2021年11月27日に「ナース専科 就職」は「高度急性期看護に関心のある学生必見! 採用担当者のトークセッション」というオンラインセミナーを開催しました。
この<後編>では、「最新の採用情報!選ばれる学生になるために」と題し、高度急性期病床をもつ大学病院の採用担当者を招いて伺った、リアルで最新の採用情報をレポートしてお伝えします。
第2部のトークセッションでは、高度急性期病床をもつ病院に就職したいと考えている看護学生に向けて、採用担当の氏は面接時に学生のどこを見ているか、配属先の決定ポイント、やっておきたい採用試験対策など、リアルで役立つ情報をお聞きします。
増田 千鶴子(ますだ ちづこ)氏
昭和大学統括看護部 統括看護部長
看護学校卒業後、昭和大学病院および附属東病院に入職。子どもセンター、NICU、眼科外来等で31年間勤務。また7年間にわたり看護部教育担当師長として新人教育等に従事する。
1987年に国際協力事業団の一員としてエジプトカイロ小児病院に派遣。1997年には看護技術と看護管理等の指導を行う。2011年に昭和大学横浜市北部病院にて看護部長に就任。2016年より昭和大学統括看護部長となり現在に至る。
長谷川 知子(はせがわ ともこ)氏
東京医科大学病院 看護師人材センター 看護師長
1985年に東京医科大学看護専門学校を卒業後、東京医科大学病院に入職。小児科、消化器内科、呼吸器外科、短期混合病棟、集中治療部、血液内科、循環器内科など多くの科を経験。
1995年に臨床指導係(消化器内科)、1998年に主任看護師、2009年に看護師長(血液内科)となり、2017年より看護部人材担当師長となり現在に至る。
当院では、就業体験・見学会は中止しています。まだ患者さんの面会が解除になっていないため、病院としてはまず面会解除を優先課題としています。ただ次年度は、病院独自の説明会やオンラインによる就業体験を考えています。参加したみなさんが各部署の先輩と交流を図ったり、多くの時間を共有できるようなかたちをめざしています。
当院も患者さんの面会解除を優先しており、まだ学生のみなさんにお越しいただくことはできないのですが、オンラインを活用した就業体験の一つとして、先輩と直接会話ができる機会を設けています。お越しいただけるようになっても、遠方の学生さんに対してはオンラインとのハイブリット開催などを考えています。
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クリティカル部門に配属しようとする学生に対しては、学業と実習の成績を非常に重要視します。成績が良いことと、よい看護師になることは必ずしも結びつかないとは思います。しかし高度急性期看護では、多岐にわたる幅広い知識が必要となるため、継続的に自己学習してく力が求められるのです。そこで成績が良く、学習のスタイルが確立していることを配属の目安にしています。この話は、学生のみなさんにはショックかもしれませんね。
もう一つは、自分の将来にわたるキャリアプランをどう考えてクリティカル領域を希望しているのか。厳しい現場なので、目標をしっかりもっていないと自分を見失ってしまいがちです。希望どおりに配属になったのに、うまくいかなかったとしたら挫折感がとても大きくなってしまいます。
できることと、やりたいことは違います。やりたいことと、病院がやってほしいことも違います。そこが就職希望者と採用側の大きなギャップだと思います。やりたいことが自分に向いているとは限らないし、いやだと思うことが向いていることもあります。
そこで柔軟性が大切になります。「配属になったのだからここで何かを得てみよう」くらいの気持ちの切り替えができると、次から次へとチャンスが生まれてくるものです。その姿勢をみている先輩や上司が必ずいますので、次のステップとしてクリティカル部門へというチャンスも生まれてくるかもしれません。
当院では、履歴書に記入した第三希望までの部署には配属できるよう考えています。ただし、まずはジェネラリストの育成を目指していますので、ジェネラリストとして成長した後にスペシャリストを目指す人への支援を行っていきます。
ですから、新卒者の配属先については、履歴書に書かれたことだけでなく、面接を通して希望する部署でどんな看護をしていきたいかを確認し、一人ひとりに合ったジェネラリストとしての成長を考えた配属先を決定しています。
印象に残っている学生のエピソードを話します。その学生は第一希望を消化器科、第二希望を循環器科、第三希望をクリティカルな部門にしていました。なぜこのような順番にしたのかを聞いたところ、とても理路整然と理由を説明してくれました。
この学生は、いつか自分の地元に帰って地域看護をしたいという目標をもって、10年計画を立てていたのです。自分でデータを調べ、地元で消化器科と循環器科の患者さんが多いことを知り、この2科の経験を積んでから、急変や災害被災の際に役立つクリティカルなスキルを身につけていきたいと考えたそうです。
この方は現在も当院の循環器科で勤務しており、来年の異動希望はERとなっていました。着実に自分の目標を実現し、周りがそれを評価しているのだと思います。
私たちにとって、自分の病院でずっと働いてくれることは嬉しいことですが、スタッフが地域やグローバルな現場で活躍してくれることもとても嬉しいことです。採用試験に臨む際は、今のことだけでなく、5年後、10年後のキャリアプランをきちんともっておくことも、周りとの差がつく要素になると思います。
増田さんのお話に加えるとすれば、自分の言葉をもつということも重要です。今はLINEでスタンプを3つ押したら自分の気持ちが伝わってしまう時代ですが、日頃から自分の言葉で自分の考えを伝えることは、とても大切なことだと思っています。暗記ではなく、自分の頭で考えながら自分の考えを話す習慣を、今からしっかり身につけていき、みなさんの就職活動を成功させてほしいと思っています。
<前編><後編>を通じ、採用担当者のお二方のお話はいかがでしたか?高度急性期病院を希望して就職することや働くことに対し、みなさんの理解が深まれば嬉しいです。