看護師がグループ病院で働くメリット・デメリットとは?特徴から給料事情まで

看護師がグループ病院で働くメリット・デメリットとは?特徴から給料事情まで

最終更新日:2024/05/14

全国には数多くの医療グループと、そこで運営されるグループ病院が存在します。今回はグループ病院の特徴、看護師がグループ病院で働く際のメリットとデメリットを解説します。また勤務経験者の声をもとに、入職難易度や給料事情も紹介します。ぜひ参考にしてください。

グループ病院とは

グループ病院とは、複数の病院等を運営している医療グループに属する病院の総称です。ひとくちにグループ病院といっても、運営しているグループによって規模や特徴は異なってきます。医療グループによっては、グループ病院以外に福祉施設やデイサービス、訪問看護や医療系学校などを運営しているケースもあります。

グループ病院の特徴

グループ病院の特徴は、グループが掲げる理念に基づき展開されている事業に応じ、様々な領域の病院が混在することです。

例えば、総合医療・福祉を理念に掲げている医療グループでは、グループ病院は急性期、回復期、慢性期など医療機能ごとに構成され、それを補完する施設として予防医療に取り組む検診施設や訪問看護施設を設置するなど、複数の医療施設により事業を大規模に展開している場合があります。

また、精神科に特化した医療を理念に掲げているグループであれば、グループ病院として精神科病院や診療所を有し、そのなかで精神科訪問看護を展開していることもあります。

運営規模はグループによって様々です。全国に100以上の医療・介護施設を運営している大規模なグループもあれば、特定の地域に数カ所の病院を運営している地域密着型のグループもあります。それぞれの規模や運営スタイルによっても、グループ病院の特性は異なってくるでしょう。

グループ病院の種類

グループ病院には大きく公的グループ病院と、民間グループ病院があります。それぞれの特徴や病院例を解説します。

公的なグループ病院

公的なグループ病院とは、医療法第31条で定められている公的医療機関、独立行政法人制度で定められている独立行政法人、地方公務員等共済組合法で定められている公立学校共済組合など、公的な組織が運営しているグループ病院です。ここでは代表的な5つのグループ病院を紹介します。

公的なグループ病院の代表例
日本赤十字社 ・世界で人道的支援活動を展開する赤十字・赤新月社の日本法人
・全国で105病院・診療所等と28社会福祉施設を運営するほか、看護師等教育事業や血液関連事業などを展開している
・救急医療や高度専門診療、予防医療、へき地医療など地域に根ざした医療を提供している
・災害時の救護活動も行っている
社会福祉法人恩賜財団
済生会
・1911年に明治天皇によって設立された慈善事業団体
・全国103病院・診療所と246高齢者福祉施設ほか、障害者福祉施設、児童福祉施設などを展開している
・超急性期から亜急性期、回復期、慢性期まで段階に合わせた医療を提供している
・無料低額診療事業や生活困窮者支援事業も行っている
独立行政法人
国立病院機構(NHO)
・厚生労働省が所管していた国立病院、国立療養所を2004年に独立行政法人化して誕生した組織
・全国を6ブロックに分け140病院を展開している
・がんや精神科などの専門医療、救命救急から回復期・慢性期までの幅広い医療を提供している
・医療技術向上のための研究事業、教育研修事業も行っている
独立行政法人
地域医療機能推進機構(JCHO)
・全国の社会保険病院、厚生年金病院、船員保険病院を併せて運営するため2014年に設立された組織
・全国で57病院と26介護保健施設のほか、訪問看護ステーションや看護学校を展開している
・5事業(救急、災害、へき地、周産期、小児の各医療)、5疾患(がん、脳卒中、急性心筋梗塞、糖尿病、精神疾患)を中心に、その地域で必要とされる医療・介護を提供している
公立学校共済組合 ・公立学校教職員とその家族の健康をサポートする目的で設立された組合
・教職員だけでなく、地域住民の保険医療機関としても貢献する医療機関として、全国8カ所で病院を運営している
日本赤十字社

