看護師になってよかったことは?先輩看護師の9割が実感した理由を紹介

看護師になってよかったことは?先輩看護師の9割が実感した理由を紹介

最終更新日:2023/12/14

看護学生は、日々の忙しさから目標を見失ったり将来の不安が増したりすることもあるでしょう。この記事では、先輩看護師の皆さんに「看護師になってよかったこと」を聞き取り調査した結果から、看護師の魅力を紹介します。自分がなぜ看護師を目指しているのか、その理由を振り返るきっかけにもなるのでぜひご覧ください。

「看護師になってよかった」と感じる人は9割

看護師になってよかったと感じた瞬間はありますか?

上のグラフは、現役看護師に「看護師になってよかったと感じた瞬間はありますか?」と質問したときの回答を割合で示したものです。この結果から、9割以上が「看護師になってよかった」と感じたことがあることがわかります。

看護師は忙しくて大変な仕事だというイメージをもつ人もいると思いますが、実際働いている先輩看護師は、様々な理由から看護師として働くメリットを感じているようです。

では、どんなときに「看護師になってよかった」と感じるのか、以下で詳しく紹介します。

「看護師になってよかった」と感じた瞬間とは

先輩たちは、仕事でやりがいを得たときや日常生活でメリットを感じたときなど、様々なタイミングで「看護師になってよかった」と感じていることがわかりました。そのなかでも特に多かった回答をいくつか紹介します。

患者さんによい変化がみられたとき

「看護師になってよかった」と感じた瞬間として多かった回答は、患者さんによい変化がみられたときでした。

病気やケガで入院した患者さんが笑顔で退院したときやつらい症状が緩和されたとき、あるいは食欲不振の患者さんの食事量が増えたときなど、たとえ小さな変化であっても、自分の行った看護ケアが関わっていると思うと、看護師として多くのやりがいが得られるようです。

感謝の言葉をもらったとき

看護師は、患者さんや家族から感謝の言葉をかけていただくことが少なくありません。この瞬間は特に看護師としての喜びにつながるようです。また、退院後に受け取った手紙から「看護師になってよかった」と感じたエピソードもありました。

何気ない言葉であっても、患者さんや家族からの感謝や評価は、看護師として働くなかでずっと心に残り続けるでしょう。

日常生活で看護知識を活かせたとき

看護師には日常生活においてもスキルを活かせる場面があり、家族の体調不良などの際に素早く対応できたときに「看護師になってよかった」と感じる人は多いようです。

また、急変対応に慣れている看護師なら、道端で体調を崩した人にも経験を活かした対応が可能です。看護師としての知識や経験が業務外でも役立てられると、やりがいだけでなく看護師としての自信にもつながるでしょう。

安定した収入が得られること

国家資格保持者である看護師は、安定した収入が得られる職種です。2022年度の看護師の平均年収と全国の民間給与所得者の平均年収と比べると、以下の違いがありました。

*1:月収351,600円×12ヶ月+ボーナス862,100円(月収は基本給に夜勤手当や住宅手当などを足した月単位の賃金)

引用:厚生労働省:令和4年賃金構造基本統計調査
  :国税庁:令和4年分 民間給与実態統計調査

看護師 全国の民間給与所得者
平均年収 508万1,300円*1 458万円

経験年数や勤務場所によっても違いはありますが、看護師の収入は、全国の平均年収と比べても高い傾向にあります。専門職として社会的な需要が高く、経済面でも安定している職業であるという点で「看護師になってよかった」と感じる人も多くいます。

復職・転職がしやすいこと

専門職である看護師は社会的な需要が高いため、比較的復職や転職がしやすい職種といえます。また、時短勤務やアルバイトなど多様な働き方も選べます。

ライフスタイルに合わせて復職や転職がしやすく、結婚や出産などライフステージの変化にも比較的柔軟に対応できることで、看護師としてのメリットを感じている人も多いようです。

職場別の「看護師になってよかったこと」

「看護師になってよかった」と感じる瞬間は、職場によっても異なります。ここからは、職場別のやりがいを紹介していきます。

病棟|患者さんの元気な姿を間近でみられる

病棟看護師は、入院当初から退院まで患者さんの回復過程を間近でみられるため、そのなかでやりがいを感じる場面が多くあります。実際に病棟で働く先輩は「看護師になってよかった瞬間」について以下のように回答しました。

関わっている患者さんが悪い状態からどんどん回復していく姿をみているときや、感謝してもらえたときに、看護師としてのやりがいを感じました

自分がケアを通して関わったことで、つらい症状であった患者さんの状態が緩和され笑顔が戻ると「やってよかった」と感じられるといいます。病棟看護師の仕事内容ややりがいについては、以下の記事も参考にしてみてください。

外来|観察力と判断力で医師の診療をサポートできる

外来看護師には、短い時間のなかで異変を察知し、医師をサポートすることにやりがいを感じる人が多くいます。そのため、つらい症状で来院した患者さんが1回の治療で軽快したり、退院後の通院で患者さんが少しずつ回復していく過程がみられると「看護師になってよかった」という実感が得られるようです。

外来看護師の仕事内容ややりがいについては、以下の記事でも紹介しています。ぜひチェックしてみてください。

手術室|チームで達成感を得られる

手術室看護師のやりがいは、機能回復を目標にして手術を受ける患者さんに直接貢献できることだと考える人が多いようです。実際に手術室で働く先輩看護師は「看護師になってよかった瞬間」について、以下のように答えています。

