臨床と大学教員の経験を生かし、
新人研修の企画・運営を担当
看護大学を卒業してから修士課程を修了し、その後病院で看護職員として働きました。臨床現場では原稿の執筆や座談会への参加など、自分の看護について振り返る機会がありました。自身の学びを人に伝え、一緒に成長することの重要性を感じたため、教育分野へ進み大学の教員も経験しました。
当院に転職した理由は、先進的な医療・看護への取り組みや充実した教育体制で評価されていると聞き、そこで看護教育に携わりたいと思ったからです。現在は看護部に所属し、専任の教育担当としてメンバーとともに院内研修の企画・運営・評価を行っています。
私は特に新人研修に深くかかわっています。当院では、新人研修を入職直後と入職後1カ月、3カ月、8カ月、11カ月のタイミングで実施しています。約120名の新人を3つのグループに分けて行っており、私はすべての研修に参加しているため、新人看護職員との接点が非常に多くなっています。
新人は教わるだけの存在ではない
学び合うメンバーとして大切な存在
教育担当としての一番のやりがいは、やはり新人の成長が見られることです。入職後の1カ月研修では、先輩看護職員と私、新人看護職員で、1カ月間の看護の振り返りを行います。この過程で、新人看護職員はこれまで無意識に行っていた患者さんのケアについて再認識し「自分は看護をしていたのだ」と気づき、パッと表情が明るくなります。その顔を見ると私もうれしくなります。また、自分の看護を実感のこもった言葉で語る姿を見たときも、とても感動します。このような自身の成長が実感できる環境を、どのように整備していくかを常に考えています。
最近は多様な教育背景を持つ方が入職してくるようになりました。同じような研修を実施しても、その内容が届く人と届かない人がいます。さまざまな人々に関心を持ってもらえる研修を実施するために、教育担当のメンバーと密に話し合っています。看護職員一人ひとりがそれぞれ異なる経験を持っているため、その中で得られた学びや成長を振り返る機会を提供したいと考えています。
新人看護職員に対して私が常に伝えているのは、新人といっても単に教わるだけの存在ではなく、学び合う1人のメンバーとしてとても大切な存在だということです。当院では先輩にいつでも相談できる環境を整えているので、自分の考えや感じていることなどを積極的に発信し、コミュニケーションをとってほしいと思っています。
“どんな経験も振り返りで価値あるものにできる”。これは教育制度を構築する中で常に実感していることです。この視点を持つことで、学びや成長の機会を最大限に活用できるようになります。新人看護職員のもっと知りたいという気持ちを引き出せる環境を提供することが私の使命です。新人とともに私自身も成長し、教育担当としての役割を果たしていきたいと思います。