看護学生がキャリアプランを描く方法は?多様化する看護師の働き方を紹介

看護学生がキャリアプランを描く方法は?多様化する看護師の働き方を紹介

最終更新日:2023/09/05

看護師の働き方が多様になり、キャリアの選択肢も増えてきました。しかし、どのようにキャリアプランを描けば自分の理想の働き方に近づけられるのか、わからない人もいるでしょう。そこで今回は看護学生のキャリアプランに対する考え方と具体的なプランニング方法を解説し、働き方の具体例を紹介します。

キャリアプランとは

キャリアプランとは、これからの人生でどのような仕事をしたいか、どのように働きたいかなど“自身の理想とする働き方”や “看護師としての目標”を実現させるための具体的な行動計画です。充実した職業人生を送るためには欠かせないものといえるでしょう。

看護学生時からキャリアプランを考えるべき理由

看護学生のうちからキャリアプランを考えることには大きなメリットがあります。以下に理由を説明していきます。

理由1:目標とする看護師像に近づける

看護学生のうちからキャリアプランを考えることは、就職先を選ぶ際に有効です。例えば、将来的には認定看護師になって働くのが目標なのであれば、資格を取得した先輩がいる病院や、資格取得のサポート制度が整っている病院を選ぶことで、希望のキャリアに近づけるようになります。看護師として目標設定をすることでやるべきことが明確になるのです。

理由2:勉強や仕事のモチベーションが向上する

目標とする看護師像が明確になると、そのために身につけたい知識や技術もはっきりとします。「なぜこの勉強が必要なのか」「なぜこの仕事に取り組むのか」という理由づけにもなり、勉強や仕事にモチベーション高く取り組めます。

理由3:就活・転職の面接や履歴書で必要

就職・転職活動では面接や履歴書など、多くの場面で自身のキャリアプランの説明が求められます。病院は就職・転職希望者のキャリアプランを知ることで、病院が求める人材とマッチするかをチェックできるからです。あらかじめ考えておけば、就職試験の本番で慌てることはなくなるでしょう。

どのように働きたい?看護師の12のキャリア例

看護師のキャリアは多様化し、病院以外で働く人も多くなっています。キャリアプランを描くために、まずはどのようなキャリア例があるのかを見てみましょう。

病院で働く看護師のキャリア例

病院で働く看護師のキァリアは主に、「ジェネラリスト」「スペシャリスト」「マネジメント」の3つに分けられます。

例1:ジェネラリスト

ジェネラリストとは、領域に関わらず豊富な知識・経験・技術に基づいて、幅広い看護を提供できる看護師のことです。医療・介護の適切な提供方法や時期を見極めたり「患者−家族−医療従事者」間の調整役を担ったりします。
ジェネラリストになるためには、決められた方法や資格はありません。職場の理念・目的や自身の現在の状況から必要な能力を見極め、自己研鑽します。

例2:スペシャリスト

スペシャリストとは、特定の領域で、より専門的で高度な知識と技術を身につけた看護師のことです。認定看護師や専門看護師や特定看護師などが該当し、ひとつの病棟に所属せず病院内を横断的に活躍したり、チーム医療推進のための調整役に徹したりします。
特定看護師とは、特定行為に係る看護師の研修制度に指定された研修を受けた看護師のことです。「中心静脈カテーテルの抜去」などの38特定行為のうち、研修を受けたものについては、あらかじめ医師の包括的な指示があれば自身の判断で医療行為を実施できます。また、現場の課題を解決するための研究活動や、スタッフ教育を担うこともあります。
専門看護師や認定看護師になるには資格が必要で、5年以上の実務経験(うち3年以上は専門分野)を経て、専門看護師は大学院で修士課程を修了、認定看護師は6ヶ月間の研修修了ののちに、審査に合格することで資格が取得できます。特定看護師は「特定行為研修」を修める必要があります。

