【実習記録の書き方】看護学生がスムーズに作成するためのコツを解説

【実習記録の書き方】看護学生がスムーズに作成するためのコツを解説

最終更新日:2023/12/10

実習記録とは看護学生が実習で学んだことを書き記すものです。看護への理解を深めるために欠かせない一方、看護学生が苦労する課題でもあります。今回は実習記録の書き方と効率よくまとめるためのコツを紹介します。

実習記録の目的は?

看護学生が実習記録を書く目的は、実習で学んだことや体験したことを言語化して振り返り、自分の思考プロセスを可視化することです。自分の考えがみえると、患者さんに実施するケアの必要性や根拠に基づいて行われているのかを明確にすることができます。

また実習記録によって看護過程の展開の練習や実習の振り返りと、指導者からの評価が受け取れるため、座学だけでは得られない気づきや看護師として働くイメージを広げる意図もあるでしょう。

実習記録の種類

実習記録はいくつかの種類に分かれています。学校や実習先によって名称は異なりますが、取り組む内容はほとんど変わりません。それぞれの記録の目的を理解して書くことが大切です。記録の種類と目的を以下で解説していきます。

実習目標

実習目標とは、その日の実習で学びたいことや達成したいことを示したものです。実習の目的に沿って自分自身なりの目標を設定します。

明確な目標を立てて実習に参加することで、学びや気づきを深める意図があります。

行動計画

行動計画とは、実習1日のスケジュールを組み立てたものです。実習先で受け持つ患者さんの1日の流れを把握し具体的に何をしていくのかを記入します。

具体的な行動計画は、自分がするべき行動を理解し、患者さんへのケアを的確かつスムーズに行うために必要です。

看護過程記録

看護過程記録は、患者さんに提供する看護のプロセスをまとめたものです。

看護過程記録を書くことで、患者さんの身体的・精神的・社会的な情報から必要なケアを判断し、実践・評価するという看護の基本プロセスを学ぶことができます。

行動記録

行動記録は行動計画をもとに行ったケアや見学した処置などの実習内容をまとめ、実習目標に対して自己評価を行うことです。

一般的に行動計画表と同じ用紙に記入する欄があります。実習を振り返り学びや反省点をまとめることで、翌日の実習に活かすことができます。

実習記録の書き方3ステップ

ここからは、実習記録の書き方を解説します。実習記録は主に以下の3つのステップで進めます。

  1. 行動計画表・実習目標の立案
  2. 看護過程記録を作成する
  3. 行動記録の記入と看護過程記録の更新

ステップ1:行動計画表・実習目標の立案

行動計画表と実習目標は、実習前に立案します。これらは実習の目的を理解したうえで具体的に立てるようにしましょう。

行動計画表

行動計画表は、以下の点に気をつけて書くと具体的な内容にすることができます。

  • いつ
  • どこで
  • 誰と
  • どのように
  • なぜ
  • 観察項目
  • 注意点

仮にここで立てた計画がうまく進まなかったとしても、実施後にしっかりと評価を行うことで、次のケアにつながります。患者さんの状態を優先した具体的な行動計画を考えてみましょう。

実習目標

具体的な実習目標を立てるためには、実習から何を学ぶのかを観点に考えることがポイントです。下記では、実習目標としての良い例、悪い例を紹介します。

【例】
「〇〇さんの清拭を通して、術後1日目の患者さんの身体的・精神的な状態の変化と必要な看護ケアを学ぶ」
「〇〇さんの清拭をする」

患者さんのケアを通して得られることを明確に示した実習目標にすると具体性が増すでしょう。以下では看護実習目標の設定方法について領域別に解説しています。ぜひ参考にしてください。

ステップ2:看護過程記録を作成する

看護過程の流れは以下のとおりです。これら6つを「看護過程記録」としてまとめていきます。

  1. 情報収集
  2. アセスメント
  3. 関連図の作成
  4. 看護診断
  5. 看護目標・看護計画の立案
  6. 評価

看護過程記録を作成するうえでのポイントを流れごと解説します。

情報収集

情報収集は、患者さんの状態を正しく理解し、患者さんにあった看護過程を展開していくうえで重要です。看護学生が行う情報収集の方法としては以下のようなものがあります。

  • 患者さんとのコミュニケーション
  • 患者さんの観察
  • 家族からの情報
  • 患者さんのカルテ、看護記録
  • 申し送りなど、医療スタッフからの情報

実習中は時間が限られているので、その日にどの情報をどこから得るのかを明確にしたうえで情報収集していくことが大切です。

アセスメント

情報収集で得た内容をアセスメントシートにまとめていきます。アセスメントを正しく行うために活用されるのが、SOAPにそった記録方法です。

S(主観的情報) 患者さんの言動・訴え
O(客観的情報) 観察やカルテなどから得られた情報
A(アセスメント) S・Oから考えられること
P(プラン) Aから問題解決をするための計画

S(主観的情報)とO(客観的情報)は、情報収集で得た内容を記載します。自分自身が判断した解釈は入れないように注意しましょう。

A(アセスメント)を行うポイントとしては以下のとおりです。

  • 得た情報から、今どのような状態なのか
  • なぜそのような状態なのか
  • 今後どのようなことが予想されるか

患者さんの言動や観察項目から総合的にふまえ、A(アセスメント)に記載しましょう。アセスメントのポイントは、下記ページでも具体的に解説していますので、参考にしてください。

