准看護師から正看護師になるには?資格や業務内容の違いを解説
最終更新日:2026/05/26
看護職の資格のなかには、正看護師免許と准看護師免許があります。名称は似ていますが、資格の取得方法や業務範囲、待遇に違いがあります。今回は、資格の違いや、准看護師から正看護師免許を取得する方法を解説します。今後の准看護師資格の動向についても触れているので、准看護師の人や准看護師を目指している人は参考にしてみてください。
准看護師とは?
准看護師とは、看護職として働ける資格のひとつです。『令和5年 看護関係統計資料』によると、2019年時点で就業している正看護師の数は1,373,294人、准看護師は257,464人となっています。
正看護師と准看護師、これらはどのような違いがあるのでしょうか。資格や教育課程から試験内容、業務の違いなどについて詳しくみていきましょう。
准看護師と正看護師の資格の違い
准看護師と正看護師の資格の違いは、どの機関が免許を与えるかにあります。正看護師は厚生労働大臣が発行する国家資格ですが、准看護師は各都道府県知事が免許を発行する公的資格です。
免許交付の違い
- 准看護師:都道府県知事の免許
- 正看護師:厚生労働大臣の免許
もともと准看護師制度は、戦後、結核の流行などで医療従事者が不足するなか発足した一時的な制度でした。
当時は女性の高校進学率が低いこともあり正看護師の人数を充足させることは難しく、正看護師の補助を目的として、中学校卒業を要件に取得できる准看護師資格が誕生したのです。しかしその後も看護師不足は解消されず、准看護師制度が続いています。
教育課程の違い
准看護師と正看護師では教育課程に大きな違いがあります。類似する科目であっても、教育内容の範囲や目的は異なっています。
| 准看護師 | 正看護師 | |
|---|---|---|
| 養成校への入学要件 | 中学校卒業 | 高校卒業 |
| 教育 | 2年(1890時間) | 3年102単位(3,000時間) |
また、これまで正看護師と准看護師教育の基本的な考え方は大きく異なっていましたが、令和4年4月にガイドラインが一部改正され、以下のように変更されました。
看護師教育の基本的考え方、留意点等
- 人間を身体的・精神的・社会的に統合された存在として幅広く理解する能力を養う。
- 対象を中心とした看護を提供するために、看護師としての人間関係を形成するコミュニケーション能力を養う。
- 看護師としての責務を自覚し、対象の立場に立った倫理に基づく看護を実践する基礎的能力を養う。
- 科学的根拠に基づいた看護の実践に必要な臨床判断を行うための基礎的能力を養う。
- 健康の保持・増進、疾病の予防及び健康の回復に関わる看護を、健康の状態やその変化に応じて実践する基礎的能力を養う。
- 保健・医療・福祉システムにおける自らの役割及び他職種の役割を理解し、多職種と連携・協働しながら多様な場で生活する人々へ看護を提供する基礎的能力を養う。
- 専門職業人として、最新知識・技術を自ら学び続け、看護の質の向上を図る基礎的能力を養う。
※旧6項目に1)を新設・追加
准看護師教育の基本的考え方、留意点等
- 人間を身体的・精神的・社会的側面から把握し、対象者を生活する人として理解する基礎的能力を養う。
- 医師、歯科医師、又は看護師の指示のもとに、療養上の世話や診療の補助を、対象者の安楽を配慮し安全に実施することができる能力を養う。
- 疾病をもった人々と家族のさまざまな考え方や人格を尊重し、倫理に基づいた看護が実践できる基礎的能力を養う。
- 保健・医療・福祉チームにおける各職種の役割を理解し、准看護師としての役割を果たす基礎的能力を養う。
- 看護実践における自らの課題に取り組み、継続的に自らの能力を維持・向上する基礎的能力を養う。
※旧2項目に1)4)5)を新設・追加
引用: 修正【別添】看護師等養成所の運営に関する指導ガイドライン
このように准看護師教育の基本的な考え方や留意点等が変更になったことにより『准看護師に求められる実践能力と卒業時の到達目標』が新設されました。新設された項目は以下の5群35項目です。
准看護師に求められる実践能力と卒業時の到達目標
| Ⅰ群 ヒューマンケアの基本的な能力 | 対象者の理解、実施する看護についての目的や方法にともなう説明責任、対象者の尊厳を守る倫理的な看護実践、信頼関係の形成に必要なコミュニケーションがとれる など |
| Ⅱ群 看護師の立案した看護計画を基に看護を実践する能力 | 対象を理解するための情報収集や看護計画の立案、計画に沿って安全安楽、対象の反応に注意して実施し、評価する など |
| Ⅲ群 健康の保持・増進、疾病の予防、健康の回復、苦痛の緩和に関わる実践能力 | 健康の保持増進や疾病予防における基本的な役割を理解し、対象の心身の苦痛の緩和および日常生活の自立に向けた支援、終末期にある対象者の理解、その人らしく過ごせる支援 など |
| Ⅳ群 ケア環境とチーム体制を理解し活用する能力 | 准看護師としての業務と役割が説明できる、医療安全や感染管理の基本的な考え方を理解、保健・医療・福祉におけるチーム連携、地域包括ケアシステムの役割や必要性を理解する など |
| Ⅴ群 専門職者として研鑽し続ける基本能力 | 看護実践における自らの課題に取り組み、継続的に研鑽する など |
准看護師試験
正看護師試験が国家試験であるのに対し、准看護師の試験は資格を発行する都道府県が実施しています。
そのため都道府県によって担当課や試験実施日、合格発表日は異なりますが、試験内容は全国一律で13科目から全150問が出題されます。合格基準も都道府県によって異なるものの、およそ60%以上の正答率であれば合格できるとされています。
出題数 :13科目全150問
合格ライン:60%以上の正答率
