【最新】看護実習の学びレポートの書き方・ポイントを解説│例文つき!

【最新】看護実習の学びレポートの書き方・ポイントを解説│例文つき!

最終更新日:2025/06/26

看護実習では、学んだことをまとめた「学びレポート」の提出が求められます。看護学生のなかには、この学びレポートを苦手に感じる人もいるようです。今回は、そんな学びレポートの書き方や注意すべきポイントを解説します。具体的な例文も紹介しているので参考にしてください。

看護実習の学びレポートとは

看護実習の学びレポートとは、実習を通して得られた学びや気づきをまとめたレポートのこと。その呼び方は「臨地実習レポート」「学習記録」「自己評価レポート」など学校によって異なりますが、実習の一環としてほとんどの看護師(等)学校養成所でこのレポートの提出が課されます。場合によっては、テーマやフォーマットが決められていることもあります。

実習後に学びレポートを書く目的とは

学びレポートは、実習での学びを振り返り、自己の成長につなげることを目的としています。実習の内容や自身の経験を客観的に見つめ直し、整理することが、看護観を深めたり、今後の課題を見つけたりする機会にもなります。

また、学びレポートは評価の対象でもあるため、他者に自分の考えをわかりやすく伝えることが重要になります。自分の考えを言語化し、論理的な文章でレポートとしてまとめることは、伝える力を養うことにもつながるでしょう。

看護実習での学びをまとめる際のポイント

実習での学びを深め、他者に伝わりやすいレポートに仕上げるためには、意識しておきたいポイントがあります。ここでは、学びレポートをまとめる際の4つのポイントを解説します。

1.目的・目標を振り返る

看護実習では、実習ごとに学ぶべき内容が設定されているため、まずはその目的や目標を理解しておくことが大前提です。目的・目標に対する理解がないと、レポートの内容が実習のねらいとずれてしまう可能性があります。

学びレポートをまとめる前に、臨地実習要項に記されている実習目的や自分が設定した目標を再度確認したうえで、実習に取り組むにあたって意識したことや、実習で得た学びについても整理しましょう。

2.学んだことは具体的に

学びレポートをまとめる際には、学んだことを具体的に書くよう意識しましょう。どのような場面でそう感じたのか、できるだけ具体的なエピソードを盛り込むことで、より深い振り返りが可能になり、読み手にも伝わりやすいレポートになります。

3.論理的な考え方や根拠を意識する

レポートは自分の考えを論理的に伝えるものであり、特に看護においては、なぜそう考えたのかといった根拠と論理的思考が重要視されます。学びレポートをまとめる際も、自分の判断や行動にどのような根拠があり、何を学んだのかが論理的に伝わる構成を意識しましょう。

指導者のアドバイスや看護理論などを交えて考察することで、学びの根拠がより明確になるはずです。

4.学びから今後の課題につなげる

看護学生は、実習ごとに学びと課題の発見を繰り返し、看護師になるための知識と技術を補足していきます。ですから、学びレポートも実習だけの学びで終わらせるのではなく、そこから今後の課題を見出し、次の目標へとつなげることが大切です。

自らの成長に向けた具体的なアクションを示すことで、今回の学びが次の実習での実践につながり、ステップアップを着実に前進させることができるでしょう。

【3ステップ】学びレポートの書き方を解説

相手に伝わりやすいレポートを書くには、事前の準備と手順に沿って進めることが大切です。ここでは、論理的かつ読みやすいレポートの書き方を3つのステップで解説します。

【1】テーマを決める

実習の目的や目標、そして実習全体を振り返り、学びレポートのテーマを明確に設定することが最初のステップになります。まずは、シラバスや臨地実習要項で実習の目的を確認し、今回の実習で求められている学びの方向性を整理しましょう。また、実習での学びに対する自己評価ができるよう、自分で設定した実習目標も見直しましょう。そして、それらの目的や目標、実習内容から学びのテーマを決定します。

下記に、考えを整理する際のヒントをまとめました。問いに沿って実習を振り返ることは、テーマ設定の参考になるはずです。

看護実習の振り返りのヒント

  • 患者さんとのやり取りで、特に心に残っている場面
  • 自分との関わりによって、患者さんの表情や様子に変化がみられた瞬間
  • 実習中に戸惑ったことや対応に悩んだ出来事
  • 実習前に立てた目標に対しての自分の達成度
  • 実習を通じて変化した看護観・価値観
  • 実習後に感じた今後の課題
  • 現場やスタッフの仕事から学んだこと