日本赤十字社は、世界で人道的支援活動を展開する赤十字・赤新月社の日本法人です。全国で105病院・診療所と28社会福祉施設を展開しており、救急医療や高度専門診療、予防医療、へき地医療など、地域に根ざした医療を提供しています。

そのほか、看護大学や専門学校の運営、血液関連事業の展開、災害時の救護活動などを行っています。

社会福祉法人恩賜財団 済生会

済生会は1911年に明治天皇によって設立された慈善事業団体です。医療・保健・福祉を総合的に提供している社会福祉法人で、全国に103病院・診療所と246介護福祉施設ほか、障害者福祉施設、児童福祉施設などを展開しています。

済生会は、超急性期から亜急性期、回復期、慢性期まで段階に合わせた医療を提供しているほか、無料低額診療事業や生活困窮者支援事業も行っています。

独立行政法人 国立病院機構(NHO)

国立病院機構は、2004年に厚生労働省が運営していた国立病院や国立療養所が独立行政法人化されて誕生した組織です。全国6ブロックで140病院を展開しています。

国立病院機構では、がんや精神科などの専門医療、救命救急から回復期・慢性期までの幅広い医療を提供しているほか、医療技術向上のための研究や教育も積極的に行われています。

独立行政法人 地域医療機能推進機構(JCHO)

地域医療機能推進機構は、全国の社会保険病院、厚生年金病院、船員保険病院を併せて運営するために2014年に設立された組織です。全国で57病院と26介護保健施設のほか、訪問看護ステーションや看護学校を展開しています。

地域医療機能推進機構では、5事業(救急、災害、へき地、周産期、小児の各医療)、5疾患(がん、脳卒中、急性心筋梗塞、糖尿病、精神疾患)を中心に、その地域で必要とされる医療・介護を提供しています。

公立学校共済組合

公立学校共済組合グループは、公立学校教職員とその家族の健康をサポートする目的で設立された組合です。教職員だけでなく、地域住民の保険医療機関としても貢献する医療機関として、全国8カ所で病院を運営しています。

民間のグループ病院

民間のグループ病院は、全国に多数あります。ここでは民間のグループ病院をいくつか紹介します。

民間のグループ病院の例
徳洲会グループ ・全国に76病院を展開している
・病院・診療所、訪問看護ステーション、介護福祉施設などを合わせると400近い事業所を有する
・救急医療や離島・へき地医療に力を入れている
戸田中央メディカルケアグループ(TMG) ・関東を中心に43病院・診療所と16訪問看護ステーション、7介護福祉施設などを運営している
・地域医療機関と連携し、医療・介護・保健にわたる切れ目のないサービスを提供している
横浜メディカルグループ(YMG) ・5つの医療法人からなる医療グループ
・関東・中部で病院・診療所、介護福祉施設などを展開し、急性期から在宅まで継続したサービスが提供できる連携体制を整えている
武田病院グループ ・京都府内で地域医療支援病院や診療所、訪問看護ステーションを中心に、介護福祉施設などを含めて61の事業所を展開している
・急性期、回復期、慢性期の医療のほか、在宅医療・介護についてもサービスを広く提供している
徳洲会グループ

徳洲会グループは400近い事業所を運営している民間医療グループです。病院は全国76カ所にあり、救急医療や離島・へき地医療に力を入れています。そのほか、診療所や介護福祉施設、訪問看護ステーションなど総合的な医療・福祉を提供しています。

戸田中央メディカルケアグループ(TMG)

戸田中央メディカルケアグループは、関東を中心に43病院・診療所と16訪問看護ステーション、7介護福祉施設を運営している医療グループです。地域医療機関と連携し、医療・介護・保健にわたる切れ目のないサービスを提供しています。

横浜メディカルグループ(YMG)

横浜メディカルグループは、5つの医療法人からなる医療グループで、関東・中部を中心に病院・診療所、介護福祉施設を展開しています。グループ施設間の連携を強化し、急性期から回復期、在宅支援まで地域密着型の医療・介護を提供しています。

武田病院グループ

武田病院グループは、京都府内で61事業所を展開している医療グループです。急性期医療を提供する地域医療支援病院を中心に、回復期・慢性期病院、診療所、訪問看護ステーション、介護福祉施設などを運営しています。

