高度急性期病院とは?急性期・回復期・慢性期との違いと看護師の働き方

高度急性期病院とは?急性期・回復期・慢性期との違いと看護師の働き方

最終更新日:2025/10/31

高度急性期病院は、医療機能のなかでも最も高度で集中的な治療を担う場です。この記事では、急性期・回復期・慢性期との違いや、看護師に求められる役割、働き方の特徴を解説します。さらに、勤務経験者の声をもとに、やりがいや大変さ、志望する際の注意点についても紹介します。

高度急性期病院とは

高度急性期病院とは、生命に関わる重篤な症状に陥った患者さんに対し高度かつ専門性の高い医療を提供する機能を持つ病院のことです。一般的な急性期病棟に加え、救急救命センターやICUなど、高度急性期機能を担う部署を備えており、24時間体制で集中的な治療を行っています。

高度急性期機能の役割

厚生労働省は、高度急性期機能を「急性期の患者に対し、状態の早期安定化に向けて、診療密度が特に高い医療を提供する機能1)」としています。つまり、重篤かつ緊急性の高い患者さんに対する救命と集中的治療を担い、医療の最前線で生命を支える役割を持つといえるでしょう。

高度急性期病棟・部署の代表例

高度急性期病院といっても、高度急性期機能を担う病棟・部署のみで構成されるわけではありません。急性期病院に高度急性期機能が加えられた施設というのが一般的です。高度急性期に対応する代表的な病棟・部署には次のようなものがあります。

主な高度急性期病棟・部署と役割

病棟・部署名 主な役割
救命救急病棟
(救命救急センター)
三次救急を担い、重篤な救急患者さんへの24時間対応
集中治療室
(ICU)
多臓器不全や術後管理などの重症患者さんへの集中的な治療と全身管理
冠疾患集中治療室
(CCU)
心筋梗塞や重症不整脈など冠動脈疾患に対する集中治療
脳卒中集中治療室
(SCU)
脳梗塞・脳出血などの脳卒中患者さんへの専門的治療
新生児集中治療室
(NICU)
出産後間もない重症新生児や早産児に対する集中管理と治療
新生児治療回復室
(GCU)
NICUで状態が安定した新生児対する管理と治療
小児集中治療室
(PICU)
重篤な疾患・外傷や術後の小児に対する集中治療と管理
総合周産期集中治療室 母体と新生児の双方に対する高度医療・集中管理
ハイケアユニット
(HCU)
ICUほど重症ではないが、集中治療が必要な患者さんを管理

病院によって備えている病棟・部署は異なり、地域での役割や病院の規模によってもその構成は変わってきます。

︎急性期・回復期・慢性期との違い

医療機関の機能は、高度急性期、急性期、回復期、慢性期の4つに分類されます。高度急性期病院は診療科ごとに急性期病棟を併設しているのが一般的で、なかには回復期病棟を併設している施設もあります。それぞれの特徴を理解しておくことが大切です。

病院の特徴と規模

下表は、医療機能ごとの病院の特徴や規模、全国の病床数をまとめたものです。

【医療機能別】病院の特徴・病床数

病院の特徴 病床数
高度急性期 全国的に数は限られ、大規模病院(大学病院や特定機能病院)に多い 16万2000床
(14%)
急性期 地域の中核病院に多く、病床規模も比較的大きい傾向にある 51万8000床
(44%)
回復期 中小規模病院が多く、リハビリテーションに特化した病院もある 21万1000床
(18%)
慢性期 療養型病院や介護医療院などが中心 29万7000床
(25%)

参考: 厚生労働省:地域医療構想の進捗等について

2023年度病床機能報告による見込み値ですが、2025年度の全国の病床数をみると、急性期が最も多く約44%を占め、高度急性期は全体の14%とされています。高度急性期病棟を備えている病院の多くは急性期病棟も併設しており、大学病院や医療センターなど比較的規模が大きい傾向にあります。

対象となる患者さん

医療機能によって、対象となる患者さんの状態や疾患、入院期間の目安も異なります。

【医療機能別】対象患者さんの特徴と入院期間

医療機能 対象となる患者さん 疾患・状態の例 入院期間の目安
高度急性期 救急搬送や手術直後など、生命の危機的状況にある重症患者さん 心筋梗塞、脳卒中の急性期、多発外傷など 数日
急性期 発症から間もなく、病状が不安定で、24時間体制の治療・管理が必要な患者さん 肺炎、がん手術後、骨折術前後など 1~3週間程度
回復期 急性期を脱し、社会復帰のために機能回復を必要とする患者さん 脳梗塞後の麻痺や骨折術後のリハビリテーション、廃用症候群など 1~3カ月程度
慢性期 医療依存度が高く、長期的な療養や介護が必要な患者さん 認知症、神経難病、長期人工呼吸管理など 数カ月〜年単位