例3:マネジメント

マネジメントとは看護管理者を示します。病院や病棟などの自身が所属する組織の課題を明らかにし、さまざまな人や部署に働きかけて組織全体のサービス提供体制の向上に貢献する役割を担います。病院や介護施設などの師長・部長や訪問看護ステーションの所長などがあてはまります。
看護管理者になるために決まった方法はありませんが、日本看護協会には「認定看護管理者」の資格も用意されています。「認定看護管理者」は看護師として5年以上の実務経験の後、看護協会が定めるプログラムの受講または大学院で看護管理に関する単位を取得し修士課程を終了することで、受験資格が得られます。

病院以外で働く看護師のキャリア例

病院以外で働く看護師は種類が多く、働く場所や求められる役割も多様です。以下に解説していきます。

例4:診療所の看護師

診療所やクリニックで勤務する看護師で医師の診察の補助が業務の中心です。病院では看護師のなかでも役割分担がありましたが、基本的に診療所では役割を分担せず、場合によっては電話対応や事務作業を担うこともあります。勤務時間が調整しやすく、働きながら子育てや介護をしている人が多い傾向にあります。

例5:訪問看護師

在宅で療養生活を送る人の自宅に訪問し、病状観察や医療的ケアを行う看護師です。夜勤はありませんが、当番制でオンコール対応が求められることがあります。病院での実務経験を求める事業所もありますが、最近では新卒で訪問看護ステーションに就職する人も増えてきました。

例6:介護施設の看護師

老人ホームや介護福祉施設などの介護施設で、入居者・利用者の病状観察や医療的ケアを行う看護師です。病院に比べて医療的ケアが少ないのが特徴ですが、医師のいない施設もあるため、急変時には応急処置や医療的判断が求められます。夜勤のない勤務形態もあります。

例7:産業看護師

企業看護師とも呼ばれる看護師です。予防医療の観点から社員の健康管理や働き方改革を推進します。健康診断の企画や健康指導やメンタルヘルスケアのカウンセリングなどを担います。必要な資格などはありません。

例8:派遣看護師

派遣会社に登録し、条件の合う医療・介護施設などを紹介してもらって働く看護師です。時間の融通が効くため、子育て・介護や進学などで勤務可能時間の限られる人が活用できる制度です。正社員などに雇用を切り替えることを前提とした派遣を利用すれば、あらかじめ自分にあった職場かどうかの確認もできます。

例9:国際看護師

国際看護師は海外で活躍する看護師です。国際NGOや独立行政法人国際協力機構(JICA)などを利用して、発展途上国や紛争地や災害地などで医療・看護を提供します。求められる実務経験等はプログラムによって異なります。

例10:看護教員

大学や専門学校などで、看護師を目指す学生を教育する看護師です。看護の実践能力だけでなく、理論や根拠に基づいて、看護学を体系的に教える力が求められます。教員になるためには看護教員養成講習会を受講するか、5年以上の実務経験後に約1年間の研修・講習を受ける必要があります。

例11:研究者

大学や病院付属の研究所や企業などで、研究者として働く道もあります。少なくとも修士課程の終了が求められることがほとんどです。採用枠が少なく、自身が希望する研究が続けられるとも限りませんが、新しい知見に触れることができます。

例12:ケアマネジャー(介護支援専門員)

要介護者や要支援者の相談に応じて、適切な介護保険サービスが利用できるようにケアプランを作成し、市区町村や各介護保険サービス事業者などとの調整を行う役割を担います。「介護支援専門員実務研修受講試験」に合格後、介護支援専門員実務研修を修了し、各都道府県の介護支援専門員資格登録簿への登録を必要とする資格です。この資格を受験するためにはいくつか条件があり、看護師資格保有者は受験資格があるためキャリアのひとつとしてここでも紹介しました。

看護学生がキャリアプランを描くための自己分析方法

キャリアプランをどう作成するのか、考え方はさまざまですが「自分はなぜ看護師を志したのか」「看護師として何がしたいのか」と自己分析して把握することが必要です。

自身の想いや看護師を志したきっかけを振り返る

看護師を志したきっかけは何かを振り返ってみましょう。家族の闘病や医療ドラマなど、人それぞれエピソードがあるはずです。さらに、そのときに出会った看護師のどのような姿に憧れたのかなどをより深掘りすると、自身の目指したい看護師像が具体的に見えてくるでしょう。

