【精神看護学 編】第114回看護師国家試験はどうなる!?出題予想と攻略法
最終更新日:2024/08/19
この記事では、2025年に実施される「第114回看護師国家試験」の対策方法を、科目別で解説します。今回は精神看護学編です。第113回で出題された精神看護学に関する問題を分析し、第114回の国試出題予想と攻略法を紹介します。
目次
第113回の「精神看護学」はどうだった?
第113回の全体的な難易度は?
第113回で出題された「精神看護学」に関する問題は、全体的には例年と変わらない難易度でした。細かくみると、例年と比較して一般問題は「やや簡単」、状況設定問題は「やや難しい」といった印象でしたが、出題の傾向は例年とほとんど変わりませんでした。
第113回の出題範囲は、令和5年版看護師国家試験出題基準に示されており、精神看護学の出題基準は以下7つの大項目が設定されています。
【令和5年版看護師国家試験出題基準 精神看護学の大項目】
- 精神保健の基本
- 主な精神疾患・障害の特徴と看護
- 精神看護の対象の理解と支援のための概念
- 精神疾患・障害がある者とその家族への看護
- 安全な治療環境の提供
- 精神保健医療福祉の変遷と法や施策
- 精神保健医療福祉における多職種連携
【参考】厚生労働省:看護師国家試験出題基準
一般問題の精神看護学に関する問題は、出題基準の大項目5以外から満遍なく出題されていました。以下は出題された10問を該当する大項目ごとでまとめたものです。いずれも基本的な知識を問う内容でした。
大項目 | 問題内容 |
---|---|
大項目1 |
「精神障害の予防」※「リエゾン精神看護」にも該当する問題 「自殺対策基本法」 「ストレス」 「サイコロジカルファーストエイド(災害時のメンタルヘルス)」 |
大項目2 |
「睡眠障害(ナルコレプシー)」 「てんかん」※疾病の成り立ちと回復からの出題 |
大項目3 | 「共同意思決定」 |
大項目4 | 「精神障害者保健福祉手帳」 |
大項目6 | 「入院形態」「退院請求」 |
大項目7 |
「リエゾン精神看護」※「精神障害の予防」にも該当する問題 (令和5年の出題基準改定で大項目1から7に区分) |
状況設定問題では、以下の3事例が出題されました。
- 自閉症スペクトラム障害
✔ 自閉症スペクトラム障害の症状(大項目2)
✔ 社会資源の活用:精神科外来の看護師による説明(大項目4)
✔ 再発予防に対する看護(大項目4) - うつ病
✔ 希死念慮がある患者さんの看護(大項目2)
✔ 修正型電気けいれん療法の合併症(大項目4)
✔ 心理・社会的療法(大項目4) - 強迫性障害
✔ 精神科急性期の看護(大項目2)
✔ 家族への教育的介入と支援:巻き込みへの対応(大項目4)
✔ 症状マネジメントにおける看護(大項目4)
第113回では、出題頻度が高い統合失調症やパーソナリティ障害の事例は出題されませんでした。問題自体は、例年と変わらず大項目2や4に該当する「疾患と治療の理解」や「病期に応じた看護」について問うもので、基本的な「疾患・治療」と「看護」について理解をしていたらシンプルに答えを導ける内容だったといえます。
一方、精神科外来における状況設定問題が出題されたことは特筆すべきことです。具体的には「患者さんの症状の見立て」から「看護師が行う社会資源の説明」や「就労移行期の支援」までを問う問題(午前No.112~114)と、外来での家族への説明を含む「看護師の対応」に関する問題(午後No.112~114)がとくに印象的でした。精神科外来における看護だけでなく、精神に障害をもつ家族への支援も含めた看護実践能力を問う内容となっていました。
第112回と比較すると?
