認定看護師とは?役割・種類・新人から資格取得する流れを解説

認定看護師とは?役割・種類・新人から資格取得する流れを解説

最終更新日:2024/11/01

認定看護師は、特定の分野における高い水準の能力が認められたスペシャリストのことで、看護師のキャリアアップにつながる代表的な資格です。今回は、認定看護師の役割や種類、制度の概要や資格取得の流れを解説します。

認定看護師とは

認定看護師とは日本看護協会が認定している資格で、特定の看護分野において熟練した看護技術と知識を有する看護師のことです。

医療の高度化や専門分化に対応できる看護師育成のため、看護師の卒業後教育の一環として1995年に制度化されました。さらなる医療体制の変化や国民の健康ニーズの変化に対応するべく、2019年より制度改正が行われています。

認定看護師の役割

日本看護協会が提示している認定看護師の役割は、実践・指導・相談の3つです。

参照:日本看護協会:認定看護師
1.実践 個人、家族及び集団に対して、高い臨床推論力と病態判断力に基づき、熟練した看護技術及び知識を用いて水準の高い看護を実践する。
2.指導 看護実践を通して看護職に対し指導を行う。
3.相談 看護職等に対しコンサルテーションを行う。

認定看護師の役割は、看護を必要とする人に対し、病院をはじめあらゆる場で質の高い看護を提供することです。また専門的な技術と知識を活かして、ほかの看護師を指導したり、職種を超えて医療従事者の相談にのったりするのも認定看護師の役割とされています。

認定看護師と専門看護師の違い

日本看護協会が認定している資格には、認定看護師のほかに専門看護師や認定看護管理者などもあります。以下では、認定看護師とよく比較される専門看護師の違いを表にまとめました。

参照:日本看護協会:資格制度
認定看護師 専門看護師
概要 特定の看護分野において熟練した看護技術と知識を有する看護師 特定の専門看護分野において卓越した看護実践能力を有する看護師
役割 実践
指導
相談
実践
相談
調整
倫理調整
教育
研究
看護分野 A課程:21分野
(2029年度まで受験可能)
B課程:19分野
(2021年度から受験可能)
14分野
登録者数 24,095人(2023年12月末時点/A課程・B課程合算) 3,316人(2023年12月末時点)
受験資格 ・通算5年以上の実務経験(通算3年以上の認定看護分野経験)
・A課程:600時間以上の課程修了
・B課程:800時間程度の課程修了
・5年以上の実務経験
・看護系大学院修士課程修了
教育課程の
履修期間
半年〜1年 2年

認定看護師と専門看護師の大きな違いは求められる役割です。認定看護師は看護現場において、実践・指導・相談の3つの役割が求められます。一方、専門看護師は実践・相談・調整・倫理調整・教育・研究の6つの役割が求められ、看護現場に加え教育や研究の場での活躍も期待されています。

認定看護師の種類

認定看護師課程には、制度施行後に規程が改正されたことから、現在は改正前の認定看護師A課程と改正後の新たな認定看護師B課程の2つがあります。ここでは、A課程とB課程の違いやそれぞれの認定看護分野の種類について解説します。

2021年から新たな認定看護制度へ

医療提供体制や医療ニーズが変化するなか、より高い水準の看護実践が提供できる人材を育成するため、2019年に認定看護師制度の改正が行われました。

A課程とB課程の違い

2024年時点では、現行の認定看護師(A課程)と新たな認定看護師(B課程)が存在します。下記はA課程とB課程の違いをまとめたものです。

参考:日本看護協会:認定看護師
現行の認定看護師
(A課程)
新たな認定看護師
(B課程)
看護分野 21分野 19分野
教育課程 ・600時間以上
・集合教育
・800時間程度
・特定行為研修あり
・集合研修(eラーニングを含む)
教育機関 2026年度で教育は終了 2020年度より教育を開始
認定審査 2029年度まで認定審査を実施
(更新審査は継続)
2021年度から認定審査を開始

制度改正によって変更されたのは、教育課程のカリキュラムと認定看護分野の種類です。

教育カリキュラムは、現行のA課程は600時間以上でしたが改定後のB課程は800時間程度に増え、特定行為研修が追加されました。特定行為とは、診療の補助として医師の指示のもとに看護師が実施できる行為のことで、例としては、気管カニューレの交換や一部の薬剤の臨時投与などがあります。

