【必修問題】第114回看護師国家試験はどうなる!?出題予想と攻略法
最終更新日:2024/10/03
この記事では、2025年に実施される「第114回看護師国家試験」の対策方法を、科目別で解説します。今回は「必修問題」編です。第113回で出題された必修問題を分析し、第114回の国試出題予想と攻略法を紹介します。
目次
第113回の「必修問題」はどうだった?
第113回の全体的な難易度は?
第113回の看護師国家試験で出題された必修問題は、出題基準の範囲内ではあるものの、過去に出題されていない問題が増えたことで、難しく感じる人も多かった印象でした。
今回不適切問題になった6問のうち5問は、問題内容は適切であるものの必修問題としては妥当でないことが理由でした。このような問題は、過去問を中心に試験対策をしてきた学生や、必修問題に絞った問題集を中心に知識を強化した学生にとって、初めてみる問題だったため、難しいと感じた人も多いでしょう。
例えば、不適切問題となったトリアージに関する問題(午前No.23)は、今までも必修問題で出題されています。しかし今回は今までのように、災害時にはトリアージを行うといった問いではなく、トリアージタッグが示す区分に関する問いであり、より実践方法を問う内容に変わっていたのが印象的でした。
そのほか、坐薬の挿入方法の問題(午前No.22)や、AEDを使用するときに胸骨圧迫を中断するタイミングを問う問題(午後No.23)などから、基礎教育で修得した知識を臨床現場に適応させることが求められていると感じました。今後も、臨床現場で求められるケアや処置に必要な基礎知識を問う問題が増えると考えられます。
第112回と比較すると?
昨年度の第112回の必修問題と比較すると、薬物の作用とその管理に関して出題内容が異なりました。第112回では有害事象を問う問題でしたが、第113回では禁忌を問う問題が2問出題されました。この点からも、基礎的な知識を臨床現場で応用させることが求められていると推測されます。
反対に、「国民健康・栄養調査」や「人口統計資料集」などを用いた健康に関する統計データを問う問題は、第112回と同様に出題されていました。しかし、各社が発表した解答速報の答えが割れていたため、難易度はやや高めになっていたと考えられます。国家試験対策では過去問の答えをそのまま覚えるのではなく、受験年に出題される年の調査結果(例:114回であれば2021年度調査)を調べて学習することが大切です。
第113回から分析する「必修問題」の今後の傾向
第113回看護師国家試験の出題範囲は、令和5年版看護師国家試験出題基準に示されています。以下は必修問題の出題基準のうち大項目をまとめたものです。
【令和5年版看護師国家試験出題基準 必修問題の大項目】
- 健康の定義と理解
- 健康に影響する要因
- 看護で活用する社会保障
- 看護における倫理
- 看護に関わる基本的法律
- 人間の特性
- 人間のライフサイクル各期の特徴と生活
- 看護の対象としての患者と家族
- 主な看護活動の場と看護の機能
- 人体の構造と機能
- 徴候と疾患
- 薬物の作用とその管理
- 看護における基本技術
- 日常生活援助技術
- 患者の安全・安楽を守る看護技術
- 診療に伴う看護技術
【参考】厚生労働省:看護師国家試験出題基準
近年、出題頻度が高い問題の特徴は?
