新卒看護師向けの志望動機例文集|書き方から採用担当のチェックポイントまで

最終更新日:2025/05/19
新卒看護師の採用試験では、志望動機が重要な選考ポイントとなります。今回は、志望動機で採用担当者が注目しているポイントや書き方のコツを看護学生向けに解説します。志望先のケース別に志望動機の例文も紹介するので参考にしてください。
目次
志望動機からチェックされる3つのポイント
履歴書や面接で必ず問われる志望動機は、採用結果に大きく影響する質問の1つといっても過言ではありません。採用担当者は、志望動機から主に3点を読み取ろうとしています。ここからは、採用担当がチェックする3つのポイントと、重要視される理由について解説します。
☑1.志望度と仕事に対する熱意
採用側には、志望動機からその人の志望度と仕事への熱意を確認する意図があります。内定辞退の可能性を考慮して、より志望度が高い人材を採用したいためです。
また、近年では新卒看護師の早期離職も増えていることから、採用側は自施設で働く熱意があり長く続きそうな人を求めているといえます。
そのため志望動機では、病院の特徴や理念に共感した理由などなぜその病院を選んだのか、入職後どのように成長したいのかなど、志望先に対する思いや入職後になりたい自分を具体的に伝えることが大切です。
☑2.就活生の人間性や思考力
採用担当者のほとんどは就活生と初対面なので、履歴書の内容や面接中の対応など、選考でのあらゆる場面・要素からその人の人間性を判断します。なかでも志望動機は、人柄や学んできたこと、看護観が読み取れるため、特にチェックされるようです。
また、志望動機の内容や構成、論理的思考力の有無、ほかに面接時の受け答えなどもチェックされます。内容に一貫性があるかどうか気をつけながら、自分の伝えたいことを相手にわかりやすく書くことが大切です。
☑3.病院の方針との適合性
病院の理念や特徴によって求められる看護師像は異なります。そのため、採用担当者は就活生 が病院の方針を理解しているか、またその考え方がマッチしているかを志望動機から見極めています。
看護学生側も入職後に「想像と違った」となるのは避けたいところです。説明会や就業体験を活用し、病院の特徴を理解したうえで志望動機を作成しましょう。
相手に伝わる志望動機の書き方
志望動機は、採用担当者のチェックポイントを意識しながら、相手に伝わりやすい構成にすることが大切です。ここでは、伝わりやすく説得力のある志望動機を書く手順を解説します。
1.事前準備
相手に伝わりやすく魅力的な志望動機を書くためには、事前準備が欠かせません。なんとなく書き始めると、具体性や説得力に欠ける内容になりかねません。まずは、以下に挙げる3つの事前準備から始めましょう。
自己分析
まずは自己分析で自分の価値観や看護観を整理します。過去の出来事や実習での経験などから大切にしていることを振り返り、自分がどのような看護師を目指したいかを明確にしましょう。
自己分析は、志望動機を書く際だけでなく、病院選びや自己PRを考えるのにも役立ちます。就活前はもちろん、就活が始まってからも自分を見つめ直し分析しましょう。自己分析の詳しいやり方は、次の記事で解説しているので参考にしてください。
志望先の情報整理
次に、志望する病院の方針や力を入れている分野、新人教育に対する考え方などの情報を整理します。説明会や就業体験で得た情報や、ホームページやパンフレットに掲載されている内容を確認し整理した情報から、自分なりに病院が求める人物像を考えてみましょう。
自分と志望先の共通点をまとめる
最後に、自己分析の結果と志望先の情報を照らし合わせ、共通点をまとめましょう。その共通点から自分がなぜその病院を選ぶのかが明確になり、それが志望動機となります。志望する病院だからこそできるなど、具体的な理由を意識して考えてみてくださいね。
2.構成を考える
志望動機は、基本の組み立てに沿って構成を考えるのがおすすめです。
志望動機の基本の組み立て | |
---|---|
【導入】志望理由 | 志望理由や看護師としての目標を簡潔に述べる |
【本論】具体的な内容 | 志望する理由を裏付ける内容を具体的なエピソードを添えて説明する |