認定看護分野については改正後に一部の分野が統合・名称変更され、A課程21分野からB課程19分野になりました。

A課程の認定審査は2029年度に修了となりますが、すでにA課程の認定を受けている人は特定行為研修を修了し所定の手続きを行えば、A課程からB課程認定看護師へ移行できます。なお、A課程認定看護師の更新審査は永続的に実施されるため、B課程に移行せずA課程の資格を継続することも可能です。

看護分野の種類

以下が、A課程とB課程の認定看護分野の一覧です。赤字部分は2019年の改正で行われたで統合・変更点とその理由を示しています。なお、分野別の登録者数は2023年12月末時点のものです。

引用:日本看護協会:認定看護師
登録者数:日本看護協会:認定看護分野・データで見る認定看護師
A課程 B課程 B課程の分野で求められる主な知識と技術
分野(21) 登録者数 分野(19) 登録者数
感染管理 3,104 感染管理 549 ● 医療関連感染の予防・管理システムの構築
● 医療管理感染の予防・管理に関する科学的根拠の評価とケア改善
● 医療関連感染サーベイランスの立案・実施・評価
● 身体的所見から病態を判断し、感染兆候がある者に対する薬剤の臨時投与ができる知識・技術
がん放射線療法看護 368 がん放射線療法看護 31 ● 放射線治療を受ける対象の身体的・心理的・社会的アセスメント
● 再現性確保のための支援
● 急性期及び晩期有害事象に対する症状マネジメントとセルフケア支援
● 医療被曝を最小限にするための放射線防護策、安全管理技術
がん化学療法看護 1,576 がん薬物療法看護 205 第3期がん対策推進基本計画から「化学療法」が「薬物療法」に用語変更されたため
● がん薬物療法の適正な投与管理とリスクマネジメント、ばく露対策
● がん薬物療法に伴う症状緩和
● 自宅での治療管理や有害事象に対応するための個別的な患者教育
● 患者・家族の意思決定支援と療養生活支援
緩和ケア看護 2,461 緩和ケア 206 緩和ケア・がん性疼痛看護の両分野の強みを活かし幅広く活動できるよう統合
● 痛みやその他の身体的・心理社会的・スピリチュアルな問題のアセスメント
● 全人的問題を緩和し、QOLを向上するための症状マネジメント
● 家族の喪失や悲嘆への対応
がん性疼痛看護 724
救急看護 1,141 クリティカルケア 697 医療社会のニーズに応じ、集中治療を必要とする重症患者へのケアを専門とする新たな分野として創設
● 急性かつ重篤な患者の重篤化回避と合併症予防に向けた全身管理
● 安全・安楽に配慮した早期回復支援
● 身体所見から病態を判断し、侵襲的陽圧換気・非侵襲的陽圧換気の設定の変更、人工呼吸管理がなされている者に対する鎮静薬の投与量の調整、人工呼吸器からの離脱ができる知識・技術
● 身体所見から病態を判断し、持続点滴中の薬剤(カテコラミン、ナトリウム、カリウム又はクロール、降圧剤、糖質輸液又は電解質輸液、利尿剤)の投与量の調整を安全・確実にできる知識・技術
集中ケア 978
慢性呼吸器疾患看護 274 呼吸器疾患看護 99 急性と慢性は連続性を持った病態であるため、区別せずに専門的なケアが必要
● 呼吸症状のモニタリングと評価、重症化予防
● 療養生活行動支援及び地域へつなぐための生活調整
● 症状緩和のためのマネジメント
● 身体所見を病態判断し、侵襲的陽圧換気・非侵襲的陽圧換気の設定の変更、人工呼吸管理がなされている者に対する鎮静薬の投与量の調整、人工呼吸器からの離脱ができる知識・技術
訪問看護 677 在宅ケア 82 受講者に退院支援担当者なども加わり、現行の分野名では役割を表現しきれなくなったため
● 生活の場におけるQOLの維持・向上とセルフケア支援
● 対象を取り巻くケアシステムの課題に対する解決策の提案
● 生活に焦点をあてた在宅療養移行支援及び多職種との調整・協働
● 意思決定支援とQOLを高めるエンド・オブ・ライフケア
● 身体所見から病態を判断し、気管カニューレの交換が安全にできる知識・技術
● 身体所見から病態を判断し、胃ろうカテーテル若しくは腸ろうカテーテル又は胃ろうボタンの交換が安全にできる知識・技術
● 身体所見から病態を判断し、褥瘡又は慢性創傷の治療における血流のない壊死組織の除去が安全にできる知識・技術
手術看護 640 手術看護 119 ● 手術侵襲及びそれによって引き起こされる苦痛を最小限に留めるためのケア
● 手術中の患者の急変及び緊急事態への迅速な対応
● 患者及び家族の権利擁護と意思決定支援
● 身体所見から病態を判断し、経口用気管チューブ又は経鼻用気管チューブの位置の調整ができる知識・技術
● 身体所見から病態を判断し、侵襲的陽圧換気の設定の変更、人工呼吸器からの離脱ができる知識・技術
