看護師国試対策|白血球の種類と働き、自然免疫と獲得免疫とは

看護師国試対策|白血球の種類と働き、自然免疫と獲得免疫とは

最終更新日:2024/05/14

体内に病原微生物やアレルギー反応を起こす物質(抗原)が侵入したとき、免疫反応を司るのは白血球です。
同じ造血幹細胞から赤血球、血小板、白血球はどのように分かれるのか、また白血球の種類とともに、自然免疫・獲得免疫について解説します。

問題 免疫機能に関与する細胞はどれか。

  1. 血小板
  2. 白血球
  3. 網状赤血球
  4. 成熟赤血球
  5. [第104回看護師国家試験より]

解答・解説

1.(×)→血小板は血管が破綻した部位にすぐに集まり、一次止血を行います。

2.(〇)→白血球は免疫(異物攻撃)を担っています。

3.(×)→網状赤血球とは、骨髄から放出されたばかりの若い赤血球のことで、その役割は酸素の運搬です。全赤血球の0.2~2%を占めます。

4.(×)→成熟赤血球は、酸素を運搬する役割を担っています。

Point:赤血球は酸素の運搬、血小板は止血、白血球は免疫を担当する

覚えておきたい、白血球の種類と働き

人体へ微生物の侵入を防ぐ、粘膜の防御力」では、皮膚や粘膜から体内に抗原(異物や微生物)が侵入しないための仕組みについて解説しました。では、いざ体内に抗原が侵入してしまったらどうしたらよいでしょう。そのときは白血球が対応します。

白血球は、まるで意思をもっているかのように、抗原に突撃したり、連携してより練られた攻撃をしかけたりします。そのために、白血球にはさまざまな種類があり、それぞれが特徴的な役割を担っているのです。

図1 血球が分化する様子図1 血球が分化する様子

上の図は造血幹細胞という、血球をつくる大元の細胞から、さまざまな血球が分化する様子です。このうち白血球には、大きく分けて骨髄系幹細胞由来顆粒球単球(血管外に出るとマクロファージと名前が変わる)、リンパ系幹細胞由来リンパ球があります。

覚えておきたい、免疫の種類

免疫とは白血球が行う異物攻撃のことですが、「生まれつきもっている攻撃性」である自然免疫と、「異物侵入経験をもとに攻撃性が強くなる」獲得免疫とがあります。

自然免疫

顆粒球(好中球、好酸球、好塩基球)や単球による貪食攻撃は、生まれつきのもので自然免疫にあたります。

私事ですが、先日バスから降りたときに足をひねり、不覚にもアスファルトの上で思い切り転倒してしまいました。両方の手のひらと右ひざの皮膚がめくれ、ボタボタと血が垂れています。わたしは痛みで足を引きずりながら、やっと近くのコンビニまで行き、トイレを借りました。トイレの中で、わたしときたら、ウキウキしていました! 皆さん、奇異に思われるでしょう。わたしは、「久しぶりに、傷が治っていくプロセスを見ることができるぞ!」と、嬉しくなっていたのです!

外傷などで血管が傷つくと、最初に起こることは止血です。まず血管自身が血管の破れを小さくしようと収縮します。そこに血小板やフィブリンが集まり、血栓が形成されます。わたしの出血も5分程度で止まりました。次は、体内に入ってしまった抗原に対しての自然免疫による攻撃が始まります。

自然免疫のプロセスは次のような内容です。

まず、傷ついた細胞から痛み物質が放出されます。この痛み物質は、周囲の血管を拡張させる働きがあります。血管拡張によって血管壁の小孔も広がり、そこから血中の顆粒球(特に好中球)やマクロファージがあふれ出てきます。好中球やマクロファージは、どんな抗原に対しても食らいついて駆逐するという戦略をとります。発赤、腫脹、熱感、疼痛などを急性炎症の症状といいますが、これらは好中球やマクロファージらによる自然免疫の主役たちが戦っていることを示しているのです。

わたしの傷口周辺も腫脹し、透き通った体液が傷口からあふれてきました。「好中球、マクロファージ、ガンバレ、ガンバレ!!」

獲得免疫

自然免疫の特徴は、どんな抗原に対しても食攻撃を仕掛けることでした。この自然免疫に引き続いて起こる攻撃を獲得免疫といいます。獲得免疫の主役はリンパ球です。リンパ球にはヘルパーT細胞や、細胞障害性T細胞(キラーT細胞)、Bリンパ球などの種類があります。リンパ球の攻撃の特徴は、抗原をよく分析して、抗原に応じた攻撃を選択することです。

体内に侵入した抗原の情報は、マクロファージから送られてきます。マクロファージは貪食しながら抗原の一部を、総司令部であるヘルパーT細胞に見せます。これを「抗原提示」といいます。抗原の一部を受け取ったヘルパーT細胞は、攻撃方法を決定します。攻撃方法は大きく分けて、抗体攻撃と細胞破壊攻撃があります。

ヘルパーT細胞の指示で抗体攻撃を行うのはB細胞です。抗体とは、抗原を破壊する武器をさします。B細胞は、抗原に応じて5種類もの武器を作り出すことができるのです。


 表1 B細胞が作る抗体の種類

抗体の種類 特徴
IgG 血漿中に最も多い(75%)。胎盤を通過することができる
IgA 唾液・涙液・腸液などに分泌され、粘膜表面を覆って病原体の侵入を防ぐ。母乳にも含まれるので、乳児に受動免疫を与える
IgM 抗原が侵入したときに最初につくられる抗体
IgD Bリンパ球の表面にあり、Bリンパ球の活性化に必要
IgE 肥満細胞や好塩基球に付着してヒスタミンの放出を促進する。過剰な分泌でアレルギー反応を起こす

もうひとつの攻撃方法は細胞破壊です。ウイルスなど、宿主の細胞内に入り込んでしまう抗原は、抗体で攻撃することは不可能です。この場合ヘルパーT細胞は、「細胞ごと破壊してしまえ!」と指示してきます。この指示を受けるのが細胞障害性T細胞(キラーT細胞)なのです。

リンパ球たちによる、これら獲得免疫は、その名の通り生まれつきのものではなく、生後経験するさまざまな抗原との戦いによって獲得されるものなのです。そして戦いはメモリーB細胞が記憶し、同じ抗原が再び体内に侵入してきたときには迅速に戦闘態勢に入ることができるのです。

「白血球」の働きは、専門用語が多くて少しわかりにくいところがありますが、白血球それぞれにキャラクターを与えると、とても面白く学べます。漫画「はたらく細胞」なども参考にしてみてください。

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執筆者情報

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廣町 佐智子

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<日本看護研究支援センター 所長> 看護系短大・大学での教員経験ののち、2002年より日本看護研究支援センターにて、臨床看護師の看護研究指導に従事。同時に、解剖学や看護師国家試験対策の非常勤講師として、全国の看護学生の指導も経験。国家試験のすべての領域についてのわかりやすい指導には定評がある。