関連図

関連図は情報収集とアセスメントしたものを組み合わせ、患者さんの全体像を図式化したものです。患者さんを中心として、身体的、精神的、社会的な状況で関連し合っているものを線や矢印でつないでいくことで、問題点を洗い出すことができます。

関連図の書き方の良い例と悪い例を紹介します。点線や二重枠線など情報ごとに分けることがあるので、細かな書き方は学校のルールに従って書きましょう。

関連図の書き方例

悪い例のように患者さんから直接疾患などの問題につなげると、要因が明確になりません。患者さんが抱える問題点にはどのような要因があるのか、環境や社会面などの情報も入れてさまざまな面から考えてみましょう

看護診断

看護診断は、アセスメントで明らかになった患者さんの問題点(課題)を明らかにすることです。看護診断を行うときは「関連する因子+問題点」を意識しましょう。また優先順位をつけ、まずどの問題に対し介入していくべきかを明確にすることが大切です。

看護目標

看護目標は、患者さんやその家族を主語として、達成するべきものを指します。看護目標は実現可能な範囲で設定するのがポイントです。「貧血が改善する」など、看護師が介入できない疾患に対しての目標は設定しないようにしましょう。

看護計画

看護計画は目標を達成するための具体策で、以下の項目に則って立案します。

  • 観察項目(O-P) 目標達成するための観察項目
  • 援助項目(T-P) 目標達成のために行う援助
  • 指導項目(E-P) 目標達成のために行う指導

看護計画にはかならず評価日を設定し、援助の内容は日々の記録に記載していきます。援助内容によっては、手順内容をまとめたものを用意しておくことで事前学習にもなり、実際に患者さんに援助する際にスムーズに進めることができるでしょう。

評価

評価は、看護計画と目標が達成できたかどうかを判定することです。達成できたかどうかだけでなく、その要因も記載し、次への改善点や新たなケアの立案につなげましょう。

ステップ3: 行動記録の記入と看護過程記録の更新

その日の実習が終わったら行動計画をもとに1日の行動記録をし、その日の実習目標が達成できたかを自己評価しましょう。

行動記録には以下のような内容を記載します。

  • 実際に行ったこと
  • できなかったこと
  • 学校で学んだこととの比較
  • 振り返りで疑問に感じた際に教科書や文献で調べたこと
  • その日の目標が達成できたかどうか

実習では学校で学んだことと少し違うと感じることもあります。看護の原理・原則と実際の現場のケアを比較してみると、より看護について深く学べるでしょう。また実習でうまくいかなかったことも記録に残し振り返ることで、次の実習につなげることができます。

また看護過程記録は一度作ったら終わりではなく、実習期間中は常にアップデートしていくものであることを念頭に置き、更新し続けるようにしましょう。

実習記録をスムーズに書くコツ

実習記録は何種類もの記録用紙を書くことになるため、負担に感じる学生も多いでしょう。そのような学生のために、少しでもスムーズに実習記録を書くためのコツをお伝えします。

情報収集に注力する

実習記録を書くためには情報収集が欠かせません。少ない情報のなかでは本当に患者さんにあったケアを導き出せず、看護過程の展開に落とし込めないからです。

ただ看護学生の場合は、闇雲に情報を集めるだけでなく、実習目標や看護計画の目標に沿った情報を集めるようにしましょう。効率の良い情報収集のポイントは以下になります。

前日までに知りたい情報をまとめる

実習目標や患者さんへの看護計画を実施するなかで、観察項目や注意点など必要な情報を事前にまとめておきましょう。実習中は緊張しているため、必要な情報収集を忘れてしまう可能性もあります。紙に書き出しておくことが大切です。

当日はメモをこまめにとる

実習当日はできるだけこまめにメモを取り、実習後の記録をスムーズに行えるようにしておきましょう。実習中は緊張感のなかで行われるため、聞いたことを忘れてしまう学生も多いことが考えられます。こまめな記録を意識してみてください。

実習中もアセスメントする

実習中にメモを取る際に、その時の感想やアセスメントしたことを一緒に書き出しておくと、より実習記録が書きやすくなります。この段階では、きれいな文章にまとめる必要はないので、メモ程度に自分の考えを残しておきましょう。

アセスメントガイドを活用する

アセスメントガイドとは、看護過程記録の作成時に参考にできるツールです。情報収集やアセスメントの際に使う3つの看護理論のパターンから、情報収集するべき項目やアセスメントのポイントを解説しています。実習記録に苦労している人はぜひ活用してみてください。

実習記録を書くためには、事前準備と情報収集がカギ

実習記録をスムーズに書くためには、事前準備と実習中の情報収集が不可欠です。必要な情報を得たうえでアセスメントがしっかりとできれば、実習記録も書きやすくなります。 また、翌日に疲れを溜めないように、実習から帰宅後に早めに記録に取りかかることも大切です。実習記録のコツをつかみ、看護実習を有意義な時間にしましょう。

参考文献

実習記録・看護計画の解体新書/石川ふみよ著/学研メディカル秀潤社

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執筆者情報

プロフィール画像

伊藤 雪乃

ito-yukino

2003年に看護師免許取得後、北海道の公立病院に5年間勤務し、地域医療をに携わる。その後埼玉県の介護施設(ショートステイ)で3年、整形外科病院に10年勤務。 2018年ごろから副業でライターをはじめ、現在はウェブと書籍に携わるフリーライターとして活動中。 2022年11月発売「私立文章女学院」編集協力