● 身体所見から病態を判断し、直接動脈穿刺法による採血、橈骨動脈ラインの確保ができる知識・技術
● 身体所見から病態を判断し、硬膜外カテーテルによる鎮痛薬の投与及び投与量の調整ができる知識・技術
● 身体所見から病態を判断し、持続点滴中の糖質輸液又は電解質輸液の投与量の調整ができる知識・技術
小児救急看護 238 小児プライマリケア 27 救急以外にも外来や地域などプライマリの場を中心に子どもの健康問題に対応できるようにするため
● 重篤な状態にある児もしくは医療的ケア児に対する重症化予防
● 外来及び地域等のプライマリケアの場におけるトリアージ
● 家族の家庭看護力・育児力向上に向けたホームケア指導
● 不適切な養育または虐待の予防、早期発見と、子どもの事故防止
● 身体所見及び気管カニューレの状態を病態判断し、気管カニューレの交換が行える知識・技術
新生児集中ケア 410 新生児集中ケア 8 ● ハイリスク新生児の急性期の全身管理
● 障害なき成育のための個別ケア
● ハイリスク新生児と親への家族形成支援
● 不適切な養育または虐待のハイリスク状態の予測と予防
● 身体所見及び気管カニューレの状態を病態判断し、気管カニューレの交換が行える知識・技術
慢性心不全看護 457 心不全看護 80 急性と慢性は連続性を持った病態であるため、区別せずに専門的なケアが必要
● 心不全症状のモニタリングと評価、重症化予防
● 療養生活行動支援及び地域へつなぐための生活調整
● 症状緩和のためのマネジメント
● 身体所見から病態を判断し、持続点滴中の薬剤(カテコラミン、ナトリウム、カリウム又はクロール、降圧剤、糖質輸液又は電解質輸液、利尿剤)の投与量の調整を安全・確実にできる知識・技術
透析看護 273 腎不全看護 51 透析導入を予防するためには「透析看護」では不十分なため
● 疾病の進展予防、合併症の早期発見と症状マネジメント、セルフケア支援
● 腎代替療法の選択・変更・中止にかかわる自己決定に向けた支援
● 透析療法における至適透析の実現に向けた支援
● 急性血液浄化療法における血液透析器又は血液透析濾過器の操作及び管理を安全・確実にできる知識・技術
不妊症看護 170 生殖看護 2 近年では 「生殖医療」 に不妊症が包含されているため
● 性と生殖の機能、その障害とリスク因子に関する知識に基づく妊孕性の評価
● 性と生殖の健康課題に対する、多様な選択における意思決定支援
● 患者・家族の検査期・治療期・終結期の安全・安楽・納得を守る看護実践とケア調整
● 妊孕性温存及び受胎調節に関する指導
摂食・嚥下障害看護 1,056 摂食嚥下障害看護 173 「摂食・嚥下」から「摂食嚥下」へ用語が変更となったため
● 摂食嚥下機能とその障害の評価
● 摂食嚥下機能の評価結果に基づく適切な援助・訓練方法の選択
● 誤嚥性肺炎、窒息、栄養低下、脱水の増悪防止に向けたリスク管理
糖尿病看護 733 糖尿病看護 244 ● 血糖パターンマネジメント
● 病期に応じた透析予防、療養生活支援
● 予防的フットケア
● 身体所見から病態を判断し、インスリンの投与量の調整ができる知識・技術
乳がん看護 352 乳がん看護 37 ● 術後合併症予防及び緩和のための周手術期ケアと意思決定支援
● ライフサイクルの課題を踏まえた、治療に伴う女性性と家族支援
● 乳房自己検診、リンパ浮腫等の乳がん治療関連合併症の予防・管理
● 身体所見から病態を判断し、創部ドレーンの抜去ができる知識・技術
認知症看護 2,007 認知症看護 309 ● 認知症の症状マネジメント及び生活・療養環境の調整
● 認知症の病期に応じたコミュニケーション手段の提案と意思決定支援
● 家族への心理的・社会的支援
● 身体所見から病態を判断し、抗けいれん剤、抗精神病薬及び抗不安薬の臨時の投与ができる知識・技術
脳卒中リハビリテーション看護 741 脳卒中看護 63 「リハビリテーション」という用語によって看護を提供する場が限定されたイメージであるため
● 重篤化回避のためのモニタリングとケア
● 早期離床と生活の再構築に向けた支援
● 在宅での生活を視野に入れたケアマネジメントと意思決定支援
● 身体所見から病態を判断し、抗けいれん薬、抗精神病薬及び抗不安薬の臨時の投与ができる知識・技術
皮膚・排泄ケア 1,970 皮膚・排泄ケア 763 ● 褥瘡のトータルマネジメント
● 管理困難なストーマや皮膚障害を伴うストーマケア
● 専門的な排泄管理とスキンケア
● 脆弱皮膚を有する個人・リスクがある個人の専門的なスキンケア
● 地域包括ケアシステムを視野に入れた同行訪問実施とマネジメント
● 身体所見から病態を判断し、褥瘡又は慢性創傷の治療における血流のない壊死組織の除去及び創傷に対する陰圧閉鎖療法ができる知識・技術

