【疾病の成り立ちと回復の促進編】第114回看護師国家試験はどうなる!?出題予想と攻略法
最終更新日:2024/08/19
この記事では、2025年に実施される「第114回看護師国家試験」の対策方法を、科目別で解説します。今回は「疾病の成り立ちと回復の促進」編です。第113回で出題された基礎看護学に関する問題を分析し、第114回の国試出題予想と攻略法を紹介します。
目次
第113回の「疾病の成り立ちと回復の促進」はどうだった?
第113回の全体的な難易度は?
疾病の成り立ちと回復の促進に関する問題の全体的な難易度は、例年と変わらないといえます。
以下の表は、過去6年間でこの科目から出題された問題数(午前・午後の合計)をまとめたものです。
第108回 | 第109回 | 第110回 | 第111回 | 第112回 | 第113回 |
---|---|---|---|---|---|
22題 | 32題 | 27題 | 29題 | 16題 | 23題 |
第113回の出題数は6年間のほぼ平均(24.9題)でした。
とくに印象に残った問題は、転移性脳腫瘍の原発巣で最も多いがんを胃・乳房・肺・大腸・子宮頸から選ばせる問題(午前No.81)です。疾病の統計について関する問題で、一見記憶していないと答えられないような内容ですが、男女別でがんが発生しやすい臓器を正しく理解していれば、正答にたどり着くことが可能な問題でした。
第112回と比較すると?
第112回との最も大きな変更点は「疾病の成り立ちと回復の促進」に関する問題数が増えたことです。第112回は過去6年間のなかでこの科目の出題数が最も少なく、16題のみの出題でしたが、第113回では23題出題されました。
看護師が身につけておきたい医学分野の範囲は年々広がっています。さらに、この領域はさまざまな難易度の問題を作りやすいため、今後は第113回と同等か、それより多い出題が予想されます。
第112回から2年連続で出題された問題には、ウイルス性疾患に関する問題やさまざまな疾患の病態に関する問題が挙げられます。また疾病の検査に関して、検査項目をあげさせる問題や検査方法を問う問題も共通して出題されました。そのほか、ホルモンに関する問題や、処置・手術が引き起こす有害事象に関する問題も出題が続いています。
第113回看護師国家試験から分析する今後の傾向
近年、出題頻度が高い問題の特徴は?
第113回で出題された問題のうち近年頻出しているのは、感染症に関する問題、とくにウイルス性疾患についての問題です。これはコロナ禍前の第108回以前では出題が目立っていませんでしたが、第109回以降は毎年出題されています。新型コロナウイルスの感染は依然として続いているため、今後も感染症、ウイルス性疾患についての出題は続くでしょう。
そのほか、膠原病に関してその病態や症状、概念を問う問題も頻出しています。さらに、検査項目や検査の内容、検査の意義と方法など検査についての問題も繰り返し出題されています。
また、ホルモンが関係する疾患の問題もよく出題され、なかでも甲状腺の異常に関する問題や、ステロイドホルモンの過剰あるいは不足による症状を問う問題が多い傾向です。
第113回でとくに目立っていた問題
第113回では大動脈解離における偽腔(解離腔)の部位に関する問題(午前No.79)が出題されました。このような疾病の病態について病理解剖学的知見を問う問題は珍しく、難しい問題であったといえます。ただし、今後このような問題の出題は多くはないと予想され、例え出題されたとしても正答率は低くなるでしょう。
一方で、薬剤投与、処置・手術などの医療行為に伴う有害事象に関する問題は、頻出問題とまではいえませんが、2年連続で出題されていることもあり、今後もある程度の割合で出題されることが予想されます。
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【第114回出題予想】「疾病の成り立ちと回復の促進」に関する問題3問
予想問題1
- 急性合併症である
- 運動神経障害は起こらない
- 発汗異常は知覚神経障害による
- 足部潰瘍発生の原因となる
糖尿病の神経障害について正しいものはどれか。
解答・解説をチェック
4
1.(×)糖尿病の神経障害は慢性合併症であり、多くの場合糖尿病発症後2、3年で出現します。
