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東京都東京大学医学部附属病院

〒113-8655 東京都文京区本郷7-3-1

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【掲載中】特集ページ「看護部長インタビュー」
脳神経内科、呼吸器内科病棟(2007年入職)
大野 道幸さん
熊本県出身 九州看護福祉大学卒業

大野 道幸さん

自分の知識不足を悔やんだ事例を通じ
呼吸器疾患の専門知識を高め、
患者さんの苦痛を緩和できる看護ケアを実践

呼吸器療法から在宅支援まで
患者さんと深くかかわれる現場

 就職先は東京の病院を検討し、病院説明会に参加。高度急性期医療の提供と教育制度や福利厚生の充実がポイントとなり、当院への就職を決めました。
 入職後に配属されたのはICUで、さまざまな診療科の手術後の患者さんのケアに携わりました。ICUでは生命の危機にある患者さんの状態を常に観察し、アセスメントすることが求められるため、外科領域での学びが深められました。経験を積んだ5年目、内科への異動を希望しました。それまで人工呼吸器を装着した患者さんをケアしていたこともあり、呼吸器療法や在宅支援まで一貫した看護を学びたいと思ったことが理由でした。
 現在所属している脳神経内科、呼吸器内科病棟では、脳梗塞、筋萎縮性側索硬化症などの難病、肺がん、間質性肺炎など多岐にわたる疾患に対応しています。病棟では人工呼吸器を装着された患者さんのケアや、肺がんの患者さんへの化学療法のほか、自宅に帰られる患者さんのご家族に在宅人工呼吸器の管理、痰の吸引などの指導を行い、ご家族の不安の軽減に努めています。
 退院支援では、入院時からカンファレンスを実施し介入していくことで、早期の退院につなげています。医師、薬剤師、ソーシャルワーカー、医療連携室、退院後は訪問看護師、訪問介護員など多職種が連携を図り、患者さんやご家族を支えています。その中で、患者さんとのかかわりが深い看護師が患者さんの考えや意向を伝え、チーム医療の要としての役割を担っています。

患者さんの苦しさを改善できたとき
安堵感とやりがいを実感

 看護師としての転換期となった経験があります。入職2年目のとき、特発性間質性肺炎で急性憎悪をくり返し、徐々に呼吸器機能が低下した患者さんがいました。呼吸困難の症状も強くなり、鎮静剤が開始された状態でした。夜勤で受け持ったとき、話すこともできない状態で、苦しんでいる患者さんに声かけを行うことしかできませんでした。その後亡くなり、悔しさだけが残りました。患者さんの呼吸の苦しさを目の前にしたとき、早い段階で苦痛を軽減するケアの重要性をあらためて実感しました。
 この経験をきっかけに、何もできなかった自分から一歩踏み出すためには、呼吸器に関する専門的な知識や技術が不可欠だと思い、慢性呼吸器疾患看護認定看護師の資格を取得しました。資格取得後は患者さんの苦痛緩和のサポート、自力で排痰できる呼吸介助の方法の指導、院内での実践的な研修の開催などに取り組んでいます。
 さらに2021年9月に、術中麻酔管理領域の特定行為研修を修了しました。これにより医師の包括的指示のもとで動脈血液ガスを測定でき、呼吸状態の確認も迅速に行えるようになります。
 患者さんの生命に直結する厳しい現場ですが、排痰により「呼吸が楽になりました」という患者さんからの言葉は、実施して良かったという安堵感とともに、やりがいにつながっています。今後は、特定行為を実施できる看護師として活動の場を広げ、さらに呼吸器領域の専門的な知識・技術を習得していきたいと思います。

スタッフとのミーティング。患者さんの情報を共有し、病態について話し合う。スタッフ間のコミュニケーションが活発なことも同院の魅力の1つだという。
人工呼吸器のモニター管理。数値だけを確認するのではなく、実際の患者さんをみることを心がけている大野さん。身体的状態を観察し、患者さんに何が必要かを「みて、触れて、考える」ことを大事にしている。

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