手術中患者さんがVF(心室細動)*になり、除細動器をチャージして医師にパドルを渡し、1回の除細動で助けられたとき、看護師になってよかったと感じました

*VF(心室細動):心臓が痙攣した状態。早急に蘇生しなければ心停止になる可能性が高い。

また、手術中だけでなく術後訪問や病棟看護師の話から、患者さんの回復状況を知ることも手術室看護師としてのやりがいにつながるでしょう。手術室看護師について興味のある人は、以下の記事も参考にしてみてください。

訪問看護|一人ひとりにじっくりと看護できる

訪問看護は、患者さんの状態が回復過程や終末期など多岐にわたり、個別的な対応が求められます。だからこそ、病院や施設ではできなかった介入方法も取り入れ、より患者さんの意思を汲んだ看護が可能です。一人ひとりにじっくりと向き合うことができ、「看護師になってよかった」と感じられる場面も多くあります。

訪問看護を経験した先輩は「看護師になってよかった瞬間」について、以下のように回答しました。

「あなたに来てもらうと安心する」と言われたとき、役に立てていると実感します。様々な方の人生に関わらせていただくことで、自分の人生観や死生観を深めさせてもらっています

訪問看護を通し患者さんの人生に関わっているという実感が、やりがいにつながるようです。訪問看護師の仕事について詳しく知りたい方は、以下の記事でも紹介しています。

介護施設|生活に寄り添って長期的に関われる

介護施設では、日常生活のなかでの看護介入になるため、医療行為は少なく、患者さんの想いを傾聴する時間や環境が作りやすくなります。患者さんの生活に寄り添い、長期にわたってサポートできたときが「看護師になってよかった」と感じる瞬間になるようです。

また、家族とも病院より近い距離感で関わることができ、希望が取り入れやすくなります。患者さんだけでなく、家族に寄り添い長期的な関係を築けることもやりがいにつながるでしょう。

美容クリニック|美容の悩みを解消する手助けができる

美容クリニックで働く看護師は、患者さんの外見に関するコンプレックスや悩みを解消する手助けができます。そのため、施術によって患者さんの悩みが解消され、笑顔がみられたり感謝の言葉をもらえたりすると「看護師になってよかった」と感じるようです。

また、美容に関する知識やスキルが習得でき、自分自身にも活用できます。患者さんだけでなく自分自身がきれいになる実感がもてると、自己肯定感も高まり、自信ややりがいにつながるでしょう。

保育園|子どもの成長を見守れる

子どもの成長を見守る保育園では、元気に卒園式を迎えた子どもたちをみられたときに「看護師になってよかった」と感じることが多いようです。

保育園で関わる子どもは最長で0歳から6歳までの7年間と、長い期間を共にします。その間には、感染症をはじめとする病気の対応に追われたり、突発的なケガにあやしながら処置をしたりと大変なこともあります。しかし、卒園するときに成長した姿をみられることは、大きなやりがいとなるでしょう。

看護師になることに不安を感じた時は?

看護師は様々な瞬間にやりがいが感じられる職業です。しかし、看護師を目指している過程で不安を感じる人も少なくないはずです。ここからは、看護師を目指す人が不安になったときに試してほしいことを紹介します。

看護師を目指した理由を思い出す

看護師になるという目標を見失いそうになったときには、看護師になろうとしたきっかけを思い出してみてください。初心に帰ることで、当時の気持ちを思い出し、モチベーションが保てるようになるでしょう。漠然とした不安を感じたときにも、一度立ち止まり、自分自身と向き合う時間を作ってみましょう。

定期的にリフレッシュする時間を作る

看護師になることに不安を感じるときは心に余裕がない状態かもしれません。意識してリフレッシュする時間を作りましょう。特に、看護学生は実習や勉強で忙しく、常に心に余裕を持つことは難しいはずです。忙しいなかでも定期的に息抜きをして、肩の力が抜ける時間をもつように心がけましょう。

身近な人に相談する

不安を感じたり、どうしてよいかわからなくなったときは、一人で抱え込まず、身近な人に相談するのもひとつの手です。自分以外の誰かに不安な気持ちや悩みを打ち明けるだけで、感情や気持ちが整理されることもあります。また、客観的な意見を聞くことが、新たな気づきにつながるかもしれません。

今できることをする

将来看護師として働くイメージをもつことも大切ですが、一方で働いてみないとわからないこともあります。漠然と未来を想像して不安を募らせている人は、意識して「今」できることに目を向けるようにしましょう。一歩ずつでも前進していけば、確実に自分が目指す方向に近づくはずです。

「なってよかった」と感じられる看護師になるために

忙しく大変そうな看護師の様子を間近でみると、看護師として働くことに不安を感じることもあるでしょう。しかし、患者さんの言葉や日常生活を通じて「看護師になってよかった」という思いをもつ先輩はたくさんいます。

看護師は活躍の場も多く、職場によっても様々なやりがいが感じられます。実習や勉強の忙しさで将来への不安を感じたときは、一度初心に帰り、自分の目標を整理したうえで、今できることに目を向けてみてください。

参考

厚生労働省:令和4年賃金構造基本統計調査(2023年10月18日閲覧)

国税庁:令和4年分 民間給与実態統計調査(2023年10月18日閲覧)

執筆者情報

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小春 ゆき

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看護短期大学を卒業後、聖マリアンナ医科大学病院にてNICU病棟に3年勤務。結婚を期に在宅医療へ転職し、10年間リハビリや終末期医療に携わる。3人の育児をしながら、現在は専業Webライターとして活動中。訪問看護ステーションのホームページ制作や医療・転職メディアなどで多数執筆。