看護学生の就活サポート!自己分析のやり方とおすすめの診断ツールを紹介

看護学生の就活サポート!自己分析のやり方とおすすめの診断ツールを紹介

最終更新日:2024/05/27

自己分析とは自分の性格や価値観、強み・弱みなどを客観的に見つめ直すことを指します。自己分析は学生から社会人になるときだけでなく、看護師としてのキャリアデザインを描くうえでも重要です。そこで今回は就活における自己分析について看護学生ならではの視点で解説します。

なぜ就活に自己分析が必要なの?

就活に自己分析が必要な理由は、自己分析によって自己理解を深められるからです。自分を知ることで自分にあった就活の軸が明確になり、その後の職場選びや面接に活かすことができます。

ではなぜ自分に合った就活の軸を見つけることが職場選びや面接に活かせるのか、自己分析で得られることからその理由を深堀します。

自己分析で得られること

自己分析で得られることとして、主に以下3つが考えられます。

自分の価値観や強み・弱みを把握できる

自己分析では、自分の経験を振り返り「何に価値を見出すか」「好き・嫌い」「得意・苦手」など、自分の価値観や強み・弱みを明確にすることができます。自己分析した内容は自分が今後どのように働きたいかのヒントにつながり、将来のキャリアを考えるスタート地点に立てるわけです。

キャリアプランが立てられる

自分の理想の働き方が見つかると、それを叶えるためのキャリアプランが立てられるため、就活の軸も徐々に定まっていきます。就活の軸が明確になると、職場ごとで比較するときにどの条件を重視するべきかわかるため、より自分に合った職場選びができるでしょう。

自分の考えをわかりやすく伝えることができる

キャリアプランや就活の軸を持っていると、自分の考えに一貫性が出るため、相手に伝える時も説得力が増します。就活では面接や履歴書などで自分の意見を伝える機会が多いため、自己分析で自分の考えを明確にしておくと、より相手にわかりやすく伝えられるでしょう。

看護学生の就活でも自己分析は必要?

看護学生の就活においても自己分析は必要です。看護師は就職する職種が決まっているため、自己分析は不要だと思う人もいるかもしれませんが、看護学生ほどじっくりと自己分析するべきです。ここからは看護学生にも自己分析が必要な理由を解説します。

看護学生に自己分析が必要な理由

看護学生の就活において自己分析が必要な理由は、以下の3つです。

看護師の働き方が多様化しているから

看護師の職場は病院から施設、行政まで多岐にわたります。たとえ病院を選んだとしても急性期から慢性期、複数の診療科など選ぶ職場によって働き方や仕事内容が異なります。さらに最近は勤務形態や雇用形態も多様化しているため、多くの選択肢から自分に合う職場を見つけるために、自己分析で職場選びの軸を明確にしておくことが必要です。

時代の変化に伴いニーズが変化しつつあるから

高齢化に伴い訪問看護に対するニーズの高まりや、看護師不足から一定レベルの診断や治療可能なナースプラクティショナーの推進など、時代とともに看護師に求められるニーズも変化しています。さまざまな看護師のニーズに対応し、自分がどのような道を進みたいかを明確にするためにも自己分析は必要といえます。

新卒看護師の離職率が増加しているから

日本看護協会「2022年病院看護実態調査」の発表によると、新卒看護師の1年以内の離職率は10.3%と過去最高を記録しています。自分の就活の軸をしっかり持っていないと、入職前後でギャップを感じ辞めたくなってしまうこともあるかもしれません。就職してから後悔しないために、看護学生のうちから自己分析し、自分自身を理解することが大切です。

自己分析のやり方 ~ステップから具体的な方法まで~

自己分析の具体的な方法はいくつかあります。まずは自己分析の基本的な流れを理解したうえで、自分が取り組みやすい自己分析方法を試してみましょう。

自己分析の基本4ステップ

自己分析のやり方は大きく4つのステップに分けられます。

ステップ1:自分の過去を振り返る

はじめに自分の過去を振り返り、経験してきたことから自分の価値観を明確にします。今までの人生で喜びを感じたことや、いくつもある選択肢の中から選んだ物事の基準などから、自分が何に価値を感じるのか、どのように選択する傾向があるのかを整理してみましょう。

ステップ2:自分の今を知る

次に今までの経験を踏まえて、現在の自分の強みや特技を具体的に洗い出します。強みや得意なことだけでなく、弱みや苦手と感じる部分も洗い出してみましょう。看護学校生活や実習中で感じた自分の考えもまとめておくと、就活に役立ちますよ。

ステップ3:自分の未来を考える

ステップ3はステップ1・2で明確にした価値観や強みから自分の将来を考えます。今後、働くうえで重視することやキャリアプラン、どのようなプライベートを送りたいかなど、仕事だけでなく私生活も含めた理想を深堀してみましょう。

ステップ4:自己分析の要素を整理する

最後は洗い出した自己分析の要素を整理します。価値観や強み・弱みを分類して自己理解につなげましょう。就活の軸の決め方や自己分析の結果を活用する方法は「自己分析から就活に活かす方法」で詳しく解説しています。

