患者さんとの向き合い方を模索し、
経験を重ねて気づいたこと
MFICUに所属しています。当院はハイリスクの患者さんが多いため、安易に「大丈夫ですよ」と声をかけられないケースもあります。入職1年目のことです。長年の不妊治療を経て妊娠した患者さんが20数週で破水してしまい、出産まで長期入院となり、とてもつらかったようで「もうお母さんにならなくていい、やめてしまいたい…こんなことを思うなんて母親失格よね」とつぶやきました。かける言葉がなく、しばらくは何もできない自分に無力感を覚え悩んでいました。
そのようなとき、先輩たちが「患者さんが気持ちを吐き出せているなら、話をしなくてもいいんだよ」と言ってくれました。それからは背中をさすったり、手を握ったり、患者さんのそばにいることを常に心がけるようになり、経験を重ねた今は「ただそばにいることも1つの支援」だと思えるようになりました。
入職前は「助産師になり分娩介助がしたい」という思いだけでした。しかし、当院の周産期センターは分娩介助や妊婦の看護だけではなく、妊娠期から分娩、そして退院後の生活を見据えた産後ケアまでの専門性を学ぶことができます。
今は、女性のライフサイクルを一連の流れで看ることができるように、アセスメント力を高めて広く女性に寄り添える助産師を目指しています。分娩を終え、母となった患者さんが赤ちゃんを見つめる眼差しを見るたびに、新たな命の誕生の尊さと、この仕事への誇りを感じています。