看護師の休み事情│平均休日数から現役看護師の休みの過ごし方まで

看護師の休み事情│平均休日数から現役看護師の休みの過ごし方まで

最終更新日:2024/04/25

土日休みが少なく不定期なイメージがある看護師の休み。「4週8休制」や「年間休日120日」など、具体的な日数は職場によって異なりますが、今回はデータをもとに看護師の休み事情を分析します。また働く看護師の休みの過ごし方も紹介するので参考にしてください。

看護師は実際どれくらい休みがある?

一般的な労働者の休みと比較したところ、看護師の休みは特別少ないわけではないことがわかりました。以下では日本看護学会と厚生労働省のデータをもとに、平均年間休日・週休・有休取得率など看護師の休みについて深堀します。

看護師の平均年間休日は116.6日

看護協会が公開した「2023 年 病院看護実態調査 報告書」によると、看護師が働く職場の平均年間休日は116.6日であることがわかりました。

※ここでいう平均年間休日とは、就業規則で定められた所定の年間休日総数を指します。

看護師 一般的な労働者
平均年間休日 116.6日 110.7日

参考:日本看護協会:2023 年 病院看護実態調査 報告書
   厚生労働省:令和5年就労条件総合調査_概況

さらに詳しく見ていくと、看護師の年間休日数の割合が最も多かったのが「120〜130日未満」で44.1%です。年間休日が120日以上の割合はおよそ半数を占めており、一般的な労働者と比べても少なくないことがわかります。
看護師と一般的な労働者の年間休日日数

参考:日本看護協会:2023 年 病院看護実態調査 報告書
   厚生労働省:令和5年就労条件総合調査_概況

看護師は週休2日制のなかでも「4週8休」が多い

週休について比較すると、看護師が働く職場の80%以上が週休2日制を取り入れていることがわかりました。一般的な労働者と比べると週休2日制の割合自体は大きく変わりませんでしたが、看護師は週休2日制のなかでも「4週8休」が最も多く48.7%を占めました。

看護師 一般的な労働者
週休2日制合計 83.1% 85.4%
完全週休2日制 24.4% 53.3%
その他の週休2日制 58.7%
(うち4週8休は48.7%)
32.1%

参考:2023年 病院看護・外来看護実態調査 報告書|日本看護協会
   令和5年就労条件総合調査_概況|厚生労働省

4週8休とは4週間の中で8日の休日が保証されることになりますが、必ずしも1週間のなかで2日間の休みが取れるわけではなく、完全週休2日制より休日日数が実質的に少ない傾向にあります。

年次有休休暇取得可能日数はほかと変わらず

年次有給休暇に関しては雇用された日から6ヶ月継続して勤務した労働者に以下日数の取得が認められています。これは看護師も例外ではありません。

継続勤務年数 有休休暇取得可能日数
6ヶ月 10日
1年6ヶ月 11日
2年6ヶ月 12日
3年6ヶ月 14日
4年6ヶ月 16日
5年6ヶ月 18日
6年6ヶ月〜 20日

参考:労働基準法|e-Gov法令検索

看護師の有給取得率は約68%

有休取得率に関しては看護師が67.7%に対して一般的な労働者は62.1%と、看護師のほうがやや多い結果となりました。

看護師 一般的な労働者
年次有給休暇取得率 67.7% 62.1%

参考:2023年 病院看護・外来看護実態調査 報告書|日本看護協会
   令和5年就労条件総合調査_概況|厚生労働省

看護師の有給取得率を細かく見ていくと「70〜80%未満」が16.7%と最も多く、さらに有給取得率が50%以上である看護師の割合は合計で約7割であることが読み取れます。
看護師の有給取得率

参考:2023年 病院看護・外来看護実態調査 報告書|日本看護協会

シフト例から見る看護師の休み

ここからは、看護師の勤務形態ごとの具体的なシフト例を紹介します。実際にどれくらいの配分で休みが入るのか、日勤や夜勤のペースはどのようなものかがイメージできるはずです。

2交代制のシフト例

2交代制のシフトでは、基本的に「日勤」と「夜勤」で構成されます。夜勤は入り16時半〜明け9時までのケースがほとんどですが、病院によっては20時〜9時のように組まれている場合もあります。また遅番や早番のような変則勤務が入る場合もあります。

看護師2交代制のシフト例

このシフト例では夜勤明けの次の日は必ず「休日」です。しかし、勤続年数やそのときの状況・役割によっては、夜勤明けの次の日も夜勤入りもしくは日勤となるケースも珍しくありません。