グループ病院で働く看護師の役割・仕事内容

ここではグループ病院で働く看護師の役割と仕事内容を解説します。

役割:ほかの病院と変わらない

グループ病院で働く看護師の役割は、ほかの病院と変わりません。グループ病院として自分が働いている病院の医療機能に応じた役割が求められます。

つまり、救急の受け入れや24時間体制で治療を行う病院では急性期看護を行う役割、療養型病院では慢性期看護を行う役割、訪問看護やデイサービスでは在宅看護を行う役割が求められるということです。

仕事内容:施設や部署で異なる

グループ病院で働く看護師の仕事内容は勤務している施設や部署によって異なります。病院ごとに仕事内容に細かい違いはありますが、基本的に働く施設や部署の役割に応じた仕事が求められます。

急性期や慢性期、在宅で働く看護師の仕事内容は以下の記事で紹介しています。それぞれの役割やメリットとデメリットも解説しているので参考にしてください。

グループ病院のメリットとデメリット

ここではグループ病院のメリットとデメリットを解説します。

グループ病院のメリット

グループ病院で働くメリットは、以下の3つです。

経営母体が安定している

グループ病院のメリットは経営母体が安定していることです。複数の施設がひとつのグループに所属しているため、単体で運営している病院にくらべリスクが分散され、経営が安定しやすいといわれています。

経営面の安定は、待遇だけでなく設備投資や人材確保にもつながるため、安定した経営母体は働きやすさにも関係します。

教育体制が整っている

教育体制が整っているところが多いことも、グループ病院のメリットといえます。グループ全体で複数の病院をカバーできる数の従業員が必要となることから、新卒採用や中途採用を積極的に行っています。

それに伴い、教育制度が整備され、新卒指導の実績がある病院も多くなります。なかには施設間での交流やローテンション研修を実施しているグループもあり、幅広い看護が学べるのも魅力です。

ライフスタイルに合わせて働き方が選べる

グループ病院はライフスタイルに合わせ働き方が選びやすいところもメリットでしょう。領域や分野の異なる病院や医療施設がグループ内にあれば、希望するキャリアプランやライフスタイルに合わせて異動できる可能性があるからです。

例えば、急性期病院を経験した後に回復期病院で経験を活かす、家庭ができたら夜勤がない在宅看護の施設に異動するなどの働き方が転職せずに実現できるかもしれません。

グループ病院のデメリット

グループ病院で働くデメリットは、以下の2つです。

グループ内での異動がある

グループ病院のデメリットは、自分が希望していない場合でも異動の可能性があることです。単体で運営されている病院でも異動はありますが、グループ病院の場合は院内の部署異動だけでなく、グループ内での転勤を伴う異動もあり得ます。

ただし、グループによっては、ブロックごとに採用試験が行われ、異動もブロック内に限られている場合や、病院ごとに採用を行っていて転勤を伴う異動がないところもあります。転勤を伴う異動を避けたい人は、説明会などで異動の有無を確認しておきましょう。

ルール化されていることが多い

グループ病院は運営や一定水準の医療を提供するために、標準化されたルールや手順が多く存在するケースも多くなります。そのため、例外が認められにくいこともあり、デメリットとして挙げられます。

例えば、自分の部署ではあまり活用できない内容の勉強会であっても、グループ全体で参加が義務付けられていれば必ず出席しなければなりません。グループ病院は経営や教育が安定しているメリットがある反面、柔軟性に欠けるのがデメリットになり得ることも理解しておきましょう。

グループ病院勤務経験者が語る〜志望動機や働いてよかったこと〜

ここからは、グループ病院で勤務経験がある看護師が、働いていてよかったことや大変だったこと、給料事情について紹介します。

グループ病院を志望した理由

グループ病院を志望した理由は、長く勤められると思ったからです。私は急性期で経験を積んだ後、回復期や在宅看護に進みたいと考えていたため、転職せずにキャリアが積めるグループ病院を選びました。

また、グループ全体の新卒採用人数が多かったため、たくさんの同期と一緒に頑張ることができると思ったこともグループ病院を志望した理由のひとつです。

グループ病院の入職難易度は?

