国家試験の勉強や合格へのプレッシャーに看護師としての責任感の重さなど悩みやストレスの原因は尽きません。しかし、悩みやストレスをゼロにすることは難しいのが現実です。自分がどのようなときにストレスを感じ、どんなことに不安や悩みを感じるのかを理解し、悩みやストレスとうまく付き合っていけるようにしましょう。