3交代制のシフト例

3交代制のシフトでは、「日勤」「準夜勤」「深夜勤」で勤務が分かれます。準夜勤は16時半ごろから24時まで、深夜勤は0時から9時頃までの勤務を指します。

看護師3交代制のシフト例

準夜勤が2日連続する場合や準夜勤からそのまま深夜勤に入るような場合、さらに深夜勤の次の日に準夜勤が組まれる場合もあるため、2交代制よりも不規則なシフトといえます。

夜勤専従のシフト例

夜勤専従は、16時半から9時までの夜勤が月に10回前後ある働き方です。夜勤明けは朝のうちに帰宅できることがほとんどで、明けも休みと同じような感覚で1日を過ごせます。

夜勤専従看護師のシフト例

このシフトの場合は月10回の出勤で20日分の勤務となります。 またシフト例では夜勤明けの次の日が休みになっていますが、再度夜勤が入ることが多いという特徴もあります。

休日制度や勤務形態は病院によって異なります。気になる人は以下から気になる病院の資料請求をして、詳しい休暇制度を確認してみてください。

参考:ナース専科就職ナビ

「看護師=休みにくい」と感じる理由

一般的な労働者と比べても看護師の休みは少なくないことがわかりましたが、それでも看護師は休みにくいイメージを持つ人がいます。なぜそのような印象があるのか、看護師の職場ならではの休みの特徴から理由を読み解きます。

土日に休みを取りにくい場合がある

病棟看護師は24時間365日患者さんのケアを行うため、土日祝日にもシフトが入ります。そのため、世間では一般的な週末休みを取ることが難しい場合がほとんどです。

しかしその分平日休みとなるケースが多く、平日は外出先が空いていることが多いため、休日を快適に過ごしやすい特徴もあります。

休みが不定期で予定を合わせにくい

看護師はシフト制のため休みが不規則です。家族や友人と突発的な約束を入れる場合には予定を合わせにくいことが難点です。家族や子供との時間を重視する人は、土日休みを取りやすい職場を選択するのもひとつの手です。

年末年始は勤務になることが多い

病棟看護師は土日祝日のほか、年末年始も通常通り勤務となります。場合によっては年越しを病棟で過ごすことになるでしょう。

しかし年末年始に勤務する場合には特別手当の支給があることや、平時よりも手術や回診などの対応が大幅に減る傾向があることから、年末年始にあえて勤務したい看護師も多いようです。

シフトの希望が通らない場合がある

看護師のシフトは多くの場合チーム全体のスケジュールに合わせて決定されます。そのため、休み希望が通りにくいケースもあります。休みの希望は職員の人数が多い病棟ほど通りやすいため、職場選びの条件の1つに入れると良いでしょう。

夜勤明けが休みとみなされてしまう場合がある

一般的に夜勤明けの次の日は休日となるケースがほとんどですが、病院によっては夜勤明けが休みと同等に扱われ、再度夜勤が入ったり日勤になったりすることもあります。また、夜勤明けの日の夕方に病棟会出席のために再度出勤することも珍しくありません。

休日出勤を求められる場合がある

病院勤務の看護師は、以下のような場合に休日出勤を求められる場合があります。

  • 病棟会
  • チーム会
  • 勉強会
  • 委員会
  • 上記の会のための資料作り

休日出勤で手当が出るかは職場や病棟の方針によります。また他メンバーの急な休みの場合には、緊急で呼び出される可能性もありますが、この場合には他の勤務日に休みが割り当てられます。

休みの希望を叶えるためには?

看護師が休みの希望を叶えるためには、休みを調整するためのコツや調整しやすい職場・施設を把握しておくことが大切です。工夫次第では看護師も休みの希望を実現しやすくなるので、休みを重視する人はとくに参考にしてみてくださいね。

看護師が休みを調整するためのコツ

看護師が休みを調整するためのコツを以下にまとめました。

早めに希望を出す

多くの看護師の休み希望と病棟の状況に合わせてシフトが作成されるため、早めに休み希望を出すことは重要です。とくに2日以上のまとまった休みを取りたいときは、希望提出前から病棟師長に伝えておくと調整してもらえる可能性が高まります。

夜勤明けの時間を活用して連休を作る

夜勤明けで午前中に帰宅できる場合には、休日と同じような時間の使い方ができます。そのため、夜勤明けと休日を組み合わせて希望を出すことで、2連休と同じように過ごせる特徴があります。