第113回は、令和5年版看護師国家試験出題基準が適用されてから2回目の試験です。出題基準の改定後、今回初めて共同意思決定に関する問題(午前No.64)が出題されました。また、就労移行支援に関する問題は第112回の一般問題で出題されていますが、第113回では精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの構築と、社会資源の活用に関する内容として、状況設定問題で1問(午前No.113)出題されました。
反対に、第112回で出題されて第113回で出題されなかった問題は、一般問題では、エンパワメント(第112回午前No.66)、自立支援医療制度(第112回午前No.67)、身体拘束時の看護(第112回午後No.63)、セルフケアのアセスメント(第112回午後No.84)に関する問題が挙げられます。状況設定問題では、パーソナリティ障害の看護(第112回午前No.112~114)や、統合失調症の患者さんへの訪問看護師の対応に関する問題(第112回午後No.109~111)が挙げられます。
第113回では出題されなかったものの、いずれも出題頻度が高い問題であるため、今後も対策をしておくことが望ましいでしょう。とくに、精神科医療における看護だけでなく、在宅医療、周産期医療、地域保健といった場面で精神疾患をもつ人に対しての看護実践能力を問う問題が今後も出題される可能性は高いと考えます。
一方、第112回から継続して出題された問題には、就労移行支援に関する問題のほかに、入院形態(午前No.66)、精神障害の予防(午後No.61)、災害時のメンタルヘルス(午後No.72)が挙げられます。
第113回から分析する「精神看護学」の傾向
第113回では精神看護学の出題基準のうち、大項目5「安全な治療環境の提供」を除く大項目から幅広く出題されました。
近年、出題頻度が高い問題の特徴は?
過去10年間のうち、一般問題で出題頻度が高い問題は以下のとおりです。
大項目 | 問題内容 |
---|---|
大項目1 |
「精神障害の予防」 「自殺対策」 「災害時の精神保健医療活動」 「防衛機制」 |
大項目2 |
「神経性障害」 「発達障害」 「睡眠障害」 「依存症」 |
大項目3 |
「セルフケアへの援助」 「リカバリ」 「ストレングス」 「意思決定支援」 |
大項目4 |
「心理・社会的療法」 「社会資源の活用」 「精神障害者保健福祉手帳」 「精神科外来看護」 |
大項目5 | 「病棟環境の整備と行動制限」 |
大項目6 |
「患者の権利擁護」 「入院形態」 「精神保健福祉法」 |
大項目7 |
「リエゾン精神看護」 「多職種連携」 |
第113回も一般問題の出題の傾向は大きく変わりませんでした。これらの問題は、いずれも令和5年版看護師国家試験出題基準の精神看護学の項目に含まれている問題であり、精神看護学の根幹をなす基礎的な問題でもあるため、例年出題されやすく今後もこの傾向は続くと考えられます。
状況設定問題は例年、統合失調症、双極性障害、うつ病、神経症性障害、発達障害、依存症、パーソナリティ障害に関する内容が主に出題されています。状況設定問題に出題されているこれらの疾患は、令和5年版看護師国家試験出題基準の精神看護学の大項目2に該当する疾患です。精神科医療において主な治療対象となる疾患でもあるため、今後も継続して出題されることが予測されます。
また近年出題された問題を振り返ると、疾患別ではとくに統合失調症、うつ病、パーソナリティ障害に関する問題の出題頻度が高いといえます。問題の傾向としては、各疾患の症状・治療・看護のほかに、「急性期」「回復期」「地域移行期」ごとの特徴的な症状や治療と、病期に応じた適切な看護についても問われやすいため、幅広く理解しておくことが重要です。
第113回でとくに目立っていた問題
第113回では、精神科外来における「自閉症スペクトラム障害」や「強迫性障害」についての看護の出題が特徴的でした。これらの問題は、令和5年版看護師国家試験出題基準に新たに追加された「精神科外来看護」の問題に該当します。
「自閉症スペクトラム障害」は、うつや適応障害の症状をきっかけとして診断され、精神看護学でも近年注目されている精神障害です。今回出題された問題は、入院の治療や看護だけでなく、外来での看護や就労移行支援などの社会資源の知識も必要とされました。