A課程は、2026年に教育が終了し、2029年には認定審査も終了となります。実務経験や教育課程修了の期間を考慮すると、これから看護師免許を取得する人が目指せるのはB課程のみとなりますので注意してください。

認定看護師になるには

ここからは看護師免許取得から認定看護師になる流れや難易度、認定看護師を目指す人が新卒時の就職先を選ぶポイントを解説します。

認定看護師になる流れ

認定看護師へのステップ

参考:日本看護協会:認定看護師になるには

認定看護師になるためには、看護師免許を取得後、通算5年以上の実務経験(うち3年以上は認定看護分野の実務経験)が必要です。実務経験を積んだ後、日本看護協会が認める教育機関で所定の教育を修了すれば認定審査の受験資格が得られます。

認定審査は毎年1回実施されており、審査に合格した人は所定の登録手続きを行うと、認定看護師認定証が交付されます。認定看護師は、資格取得後も5年ごとの更新審査を受けなければなりません。

認定看護師の難易度は?

正式には発表されていませんが、教育機関などが個別に発表しているデータを参考にすると、認定審査の合格率は90%以上となっているようです。

しかし認定看護師になるには、審査に合格するほかに通算5年以上の実務経験(うち3年以上は認定看護分野の実務経験)が必要で、さらに所定の教育機関で教育課程を受講しなければならないなどのハードルがあります。

実務経験を積む期間と教育を受ける期間を合わせると、認定看護師になるには新卒から最低でも6年程度かかります。

さらに、認定看護師の教育機関の数は多いとはいえず、各分野の定員数も10〜30名程度となっています。教育機関に入学する難易度も考慮すると、認定看護師はハードルが高めの資格といえます。

認定看護師になるための費用は?

認定看護師になるためには、教育機関の学費や認定審査を受けるための審査料、認定看護師登録手続きに必要な認定料などが必要です。認定看護師になるための費用例を以下にまとめました。

参考:日本看護協会:認定看護師
認定看護師になるための費用 合計:120万円程度
内訳 教育機関の学費 受験料 50,000円程度
入学金 50,000円程度
受講料・実習料 100,0000円程度
認定看護師の審査料 51,700円
認定看護師登録の認定料 51,700円

認定看護師になるための合計費用は120万円程度となります。このほか通学費なども必要です。教育機関の学費は学校や受講する看護分野によって異なるため、上記は目安と考えてください。

また、所定の教育機関で授業を受けるためには、仕事を辞めるか休職しなければならない場合もあることを頭に入れておきましょう。また、経済的負担を減らすために、日本看護協会の奨学金制度や病院の資格支援制度の活用も検討するとよいでしょう。

新卒の就職先はどのように選べばよい?

