看護実習の学びレポートの書き方│ポイントから具体例まで解説

看護実習の学びレポートの書き方│ポイントから具体例まで解説

最終更新日:2023/08/23

看護実習では学んだことを必ずレポートにまとめます。レポートは実習で経験したことを振り返り、学びを深めるための大切な機会です。しかし何を書けばよいか迷ってしまう看護学生もいるでしょう。今回は看護実習レポートの書き方について具体例を交えて解説します。

看護実習の学びレポートとは

看護実習の学びレポートとは、基礎実習や各領域の実習での学びを振り返りまとめるものです。学校によって学びレポートの名称が異なる場合もあります。

実習の体験を通じて変化した自分の考えや、課題について感じたことからテーマを決め、自分の看護観と絡めながら書くのが一般的です。学校によっては、レポートのテーマやフォーマットが決められている場合もあります。

学びレポートを書く目的とは

学びレポートを書く一番大きな目的は「看護実習で学んだことを振り返り、自己の看護観を深めること」です。看護観を見つめ直す機会が得られると、将来看護師としてどのように働きたいかをより明確にすることができます。

また自分が学んだことを指導者に伝わるようにレポートを作成しなければならないため、看護師として必要な「他者へわかりやすく伝える力」を養う意図もあるでしょう。

レポートを書く目的を踏まえて、次項では具体的なレポート作成のポイントと書き方について詳しく解説します。効率良くレポートを仕上げるために、ぜひ参考にしてください。

【具体例あり】看護実習の学びレポート作成のポイント

ここではまず、実習レポートを作成するうえで、おさえておきたいポイントについて具体例を挙げて解説します。

それぞれの実習目的や目標を理解しておく

まず学びレポートを作成する前に、それぞれの実習で具体的に何を学ぶのか、各実習の目的や目標を必ず理解しておきましょう。基礎実習から各領域の実習まで、すべての実習には、それぞれ目的と目標が決められています。

各実習の目標を明確に理解できていないと、レポートの内容と本来学ぶべき内容との間にずれが生じかねません。具体的な目的や目標は学校から共有される「臨地実習要綱」に記載されているので、実習に参加する前に必ず確認しておきましょう。

また次項では、実習の目的をもとに各実習で学ぶべきことを具体的に解説します。参考にしてみてください。

学びや課題から自分の「看護観」に結び付ける

看護実習の学びレポートは、実習を終えての課題や学んだことを自分の看護観に結び付けて書きましょう。看護観とは「自分の理想の看護師像」であり、看護師として患者さんにどのような看護をしたいかを表すものです。

イメージしやすいように、看護観に結び付けられている良い例文と、結び付けられていない悪い例文をそれぞれ紹介します。

【良い例】

基礎看護学実習では、患者さんとのコミュニケーションを通じて身体的・精神的な変化が観察できることを学んだ。しかし、年齢の離れた患者さんとの会話は何を話したら良いか戸惑いもあり、さまざまな年代の方とのコミュニケーションが課題であると感じた。

私は小学生のときに入院した経験から、どのような年代の患者さんにも寄り添い、精神的に支えられる看護師になりたいと考えている。そのために今後は、座学でコミュニケーション技法を学び、実習でさまざまな年代の患者さんとコミュニケーションを取る経験を積んでいきたい。

【悪い例】

基礎看護学実習では、患者さんとのコミュニケーションを取りながら身体的・精神的な変化が観察できることを学んだ。しかし、年齢の離れた患者さんとのコミュニケーションは、自身の課題と感じた。

学びレポートでは看護実習で学んだことから自己の看護観を深堀することが重要です。悪い例のように実習で学んだことや課題を羅列するだけでなく、良い例の太字のように自分自身の看護観に落とし込むようにしましょう。

感想文にならないように論理的にまとめる

レポートでは自分の考えを論理的にまとめることが大切です。とくに看護師は専門職として論理的思考力が求められます。感想文や日記のような文章にならないように注意しましょう。