【2】文章構成を考える

伝わりやすいレポートを書くためには、書き始める前に全体の構成をしっかり組み立てておくことが重要です。構成を決めないまま書き進めると、内容がまとまらず、伝わりにくいレポートになる恐れがあります。

文字の大きさやレイアウトにもよりますが、A4のレポート用紙1枚にまとめられる文字数はおおよそ1000文字程度です。500文字以上のレポートを書く場合は、「序論」「本論」「結論」の三部構成にすると、伝わりやすい文章になります。

学びレポートの構成

文章構成と内容 文字量の目安
序論 看護実習の目的を踏まえて学んだテーマ 全体の1~2割
本論 理由:テーマについてなぜそのように考えたのか
具体的エピソード:テーマにつながる実習の体験談
全体の6~8割
結論 全体のまとめと今後の展望 全体の1~2割

文章構成を考える際は、各論ごとに書くことを箇条書きでメモするようにします。そのあとで、箇条書きの内容に沿って構成を見直し、伝えたいことが明確になっているか、伝わりやすい流れになっているかを確認しましょう。

【3】書き方のルールを守りレポートを作成する

レポートの書き方には基本ルールがあり、これに沿って書くことで統一感が生まれ、読みやすい文章になります。学校によっては、レポートの書式や書き方が指定されていることもあるため、基本ルールについては学校の指示を必ず確認しましょう。

レポート文章の基本ルール

こちらでは一般的なレポートの基本ルールをまとめました。

【レポートの基本ルール】
  • 誤字脱字に注意し、正しい日本語で書く
  • 文末表現は統一する(常体[〜である・〜だ]が望ましい)
  • 敬称は原則不要(患者さん→患者、看護師さん→看護師)
  • 固有名詞や漢字表記など用語や表現を統一する
  • 話し言葉は使わない
  • 他者の文章を無断で使用しない

レポートの文章は1文に1要素を基本とし、曖昧な表現は避けましょう。長すぎる文章は意味が通じにくくなるため、簡潔にまとめるよう意識してください。

レイアウトや書式、文字数などは学校の指示に従います。表紙については、特に指示がない場合、タイトル、学籍番号、氏名、履修科目名、提出日などを記載するのが一般的です。

文献の活用ルール

文献を用いて根拠を示すことで、内容に説得力が増し、レポートの質は高まります。さらに、文献検索が学びを深めることにもつながります。ただし、引用や参考文献を活用する場合にはルールがあるので、正しい方法で使用しましょう。

【表記例と引用ルール】

フロレンス・ナイティンゲールは、「看護とは◯◯」と述べている。1)
経験を通して得た気づきをもとに見直すことも必要2)であるため

〜引用の基本ルール〜
● 引用文はかぎかっこで括り、原文をそのまま書く
● 引用元には通し番号を付けて文末に記載する(参考文献は文末に一覧で表記する)

【参考文献の表記例とルール】

参考文献一覧
1)フロレンス・ナイティンゲール.小玉香津子・尾田葉子 訳.看護覚え書き(新書版).日本看護協会出版会,2019,180p.
2)柴田実岐子.“【看護観とは?】レポート・面接で活用できる例文を紹介”.ナース専科 就職.2025-6-16.https://recruit.nurse-senka.com/html/content/article/278,(2025-6-25).

~表記ルール~
1. 書籍の場合
著者名.書名.版表示,出版者,出版年,総ページ数.
2. インターネット上のWebサイトの場合
著者名.“Webページのタイトル”.Webサイトの名称.更新日付.入手先(URL),(参照年月日).