大項目16「診療に伴う看護技術」のうち、救命救急処置に関する問題は第112回より2問出ています。日本では心臓突然死は増加をしており、救命率を増加させる目的で2004年から一般市民にもAEDの使用が認められるようになりました。
2022年では、心肺機能停止傷病者の 51.2%が一般市民によって応急手当が実施されています。医療従事者として救命救急処置に関する基本的な知識と実践力が求められていることから、一次救命処置やAEDの使用方法については今後も出題されやすいと考えられます。
第113回でとくに目立っていた問題
大項目5「看護に関わる基本的法律」のうち、第113回で出題された労働安全衛生法に関する問題(午後No.3)は、第108回に同じ問題が出題されています。この問題が出題された背景として、2024年に行われた新たな化学物質規制による労働安全衛生法改正があったためだと考えられます。今後も制度改正や社会情勢を反映した問題が出題されることがあるので、時事問題にも関心をもって学習しましょう。
また今回は不適切問題となりましたが、大項目4「看護における倫理」に該当する臨床研究に関する問題(午前No.5)と似た内容として、第105回に研究対象者の立場を擁護するための組織について出題されています。この問題が出題された背景として、2021年に改訂された「看護職の倫理綱領」の内容を理解できているか確認された可能性が考えられます。
看護職の倫理綱領の改訂では、看護職が対象となる人の意向を尊重し、その家族や多職種等と十分な話し合いを通じて合意形成した上で、最善の選択を意思決定する視点について変更されました。
第113回で出題されたヘルシンキ宣言は、インフォームド・コンセントの重要性を述べており、あらゆる場で活躍する看護職の行動指針に対する基本的な知識として出題された可能性があります。
そのほか、死亡場所を問う問題(午前No.2)も、第113回で珍しく出題されました。高齢化が進むにつれ死亡数も増加している背景から、このような問題が出題されたと考えられます。
日本の将来推計人口の令和5年の推計では、2040年には65歳以上の高齢者が全人口の34.8%に達し、医療、介護などの社会保障の維持がさらに困難になると予想されています。高齢者の孤独死を含め、最期の場に関する出題は今後も続くのではないでしょうか。
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【第114回出題予想】「必修問題」3問
予想問題1
- AEDを装着する
- 衣服の上から胸骨圧迫を行う
- 気道を確保する
- 回復体位をとる
呼びかけに反応がなく、呼吸や脈が確認できない傷病者に対して、まず行うべき対応はどれか。
解答・解説をチェック
2
以前のガイドラインでは胸骨圧迫を行う前に衣服を脱がすようにとされていましたが、2020年に改訂されたBLSプロバイダーマニュアル AHAガイドライン2020では、衣服を脱がすのが困難な場合は、衣服の上から胸骨圧迫を行ってもよいとされています。
看護職として求められる実践力として、一般市民にも普及が進んでいる救命処置技術に関する問題は今後も出題されると予想されます。
予想問題2
- 無脈性電気活動
- 洞不全症候群
- 心静止
- 心室細動
自動体外式除細動器(AED)の適応はどれか。
解答・解説をチェック
4
こちらも救命救急処置についての予想問題です。心室細動は、心臓の電気的活動が不規則になり、十分な血液を送り出すことができません。自動体外式除細動器(AED)を装着し、電気ショックによって心臓の電気的活動を一時的に停止させることで、再起動させ正常な心拍リズムを取り戻します。
無脈性電気活動や心静止は電気的活動による心収縮が認められないため、電気ショックの前に胸骨圧迫が必要となります。洞不全症候群は、ペースメーカーの適応となります。
予想問題3
- 人々が自らの意向や価値観にそった選択ができるように支援する
- 専門職組織に所属し、学習支援を受ける
- 多職種の意見を尊重し看護を提供する
- 実施した看護について、専門職組織として責任を持つ
看護職の倫理綱領に含まれるのはどれか。
解答・解説をチェック
1
日本看護協会の看護職の倫理綱領には、本文4項目に「人々の権利を尊重し、人々が自らの意向や価値観にそった選択ができるように支援する。」が記載されています。そのほか、「個人の責任として継続学習による能力の開発・維持・向上に努める。」「多職種で協働し、よりよい保健・医療・福祉を実現する。」「自己の責任と能力を的確に把握し、実施した看護について個人としての責任をもつ。」など、全16項目が定められています。
【第114回攻略法】「必修問題」のチェックポイントはズバリここ!
必修問題で求められる基本的な知識として、より実践方法を問う問題が今後も増えてくると予想されます。医療従事者として、救命救急処置に関する基本的な知識と実践力も求められるため、理解を深めておくことが大切です。
ほかには、近年に制度改正された関連法規の内容に関する問題や、少子高齢社会などの社会情勢を反映した問題は確認しておきましょう。
なお、今回不適切問題になったものの多くは、問題の内容は適切でしたが必修問題としては妥当ではありませんでした。難易度の高い問題や、表現が紛らわしい問題は、不適切問題になりやすいです。
しかし、正当率が80%のような簡単な問題を多く間違えると、不適切問題で得点率が調整されても、合格の可能性は低くなります。過去問を中心に学習する場合も、周辺分野の学習も取り入れ、確かな知識を身につけられるよう対策しましょう。
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参考文献
厚生労働省:保健師助産師看護師国家試験出題基準 令和5年版.(2024年5月28日閲覧)
総務省消防庁:令和5年版 救急救助の現況.(2024年6月6日閲覧)
厚生労働省:化学物質による労働災害防止のための新たな規制について.(2024年5月28日閲覧)
日本看護協会:看護師の倫理綱領 看護職の皆さまへ.(2024年5月28日閲覧)
日本看護協会:看護職の倫理綱領.(2024年5月28日閲覧)
国立社会保障・人口問題研究所:日本の将来推計人口 令和5年推計.(2024年6月24日閲覧)