先輩の話を聞く

身の回りにいる先輩の話を聞き、さまざまなキャリアのリアルを教えてもらうのもよいでしょう。働きがいを感じる点や、業務の詳細な実態、職場環境や給与などの実際に働かなければ見えづらい部分まで聞けるので、キャリアプランを考える参考になります。

適職診断を活用する

適職診断は複数の質問に答えることで、自分の特徴や向いている診療所を知ることができます。自己分析を深堀するきっかけにもなるので、キャリアプランの作成に迷ったときは、ぜひ活用してみましょう。


参考:ナース専科就職ナビ「看護学生の適職診断テスト」

病院説明会・見学・インターンに参加する

説明会・見学・インターンシップなどに参加すれば、実際に看護を提供する場面を見たり体験したりできます。医療機関や病棟によってさまざまな看護が提供されているので、どのような看護があるのか、自身がどのような看護を実践していきたいのかを確認できるでしょう。

病院説明会やインターンシップを実施している病院は以下から探すことができます。ぜひ活用してみてください。

参考:ナース専科就職ナビ

キャリアプラン実現のために看護学生がすべき3ステップ

希望するキャリアプランが見えたら、実現のために行動しましょう。具体的には何をすれば良いのか、順を追って紹介していきます。

ステップ1:情報を収集する

希望するキャリアをかなえるために何が必要なのか、情報を収集しましょう。たとえばスペシャリストとして働きたいといったキャリアプランであれば、資格取得が必要なのか、どのように取得するのか、どのような職場環境が望ましいのか、近隣に条件を満たす職場があるのかなどを確認しましょう。

ステップ2:プランを立ててスケジューリングする

資格取得や進学が必要な場合はお金と時間がかかります。仕事を中断するのであれば、その間の生活費も考えなければなりません。早めに計画を立てることで、実現の可能性が高まるでしょう。

ステップ3:目標を達成するために必要な資格やスキルを取得する

目標達成のために必要なスキルを身につける、または資格を取得しましょう。

資格を取得する

専門看護師や認定看護師の資格だけでなく、学会などが主催する民間資格を取得するのもよいでしょう。

進学する

専門看護師や研究者のように、大学院への進学が条件となるキャリアもあります。進学にはお金と時間がかかるので、計画的に準備をしましょう。

講座を受講する

看護師向けの就活講座は多岐に渡ります。単発のものや複数回受講するものなど、自身のスケジュールや予算に合ったものを選びましょう。

看護学生の就活事情を熟知するナース専科就職ナビでは、無料で参加できる看護学生のための就活支援講座を開催しています。ぜひ参加してみてください。

必要なスキルを身につける

キャリアプラン実現に必要なスキルのなかには、日頃の業務の中で身につけられるものもあります。そうした業務には積極的に携われるよう、上司や同僚に働きかけても良いでしょう。ポートフォリオの作成やE-ラーニングを利用すれば、セミナーなどに参加しなくても自己学習が可能です。

なりたい看護師になるために、早めのキャリアプラン作成を

昨今、看護師の働き方はますます多様化し、描けるキャリアプランが多くなりました。看護学生などの早いうちからキャリアプランを考えることで、希望のキャリアをかなえやすくなるはずです。なりたい看護師として目指す働き方をかなえるためにも、キャリアプランを作成しましょう。

引用/参考

日本看護協会:専門看護師

日本看護協会:認定看護師

日本看護協会:認定看護管理者ってどんな看護師?

日本看護協会:特定行為研修

執筆者情報

プロフィール画像

矢込 香織

yagome-kaori

看護師。慶應義塾大学看護医療学部卒業。看護師として大学病院の小児科病棟やNICUで勤務。その後、メディカル系情報配信会社にて執筆・編集に携わる。現在は産婦人科クリニックで看護師として勤務をするかたわら、プレコンセプションケアの普及啓発やライターとしても活動している。 専門分野はプレコンセプションケア、小児看護、婦人科・産婦人科看護。 https://kaoriyagome.site/