【結論】将来のビジョン | 1入職後の目標や病院でどのように貢献したいかを伝える |
基本の組み立てに沿うことで、自分の思いが採用担当者に伝わりやすくなり、説得力のある文章になります。基本の組み立てを意識し、どのような内容を盛り込むか、ストーリーを構成していきましょう。
3.志望動機を文章でまとめる
構成が決まったら、実際に文章にします。まずは、箇条書きや簡易な表現でポイントを列挙し、文字数の範囲内で自分が伝えたいことを取捨選択して簡潔な文章にまとめていきましょう。
文章が完成したら読み返してわかりやすさを確認します。志望動機を記入した履歴書は面接対策用としてコピーをとっておきましょう。
【ケース別】新卒看護師の志望動機例文集
ここでは、採用担当者のチェックポイントや志望動機の基本の書き方をベースに作成した志望動機の例文を、志望先のケース別に紹介します。
総合病院
複数に診療科があるような総合病院は、病院が担っている医療機能に合わせて志望動機を作成するのがポイントです。
急性期病院・大学病院
学生時代の実習で、急性期病棟の看護師が高い判断力と技術をもって患者さんの変化に迅速に対応している姿を見て、多くの患者さんの回復を支えるためには、幅広い知識と的確な判断力を身につけ看護師としての総合力を高めるべきだと考えました。ですから、最先端の医療技術と高度な看護実践が求められる環境を有し、救急から専門診療科まで幅広い患者さんを受け入れている貴院は魅力のある病院だと感じています。
将来はさまざまな経験を積みながら総合的な看護力を磨き、患者さんに応じた最適なケアを提供できる看護師を目指してまいります。
地域の中核病院(地域医療支援病院)
一人暮らしをしていた私の祖母が地域密着型の病院に入院した際、医療従事者の温かいケアと地域との連携に支えられ、安心して療養生活を送り回復することができました。その経験から、患者さんとそのご家族に寄り添う看護の大切さを実感し、他職種と連携しながら地域医療に貢献できる看護師になりたいと考えました。
地域医療支援病院である貴院で、教育プログラムやプリセプターシップを通し知識を磨き、スキルを重ねながら、地域の方々の健康を支えられる看護師を目指したいと思っています。
回復期・慢性期の病院
私は物事にじっくり取り組むことが得意です。看護実習の際には、ADLが低下した患者さんを受け持ち、信頼関係を築きながらその方の機能回復をサポートすることに喜びややりがいを見出しました。貴院が在宅復帰や社会復帰に向けたサポート体制を整え、患者さんのQOL向上に力を入れている点に魅力を感じています。
回復期・慢性期では、患者さんの小さな変化を読み取り、長期的な視点でケアを提供することが重要だと考えています。それを念頭に、私の強みを活かしながら貴院で経験を重ね、患者さんそれぞれに寄り添った看護を実践していきたいと思っています。
専門病院
専門病院を志望する場合は、なぜその分野のその病院に魅力を感じたのかをしっかりアピールしましょう。
私は、中学から高校にかけてバレーボールに打ち込んでいましたが、けがによって離脱し手術とリハビリを経て復帰した経験があります。再びバレーができた喜びは大きく、運動器の健康がいかに大切か、そしてけがからの回復を支えてくれた医療の重要性を痛感しました。
貴院は、スポーツ整形、リハビリテーション、人工関節手術など、整形外科分野における高度な専門性を有しており、幅広い世代の患者さんに治療を提供されています。そんな貴院で経験を積み、これまでの自身の経験も活かして、患者さんの痛みや不安に寄り添える看護師を目指していきたいと考えています。
クリニック・診療所
新卒看護師の多くは、病院に就職を希望する傾向にあるため、そのなかでクリニックや診療所を選ぶ理由は何なのかを明確にしましょう。
私には地域に根ざした医療機関で、継続的に患者さんの健康管理をサポートしたいという思いが強くあります。それは、病院実習を通して病気を治療するだけでなく予防することの重要性を痛感したからです。そのため、予防接種、健康診断、生活習慣病の指導など、地域住民の健康増進に力を入れている貴院は、私が目指す看護の経験が重ねられる環境だと感じています。
