看護師6年目の選択は
大学院のNP教育課程への進学
消化器外科や内分泌代謝内科・膠原病内科病棟で働き5~6年経った頃、日常的な業務はほぼできるようになり、看護の奥深さとともに自分に足りないものにも気づき始めました。例えば、後輩を指導する中で根拠に基づいた看護を伝えられているか、患者さんが急変する予兆に気づけているのか、ということです。
自分の看護に変化をもたらしたい、ステップアップしたいと考えていた時、日本の大学院にNP(ナースプラクティショナー・診療看護師)教育課程ができることを知りました。目の前の患者さんが抱える病気や受けている治療を看護の視点だけでなく、医学の視点から学び直し、患者さんやチーム医療に対する理解を深めたいと思い、進学を決意しました。
大学院で教壇に立つのは基本的に医師で、臨床実習では研修医と一緒に指導を受け、これまでとは異なる角度から看護を見つめ直したことで、その可能性について考えることができました。
また、侵襲性の高い医学的行為を、指導を受けながら患者さんに実践するという経験を通して、指導するということは責任をもって人にやらせてみる、任せてみる覚悟が必要なのだと、指導者の責任の重さを実感しました。
時代の変化に柔軟に対応しつつ、
求められている看護を追求していく
そのような学びを活かし大学院修了後は、病棟で教育的な役割を担いました。特に看護学部での半年間の臨床教員研修では、じっくりと学生にかかわり、患者さんに対する一生懸命さ、純粋さに多くの刺激を受けました。半年間の研修を終えて消化器内科病棟に戻ると、以前と同じように患者さんに接しているにもかかわらず、患者さんの生活や思いをさらに深く考える視点が自分の中にできていることに驚き、ますます看護が楽しくなっていきました。
2019年度から、特定行為研修センターに異動になり、センターの設立準備を行いました。現在は研修センターの運営スタッフとして、研修の企画や運営に携わり、指導者の役割を担っています。
私が看護師としてずっとこだわってきたことは、目の前の患者さんを大切にすることです。ステップアップしたいと思い大学院に進学しましたが、当時は「資格や制度に関係なく、自分のもっているものを目の前の患者さんの看護につなげたい」という思いだけでした。
しかし、特定行為研修制度が創設されるなど社会が医療に求めるものが変わり、資格や制度をさまざまなで活用して患者さんに還元することも大切であると認識しました。今はNPや臨床教員、病棟主任の経験がどのように活かせるのか模索しています。
今後も時代の変化に柔軟に対応しつつ、今求められている看護を追求していきたいと思っています。そして当センターで学んだ研修生たちがそれぞれの経験とセンターでの学びを活かして、現場の看護に還元できるよう、研修センターの基盤をしっかりと作っていきたいと考えています。