看護学生におすすめの自己分析方法・診断ツール

ここでは具体的な自己分析の方法やおすすめの診断ツールを紹介します。

価値観・性格を知るためのおすすめの方法2選

自分の価値観や性格を知るためのおすすめの方法は、以下の2つです。

1:自分史

自分史とはこれまでの人生を振り返り、自分の価値観や強みを整理する方法です。印象に残っている出来事や人生の選択肢を書き出し、そのとき何を考え感じたか、なぜそのように選択したかを振り返ります。

以下のフォーマットを使い、小学校から時系列で項目ごとにエピソードを書き出してみましょう。書き出した内容から共通する行動パターンや考え方を整理し、自分の価値観や性格を深堀してみてください。

自分史

2:モチベーションシート

モチベーションシートとは過去から現在までの出来事とモチベーションの変化をグラフ化し、自分のモチベーションの源や何に価値を感じるかを探る方法です。

縦軸にモチベーションの上下、横軸に幼少期から現在に至るまでの年齢を設定し、そのときどきのモチベーションの高さを記します。記した点を曲線でつなぎ合わせるとモチベーションの変化を可視化できます。モチベーションの高さとともに起こった出来事もグラフにまとめると、モチベーションが上下した理由が深堀できるため、自己理解を深める機会になるはずです。

モチベーションシート

強み・弱みを知るためのおすすめの方法

強みや弱みを知るためのおすすめの方法は、以下がおすすめです。

他己分析

他己分析とは他人に自分の印象や長所・短所を聞き、他者から得た客観的な意見をもとに自己理解を深める方法です。長所や短所、第一印象や向いていると思う分野など具体的な質問を投げかけ、得られた回答と自己分析の結果を比較することで、自分の性格や強み・弱みの理解を深められます。

両親や友人、学校の先生など、なるべく複数人かつタイプの違う人に意見をもらうと自分でも気づいていない発見があるかもしれません。

自分の理想のキャリアを知るためのおすすめの方法3選

キャリアの選択肢を理解し自分の理想のキャリアを考えるためにおすすめの方法は、以下の3つです。

1:就活対策講座に参加する

就活講座では自己分析や適職アドバイス、キャリアプランに関する幅広い情報が得られます。一般企業から学校まで主催者もさまざまで、オンライン講座からキャリアコンサルタントによる個別相談まで種類も豊富です。ナース専科就職ナビでは看護学生向けの就活対策講座をオンラインで開催しています。ぜひ以下からチェックしてみてください。
就活オンライン講座

※ナース専科就職ナビより

2:先輩の意見を聞く

先輩の意見を聞くのはキャリアの選択肢を知るためにも有効です。先輩看護師からリアルな現場の情報を聞けば、理想のキャリアを考える材料になります。近しい先輩の意見であれば説得力もあり、あなたの性格や強みを考慮したアドバイスがもらえるかもしれません。

3:看護学生の適職診断

看護学生の適職診断とは、性格や適性から自分に合った病院選びのヒントを教えてくれるツールです。ナース専科就職ナビの適職診断では、簡単な質問に答えるだけで深層心理を分析し、おすすめの診療科とその診療科で強みがどのように発揮できるかまでわかります。看護師は診療科により仕事内容や働き方が異なるため、自分に合う働き方は何かを知るきっかけにするとよいでしょう。

看護学生の適職診断テスト

※ナース専科就職ナビより

自己分析から就活に活かす方法

自己分析で得られた結果は就活の軸を決めたり病院を選んだり、就職対策に活かせたりするはずです。ここでは自己分析を就活に活かす方法を解説します。

整理した自己分析の要素から理想のキャリアを考える

自己分析で得られた自分の価値観や強み・弱みを整理したら、次はどのように働きたいのか、どんな強みを仕事で発揮したいのか、などキャリアの視点から再度整理してみましょう。自己分析の結果から理想のキャリアを考えることで、自分が働くうえで何を最も重視したいかに気が付けるはずです。

就活の軸を決める

自分の理想のキャリアを整理できたら、それを叶えるために就活の軸を決めます。就活の軸はさまざまな視点で考えることができますが、どの視点を重視したいかは人それぞれです。ここでは就活の軸を決める3つの視点を解説します。

自分の強みを軸に

自己分析で明確にした自分の強みを活かしたい人は、強みを軸に病院や診療科を選んでみましょう。

たとえば「ひとつのことを突き詰めるのが得意」な人は、細かく診療科が分かれている病院で専門性を磨くという選択ができます。一方「好奇心が旺盛でさまざまなことに興味が持てる」という強みがある人は、幅広い知識が必要な救急科やオペ室が選択肢になるかもしれません。

興味や価値観を軸に

自分の興味や価値観に合った働き方を目指したい人は、興味のある分野が携われる診療科や理念が共感できる病院を選んでみましょう。学校生活で興味のある分野を見つけた人や実習で理想の看護観が芽生えた人は、自分の興味や価値観を軸に選ぶとモチベーションの維持にもつながります。