【最新】看護実習の学びレポートで活用できる例文

ここでは、基礎看護実習での学びレポートの例文を「序論」「本論」「結論」に分けて紹介します。それぞれ書き方のルールに沿った文章構成となっているのでぜひ参考にしてください。

【序論】

看護実習の目的を踏まえ、学んだテーマを示しています。

基礎看護学実習では、病棟の実際を見学し看護の役割を知ることや、患者とのコミュニケーションを通して看護観を深めることが目的とされていた。そこで私は、「コミュニケーションを通して患者との信頼関係を築く」という目標を掲げて取り組むことにした。具体的には、相手の状況に合わせたコミュニケーションの手段を選び、相手の気持ちに寄り添う事を意識した。

【本論】

学びの理由と具体的エピソードをまとめています。

相手の状況に合わせたコミュニケーションが信頼関係につながると考えた理由は、その場の状況や患者の性格によって、安心できるコミュニケーションの方法が異なることを実感したからだ。同じ内容を伝えていても、誰から、どのように伝えられるかによって相手の受け取り方が変わることがある。

今回の実習で私が担当させていただいたAさんは70代の女性だった。Aさんは、普段検温やその日の検査予定を伝える看護師とは自然に会話していたが、私との会話では目を合わせてくださらず、会話もあまり続かなかった。私は「どうして自分とは話してくれないのだろう」と悩み、気まずさや申し訳なさを感じていた。ある日、私は思い切ってAさんに「私は人と話すのが少し苦手です。上手にお話できずにすみません」と率直に伝えた。するとAさんは少し驚いたような表情を見せた後、「実は私も人見知りなの」と照れくさそうに笑ってくださった。その瞬間、初めてAさんと心が通じ合ったように感じた。その後Aさんは、ご自身の家族の話や入院生活で感じていることなど、少しずつ話してくださるようになった。Aさんは、普段の看護師との関わりでは、その日の体調や予定をコミュニケーションによって把握することに安心感を感じていた一方で、まだ関わりの浅い私とのコミュニケーションでは、緊張や不安が先立っていたと考えられる。私自身の緊張や不安を正直に伝えたことで、Aさんも心を開き、安心して話をしてくださったのだと感じた。

私は実習を通して、信頼関係、つまり患者にとって安心できる関係を築くためには、「自分がどう接するか」だけでなく、「相手がどのように感じているか」を考える視点が大切だと気づいた。

【結論】

全体のまとめと今後の展望につなげています。

この経験から、信頼関係を築くためには、安心して信頼してもらえるようなコミュニケーション方法を相手の性格や状況によって選ぶ必要があることを学んだ。状況や性格によっては、情報を言葉で伝えるコミュニケーションが信頼関係につながる場合もあれば、相手の気持ちに寄り添う姿勢や、自分の気持ちを伝えることで信頼関係が築ける場合もある。今回の実習を振り返ると、私は自分がうまく話せない状況に焦り、Aさんの気持ちに十分寄り添えていない場面があったと反省している。今後の実習では、まずは自分から心を開き、相手の気持ちに寄り添い、その人に合った関わり方を探しながら、丁寧にコミュニケーションを取っていきたい。

要注意!学びレポートのやりがちなNG例

ここからは、看護学生がやりがちな学びレポートのNG例を解説します。例文ごとにNGの理由と改善ポイントを示しているので、レポートの作成前に確認しましょう。

感想文になっている

【NG例】

基礎看護学実習では、初めて患者を受け持った。初日は緊張し、コミュニケーションが続かなかった。初日の反省から、翌日は相手を知るよう努めながらコミュニケーションを取ったら会話がはずみ嬉しかった。

「緊張した」「嬉しかった」といった感情的な表現が多く、感想文になっているため、レポートとして評価されにくい可能性があります。また、実習の時系列に沿ってまとめているものの、何をどう学んだのかが明確でなく、読み手に伝わりづらい印象です。感想で終わらずに、具体的な活動内容と根拠を述べ、次の課題と改善策にまでつなげる意識が必要です。

【改善例】

基礎看護学実習では、初めて患者を受け持ったことで、コミュニケーションの難しさを感じた。私は、70代の女性患者を受け持ったが、初日は緊張から会話が続かず、患者の反応も乏しかった。そこで翌日は「体調はいかがですか」といった声かけを意識的に増やし、表情や仕草を観察しながら、相手のペースに合わせて会話することを心がけた。

その結果、患者が微笑んで返してくれる場面があり、少しずつ信頼関係が築けていると感じることができた。この経験を通して、患者とのコミュニケーションでは、単なる情報のやり取りだけでなく、相手の状態や感情に寄り添った関わり方が重要であることを学んだ。

改善ポイントはこちらのとおりです。
● 患者さんとのやり取りを具体的にまとめる
● その体験から学んだ看護の姿勢や技術を明確にし、テーマとして掘り下げる
● 同じような場面に再び出合ったとき、自分がどのように行動するかを改善例として示す