将来的に認定看護師資格の取得を考えている人は、以下のようなポイントを踏まえて新卒の就職先を選んでみましょう。

  • 認定看護師が活躍している病院
  • 資格取得支援制度がある病院
  • 認定看護分野の実務経験が積める病院

すでに認定看護師が活躍している病院を選べば、実際にどのような活動をしているかイメージがつきやすくなります。興味のある認定看護分野が決まっている人は、その分野の認定看護師が活動している病院を選ぶとよいでしょう。

興味のある分野がまだ定まっていない人は、感染管理や認知症看護などの分野で認定看護師が活動している病院を選んでみてください。認定看護分野には、手術看護認定看護師は手術室、小児プライマリケア認定看護師は小児病棟のように、活動の場が限定されがちなものもあります。しかし、感染管理や認知症看護の場合は、病棟に留まらず病院全体を横断的に活動することが少なくありません。そのため、配属先に関わらず認定看護師と接する機会が作りやすいかもしれません。

病院によっては、資格取得支援として休職させてくれるところや、学費を支援してくれるところもあります。病院選びの際に、資格支援制度の具体的な内容や実績を確認しておきましょう。また、認定看護師の条件に必要な実務経験が積める病院を選ぶのもポイントです。どの特定分野を目指すか定まっていない人は、なるべく多くの診療科がある病院を選ぶとよいでしょう。

認定看護師の働き方の例

認定看護師の働き方や活躍の場は、病院によってさまざまです。ここでは病院で実際に活躍している認定看護師の例を紹介します。

皮膚・排泄ケア認定看護師のSさん

  • 手術室 所属
  • 褥瘡予防チームの中心として活動
  • 院内外の研修講師も務めている

Sさんは外科病棟と手術室で実務経験を積み、皮膚・排泄ケア認定看護師資格を取得しました。現在は手術室に所属し、午前中は病院全体の患者さんに対する褥瘡の予防やケア、ストーマケアなどの業務を担当し、午後は手術室看護師として勤務しています。

認定看護師のスキルを活かし、褥瘡予防チームの中心として、医師や看護師へ褥瘡ケアの方法を提案したり、認定分野の院内研修の企画や実施、看護学校での講師業務などを行っています。

緩和ケア認定看護師のKさん

  • 外科系病棟 所属
  • 看取りケアの中心として活動
  • 院内外の研修講師も務めている

Kさんは中規模病院の外科系病棟に勤務しており、緩和ケアが必要な患者さんや看取りの患者さんが多いことから、緩和ケア認定看護師資格を取得しました。普段は外科系病棟の看護師として業務を行っています。

認定看護師のスキルを活かし、院内の緩和ケアが必要な患者さんや、看取りの患者さんと家族に対する看護、看取りに携わった看護師のこころのケアを行っています。病院業務と並行し、院内外の研修、学会などでも活動中です。

感染管理認定看護師のIさん

  • 感染対策室 所属
  • 院内の感染対策業務を担当

Iさんは感染管理認定看護師の資格を取得後、感染対策室の専任看護師として勤務しています。感染対策室は、安全な医療を提供するために院内全体の感染対策関連の業務を担っている部署です。専門的な知識を活かし、感染対策マニュアルの作成や、感染症発生時の対応、新人研修の講師などを務め活躍しています。

認定看護師を目指すメリット・デメリット

ここからは、認定看護師を目指すメリットとデメリットを紹介します。

認定看護師を目指すメリット

認定看護師を目指すメリットは、以下の3つです。

キャリアアップにつながる

認定看護師を目指すメリットは、自身のキャリアアップにつなげていけることです。認定看護師を目指すことで専門的な知識と技術が学べ、自分自身が成長できます。資格取得後も、学んだ分野のスペシャリストとして、認定看護分野でリーダーシップを発揮しながら、さらに経験を積むこともできるでしょう。