将来的には予防医学や指導の知識や技術も身につけ、貴院の一員として地域医療に貢献していきたいと考えています。
社会福祉施設
社会福祉施設を志望する場合も、なぜ医療施設ではなく福祉施設を志望するのかを明確に説明しましょう。
私は病院実習を通し、自宅退院が困難な患者さんがいることを知るとともに、高齢者の方々の生活を支えるには、医療的なケアだけでなく日々の生活の質を高めることが重要であることを学びました。そのため貴施設が入所者さんの個性を尊重し、「日々、彩りある人生を」という理念を掲げていることに深く共感しました。
貴施設では、入所者さんの健康管理からレクリエーションなど生活全般に関わり寄り添うことで、深い信頼関係を築き、生活をサポートしていけるのではないかと考えています。
役所・保健所
看護師として役所や保健所へ入職する場合、地方公務員として働くことになります。そのため、志望動機はその地域へ貢献したい思いをアピールするのがおすすめです。
私は、幼い頃から〇〇市の豊かな自然と、温かい人々の繋がりのなかで育ってきました。しかし、近年では少子高齢化や若い世代の転出などにより課題も多く、保健師として働く苦労は少なくないというお話も伺いました。そのようななかでも、私が学んだ知識を活かし、生まれ育った地域に貢献したいという思いは変わっていません。
今後はさらなる高齢化が進むと予測されているため、健康寿命を延ばすための取り組みや高齢者支援など、地域の人々に寄り添った活動をしていきたいと考えています。
看護学生が志望動機を書くときの注意点
ここでは、看護学生がつまずきやすいポイントを踏まえて、志望動機を書くときの注意点を解説します。
志望理由は具体的に
志望理由は、なぜその病院や施設を志望するのかを具体的に述べましょう。単に急性期に興味がある、理念に共感したなどの理由では、漠然としていて説得力に欠けると判断される恐れがあります。病院が行っている具体的な取り組みなどを挙げ、魅力や感銘を受けたエピソードなどを交えて熱意を伝えましょう。
自分の経験や強みを活かして貢献したいと考えているポイントを加えると、病院との適合性もアピールできます。
200~300文字で簡潔にまとめる
志望動機は200〜300文字、1分程度で読める内容にまとめましょう。文章が長すぎるとかえって意図が伝わりにくくなり、反対に短すぎると熱意に欠けると判断されかねません。
文章は最も伝えたいポイントに絞り、履歴書の志望動機欄が埋まる程度の文字数を目安に簡潔かつ読みやすく書くことが重要です。
誤字脱字や表現に気をつける
誤字脱字は注意力や丁寧さに欠ける印象を与えるだけでなく、熱意も伝わりにくくなります。提出前には必ず見直しましょう。第三者にチェックしてもらうのもおすすめです。
また、言葉の表現にも注意し、ネガティブな表現や不適切な名称などは使わないようにしましょう。
例文をそのまま使わない
例文はあくまでも参考程度にとどめ、自分の言葉で表現することが大切です。採用担当者は多くの履歴書に目を通しているため、よくある例文をそのまま使うと、個性が伝わらず印象に残りにくいだけでなく、本気度を疑われてしまいます。
例文を参考にしたとしても、経験や考えなど自分らしい内容を盛り込み、自分の言葉で思いを伝えましょう。
看護学生の志望動機に関するQ&A
ここでは看護学生の志望動機に関するよくある質問を紹介します。
Q:面接を受ける病院ごとに志望動機は変えたほうがよい?
Q:志望動機に希望の配属領域を書いてもいい?
志望動機は病院全体の魅力や理念に共感したことを伝えるのが無難かもしれません。そのうえで、興味のある分野や将来的に進みたい希望を付け加えると、志望する熱意と柔軟で意欲ある姿勢がアピールできるでしょう。
Q:志望動機が思いつかない場合はどうすれば?
Q:志望動機を添削してもらうには?
ポイントをおさえて説得力のある志望動機を書こう
志望動機では就活生の人柄や志望度が見極められるため、採用側にとっては重要な判断材料の1つとなります。魅力的な志望動機が書けるよう、採用担当者が見ているポイントを理解し、志望動機の基本の組み立てや書き方のコツは理解しておきましょう。紹介した例文を参考に、自分らしく説得力のある志望動機を書いてみてくださいね。