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Special Topic 1
[トップが語る学生へのメッセージ]
看護部長インタビュー

多様な看護に触れ、
自分らしい看護を見つける。
すべての人の人間性を尊重しながら、
協働で、あたたかな看護を実現していく

国立健康危機管理研究機構 国立国際医療センター

看護部長

佐藤 朋子 さん

国立国際医療センター

[住所] 〒162-8655 東京都新宿区戸山1-21-1

教えを請う後輩が成長するのはもちろんのこと、先輩も教えることを通じて自身の看護を見つめ直し、成長する機会を得ます。当院では教わる側も教える側もともに成長できる環境を整え、「共育」に力を入れています。

新体制で広がる役割
対応力の高い看護師を育成

—2025年4月から国立国際医療研究センターから国立健康危機管理研究機構に変わりましたが、病院の機能や役割についての変更はありますか。

 国立国際医療研究センターと国立感染症研究所が統合され、国立健康危機管理研究機構(Japan Institute forHealth Security 通称JIHSジース)が発足し、病院名も国立国際医療センターとなりました。しかし、当院が急性期病院であり、特定機能病院である点に変わりはありません。
 この組織変更に伴い、病院の機能と役割には2つの変化があります。1つは新興感染症への対応強化です。これまでもコロナやエボラ出血熱疑いなどの患者さんを受け入れてきましたが、今後は国内で新興感染症が発生した場合、中心的な受け入れ病院としての役割を担います。もう1つは、DMATが組織に加わったことです。国内外を問わず何らかの災害が発生した際には、状況に応じて看護師を現場に派遣することが役割となりました。実際、3月に発生したミャンマーの地震災害時には、現地へ看護師を派遣しています。

—新たな機構に移行したことで看護の在り方に変化はありますか。

 看護の在り方について、基本的な変化はありません。これまで通り当院の理念である「あたたかい看護」を実践していきます。そのためにも病院内に限らず、災害現場でも感染症対応であっても、変わらない看護実践のできる看護師を育成したいと考えています。

—貴院の看護師にはどのような資質が求められるのでしょうか。

 当院の場合、さまざまな場での看護の提供が求められます。感染症や災害といった平時とは異なる状況にも対応する必要があるため、多様な場面に応じて、柔軟かつ主体的に看護を実践できる力が必要です。例えば、DMATチームには看護師が2名しかおらず、その場には看護師長や副看護師長がいません。そのため、現場では自分たちで判断し、即座に対応していく必要があります。災害現場では、予想もしない事態が起こることもありますが、どのような状況でも自分の力を発揮できる人であってほしいと願っています。
 率直にいえば、未曾有の事態ではトップダウンの指示だけでは限界があります。コロナ対応に追われたときがまさにそうでした。現場のスタッフが「これならできる」「こうしてほしい」と、率直に声をあげてくれたことが大きな支えとなりました。すべてに応えることはできなかったものの、現場からの声があったからこそ、あの混乱を乗り越えることができたと感じます。この経験を通じて、災害対応や新興感染症対応においては、「そのときに必要な看護は何か」をその場で考え、判断し続ける力が重要だと実感しました。そうした力を備えた看護師に成長してくれることを期待します。

あたたかい看護を実践する
個性ある看護と人間力

—考え続けられる看護師を育成するために、どのような教育体制をとられていますか。

 新人教育では、各病棟でメンターを中心に、後輩育成担当や看護師長、副看護師長など病棟全体で新人の成長を支えています。教育担当看護師長・副看護師長も定期的に病棟をラウンドし、客観的な視点からサポート体制を確認しています。入職後に感じるリアリティショックや仕事が思うように進まないといった悩みには、リエゾンナースや臨床心理士が早期からかかわり、支援しています。研修ではグループワークを取り入れ、自分の考えを伝える場を多く設けており、他者との対話を通じて「自ら考える力」を育んでいます。また、当院ではキャリアラダー制を導入しており、自己評価をもとに段階的に学びを進めることで、自律的な成長へとつながっています。

—教育体制を「キャリアブルーム」と呼ばれているようですが、どのような意味が込められているのですか。

 看護は、自分の個性を反映させて行うものです。「ブルーム(開花)」には、看護師としての成長や自律を象徴する意味が込められており、桜の花びらに見立てた5段階のラダーが、キャリアの道筋を表しています。同じ桜でも花の表情が異なるように、一定の力を身につけたその先で、自分らしさや看護観を育み、表現してほしい。それが「キャリアブルーム」に込めたもう1つの想いです。

—看護部の理念はどのように実践されているのでしょうか。

 「かけがえのない生命と人間性を尊重し、あたたかい看護をめざす」という理念にある人間性の尊重は、患者さんに対してだけでなく、看護師同士や多職種との関係においても大切にすべきものだと考えています。
 医療現場は、看護師だけで完結するものではありません。他職種と協働して初めてそれぞれの専門性が発揮されます。互いを尊重し合うことでスムーズな連携が生まれ、それが患者さんへの「あたたかい看護」につながっていくのだと思います。また「人間力」は、看護の基盤となる大切な力と考えています。
 当院では、この人間力を育むことを教育プログラムの柱の1つに位置づけています。看護師一人ひとりが人としての力を高めることで、より深くあたたかな看護を実践できると考えています。

—最後に学生へのメッセージをお願いします。

 当院は急性期の総合病院でありますが、スタッフは患者さんとじっくりかかわれる時間をつくり出すよう努力しています。さらに国際医療や災害看護などに触れる機会もあり、多様な形の看護を経験できる環境です。その中で、自分らしい看護の在り方を見つけてください。私たちは「人間力」を大切にしています。技術だけでなく、学びや経験を通して心を育み、人として成長することが看護師としての成長につながります。私たちと一緒に成長していきましょう。

スペシャリストの知識と技術、そしてそれを臨床で実践できるジェネラリストの存在。この両輪によって看護の質は高まります。自己啓発等休業制度など、それぞれの成長を支援する体制も整っています。

Profile プロフィール

さとう ともこ

国立成育医療研究センターに看護師として入職。看護教員、国立病院機構(NHO)・厚生労働省で看護専門官に従事。2010年国立国際医療研究センター病院副看護部長。同職を担いながら大学院に進学。2018年NHOまつもと医療センター看護部長。2019年4月より現職。

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