看護師になりたい理由は?面接・履歴書で活用できる志望動機の伝え方と具体例

看護師になりたい理由は?面接・履歴書で活用できる志望動機の伝え方と具体例

最終更新日:2024/05/02

「看護師になりたい理由」は、学校のレポートや志望動機として看護学生に問われることが多い質問です。先輩看護師の例をふまえて、なぜ看護師になりたいのかを明確にする方法と採用面接や履歴書で上手に伝えるポイントを解説します。

看護師になりたい理由は十人十色

看護師になりたい理由は人によって異なり、正解はありません。その人の経験や人生観、価値観によってさまざまです。

先輩にきいた「看護師になりたい理由」

以下は先輩看護師にきいた「看護師になりたい理由」です。

  • 困っている人の助けになりたいと思ったから
  • 看護師の仕事に憧れを抱いているから
  • 身内が病気で苦しんでいるのを見て、自分が力になりたいと思ったから
  • 身近な人が看護師として働いていたから
  • 国家資格で、女性でもライフステージに合わせてキャリアを積めるから

家族の影響や過去の経験、社会貢献、看護師への憧れなど、先輩看護師からの意見からも看護師になりたい理由は人それぞれ異なることがわかります。

看護師になりたい理由を明確にする方法

看護師になりたい理由はさまざまですが、なかには「なりたい理由がわからない」という学生もいるでしょう。そこで、看護師になりたい理由を明確にするためのポイントを以下で解説していきます。

看護師を目指したきっかけを考える

まずは過去の経験やできごとから、看護師になりたいと思ったきっかけを深掘りしてみましょう。

たとえばきっかけが自分自身や家族が病気になったことであれば、過去の経験を通して人や社会の役に立ちたいという思いが看護師になりたい理由であるといえます。まずは看護学校に入学する前の自分の考えを思い出してみましょう。

実習中の印象に残ったことを整理する

実習中で得た経験は看護師になりたい理由を見つける大きな機会です。とくに印象に残ったことを書き出してみましょう。

実際に現場で働く先輩看護師やそのほかの医療従事者の姿や、患者とのコミュニケーションなどジャンルは問いません。そのできごとから、なぜ印象に残ったのかを整理すると、自分の看護への思いに対して新たな気づきが得られるでしょう。

どのような看護師になりたいのかを考える

看護師になりたい理由は、過去の経験だけでなく将来に視点を置くことでも明確にすることができます。

たとえば訪問看護師として働きたいと考えている場合、その理由を深堀りすることで看護師を目指したきっかけにつながります。経験から看護師になりたい理由を導き出せない場合は、自分が将来看護師としてどのように働きたいのかからひも解くのもひとつの方法です。

看護観について考える

看護観は「自分は患者さんに対してこういう看護がしたい」という、看護に対する考えや価値観のことであり、看護師になりたい理由にも落とし込むことができます。

例として看護観が「患者の悩みや不安に寄り添った看護をする」であれば、困っている人の支えになりたいという思いが看護師になりたい理由だと考えられるでしょう。看護師になりたい理由を明確にするときは、看護観を掘り下げることも必要不可欠です。

面接・履歴書でわかりやすく伝えるポイント

「なぜ看護師になりたいのか」を問われる理由は、その人が看護師としての適性があるかどうかの判断材料になるからです。その意図をふまえて伝え方のポイントを解説します。

経験・エピソードをかならず交える

看護師になりたい理由を伝える時は自分オリジナルの経験やエピソードを必ず交えましょう。「看護師は社会的に必要とされているから」「人の役に立ちたい」のような、理論的・抽象的な話をするだけでは、自分の思いが伝わりにくいからです。

なぜ社会貢献や、人の役に立ちたいと思ったのかなど、自分自身が経験したエピソードを加えると、具体性が増し印象も残りやすくなるでしょう。

「結論」から文章を組み立てる

面接や履歴書に問わず、看護師になりたい理由を伝える時はまず「結論」を述べましょう。具体的なエピソードを交えても結論が後回しになっていると、自分の思いが相手に伝わりづらくなります。

はじめに「私が看護師になりたい理由は〇〇です」と伝えることを意識するだけで、相手も理解しやすくなり、そのあとの具体的な理由やエピソードもスムーズに伝えられるでしょう。

書く時は200~300文字で簡潔にまとめる

履歴書やエントリーシートなどを書く際は、簡潔にまとめることを意識しましょう。応募書類はスペースも限られていることが多く、細かい字でたくさん書いてしまうと読みづらい印象を与えてしまいます。