令和7年度の准看護師試験の状況は、受験者数10,741人に対し合格者数10,594人、合格率は98.6%となっています。そのうち高校の衛生看護科は855人のうち849人合格、准看護師学校養成所の卒業者は3,420人のうち3,378人が合格となっています。
正看護師の合格率は例年90%前後であるため、それに比べると難易度は高くないでしょう。
准看護師の資格で「できること」「できないこと」
准看護師ができることとして、業務の範囲や勤務先に関して正看護師との差はありません。
しかし、基本的に准看護師は『保助看法第6条』で「医師・歯科医師又は看護師の指示のもとで、傷病者若しくは褥婦に対する療養上の世話又は診療の補助を行う」とされています。看護師は自らの判断により看護を提供できますが、准看護師は自らの判断による看護業務はできないという違いがあります。
また、准看護師は正看護師と比べて業務範囲がやや限られるため、求人数も正看護師と比較して少ない傾向にあります。
さらに、保健師や助産師の資格取得や、スキルアップとして専門看護師や認定看護師の取得は准看護師資格だけではできません。看護師養成課程修了と看護師国家試験合格が必須です。
准看護師と正看護師の給料・年収・手当
給料や年収は、准看護師と正看護師で大きく差があります。勤務先や夜勤の有無などで条件は異なってきますが、全国平均は以下のとおり年収は准看護師が約427万円に対し、正看護師は約524万円と違います。
通勤手当や住宅手当などは准看護師も正看護師も基本的には同額ですが、夜勤手当に関しては正看護師より准看護師の支給額は低く設定されることが多いようです。
准看護師と正看護師の給与
| 准看護師 | 正看護師 | |
|---|---|---|
| 月収 | 30万3,200円 | 36万5,900円 |
| 賞与 | 63万6,800円 | 85万6,400円 |
| 年収 | 約427万円 | 約524万円 |
准看護師から正看護師になる方法
准看護師を経て正看護師になるためのルートはいくつかあります。
中学校卒業の場合は准看護師試験に合格した後、3年の実務を経て看護師学校養成所に通い、看護師資格を取得するルート。高校卒業の場合、准看護師試験合格後に看護師学校養成所に通い、看護師資格を取得するルートが一般的です。看護師学校養成所によっても、全日制か定時制によって通学する年数は異なります。
ほかにも高校卒業後に准看護師学校養成所で2年教育を受け、准看護師試験に合格し、7年間の実務を経て通信制の看護師学校養成所に2年間通い、看護師資格を取得するルートがあります。

准看護師学校養成所を経て正看護師資格を取得するルートは、実務経験が必要な場合だととくに長い期間を要しますが、いちはやく働きたいなど、さまざまな事情がある人には選択肢のひとつとして考えられるでしょう。
准看護師として働きながら正看護師を目指す場合、都道府県や自治体などの奨学金制度もあります。看護師資格取得の補助を積極的に行っている病院もあるため、ぜひ確認してみてください。
准看護師の資格はなくなる?今後の動向は
もともと准看護師制度は一時的な措置でした。そのため、日本看護協会では正看護師と資格の一本化に向けた取り組みを行っており、准看護師の養成校はここ20年間で1/4程度に減少しています。准看護師の養成定員の割合は、2025年には看護職全体のなかでわずか10%。
また、正看護師と准看護師の就業者数を比べると、以下のように正看護師は増加傾向なのに対し、准看護師は減少傾向となっています。
就業者数の推移
| 正看護師 | 2015年 | 1,176,859人 | 2023年 | 1,373,000人 |
|---|---|---|---|---|
| 准看護師 | 358,302人 | 257,000人 |
しかし、准看護師学校養成所には全日制と半日制のほか夜間に授業を行うところもあり、資格取得まで最短2年であること、費用が安いこと、働きながら資格取得ができることなど、正看護師養成所とは異なるメリットがあります。
そのため、日本医師会などでは看護職員が不足している医療現場において、地域医療を支える看護職員として准看護師制度の維持や准看護師養成の必要性を訴え、取り組んでいるところもあります。
准看護師から正看護師へ。キャリアを変更する選択肢も
現在、准看護師として働いている人や、これから准看護師を目指す人も、選択肢の一つとして正看護師になる道はいくつか用意されています。働きながら正看護師を目指す場合は都道府県や自治体の奨学金制度、勤務先の病院での補助制度などが活用できます。
准看護師制度が続くのか、廃止されるのかは現時点では未知数ですが、正看護師になることで業務内容や給与は変わってきます。正看護師へのキャリアを検討している方は、今回の記事をぜひ参考にしてみてください。
【参考】
・日本准看護師連絡協議会:これから准看護師を目指す人(2026年5月22日閲覧)
・厚生労働省:「看護師等養成所の運営に関する指導ガイドライン」の一部改正に係る新旧対照表(2026年5月22日閲覧)
・厚生労働省:令和7年度准看護師試験の実施状況(2026年5月22日閲覧)
・厚生労働省:保健師助産師看護師法(2026年5月22日閲覧)
・日本看護協会:准看護師養成数の減少、准看護師養成の推移(日本准看護師連絡協議会)(2026年5月22日閲覧)
・日本看護協会:准看護師制度について(2026年5月22日閲覧)
・日本看護協会:看護統計資料(2026年5月22日閲覧)
・厚生労働省:令和7年賃金構造基本統計調査 一般労働者 職種(2026年5月22日閲覧)
・日本看護協会:准看護師について(2026年5月22日閲覧)
・日本医師会:地域医療を支える看護職員(准看護師を含む)の養成について(2026年5月22日閲覧)