グループ病院だから入職難易度が高いということはありません。ただし、ほかの病院と同じように、病院自体の人気が高く応募人数が多ければ入職難易度は上がります。

またグループ病院の採用は、関西ブロック、九州ブロックのようにブロックごとに採用試験が実施される場合と、病院ごとに採用試験が実施される場合があります。病院ごとの採用枠も違うため、同じグループ内の病院であっても個々の病院の入職難易度は異なると考えたほうがよいでしょう。

グループ病院で働いてよかったことは?

グループ病院で働いていてよかったことは、他施設との連携が取りやすかったことです。私が働いていたグループ病院では、手術後の患者さんがグループ内の回復期病院に転院したり、退院後にグループ内の訪問看護を利用したりする機会が多くありました。

グループ内のほかの医療施設とスムーズに連携できたため、患者さんの状態に合わせた看護が提供できたと思います。

また、医療機能が異なる病院がグループ内にあったため、転院に伴う連携やローテーション研修など分野の違う看護を学ぶ機会が多く勉強になりました。

グループ病院で働いていて大変だったことは?

グループ病院で働いていて大変だったことは、人の入れ替わりが頻繁だったことです。看護師だけでなく医師や事務関連の職種もグループ内での異動があるため、異動があるたびに一から人間関係を築かなくてはならないことが大変でした。

特に医師とは仕事上で関わることが多いため、働いている病棟の担当医師が変わるたびに指示や報告の仕方を変えなければならないことに苦労しました。

グループ病院の給料事情

私が働いていた民間グループ病院の給料は、その地域のなかでは比較的高い水準でした。ただし、国立病院機構や済生会病院などの公的なグループ病院と比べると低かったです。

資格取得支援や託児所などの福利厚生はグループで統一されていましたが、グループ内であっても病院の医療機能や地域性によって給料には若干の違いがありました。

グループ病院に向いている人は?

グループ病院に向いている人は、段階的に幅広く学びたい人です。複数の病院を運営しているグループ病院であれば、急性期から回復期、在宅看護などと段階的に看護が学べます。

また、転職せずにひとつの組織に長く勤めたい人にも向いているでしょう。グループ病院は医療から介護、在宅まで複数事業を展開しているところが多いため、転職せずに幅広い働き方が選択しやすい環境だといえます。

グループ病院の特徴を理解して病院選びに役立てよう

複数の医療施設を運営しているグループ病院は多く、それぞれのグループにより特徴も異なります。そのようななかでグループ病院の共通したメリットといえるのは、基盤がしっかりしているため経営や教育面が安定していることです。幅広い看護が学べ、ライフスタイルに合わせたキャリアアップも望めるため、自分の理想とマッチする人は病院選びの選択肢に入れてみてください。

ナース専科就職ナビではグループ病院特集を掲載しています。ぜひ参考にしてみてください。

特集 グループ病院

参考

日本赤十字社(2024年3月5日閲覧)

社会福祉法人恩賜財団 済生会(2024年3月5日閲覧)

独立行政法人 国立病院機構(2024年3月5日閲覧)

独立行政法人 地域医療機能推進機構(2024年3月5日閲覧)

公立学校共済組合(2024年3月5日閲覧)

一般社団法人 徳洲会グループ(2024年3月5日閲覧)

戸田中央メディカルケアグループ(2024年3月5日閲覧)

横浜メディカルグループ(2024年3月5日閲覧)

武田病院グループ(2024年3月5日閲覧)

執筆者情報

プロフィール画像

柴田 実岐子

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福岡県生まれ。大学卒業後、一般企業に勤務し、社会人から看護師免許を取得。急性期外科などで経験を積んだのち、精神科、慢性期の一般病棟、健診センターなどさまざまな職場で勤務。さらに夜勤専従・派遣・応援ナースなど、多種多様な働き方を経験した。現在は離島移住をきっかけに、へき地医療に従事しながらライターとして活動中。