何を伝えたいのかが明確になっていない

【NG例】

基礎看護実習では多くのことを経験し、自分に足りないものをたくさん感じました。日々患者と関わるなか、学びの連続でした。これからも学び続けていきたいと思います。

前向きな姿勢が感じられる文章ですが、抽象的な表現が多く、何を主軸に書いているのかが不明瞭です。どの場面からどんな学びがあったのかを明確にしたうえで、テーマを絞って学びを深掘りし、具体的にまとめることが大切になります。

【改善例】

基礎看護実習を通して、患者の気持ちに寄り添った声かけの大切さを学んだ。初めは緊張から一方的な声かけしかできなかったが、患者の表情や返答に注目して関わるようにすると、少しずつ会話が増えていった。この経験から、相手の反応をよく観察し、その人に合わせたコミュニケーションを取ることが、信頼関係の第一歩であると実感した。

改善ポイントはこちらのとおりです。
● 学びのテーマをひとつに絞る
● テーマに沿ってエピソードを具体的に書く
● 自分の気づきや変化を論理的に整理して書く

文献などを丸写ししている

【NG例】

患者中心の看護とは、患者の価値観を尊重し、その人らしい生活を支えることである。
(教科書からの引用・参考文献の表記なし)

知識として正しいことを書いていても、引用や参考文献の表記がないと「剽窃(ひょうせつ/他人のアイデアを盗む行為)」とみなされ、場合によっては著作権の侵害に当たります。また、文献や例文、他人のレポートなどの内容をそのまま書くだけでは、自分自身の思考や実習での経験が反映されないため、学びレポートとしては評価されません。

【改善例】

患者中心の看護とは「患者の価値観を尊重し、その人らしい生活を支えること」とされている1)。今回の実習では、患者Aさんの生活背景を考慮した関わりを意識したことで、その重要性を実感した。

※文末に参考文献を明記
1)著者名.書名.版表示,出版者,出版年,総ページ数.

改善ポイントはこちらのとおりです。
● 他人の文章を丸写ししない
● 引用は自分の体験や考察と結びつけて用いる
● 引用ルールを守り、ルール通りに記載する

書き方のルールが守られてない

【NG例】

この実習では、先輩ナースの声かけがほんとに勉強になった。患者さんの状況や背景を考えてコミュニケーションを取ることがとても大事だと学びました。今後の実習で経験を重ね、自分もああいう看護ができるようになりたいなと思った。

話し言葉やくだけた表現が使用され、敬称の使い方にも誤りがみられ、レポートとしては形式が守られていません。また、文末表現が統一されておらず、文章全体が読みづらくなっています。論理的な内容であったとしても、基本ルールが守られていないと評価を下げる原因になります。

【改善例】

今回の実習では、看護師の声かけの工夫が特に印象に残った。患者一人ひとりの背景を踏まえて関わる姿勢から、信頼関係を築くうえでのコミュニケーションの重要性を学ぶことができた。今後の実習では、自分も患者の立場に立って、思いやりのある言葉かけを意識していきたい。

改善ポイントはこちらのとおりです。
● 文末表現を統一する
● 話し言葉(ほんとに、〜になりたいな、ああいうなど)は使わない
● 正しい敬称を使う

レポートは実習の学びを深めるチャンス!

実習の学びレポートは、実習を振り返って学びを深め、その内容を他者に伝えることを目的としています。学びレポートをまとめる際にはポイントや注意点があり、それらを意識して作成することで、さらに学びが深められるはずです。必ずしも完璧を求める必要はありませんが、作成のルールとポイントを押さえて、自分の言葉で丁寧にまとめるよう心がけましょう。

参考

引用・参考文献の書き方.立命館大学(2025年6月25日閲覧)

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執筆者情報

プロフィール画像

柴田 実岐子

shibata-mikiko

福岡県生まれ。大学卒業後、一般企業に勤務し、社会人から看護師免許を取得。急性期外科などで経験を積んだのち、精神科、慢性期の一般病棟、健診センターなどさまざまな職場で勤務。さらに夜勤専従・派遣・応援ナースなど、多種多様な働き方を経験した。現在は離島移住をきっかけに、へき地医療に従事しながらライターとして活動中。