2.(×)運動神経、知覚神経、自律神経の全てが障害されます。
3.(×)自律神経障害によりA-Vシャント、発汗異常、起立性低血圧、性機能障害(男性)などがみられます。
4.(〇)シャント、発汗異常は足部潰瘍発生の原因となります。
糖尿病の神経障害は、糖尿病三大合併症のなかで最も複雑であり、症状も多岐に渡るため、問題として取り上げられることが多い内容といえます。これまでも類似した問題は出題されていますが、今後は内容を部分的に変更し、より難しい問題として出題される可能性もあるでしょう。
予想問題2
- 褥瘡の赤色期では積極的にデブリードマンを行う
- 皮膚外傷で重度に挫滅した創縁にはデブリードマンを行わない
- 血行障害による足部潰瘍は最初にデブリードマンを行う
- デブリードマンの目的は感染予防と治療促進である
デブリードマン(壊死組織の除去)について正しいものはどれか。
解答・解説をチェック
4
1.(×)褥瘡の黒色期では壊死組織除去を行いますが、肉芽組織が増加する治療過程の赤色期ではデブリードマンは通常行いません。
2.(×)皮膚外傷で壊死に陥る可能性が高い創縁の場合、積極的にデブリードマンを行います。
3.(×)血行障害が原因である足部潰瘍は血行再建が第一選択であり、デブリードマンは潰瘍の範囲の拡大を招くので通常は禁忌とされています。
4.(〇)デブリードマンの目的は感染予防と治療促進です。
デブリードマンは近い将来、看護師が行う手技のひとつとなる可能性が高いとされています。創の治療を促進するために適切なデブリードマンは必須であり、正しい理解が求められることから、今後出題される可能性が高いと考えます。
予想問題3
- 下垂体前葉は最も上位の内分泌腺である
- 末梢のホルモンによる上位内分泌腺への負のフィードバックは、ホメオスタシスには関係しない
- 甲状腺と副甲状腺から分泌されるホルモンは、骨吸収に関して相反する働きを持つ
- 血管の収縮に関与するホルモンは副腎皮質から分泌される
内分泌器官について正しいものはどれか。
解答・解説をチェック
3
1.(×)最も上位の内分泌腺は視床下部です。
2.(×)上位内分泌腺に対する末梢ホルモンによる負のフィードバックは、ホメオスタシスに重要な役割を果たします。
3.(〇)甲状腺から分泌されるカルシトニンは骨吸収を抑制し、副甲状腺ホルモン(PTH)は骨吸収を促進します。
4.(×)血管の収縮に関与するカテコールアミンは副腎髄質から分泌されます。
ホルモンに関する問題は頻出問題であり、ホメオスタシスという重要な概念のなかで理解することが求められているため、今回予想問題として紹介しました。
【第114回攻略法】「疾病の成り立ちと回復の促進」のチェックポイントはズバリここ!
第114回看護師国家試験の「疾病の成り立ちと回復の促進」を対策するときに、とくに注力すべきポイントは4つです。
1. ウイルス性疾患に関する基礎知識を身につける
新型コロナウイルス感染が続いている現在、ウイルス性疾患の種類・症状・感染経路・予防法など、基本的なことを理解・記憶しておくことが求められます。今後も出題は続くと予想されるので、基礎知識をしっかり身につけておきましょう。
2. ホルモンが関与する疾患について正しく理解する
人体にとって極めて重要なホメオスタシスという概念のなかで、代表的な内分泌腺と分泌するホルモンとその作用について大枠でおさえておくことは必須です。頻出問題でもあるので、理解を深めておきましょう。
3. 薬剤の副作用や処置・手術がもたらす有害事象に関する知識を習得する
近い将来、欧米のように看護師が従来の看護行為を超えた処置や処方を行う時代がやってくるといわれています。薬剤の副作用や処置・手術後の有害事象に関する知識は今後さらに求められるようになり、出題も予想されるため必ず学習しておきましょう。
4. 糖尿病や膠原病に関する問題の対策をしておく
疾患としては、糖尿病や膠原病に関する出題が多い傾向です。糖尿病ではとくに合併症、膠原病では代表的疾患の典型的な症状を理解・記憶することが求められるため、このあたりを中心に対策しておきましょう。
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