「強迫性障害」も外来での継続的な支援を必要とする疾患で、第113回の問題では患者さんの看護だけでなく、家族への支援について問われていました。近年増加傾向にある、通院治療における患者さんとその家族の看護への支援について、今後意識して学習する必要があるでしょう。
さらに今回の強迫性障害の問題は、強迫症状のメカニズムや行動療法(心理・社会的療法)を理解していないと回答することが難しい内容でした。今後の対策として、各疾患の症状のメカニズムに加え、薬物療法と非薬物療法(心理・社会的療法、リハビリテーション)の両方を理解しておくことが大切といえます。
また、第113回で出題された「患者の権利擁護」「共同意思決定」「社会資源の活用」「家族支援」も、現在の日本の精神保健医療福祉施策のなかでとくに重視している取り組みであるため、今後も出題されることが予想されます。
そのほか第113回での出題はありませんでしたが、令和5年版看護師国家試験出題基準で新たに追加された「身体合併症のある患者の看護」「トラウマインフォ―ムド・ケア」「逆境体験」「性の健康に関連する状態」は今後出題される可能性があるため、対策をしていくことが望ましいと考えます。
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【第114回出題予想】「精神看護学」に関する予想3問
予想問題1
- デイケア
- 地域移行支援
- 就労移行支援
- 自立訓練(機能訓練)
Aさん(43歳、男性)は1人暮らし。統合失調症で精神科病院に15年以上入院している。症状も安定しており、日常生活動作〈ADL〉はほぼ自立し、服薬の自己管理ができるようになってきた。Aさんは働きたいという目標をもち、退院に向けて準備を進めている。Aさんが退院に向けて利用するサービスとして最も適切なのはどれか。
解答・解説をチェック
2
1.(×)デイケアでは、外来通院の患者さんの精神障害者の社会生活機能の回復を目的とし、個々の患者さんに応じたプログラム(再発防止、生活リズムの改善、対人関係スキルの向上)に従って、リハビリテーションを行います。Aさんはまず、退院準備を進めることが優先される段階であるため、このサービスの利用は適切ではありません。
2.(〇)地域移行支援では、障害者支援施設などに入所している人や、精神科病院に入院している人に対して、そのほかの地域生活に移行するための支援を必要とする場合、住居の確保や地域生活に移行するための相談や支援を実施します。Aさんは退院に向けた準備を進めていく段階であり、地域生活への移行を目指すうえで、地域移行支援のサービスを利用することが最も適切です。
3.(×)就労移行支援とは、一般就労を目指す人を対象に、事業所内での作業による就労に必要な訓練や適性に合った職場探し、就労後の職場定着のための支援などを実施するものです。Aさんはまず、退院準備を進めることが優先される段階であるため、利用するタイミングとして適切ではありません。
4.(×)自立訓練(機能訓練)は、施設や入院生活から地域生活に移行するうえで、身体機能の維持・回復のためにリハビリテーションや支援が必要な人が対象です。AさんはADLがほぼ自立しており、身体的なリハビリテーションの必要はないため、適切ではありません。
令和5年版看護師国家試験出題基準にて「精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの構築と社会資源の活用など」が新しく追加され、第113回でも就労移行支援に関する問題が出題されました。第114回でも、地域の社会資源の活用に関する問題は出題されることが予想されます。病期や状況によって、適切な社会資源は異なるため、対象者の置かれている状況を理解したうえで最適な社会資源を判断する能力が求められます。
予想問題2
- 広場恐怖を伴うことが多い
- 治療には主に曝露療法(エクスポージャー)を用いる
- 身体症状を意図的に作り出している
- 身体症状に関連した過度な思考、感情または行動がある
身体症状症および関連症群について、最も適切なものを1つ選べ。
解答・解説をチェック
4
2013年のDSM-5の改訂に伴い、これまで使用されていた「身体表現性障害」から「身体症状症および関連症群」という疾患カテゴリーに変更されました。身体症状症とは「身体症状に関連した過度な思考、感情または行動に関連があり、その苦痛を伴う身体症状が長期に持続する疾患」1)のことです。
1.(×)広場恐怖を伴うことが多い疾患はパニック障害、社交不安症です。
2.(×)治療として曝露療法を用いる疾患は主に強迫性障害などです。
