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Special Topic 1 看護部長インタビュー [トップが語る学生へのメッセージ]

高度で専門的な小児看護の
知識・技術を習得し、
子どもに誠実に向き合う姿勢を大切に
自ら考えて行動できる看護師を育成する

東京都立小児総合医療センター

看護部長

美香さん

小児のこころとからだを
統合した医療を推進

都立病院の果たす使命と、都立小児総合医療センターの果たす役割はどのようなものですか。

 都立病院は東京都民の健康を守ることを使命に、高度で専門性の高い医療を提供しています。さまざまな医療ニーズに応え、救急医療、がん医療、周産期医療をはじめ専門性の高い小児、精神科医療、神経難病医療などの診療と同時に、新型コロナウイルス感染症にも各病院で対応しています。
 当センターの特徴は、東京都の小児医療の拠点としての役割を担い、小児救急医療では365日24時間体制で、小児の重症な患者さんにあたっています。2014年からはECMO(体外式膜型人工肺)を用いた搬送を導入。日本屈指の実績を誇り、ドクターカーで搬送される子どもたちの生命を救っています。
 周産期医療では、隣接する多摩総合医療センターと協働し、都内最大の周産期母子医療センターとして、母体搬送を含め新生児への高度な医療を提供しています。また、国が指定する小児がん拠点病院として重症小児がんの治療にも取り組んでいます。
 当センターでは「子どものこころの医療」にも力を入れており、身体の治療だけでなく、「こころ」と「からだ」を統合して診ていく病院であることが特徴です。

看護師の役割も大きいと思いますが、目指す看護はどのようなものですか。

 東京都の理念にもある「患者さん中心の看護の提供」を柱とし、専門性の高い小児医療の看護を提供できることを目標に掲げています。良い看護の提供には、高度で専門的な看護を学び続ける姿勢が必要です。小さな子どもたちと誠実に向き合い、その思いを考えて行動できる看護師を育成しています。

そうした看護師を育成するための教育体制について教えてください。

 院内教育は、「都立病院看護職員キャリア発達支援ガイドライン」に基づいた研修体系となります。看護実践を確認しながらレベルごとにステップアップしていきます。当センター独自の研修としては、保育士に介入してもらい、遊びの提供をどのように行うか、子どもとのコミュニケーションのとり方などの研修を企画し、専門性を高めるとともに、子どもたちにやさしい看護を提供できることを目指しています。

その中で新人教育ではどこに力を入れておられますか。

 まずガイドラインに基づき、新人看護師臨床研修制度をスタートさせ、基本的な看護技術から子どものケアに必要な技術や対応の仕方を習得していきます。そのほかにも医療安全や感染管理など、幅広く学べるプログラムとなっています。ここ1~2年の集合研修は、少人数で回数を分けて、グループごとに実施しました。ディスカッションはパーティションを設置するなど、感染対策のもとに行い、看護実践についてはOJTを中心としました。
 病棟ではチーム支援型教育体制を導入し、実地指導者とともにチーム全体で新人をサポートする体制が整っています。勤務開始後は2人1組でケアを行うPNSで学び、パートナーとして自律できることを目指していきます。先輩と一緒にケアを実践できるため、不安も軽減されているようです。

各自の習熟段階に応じた
キャリア発達を支援

看護部の求める看護師像をお聞かせください。

 第一に専門的な医療を担えることが求められます。思春期までのさまざまな病状や年齢の子どもたちが入院していますが、先ほども申し上げたように子どもに誠実に向き合い、子どものことを自ら考え行動できる看護師であってほしいと思います。

ご自身が看護を行う際に大切にされていることは、何でしょうか。

 これまで患者さんのために何ができるかを考えて、看護を行ってきました。そしてそれは今も変わることはありません。当たり前のことですが、できない理由を探すのではなく、どうすれば可能になるか、前向きに考える看護を大切にしています。

2年目以降の教育とキャリアアップについてはいかがでしょう。

 おおよそ3年間で基礎コースⅢ修了を目指します。4年目以降はジェネラルコース、5年目以降は専門・認定看護師、特定認定看護師など、各人のキャリアに沿って、さまざまな方向性が整っています。この環境は都立病院ならではと思います。
 また、小児看護を行ってきたけれど成人看護も経験したいという人には、ほかの都立病院への長期研修も可能です。さらに退院後の子どもたちが在宅でどう生活しているかを確認できる訪問看護研修も設けています。
 このように本人の希望とキャリアに準じて、専門看護師養成派遣研修では大学院への進学を支援しています。認定看護師養成派遣研修は資格取得までにかかる費用を負担するなど、個々の習熟度に応じたキャリア発達をサポートしています。

ワークライフバランスについてお聞かせください。

 当センターでは、ワークライフバランスを重視した働き方が可能です。仕事と子育てを両立しながら看護の仕事を継続しています。また都立病院間の人事交流も活発で、転居などで他病院への異動を希望する場合も対応しています。こうしたサポート体制も都立病院の魅力といえるでしょう。

看護師を目指す方へメッセージをお願いします。

 学生の皆さんは新型コロナウイルス感染症のため、対面実習が実施できないなど、多くの不安や焦りを抱えていることと思います。当センターに限らず、どの都立病院でも新人の皆さんを大切に思って、さまざまな研修の機会を設けていますので、安心して就職してほしいと思います。
 感染症への不安や医療者への偏見などもあることを踏まえたうえで、患者さんの生命を守りたい、社会に貢献したいという思いを抱いている皆さんは、純粋で貴重な人材だと感じています。私たちの仲間として、一緒に患者さんを支えていきましょう。

小坂 智恵子さん

東京都立小児総合医療センター

[住所]〒183-8561 東京都府中市武蔵台2-8-29
メンタルサポートを行う研修も企画し、精神科の医師に相談できる体制も整えています。悩みを抱えるスタッフには、部署の異動、管理職との面談、ご家族との相談などを通して看護を継続できるよう支援しています。

Profile プロフィール

さの みか

東京都立清瀬小児病院に就職後、衛生局(現:病院経営本部)研修センター、多摩総合医療センター、駒込病院、松沢病院等を経て、2019年より現職。千葉大学看護学研究科病院看護システム管理学修了。認定看護管理者。

実習経験も少ないまま現場に立つことは、多くの不安があると思いますが、子どもを大事に思う気持ちがあれば大丈夫です。学生時代は、今の時期にできることを行って、自信を持って看護師を目指してください。

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