こちらも、良い例文と悪い例文をそれぞれ紹介します。

【良い例】

成人看護実習Ⅲでは、肝性脳症による意識障害がある終末期のAさんを担当した。私は解剖学の講義で「聴力は感覚器のなかで最後まで機能が失われにくい」と学んでいたため、積極的に声かけをしながら日常生活援助を実施した。声かけに対する反応は無かったが、実習最終日にAさんにお礼の言葉を伝えると小さな声で「ありがとう」と返答があり、この体験を通して実際に聴力は残存しており、声かけは重要だということを学んだ

私は患者さんに寄り添った看護を目標にしているが、意思疎通が困難で本人の希望がわからない患者さんとの関わりが課題であると感じていた。しかし、成人看護実習Ⅲの学びから患者さんに寄り添う看護の一つとして、患者さんと意思疎通が困難な場合でも「声かけ」を大切にしていきたい。

【悪い例】

成人看護実習Ⅲでは、終末期の患者さんを担当した。Aさんは肝性脳症による意識障害から、コミュニケーションが取れない状況だったが、丁寧に声かけをしながら日常生活援助を実施した。声かけに対する反応はなかったが、実習最終日にAさんにお礼の言葉を伝えると小さな声で「ありがとう」と返答があり、とても嬉しかった。今後も患者さんに対する声かけを大切にしていきたい。

悪い例の場合、主観的な考えをまとめているため、論理的な内容ではなく感想文になっています。

自分の考えを論理的に伝えるためには、まず良い例の太字箇所である実践した根拠と実践から得た学びが必要です。そのうえで下線箇所のように、事実に基づいて得られた課題と学びから今後の対策を客観的にとらえ、レポートに落とし込みましょう。

文献を正しく活用する

文献を正しく活用することで根拠のある主張となり、より説得力のあるレポートが書けます。また文献の活用は、実習での学びを深めるのにも効果的です。

参考文献の活用や引用はルールが決まっているため、正しく活用しましょう。引用や参考文献の表記例とルールは以下の通りです。

【引用表記例】

フロレンス・ナイティンゲールは、「看護とは◯◯」と述べている。1)
経験から学ぶためには「学習の機会を求める」能力が必要である2)
看護観は「自分は患者さんに対してこういう看護がしたい」という、理想の看護の姿3)

~文献引用ルール~

● 引用部分はかぎかっこで括る
● 引用部分の内容は変更しない
● 引用した文献はナンバリングし文末に参考文献として明記する
● レポートの文末に参考文献一覧を書く

【参考文献の表記例】

参考文献一覧

1)フロレンス・ナイティンゲール.小玉香津子・尾田葉子 訳.看護覚え書き(新書版).日本看護協会出版会,2019,180p.
2)東 めぐみ, 河口 てる子.看護実践の語り合いによる看護師の気づきと行動.日本看護科学会誌.2022,42巻,91-100p.
3)小田 あかり.“看護学生が考えるべき看護観。レポート・面接で活用できる例文つき”.ナース専科就職ナビ.2023-6-15.https://recruit.nurse-senka.com/html/content/article/278,(2023-6-30).

~表記ルール~

1. 書籍:著者名.書名.版表示,出版者,出版年,総ページ数.を明記する
2. 論文:著者名.論題.掲載誌名.出版年,巻数,号数,ページ数.を明記する
3. インターンネット上のサイト:著者名.“Webページのタイトル”.Webサイトの名称.更新日付.入手先(URL),(参照年月日).を明記する

それぞれの実習で学ぶこととは

実習の目的は、看護学生が学内で学んだ知識や技術をもとに、看護の実践能力を養い、自己の看護観を確立させるためです。実習は、基礎看護学実習、領域別実習、統合実習があり、それぞれで学ぶことが異なります。

ここでは各実習の目的をもとに、実習ごとの学ぶべき内容やおさえたいポイントをまとめました。各実習の具体的な目的や目標は、通っている学校の臨地実習要綱やシラバスに記載されているので、そちらを確認しておきましょう。