同僚とコミュニケーションをとっておく

同僚と予定を早めに共有することも大切です。こうしたコミュニケーションによって、シフト交換などでお互いに協力し合えるため、休みも調整しやすくなるでしょう。

月マタギの有休を申請する

月マタギの有休とは月末に休み希望を出しておき、翌月初に有給を申請する方法です。これによりひと月の希望申請日数を守りつつ、連休を作ることができます。ただしできるだけ有給取得率の高い職場を選ぶことが重要です。

休みが調整しやすい職場・施設

次は比較的休みが調整しやすい傾向にある職場・施設を紹介します。

大学病院・国立病院

大学病院や国立病院は看護師の人員が比較的多くシフト制度が整備されているため、休みの調整がしやすいとされています。また院内異動の希望を出せる場合もあるため、自分のライフスタイルに合った勤務場所で働きやすいというメリットも挙げられます。

訪問看護ステーション

訪問看護ステーションでは、一般的に平日に患者対応が行われます。そのため、土日祝日は休みであるケースが多く見受けられます。家族や友人と予定を合わせたい場合に適した職場といえるでしょう。

介護事業所

介護事業所では、看護師の人員は少数ですが日勤のみである場合がほとんどです。また病棟で大人数の看護師とシフト調整する場合と異なり、少人数でシフト希望を出し合うためスムーズに調整しやすい点が魅力といえます。

クリニック

クリニックにも夜勤がなく一般的に平日勤務となるため、土日祝日や年末年始に休みを希望する場合に適した職場です。看護師の配置人数はクリニックによって大きく異なります。看護師1人体制のクリニックよりは3人体制のほうが休み希望を通しやすいため、事前に求人情報をチェックしましょう。

現役看護師に聞いた休みの過ごし方

ここからは、現役看護師へのアンケート調査の結果からわかった休日の過ごし方について解説します。

休日の過ごし方 第1位は「家事」

看護師の休日はどのように過ごしていますか?

 ※ナース専科アンケート調査より

アンケート調査の結果、30%以上の看護師は休日に家事をすると回答しました。次いで睡眠と答えた人が20%と2番目に多い結果に。そのほかマッサージ・ヨガなどのリラクゼーションと、仕事関連の勉強に時間を使う看護師がそれぞれ約10%でした。

看護師の休日の過ごし方の例

ここからは、具体的にどのように過ごしているのかを項目別に見ていきましょう。

掃除や部屋の片づけをする

仕事でストレスを感じると、家に帰ったあとの家事に時間をかけるのが苦痛なことがあります。そのため、休日に徹底的に掃除や整理整頓をして気持ちをすっきりさせるという回答が多く見受けられました。

睡眠時間を長めにとる

夜勤や遅番などの不規則勤務によって、免疫力の低下や肌荒れのリスクがあります。そのため「とにかく寝る」という看護師が多いようです。寝ることで体力を回復するだけでなく、心の休息にもなるという回答も見受けられました。

看護知識の勉強をする

仕事のときにとったメモをノートにまとめ直して復習、1年で身につけたい知識について学ぶなど、休日に自分のペースで勉強して過ごす看護師も多いようでした。

習い事・趣味に打ち込む

休日は趣味でストレスを発散するという回答もありました。貴重な休日を寝潰してしまうともったいない、という看護師は不規則勤務の合間にも習い事・趣味・友達と過ごすなどに時間を使う傾向にあるようです。

看護師の休み・働き方を理解して病院選びに役立てる

看護師の休みの日数は少なくはないものの、不規則だったり調整しにくかったりする場合があります。しかし、職場によっては休みの調整がしやすい環境が整備されている場合もあります。看護師の休み事情を理解して自分のライフスタイルや働き方に合わせて、病院選びを行うことが大切です。

参考

日本看護協会:2023 年 病院看護実態調査 報告書

令和4年就労条件総合調査_概況|厚生労働省

労働基準法|e-Gov法令検索

執筆者情報

プロフィール画像

村上 舞

murakami-mai

帝京大学医療技術学部看護学科卒業後、医療法人徳洲会 湘南藤沢徳洲会 整形外科病棟に4年半勤務。その後循環期病棟、呼吸器内科病棟、回復期病棟、特養、デイサービス、クリニック、健診センター等、様々な職場を経験。現在はライターとして活動中。