高度急性期は、短期間に集中して治療を行うケースが中心となるため、患者さんの入院期間は短めです。治療後は急性期や回復期へ転棟・転院することが多くなります。

看護師の働き方

高度急性期と急性期・回復期・慢性期では役割や対象となる患者さんが異なるため、看護師の働き方も変わります。下表では医療機能ごとの看護の特徴や職場例をまとめました。

【医療機能別】看護の特徴と職場例

医療機能 看護師配置の目安 看護の特徴 職場例
高度急性期 2:1
3:1
4:1
治療介助や医療処置が中心 救急、ICU、NICUなど
急性期 7:1
10:1
治療介助や医療処置が中心 一般病棟
回復期 13:1
15:1
リハビリテーション支援や在宅復帰支援が中心 回復期リハビリテーション病棟、地域包括ケア病棟など
慢性期 13:1
20:1
日常生活援助や長期療養支援が中心 療養病棟、介護医療医院など

職場によって具体的な働き方や仕事内容は異なりますが、高度急性期や急性期では医療処置の機会が多く、看護配置基準に応じて受け持ち患者さんの数も少なめです。回復期や慢性期では受け持ち患者さんの数が高度急性期・急性期よりも多くなります。

︎高度急性期で働く看護師の役割・仕事内容

ここでは、高度急性期で働く看護師の役割と具体的な仕事内容を解説します。

看護師の役割

高度急性期で働く看護師の役割は、重篤な状態にある患者さんに対し、迅速かつ的確な判断を行い、安全に治療が進められるよう支援することです。

救命や集中治療が中心となるため、全身状態を把握・管理するための看護技術やアセスメント力、医師や多職種と連携しながら優先順位をつけて行動する力が求められます。

また、患者さん本人の意思確認が難しい場合も多いため、家族とコミュニケーションを図って情報を得たり、説明・サポートを行うのも重要な役割です。

主な仕事内容

ここでは、高度急性期病棟の看護師が一般的に担う仕事内容を紹介します。救急やICUなどの部署や病棟によって詳細は異なるため、あくまで一例として捉えてください。

高度急性期病棟における看護師の業務一覧
診療補助 ・救急処置・緊急検査の介助
・医師の指示に基づく処置の実施
全身状態の観察・管理 ・バイタルサインや心電図モニタによるモニタリング
・輸液量や尿量の観察、ドレーン管理
・疼痛管理
・急変時の対応
高度な医療機器の管理・操作 ・人工呼吸器やシリンジポンプ・輸液ポンプの管理
緊急入院・転棟の準備・対応 ・救急搬送患者さんや急変患者さんの受け入れ準備
患者さんと家族の支援 ・患者さんと家族の精神的フォロー
・入院オリエンテーション
他職種との連携 ・医師や薬剤師など医療チームへの報告・連携
・状態が安定した患者さんが転棟する際の準備と申し送り
日常生活の援助 ・排泄・清潔など、患者さんの日常生活援助

︎高度急性期病棟の1日スケジュール例

高度急性期病棟で働く看護師の1日のスケジュールは、救命救急病棟やICUなど部署によって異なります。基本的に24時間体制で看護に当たりますが、2交代制や3交代制など病院によって勤務形態は異なります。

ここでは、ひとつの例として、高度急性期病棟の一般的な1日の流れを紹介します。

日勤のスケジュール

高度急性期病棟で働く看護師の1日スケジュール例(日勤)

夜勤のスケジュール

高度急性期病棟で働く看護師の1日スケジュール例(夜勤)

部署別の1日の流れや具体的な仕事内容は、下記の記事を参考にしてください。

︎経験者が語る〜志望理由からやりがい・大変なことまで〜

ここからは、高度急性期病棟で勤務していた看護師の経験談をもとに、習得できるスキルや魅力、大変だったことなどを紹介します。新卒時から高度急性期を目指すメリットもまとめているので、参考にしてください。

看護師Mさん

M さん

新卒で関東の大学病院に入職。脳卒中集中治療室(SCU)に5年間勤務し、基礎看護から高度急性期医療、脳外科の専門知識などを習得。経験を積むなかで回復期や在宅支援に関心を持ち、大学病院を退職。その後は地方へ移住し、在宅療養をしている難病患者さんの支援に携わっている。

志望した理由は?

テレビ番組で見たフライトナースに憧れ、ドクターヘリが配備されている病院を志望しました。フライトナースを目指してSCUで経験を積みましたが、働くなかで患者さんの回復や在宅生活に興味を持ち転職しました。現在は、高度急性期で培ったスキルを活かして、在宅支援に携わっています。

培われるスキルは?