基礎看護学実習で学ぶこと

基礎看護学実習の目的は、見学や実践を通じて看護の役割を理解し、看護を提供する基礎的能力を養うことです。病院の概要や療養生活での看護の必要性、日常生活援助の実践や患者さんとのコミュニケーションを学びます。

基礎看護学実習は2段階にわかれており、それぞれの学びは以下のとおりです。

【基礎看護学実習Ⅰ】

  • 見学を通じて病院や病棟の概要や看護の役割を理解する
  • 患者の療養生活の実際を知り、日常生活援助を体験する

【基礎看護学実習Ⅱ】

  • 実践を通じて患者さんが必要な看護を計画・提供する基礎的能力を養う
  • 患者さんとのコミュニケーションを通して、自己の看護観を深める

領域別実習で学ぶこと

領域別実習の目的は、各領域の特質に応じた学びを深めることです。各領域で看護の対象となる患者さんのライフステージや疾患の特徴、特質に応じた看護過程の展開と実践を学びます。

以下では各実習の目的を踏まえて、それぞれの実習で学ぶこととおさえたいポイントを領域別で紹介します。

成人

成人看護実習の目的は、成人期の患者さんとその家族の特徴を理解し、健康レベルに応じた看護実践の基礎的能力を養うことです。成人期の身体的・精神的・社会的背景を総合的に学びます。

成人は急性期と慢性期で実習がわかれているため、実習で学ぶこととおさえたいポイントも急性期と慢性期に分けてまとめました。

・急性期
急性期看護では、怪我や病気になって間もない時期や手術前後の患者さんが対象です。
合併症の予防や疼痛の緩和、早期回復のための看護を学びます。急性期や手術からの身体的回復過程を理解し、心理的ショックに配慮した看護が理解できているかがポイントとなるでしょう。

・慢性期
慢性期看護では、健康障害が慢性期にある患者さんや終末期の患者さんが対象です。
慢性疾患をセルフマネジメントするための看護や、終末期の身体的・精神的苦痛の緩和に対する看護を学びます。身体・精神・社会・信仰・家族など、患者さんを全人的に捉えているかがポイントとなるでしょう。

老年

老年看護実習の目的は、老年期の患者さんとその家族の特徴を理解し、QOLを維持・向上させるために必要な看護実践の基礎的能力を養うことです。

老年期における病院・施設の役割や、健康障害がありながらもその人らしい生活を送るための看護について学びます。患者さんの生きてきた人生に寄り添う姿勢や、加齢による身体的変化を理解することがポイントになるでしょう。

在宅

在宅看護実習の目的は、継続的看護が必要な患者さんの特徴を理解し、生活を支える看護実践の基礎的能力を養うことです。

患者さんと家族が生活するなかで生じた課題の捉え方や、社会資源の活用を学びます。家族、環境、地域社会などを含めてアセスメントできるかがポイントとなるでしょう。

母性

母性看護実習の目的は、周産期における看護の特徴を理解し、患者さんと新生児に対する看護実践の基礎的能力を養うことです。

周産期の身体的・精神的経過や新生児の生理的変化を学びます。ウエルネスの視点、つまりより良い健康状態を目指すための看護や、命の尊厳について理解できているかがポイントになるでしょう。

小児

小児看護実習の目的は、小児の発達段階を理解し、発達段階に応じた看護実践の基礎的能力を養うことです。

発達段階に応じた自立支援や、小児だけでなく家庭をふくめた看護の視点を学びます。小児の発達段階にあわせた配慮(プレパレーション)や、小児と家族にとって適切で安全な看護を理解できているかがポイントになるでしょう。

精神

精神看護実習の目的は、精神に健康問題を抱える患者さんとその家族の特徴を理解し、個別性にあわせた精神看護を実践する基礎的能力を養うことです。

コミュニケーションが中心の精神看護の現場に立ち会い、セルフケア能力に応じた日常生活援助を学びます。精神疾患に対する理解や、患者さんとの人間関係を通して精神的変化に気づけるかがポイントとなるでしょう。