3.(×)必ずしも身体症状を意図的に作り出しているわけではありません。
4.(〇)DSM-5における身体症状症の診断基準の1つでです。
これまで一般問題の中で、睡眠障害やパニック症、PTSDなどの症状や治療に関する問題は出題されてきましたが、身体症状症に関する出題はありませんでした。身体症状症は、近年増えつつある精神疾患の1つであり、非薬物療法を主に用いることや看護実践能力が問われることから、出題される可能性が高い疾患だといえるため、予想問題として紹介しました。
予想問題3
次の文を読み、①~③の問いに答えよ。Aさん(42歳、女性)は、夫と2人で暮している。仕事でのストレスを理由に2年前からアルコールが手放せない生活を送っていたが、本人の強い意志でアルコール依存症のために断酒目的で精神科病院に任意入院となった。入院前日の夜まで毎晩飲酒(ビール1.5L以上/日)をしていたと話している。
問題3₋①
入院当日に看護師が優先的に行う対応で適切なのはどれか。
1.抗酒薬の説明を行う
2.振戦の有無を確認する
3.ブルンベルグ兆候を確認する
4.アルコール依存症治療プログラムへの参加を促す
解答・解説をチェック
2
アルコール依存症の入院治療では、入院初期に離脱症状や肝疾患などの身体的問題や精神症状があればそれらを優先して治療し、身体・精神の症状が落ち着いた後に、リハビリテーションとして断酒治療プログラムへの参加となります。Aさんの場合、離脱症状が予測される段階です。
1.(×)抗酒薬は回復期や地域移行の段階で、主に再発防止のために使用します。入院当日の時点では、抗酒薬の説明の優先度は高くありません。
2.(〇)アルコール離脱とは、長期にわたって大量のアルコールを使用している人が突然アルコールの使用をやめたり、使用量を減らしたりしたときに現れる症状です。自律神経系過活動(発汗や脈拍の増加など)、振戦(震え、神経過敏など)、けいれん発作などが出現する可能性があるため、Aさんの現段階において振戦の確認は最も優先度が高いといえます。
3.(×)ブルンベルグ徴候とは腹膜刺激症状の1つで、患者さんの腹壁を手で垂直に圧迫し、その手を急に離すと鋭い痛みを感じる症状です。アルコール依存症の合併症としてのリスクはあまり高くないため、優先度も高くないといえます。
4.(×)アルコール依存症治療プログラムとは、アルコールによって害された「こころ」と「からだ」を治療し、 健康な生活を取り戻すためのアルコール依存症の治療を含む専門プログラムのことです。離脱症状や身体面の治療が落ち着いた段階での参加となるため、現段階でのAさんには適切ではありません。
こちらも令和5年版看護師国家試験出題基準にて追加された「身体合併症のある患者の看護」からの予想問題です。アルコール依存症や摂食障害、糖尿病を併存した統合失調症など、身体合併症のある患者さんへの治療と看護についても対策をしていくことが望ましいと考えます。
問題3-②
Aさんの退院が近づいた頃、面会に来た夫は、これまで再飲酒でトラブルを繰り返してきたAへの関わり方について、退院後どのようにすればよいか看護師に相談した。Aさんの夫に対する看護師の助言で適切なのはどれか。
1.Aさんの飲酒によるトラブルをご主人が代わりに解決しないようにしましょう
2.飲酒したいというAさんの気持ちは聞かないようにしましょう
3.Aさんが規則的な生活をおくれるようにできるだけ世話をしましょう
4.AさんがAl-Anonに継続的に参加できるように毎回参加の状況を確認しましょう
解答・解説をチェック
1
アルコール依存症の家族への対応に関する問題です。アルコールは家族の病とも評される疾患であり、家族への支援も重要になってきます。病期や治療内容に応じて看護師が行う家族への説明や介入は異なるため、患者さんの状態や家族の心理的状況に応じた家族への適切な看護についても押さえておく必要があります。
1.(〇)長期的に見ると、Aさん自身が自分で起こしてしまったトラブルに対処できるようになること、本人の責任は本人が解決していけるような関わり方が望ましいです。
2.(×)飲酒したいという気持ちを表出できた点は温かく受け止め、飲酒の話題をタブー視することなく、家族で回復していけるような関わり方が望ましいです。
3.(×)本人のためを思って飲酒しないために余計に世話を焼くことや、責任を肩代わりする行為は共依存(イネーブリング)といわれます。共依存はかえって飲酒行動を助長させる事にも繋がります。
