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Special Topic 1 看護部長インタビュー [トップが語る学生へのメッセージ]

都立病院は看護の視野を広げられる場所。
さまざまなチャンスを生かしながら、
基本的なケアを大切にする看護師に
成長してほしい

東京都立病院 駒込病院

看護部長

廣子さん

機能特化した教育プログラムと
全病院共通の研修体系で育成

都立病院の果たす役割と使命について教えてください。

 都立病院はすべての都民のための病院であり、東京都の医療を守るのが私たちの一番の使命です。多様化・複雑化する医療ニーズに応え、高水準で専門性の高い行政的医療(精神科救急医療、災害時医療、二次・三次救急医療、感染症医療など)を適切に提供していくために、都内8カ所の病院を機能分化し、それぞれの地域特性や医療機能に応じた基本的機能を明確化しています。また、24 時間・365 日、どんな人でも安心して受診できることをコンセプトとしており、公立病院としての透明性・公立性も求められています。
 都立病院にはこのほか療育施設が2カ所あり、全体で10 カ所の病院が東京都によって運営されています。

その中で駒込病院にはどのような特徴があるのでしょうか。

 当院は、がんと感染症を中心とした高度専門医療を提供する専門機能と総合診療基盤を併せ持つ病院です。都道府県がん診療連携拠点病院として、都全域におけるがん医療の中心的な役割を担うとともに、がん医療水準の向上に貢献しています。また、がんゲノム医療拠点病院としてがんゲノム医療の推進にも取り組んでいます。
 都立病院で唯一、緩和ケア病棟を持つのも特徴です。診断の段階から終末期まで治療とケアを提供しています。

都立病院の教育体制や人材育成の考え方について教えてください。

 都立病院には「東京看護アカデミー」という研修体系があり、新人からベテランまで個々の成熟段階に応じたキャリアアップを支援しています。基本的なキャリアパスの構成はすべての都立病院に共通で、入職後の3年間を「基礎コース」と位置づけ、看護師としての自立を目指します。4年目には「ジェネラルコース」で部署リーダーとしての基礎を確立、以降はさらに専門性の高いコースへと進むことができます。
 個々の考えや目標を共有しながら、その人に合ったキャリア開発を行う点も特徴といえるでしょう。

貴院ならではの教育の特徴についてはいかがでしょうか。

 当院ではがんに関する教育を入職後すぐから段階的に開始します。東京都のがん医療の拠点として地域や関連病院への教育的な使命があり、その役割を担える人材を育成するためです。
 また、昨今はがんゲノム医療の進展に伴い、一人ひとりに合う抗がん剤を使って治療するという時代になってきています。そこで、院内で勉強会を開催するほか、学会資格などの取得にも注力し、遺伝子や骨髄移植にかかわる外部研修などにも参加しています。

急性期の病院だからこそできる
その人らしい生き方の支援

駒込病院が求める看護師像とはどんな人ですか。

 現在、国が推進する「地域包括ケアシステム」の構築によって、患者さんたちは必要な医療を病院で終えた段階で、在宅あるいは住み慣れた地域で生活する体制を整えています。その中でがんの患者さんは入退院を繰り返しながら、生活の質が徐々に落ちたり、治療が次のステップに進んだりすることもあります。我々は急性期の病院として「医療を通して人がその人らしく生き抜くことを支援する」という理念のもと、どの健康段階の方でもきちんと話を聞ける素養のある看護師を求めています。

患者さんに寄り添う看護ということでしょうか。

 寄り添うというのはそばでじっと話を聞くだけではなく、その人が必要なケアを提供できなければなりません。それだけに基本的な技術・知識の習得は重要です。今、看護はいろいろな専門分野に特化し、スペシャリストを目指す人も増えていますが、実際の看護の質はベッドサイドで看護をする看護師の質にかかわっています。大多数の看護師、いわゆるジェネラリストの質を高めることが大事だと考えます。

駒込病院での新たな取り組みについて教えてください。

 今年度から在宅での継続医療が必要な患者さんを地域の医療機関とつなげるために、認定看護師が直接地域を訪問する取り組みを始めています。医療ニーズの高い在宅療養移行者に、自宅での状況に合わせたより的確な退院指導を行うことが目的です。そこで得た情報を地域の訪問看護師と共有し評価することで、病院の中で自己完結しがちな指導が、実務的で本当に患者さんが必要としているものなのか判断できます。病棟看護師ではなく、スペシャリストの視点で必要な情報を吸い上げるところに意義があると感じています。

あらためて都立病院の魅力とは何でしょう。

 やはりそれぞれのキャリアに合わせたプログラムと、自ら勝ち取り選択できる道があるということです。学びたいと思うことに関してはさまざまな支援ができますので、志のある人には獲得できる部分も多い病院だと思います。生涯を通してキャリア形成を図れる環境にあります。結婚・出産などライフイベントが多い女性の場合は、ライフ・ワーク・バランスのどちらに主軸を置くのか、そのつど優先順位を決めて、多様な機会をつかんでいってください。私自身、2人の子どもを持ちながら仕事を続けてきましたので、子育てとの両立や、夜勤につく大変さもよくわかります。

学生の皆さんへメッセージをお願いします。

 いろいろな可能性を秘めている皆さんには、自分をひとつの枠にはめることなく、視野を広げていってほしいと思います。都立病院には多彩な病院があり、その中でさまざまな看護が展開されています。最初の興味関心がいつか別の領域に移ることもあるでしょう。その時も、都立病院なら選択肢を提供できます。研修で皆が集まる機会や環境もぜひ生かして活用してください。
 そして、どんな形であっても看護師を続けていってほしいと思います。看護師は患者さんを通して成長していきます。そこに働きがいを持って看護師として伸びていってほしいですね。

佐野 廣子さん

東京都立病院 駒込病院

[住所]〒113-8677 東京都文京区本駒込3-18-22
都立病院はすべての病院でJMIP(外国人患者受入れ医療機関認証制度)を取得。当院はEPA(経済連携協定)に基づく外国人職員の受け入れもしており、国際的にも存在価値を高めています。

Profile プロフィール

さのひろこ

1981 年、東京都立看護専門学校卒業後、看護師として広尾病院に入職。都立病院勤務および都立看護専門学校の教員勤務などを経て、2005 年から都立病院の管理職として勤務する。2018 年より現職。認定看護管理者、病院経営管理士、東京都看護協会副会長。

佐野 廣子さん
都立病院では1 年に1 回希望を取り、承認されると異動ができます。がんに特化した勉強がしたい、他分野の看護を経験したいなどのほか、物理的な事由も加味されます。都立ならではの選択肢といえます。

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