高度急性期では、患者さんの変化に即応する力が養えます。刻々と変化する患者さんの状態を読み取る観察力、得た情報から全身状態をアセスメントする力はもちろん、緊急検査や処置、緊急入院なども多いため、優先順位を判断しながら看護する力も身につきます。

さらに、急変時の対応や、呼吸器・心電図モニタなどの医療機器の操作など、看護師として身につけておきたい基礎知識と技術も習得できる現場だと思います。

やりがい・魅力は?

チーム医療で患者さんを支え、回復を目指すことにやりがいを感じました。SCUでは、1人の患者さんに多くのスタッフが関わるため、医師やリハビリテーション担当者と密に連携しながらケアを提供できます。

またSCUの場合は専任医師がいるため、病態や治療について質問しやすく、勉強会などで学べる機会も多かったところが魅力でした。

大変だったことは?

高度急性期のスピードについていくことです。患者さんの状態が刻々と変化し、さらに短期間で患者さんが入れ替わるなか、適切な看護をしなければならないところは大変だと感じていました。

また、入職直後は基本の知識を身につけながら高度な専門知識や技術も覚えなければならず、負担を感じることもありました。

その後キャリアプランやおすすめの資格は?

高度急性期では生命維持に直結する基礎看護の知識がしっかり学べるので、それはどの分野でも活かしていけると思います。経験を重ねながら関心を持った診療科や分野に進むのというのもおすすめです。

高度急性期での経験を活かしてより専門性を極めたいなら、フライトナースという選択肢もあります。救急での実務経験や救命関連の資格が必要ですが、救命救急の第一線で活躍できると思います。

新卒で高度急性期を目指すのはおすすめ?

高度急性期で身につけられる知識・技術はどのような分野でも活用できるため、新卒時から高度急性期を目指すのもよいでしょう。

ただし、そのスピード感や学ぶことの多さに対応できない人もいます。とりあえず高度急性期に入職しておこうという安易な気持ちで目指すのはおすすめしません。

また、高度急性期病棟・部署を目指して入職したとしても、一般急性期病棟に配属される可能性もあります。

高度急性期で経験が積めなくても、看護師としての活躍の場は多様です。志望先を決める前に、自己分析や看護観の掘り下げを行い、自分に合う分野を見つけることが大切です。

︎新卒から高度急性期病院で働くためには

ここからは、新卒から高度急性期を目指すために、学生のうちにやっておきたいことを紹介します。

高度急性期病院の特徴を理解する

高度急性期病院は、教育体制が整った大規模病院が多く、医療の基礎から最先端の知識・技術まで幅広く学べます。

一方で、業務の速度が速く密度が濃いことで、患者さんとゆっくり関われない場合が多くなります。緊急対応のために残業が求められることも増えそうです。メリットとデメリットの両面を理解して、自分に合う環境かどうかを見極めましょう。

向いている人の特徴

優先順位を的確に判断し変化する状況に対応できる人、スピード感のある環境で知識や技術を磨きたい人、病態生理や医療処置に関心がある人に向いています。救命救急や集中治療など重症度の高い医療に関心がある人には、成長の機会が多い職場といえるでしょう。しかし最も大切なのは「高度急性期で患者さんを支えたい」という志だということは覚えておいてください。

学生時代にやっておくとよいこと

新卒時から高度急性期病院を目指す場合、早めの就職活動と情報収集が重要です。病院によっては、採用時期が早く、競争率が高いところもあります。

また、学校の成績も採用を左右するポイントになり得ます。特に競争率が高い病院に入職するためには、学校でしっかりとした成績を納めることが大切です。

︎高度急性期病院の特徴を理解してキャリアを選択しよう

高度急性期は、高度な医療を学びながら看護の基礎をしっかり築ける領域であり、医療の最前線で患者さんの生命を支える仕事には大きなやりがいがあります。一方で、学ぶべきことが多く、スピード感のある環境に対応する大変さもあります。自分に合ったキャリアを築くためにも、高度急性期の特徴を理解したうえで志望先を選択することが大切です。

引用・参考文献

1)厚生労働省:令和5年度病床機能報告の実施等についてp.4(2025年10月29日閲覧)
・厚生労働省:地域医療構想の進捗等について(2025年10月29日閲覧)
・厚生労働省:令和6年度診療報酬改定の概要 【入院Ⅱ(急性期・高度急性期入院医療)】(2025年10月29日閲覧)

執筆者情報

プロフィール画像

柴田 実岐子

shibata-mikiko

福岡県生まれ。大学卒業後、一般企業に勤務し、社会人から看護師免許を取得。急性期外科などで経験を積んだのち、精神科、慢性期の一般病棟、健診センターなどさまざまな職場で勤務。さらに夜勤専従・派遣・応援ナースなど、多種多様な働き方を経験した。現在は離島移住をきっかけに、へき地医療に従事しながらライターとして活動中。