4.(×)Al-Anon(アラノン)とは、アルコール依存症の家族の自助グループを指します。アルコール依存症の当事者はAA(Alcoholics Anonymous)や断酒会といった当事者の自助グループへの参加を促すことが望ましいですが、過干渉になりすぎないように注意する必要があります。
問題3-③
Aさんは退院後、初回の外来受診の際に精神科外来看護師と面談を行いました。Aさんは断酒を継続するために、望ましい病気との付き合い方について看護師に尋ねました。Aさんに対する看護師の説明で誤っているのはどれか。
1.処方された抗酒薬は用法・容量を守って内服しましょう
2.断酒を継続していても、生活リズムの調整や疾患管理のために定期的に入院を検討しましょう
3.アルコール当事者の自助グループに継続して参加しましょう
4.外来での通院治療を継続しましょう
解答・解説をチェック
2
退院後のアルコール依存症の患者さんに対して、精神科外来看護で行う日常生活へのサポートと疾患管理に関する問題です。アルコール依存症の治療の三本柱として、①外来通院の継続、②抗酒薬の内服、③自助グループへの参加があります。原則として、断酒を継続することが治療となります。
精神科外来看護では、地域での生活状況と疾患管理を適切にアセスメントし、本人のリカバリーを支えられるような看護が求められています。
1.(〇)アルコール依存症の治療は、通院や自助グループの参加など心理・社会的治療が中心ですが、再飲酒防止を目的として薬物療法(主に抗酒薬)を用います。抗酒薬自体に飲酒欲求を直接的に軽減させる効果はありませんが、抗酒薬を服用中に飲酒した場合、不快な悪酔い症状が出現するため、心理的に飲酒を断念しやすくなるという効果があります。
2.(×)断酒を継続している場合、定期的に入院してアルコール依存症の治療をする必要性は高くありません。
3.(〇)自助グループの活動(体験談の語りや仲間と過ごすこと)を通して、新たな人間関係の構築や自尊心の回復、再飲酒の抑止などの効果が期待できます。
4.(〇)外来通院を通じて、主治医との「治療関係」や「信頼関係」を築くことで、孤立の防止や安全で安心できる治療の継続に繋がります。
【第114回攻略法】「精神看護学」のチェックポイントはズバリここ!
第114回の精神看護学の対策として、とくに以下3つの点に注力しましょう。
1. 精神保健福祉法関連や社会資源の活用、各疾患の症状と治療、病期に応じた適切な看護に関する過去問題や予想問題を繰り返し解く
第114回の問題は例年と同様、7つの大項目から満遍なく出題されることが予想されます。まずは、近年出題頻度が高い精神保健福祉法関連や社会資源の活用に関する問題と、問われることが多い各疾患の症状と治療、病期に応じた適切な看護について重点的に学習しましょう。
加えて、実習で経験した精神科医療での実践的な学びと、学習を通じて得た知識を統合することが精神看護学での効果的な学習方法といえます。
2. 国の動向を把握して幅広い知識と視野を習得する
精神看護学の領域では、入院患者さんへの看護だけでなく、働く人のメンタルヘルスや災害時のメンタルヘルス、リエゾン精神看護、精神疾患を抱えながら地域で暮らす人への支援といった、幅広い分野や人を対象とします。そのため疾患や患者さんだけに注目するのではなく、精神保健医療福祉施策などの国の動向も把握しながら幅広い知識と視野を習得することが攻略につながります。
3. 令和5年版看護師国家試験出題基準に新たに追加されたキーワードについて理解を深める
第114回では「トラウマインフォ―ムド・ケア」「逆境体験」「性の健康に関連する状態」などの最近注目されている概念の出題や、通院を主とした治療体制の強化に伴い、第113回でも出題された「精神科外来看護」「身体合併症のある患者の看護」についての出題が予測されます。いずれも令和5年版看護師国家試験出題基準に新たに追加された項目です。これらに関する知識も身につけて今後に備えましょう。
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引用・参考文献
1)高橋三郎,他:身体症状症および関連症群.DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル 第1版.日本精神神経学会,監.医学書院,2014年,p305.(2024年6月21日閲覧)
厚生労働省:保健師助産師看護師国家試験出題基準 令和5年版.(2024年5月28日閲覧)