看護師国試対策|大脳皮質の運動野・感覚野、中枢神経の役割と働き

看護師国試対策|大脳皮質の運動野・感覚野、中枢神経の役割と働き

最終更新日:2024/05/14

脳と脊髄から成る中枢神経は、全身の内外から伝わる感覚情報を判断し、筋肉などの効果器へ運動指示を出す司令塔です。脳には全身の各器官や臓器を司る場所が決められており、脳血管障害などが起こると障害された部位によってさまざまな場所に麻痺や障害が出るのはこのためです。今回は、全身から収集される感覚を分類するとともに、大脳の機能を簡単にまとめます。

問題 後頭葉にあるのはどれか。

  1. 嗅覚野
  2. 視覚野
  3. 聴覚野
  4. 体性感覚野
  5. [第110回看護師国家試験より]

解答・解説

1.(×)→嗅覚野は、側頭葉の内部に存在します。

2.(〇)→視覚野は、後頭葉に存在します。

3.(×)→聴覚野は、側頭葉に存在します。

4.(×)→体性感覚野は、頭頂葉に存在します。

Point:大脳皮質の運動野・感覚野の位置と部位を確認しよう

図1 大脳皮質の運動野と感覚野図1 大脳皮質の運動野と感覚野

覚えたい中枢神経の役割と働き

中枢神経とは脳と脊髄をさし、その役割は、受容器(センサー)からの感覚情報を判断し、必要に応じて効果器(筋肉)に運動指示を出すことです。受容器と中枢神経、中枢神経と効果器をつなぐのは、ニューロン(神経細胞)です。

図2 中枢神経の役割図2 中枢神経の役割

脳には大脳、間脳、脳幹(中脳、橋、延髄)、小脳があり、それぞれの脳が、入力される感覚情報と出力する運動命令の種類が決まっています。脳によって判断・指示する内容が異なると理解するといいでしょう。

外部からの感覚情報の判断

大脳は、外部からもたらされた感覚情報を判断する脳です。外部からの感覚情報には「体性感覚」と「特殊感覚」があります。

体性感覚」は全身にある感覚で、人体の表面(皮膚や粘膜)の感覚である「表在感覚」と、皮膚・粘膜の下に存在する筋肉や腱、関節の感覚である「深部感覚」をさします。体性感覚の受容器は、外部からもたらされる感覚をとらえ、ニューロンを介して大脳に伝えます。

特殊感覚」は、頭部に集中している視覚、聴覚、味覚、嗅覚、平衡感覚のことで、受容器が網膜、蝸牛、味蕾、嗅球、半規管・前庭と特殊な形状をしています。これらの受容器も外界からの感覚をとらえ、ニューロンを介して大脳に伝えます。

図3 体性感覚・特殊感覚・内臓感覚図3 体性感覚・特殊感覚・内臓感覚

大脳皮質の機能局在「入力担当」と「出力担当」

大脳皮質は、中心溝、外側溝、頭頂後頭溝という溝によって、前頭葉、頭頂葉、側頭葉、後頭葉に区切られています。大脳は部位によって異なる機能を果たしており、これを機能局在といいます。

おおざっぱに言って、中心溝より後ろの頭頂葉、後頭葉、側頭葉は感覚情報が入って判断される場所(入力系)です。中心溝より前には、「運動野」という、全身の骨格筋に指示を出す場所(出力系)があります。

図1をみると、頭頂葉に「体性感覚野」がありますが、これは「体性感覚」が入力される場所です。特殊感覚が入力されるのは、「体性感覚野」とは別の場所で、「視覚野」「聴覚野」「味覚野」などがそれにあたります。国家試験の問題にあった「視覚野」は後頭葉にありますね。

ところで、ここでコミュニケーションについて考えてみましょう。

コミュニケーションは外界とのあいだでのやりとりのひとつです。「読む」・「聞く」ことで得た外界からの感覚情報は、側頭葉の「感覚性言語野(ウェルニッケ中枢)」に入力されます。これを受けて、「話す」・「書く」のような運動指示を外界に向けて出力します。

指示を出す中枢は前頭葉の「運動性言語野(ブローカ中枢)」です。言語中枢は、人間特有の中枢で、これがなければ高度な文明を築き上げることはできなかったことでしょう。

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エピソード|勉強では大脳全体を使おう!

2年前、息子が大学受験ための勉強で「歴史がなかなか覚えられない」と悩んでいました。

そこで「どうやって勉強しているの?」と聞くと、「中〇〇彦の△▽大学」を視聴しているとのこと。お笑い芸人の動画らしく、とてもわかりやすいのですが、なぜかなかなか頭に定着しないとのことでした。

わたしは、「動画を見たり聞いたりだけでは、大脳の半分しか使っていない! 知識の定着には大脳をまんべんなく使うこと!」と叫び、「どうせ視聴するなら、メモを取りながら、相槌をうちながら、ブツブツ言いながらやりなさい!」と、前頭葉の運動野をフル稼働させる方法を勧めました。

それからというもの、息子の部屋からは「アメリカ独立戦争の背景には・・・・があったわけね」や「なるほど、だから蒋介石は・・・・なのか~」など、まるで中〇〇彦と対話しているような声が漏れてくるようになりました。

さらには息子の部屋からは、「いい? ここは大事なところだからもう一度言うけど・・・」「だから、・・・・が現在まで続く・・・・になったんですね~」などの声が聞こえてきました。「お友達とONLINEで一緒に勉強しているのかな?」と思いドアを開けると、ひとりで宙に向かって話しかけています。

「お母さん、これ‘エア講義’なんだよ!メッチャ頭に入るぜ!」としたり顔の息子。「しかもね、アクションつけたり、反復横跳びしながら講義すると、頭の血の巡りもよくなっていい感じなんだよ!」と嬉しそうです。

大脳全体どころか、全身を使って勉強しているようで、「疲れないのかな~」と心配になりましたが、18歳で体力が有り余っていて大丈夫そうでした。エネルギーを持て余している若い皆さんにはうってつけの勉強法のようです。ぜひお試しください!

執筆者情報

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廣町 佐智子

hiromachi-sachiko

<日本看護研究支援センター 所長> 看護系短大・大学での教員経験ののち、2002年より日本看護研究支援センターにて、臨床看護師の看護研究指導に従事。同時に、解剖学や看護師国家試験対策の非常勤講師として、全国の看護学生の指導も経験。国家試験のすべての領域についてのわかりやすい指導には定評がある。