もし文字数が定められていない場合は、200~300字程度に収めることをおすすめします。できる限り無駄な言葉を省き、端的な文章を心がけましょう。

志望動機につなげる時は病院の理念にも触れる

看護師になりたい理由を踏まえて就職先の志望動機を伝える場合は、病院の理念につながるような内容を意識しましょう。

医療機関では、それぞれ理念や方針が定められています。自分自身の経験や看護観から考えた看護師になりたい理由と、病院の理念がマッチすることを伝えられると、病院側も入職後にどんなふうに活躍できるか想像しやすくなるでしょう。

「看護師になりたい理由は?」の回答例

看護師になりたい理由に正解はありませんが、面接で問われた時の回答例をいくつか紹介します。回答例はそのまま使わずに、文章構成を参考にして自分だけのオリジナルな回答になるように考えてみましょう。

回答例1:社会貢献

私が看護師になりたいと思ったのは、人の役に立つ仕事にチャレンジしたいと思ったからです。中学生の時に介護施設のボランティアに参加した際、施設には身体機能が低下し車椅子や杖を使用しながら過ごされている高齢者の方が多く、安心して生活を送るためには誰かの支えが必要であることを学びました。そこで自分がそのような方々を支えられる人になりたいと思い、看護師を目指すことにしました。介護師ではなく看護師の道を選んだのは、医療面の知識や技術をもち人々に貢献したいと思ったからです。

回答例2:看護師への憧れ

看護師になりたいと考えている理由は、看護師という職業に憧れをもっているからです。中学生の時に医療ドラマを観てから看護師の仕事に興味を持ちました。それから、地元の病院で行われる看護師の職業体験に参加したときに、担当の看護師さんが患者さんにテキパキと対応している姿を身近で見て、より一層看護師への憧れが強くなり目指すことを決心しました。

回答例3:幼少期の体験

看護師になりたい理由は、病気や怪我で不安になっている人の助けになりたいからです。私は小学生の時に骨折し手術をしたことあります。当時骨折による痛みだけでなく、ギプスや点滴など初めての経験ばかりで大きな不安を感じていました。しかし、看護師さんが不安にならないようにたくさん声をかけてくださったことで、とても安心したのを覚えています。自分もあの時のように人に安心を与えられる存在になりたいと思い、看護師を目指そうと決めました。

「看護師になりたい理由」を答える時に避けたいこと

人それぞれ看護師になりたい理由は異なりますが、履歴書や面接などで伝えるときに避けておきたい内容もあります。以下で紹介する内容は、場合によって採用側に悪い印象を場合もあるので注意しましょう。

安定性だけの話をする

看護師は給料面や需要の高さから安定した職業といえますが、それ以前に人の命をあずかる責任のある仕事です。そのため「給料がいいから」「就職先に困らない」のような安定性だけを理由にするのは印象が良くありません。

安定を求めることが悪いことではありませんが、看護師としてのやりがいなどについても言及するようにしましょう。

意思が伝わりづらい言い回しをする

自分の意思が伝わりづらい抽象的な内容には注意が必要です。「社会貢献をしたいから」や「人々のために尽くしたいから」だけに留めてしまうのではなく、社会貢献をするために看護師として具体的に何をしたいのかを伝えると良いでしょう。

また「看護師に向いているといわれた」「家族が看護師だった」なども、自分の意思が伝わりにくい内容といえます。これらは看護師になろうと思ったきっかけにすぎないので、そこからなぜ看護師を目指すことにしたのかを一緒に伝えることが大切です。

例文をそのまま使う

ネット上には看護学生向けに志望動機の回答例が多く公開されていますが、例文をそのまま引用するのは避けましょう。他の応募者と同じような回答になってしまい印象が残りにくいためです。

例文はあくまで参考程度に留め、自分の経験や考えを反映したオリジナルの回答を心がけましょう。

自分ならではの「看護師になりたい理由」を伝えよう

看護師になりたい理由は人それぞれ異なりますが、過去の体験や看護観などオリジナルのエピソードを取り入れることで自分らしさが伝わり、相手の印象に残りやすくなります。まずは自分を振り返り、看護師になりたい理由を明確にしてみましょう。
また、面接や履歴書では相手にわかりやすく伝える方法を参考に、自分ならではの「看護師になりたい理由」を伝えましょう。

執筆者情報

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伊藤 雪乃

ito-yukino

2003年に看護師免許取得後、北海道の公立病院に5年間勤務し、地域医療をに携わる。その後埼玉県の介護施設(ショートステイ)で3年、整形外科病院に10年勤務。 2018年ごろから副業でライターをはじめ、現在はウェブと書籍に携わるフリーライターとして活動中。 2022年11月発売「私立文章女学院」編集協力