また資格を取得すれば、専門的な看護分野で高度なスキルを習得した証明として、客観的な評価の指標にもなるはずです。

活躍の場が広がる

認定看護師には、病棟以外にも活躍の場を広げられるというメリットもあります。専門スキルを活かし、認定看護分野に関連した医療チームの中心として病院全体の医療に関われたり、院内外の指導に携われたりと、病棟看護師の枠にとらわれない活躍の場があります。

また、認定看護師の需要はさまざまな場所で高まっており、在宅医療や地域医療など幅広い医療現場のなかから、自分の専門性を最大限に発揮できる環境が選べるでしょう。

給料や待遇がよくなる可能性がある

医療施設によっては、資格手当の支給や昇給の評価対象としているところもあるため、給与や待遇がよくなる可能性があるのもメリットのひとつです。また、転職の条件を決める際にも、自身をアピールする材料となるため、給与・待遇のアップが期待できる可能性もあります。

認定看護師を目指すデメリット

認定看護師を目指すデメリットは、以下の2つです。

資格取得・保持のハードルが高い

認定看護師を目指すデメリットは、資格取得の難易度が高いことです。資格を取得するためには、多くの時間と労力、学費など経済的な負担が必要です。目指す認定分野によっては教育機関が遠方にしかない場合もあります。また、資格取得後も5年ごとに更新審査を受ける必要があり、資格を保持し続ける大変さもあるかもしれません。

活躍の場が限定される可能性がある

専門スキルがあるゆえに、活躍の場が限定されてしまうことが懸念されます。資格を重要視しない職場や資格手当がない職場でも働けますが、資格を活かした働き方や待遇向上などによるモチベーションアップにはつながりにくいでしょう。また、もし認定看護分野以外の領域で活躍したいと思った場合に、活躍できる機会が狭まってしまうかもしれません。

認定看護師に向いている人の特徴

ここでは認定看護師制度の特徴を踏まえて、認定看護師に向いている人の特徴を紹介します。

興味がある分野がはっきりしている人

認定看護師は、特定の分野に特化したスキルを習得し、質の高いケアを提供する役割があります。そのため、自分が特に興味を持つ分野が明確で、その領域に情熱を持って取り組みたい人に向いています。

専門性を磨きたい人

看護師としてなんらかの専門性を磨き、成長し続けたいと思っている人は、認定看護師に向いているといえます。資格取得後も自己研磨に取り組み専門性を磨かなければならないため、自分の専門性を磨くことに喜びを感じる人は、この資格を通じてやりがいが感じられるでしょう。

特定行為に興味がある人

B課程認定看護師であれば、医師の指示のもと特定行為の実施が可能になります。気管挿管や創傷ケアといった高度な技術に関心があり、専門性をみがきながら特定行為も習得したい人に向いている資格といえるでしょう。

制度を理解して認定看護師をキャリアアップの選択肢に

認定看護師は特定の看護分野において、知識・技術を有する者として日本看護協会に認定されている看護師です。難易度は高めですが、新卒から認定看護師を目指す場合、特定行為も可能なB課程認定看護師として活躍の場が広がるでしょう。看護師としてキャリアアップできる資格に興味がある人は、認定看護師の制度や役割を理解して将来の選択肢のひとつにしてみてください。

引用・参考

日本看護協会:認定看護師(2024年8月22日閲覧)

日本看護協会:認定看護師ってどんな看護師?(2024年8月22日閲覧)

日本看護協会:専門看護師(2024年8月22日閲覧)

一般社団法人 看護師の特定行為に係る指定研修機関協議会:看護師の特定行為研修制度 ポータルサイト(2024年8月22日閲覧)

執筆者情報

プロフィール画像

柴田 実岐子

shibata-mikiko

福岡県生まれ。大学卒業後、一般企業に勤務し、社会人から看護師免許を取得。急性期外科などで経験を積んだのち、精神科、慢性期の一般病棟、健診センターなどさまざまな職場で勤務。さらに夜勤専従・派遣・応援ナースなど、多種多様な働き方を経験した。現在は離島移住をきっかけに、へき地医療に従事しながらライターとして活動中。

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