ただし、選択肢を狭めすぎるのは禁物です。在宅看護に興味がある場合は、訪問看護や在宅に近い回復リハビリ病棟などいくつか選択肢が考えられるため、幅広い視点でキャリアを選択しましょう。

理想の働き方を軸に

自己分析から看護師として理想の働き方が明確になった人は、働き方を就職の軸にして診療科や病院を選びしましょう。とにかく看護師として経験を積みたいと考える人は救急科やICU、仕事もプライベートも充実させたいと思う人は残業が少なめの病院、なるべく生活サイクルを安定させたい人は夜勤がない訪問看護やオペ室など、理想の働き方から病院選びの軸を見つけてみてください。

病院選びや志望動機・自己PRに活かす

自己分析の内容は志望動機や自己PRにも活かせます。自己分析から明確にした価値観や強みは、過去の経験に基づくあなただけのもので、説得力があるからです。自己分析の結果を志望動機や自己PRに活かすときは、裏付けとなる具体的なエピソードを必ず盛り込むように心がけましょう。

看護学生向け 自己分析のポイント

自己分析は就活するうえでも必要ですが、最大の目的は自己理解を深めることです。自己分析に正解はなく、自分を評価するものでもありません。自己分析するときは広い視野で自分を理解できるように以下のポイントを心がけましょう。

ポイント1:自分軸を見つけることを第一優先する

自己分析では自分軸を見つけることを第一優先にしましょう。学校の先生や両親はあなたのことを考えてアドバイスしてくれるかもしれませんが、自己分析は自分の興味や関心、価値観を見つめ直すためのものです。「先生や両親が言ったから」ではなく「自分がどうしたいのか」を常に意識して考えましょう。

ポイント2:固定概念に縛られない

自己分析は固定概念に縛られすぎないようにするのも大切です。新卒は急性期や大規模病院に行くべき、安定した就職先が良いなど一般論を参考にするのは構いませんが、固定概念に縛られすぎると自分が本当にやりたいことや価値を見失ってしまいます。自己分析は固定概念にとらわれすぎず「なぜ自分はそう考えるのか」を深く掘り下げ、自分なりの答えを見つけてみましょう。

ポイント3:自分の強み・弱みを認める

自己分析は良し悪しを判断するのが目的ではなく、強みと弱みを明確にしたうえで、強みを活かし弱みを強みに変えられる環境を見つけるためのものです。てきぱきと動ける人がすごいわけでもなく、解剖学が苦手な人が低い評価になるわけでもありません。自分の強みと弱みを素直に認め、自分のキャリアにどう活かしていくのかを考えるようにしましょう。

就活の自己分析に関するQ&A

ここでは就活の自己分析に関するよくある質問について解説します。

Q.自己分析はいつごろやるべき?

A. 自己分析は就活の軸を決めるヒントになるため、就活が本格的にはじまる前の大学3年次または、専門学校2年次の秋冬ごろまでに終わらせるべきですが、とくに夏ごろまでに行うのがベストです。7、8月には、インターンや合同説明会に参加できるチャンスがたくさんあり、その時までに自己分析できているとより有意義な情報収集につながります。

9月からは実習で忙しくなる可能性が高いため、計画を立てて夏ごろに一度自己分析して自分を振り返りましょう。以下では看護学生の就活スケジュールについてまとめています。計画的に準備できるよう参考にしてみてください。

Q.自己分析はどこまでやればいい?

A. 就活の自己分析のゴールは、就活の軸を決めることです。その先のキャリアの軸は、ライフステージが変わる中で変化する可能性もあります。まずは「看護師として働く軸を決める」というゴールを意識し、自己分析の深みにハマらないようにしましょう。

ただし自己分析のやり方を知っておくと今後の人生にも役立ちます。人生のターニングポイントや転職時には自己分析を活用し、そのときの自分の価値観や強みを整理してみましょう。

Q.自己分析ツールの結果が変わるのはどうすればいい?

A. 自己分析の診断ツールは1回の診断結果がすべてではなく、あくまでも傾向を示すひとつの指標です。診断結果は参考程度に捉えましょう。自己分析や複数の診断ツールにより得られた結果に共通点があるときは、その共通点があなたの特徴を表しているかもしれません。

自己分析は看護学生の就活に欠かせない

自己分析は自己理解を深め、就活の軸を決めるヒントになります。看護師は就職する分野が絞られている専門職ですが、選ぶ職場により働き方が多種多様のため、就職の軸を定めるためにも自己分析が必要です。自己分析により就活の軸が定まっていれば、就職後のミスマッチも防げるでしょう。自己分析後は、インターンシップや病院見学会などで病院や診療科の情報を十分収集し、自分に合う職場を見つけてください。

インターンシップ 病院見学会

※ナース専科就職ナビより

執筆者情報

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柴田 実岐子

shibata-mikiko

福岡県生まれ。大学卒業後、一般企業に勤務し、社会人から看護師免許を取得。急性期外科などで経験を積んだのち、精神科、慢性期の一般病棟、健診センターなどさまざまな職場で勤務。さらに夜勤専従・派遣・応援ナースなど、多種多様な働き方を経験した。現在は離島移住をきっかけに、へき地医療に従事しながらライターとして活動中。