統合実習で学ぶこと

統合実習の目的は、チーム医療や他職種との連携を理解し、基礎看護学実習や領域別実習で学んだ知識や技術、態度を統合し学びを深めることです。

複数の患者さんを受け持ち、優先順位の判断や状況に応じたケアを学びます。また夜勤実習で夜間の看護師の役割を学ぶ場合も。統合実習では、状況に応じて主体的に行動できているか、自己の看護観をさらに深められているかがおさえたいポイントになるでしょう。

看護実習レポートの書き方4ステップ

レポート作成までの流れを理解しておくと、まとめやすくなります。ここでは実習レポートを書く手順を4ステップで解説します。

ステップ1:実習で得た学び・課題を振り返る

実習で得た学びや課題、印象に残っていることを紙に書き出してみましょう。

実習の学びとは「実習を通して変化した自分の考えや行動」です。課題は「実習中に実践したかったけれどもできなかったこと」を意味します。実習の目的や目標とずれがないように振り返ることが重要です。

ステップ2:レポートのテーマを決める

ステップ1で書き出した内容から、レポートのテーマを決めます。振り返りの内容と実習要綱をもう一度照らし合わせ、より実習の目的にあったテーマを選ぶようにしましょう。

ステップ3:文章構成を意識してレポートを作成する

テーマが決まったらレポートの作成に移ります。

読み手に伝わりやすいレポートを作成するために、文章構成は以下のような流れを意識しましょう。

結論:看護実習での学びや課題から決めたテーマ

理由:テーマに対してなぜそのように考えたのか

具体的なエピソード:テーマにつながる実習での体験談

結論・まとめ:結論と今後の展望

参考文献:引用・参考にした文献

上記のような文章構成にすると、内容により一貫性を持たせることができます。理由、具体的なエピソード、結論、まとめは、実習で学ぶべきことを踏まえて書くのがおすすめです。レポート内容と文章構成の両方にこだわり、納得感のあるレポートに仕上げましょう。

ステップ4:文章を校正する

最後に文章を見直し(校正)ましょう。校正でチェックするべきポイントは以下のとおりです。

  • 誤字脱字がないか
  • 文末表現が統一されているか
  • 話し言葉が使われていないか
  • 正しい接続詞が使われているか
  • 意味が通じる文章になっているか
  • 文字数など指定されたルールは守れているか

校正では正しい日本語になっているかをチェックします。レポートでは「だ・である」調の文末表現を使うのが一般的です。です・ます調の表現を使うのも間違いではありませんが、文末表現はどちらかに統一しましょう。

ありがちな失敗例は、1文が長くなりすぎて意味が通じにくくなることです。1文に1要素を基本とし、長すぎる文章は避けましょう。

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目的に沿った実習レポートを作成し学びを深めよう

実習レポートは、実際に学んだことや課題を振り返り、実習の学びを深めるためのものです。実習で学ぶべき内容を理解し、上手にレポートをまとめられると、学校の評価だけでなく自分なりの看護観を見つける機会につながります。
レポートに苦手意識がある人は、まずは実習やレポートの目的を理解しましょう。相手に伝わりやすいレポートに仕上げるために、ぜひレポートの書き方を参考にしてみてくださいね。

参考

引用・参考文献の書き方.立命館大学(2023年6月30日閲覧)

看護学実習ガイドライン.文部科学省(2023年6月30日閲覧)

看護学教育モデル・コア・カリキュラム.文部科学省(2023年6月30日閲覧)

執筆者情報

プロフィール画像

柴田 実岐子

shibata-mikiko

福岡県生まれ。大学卒業後、一般企業に勤務し、社会人から看護師免許を取得。急性期外科などで経験を積んだのち、精神科、慢性期の一般病棟、健診センターなどさまざまな職場で勤務。さらに夜勤専従・派遣・応援ナースなど、多種多様な働き方を経験した。現在は離島移住をきっかけに、へき地医療に従事しながらライターとして活動中。