医学的な知識が加わり、
患者さんへの
タイムリーな介入が可能に
済生会横浜市東部病院
診療特定看護師
近藤 寛さん(左)
領域特定看護師
市ノ川 隆久さん(右)
済生会横浜市東部病院
診療特定看護師
近藤 寛さん(左)
領域特定看護師
市ノ川 隆久さん(右)
近藤 17年間の看護経験の中で診療特定看護師を目指そうと思ったのは、当院で初めて診療特定看護師になった上司と、東日本大震災や熊本地震の医療支援に同行した時のことでした。患者さんの病態のアセスメントや幅広い仕事の仕方を見て、その働き方に感銘を受けました。看護師は入院中の病棟でしか患者さんのケアを行えませんが、診療特定看護師は入院から退院まで広範囲で患者さんにアプローチできることに魅力を感じました。市ノ川さんの領域特定看護師への道のりはどうでしたか。
市ノ川 他病院でキャリアを積む中、自身が後輩からの質問に的確に答えられない場面が幾度かありました。経験則だけでなく、根拠を持った知識の習得が必要と思いスキルアップを模索していましたが、転職した当院で看護師特定行為研修を開始すると知り、師長に相談してエントリーしました。
近藤 診療特定看護師は医師の思考を理解し、看護師の視点で患者さんにアプローチする役割があります。患者さんの生活背景、人間性、価値観、死生観を大切にして、患者さんが自分らしい生き方を選択することを支援しています。市ノ川さんは自分の役割をどう考えていますか。
市ノ川 臨床現場での正確なフィジカルイグザミネーションや患者さんの訴えから疾患を考えて、予測し正確に医師に報告することで、タイムリーな医療介入ができると考えています。その際に特定行為が必要と判断されれば実践しています。医師と患者さんの間に入り、コーディネートする役割が重要だと感じています。
近藤 現在1年目の研修期間中で、病棟へ出向という形で患者さんの診察や治療について学び、医師と近い働き方をしています。以前は看護師の視点からしか見えていなかった病態も、医師の視点は違うことが理解できました。双方の要求を伝達できる立場だと考えているので、患者さんの治療につなげていきたいと思います。
市ノ川 それは自分自身も感じています。お互いの思考プロセスを理解できるよう調整し、患者さんのアウトカムに寄与したいと考えています。例えば夜勤時に臨床判断を迫られた時、これまで医師に確認してから実施していた行為も、領域特定看護師がいることでスムーズに介入できるようになりました。その結果、医師の負担が減り、スタッフの不安も軽減されています。
近藤 診療特定看護師も「看護師」が基盤にあります。今後は看護師として患者さんの生活を支える役割を主軸に、医師や他職種からの視点も統合し、提供されている医療が患者さんにとって適切なのか判断していきたいと思います。
市ノ川 今後、診療特定看護師と領域特定看護師が増えていくことが予測されます。将来的に2人1組で各病棟に配置できれば、多方面からのアドバイスが可能となります。病棟に領域特定看護師がいると安心だと言われることが目標です。
近藤 キャリアを積んでいく過程では、将来の働き方に迷い、悩むこともあるでしょう。専門・認定看護師など、多くの選択肢がある中で、我々の活動を通して後輩たちへの道筋が示せたらと思います。お互いに頑張りましょう。
済生会横浜市東部病院
[住所]〒230-8765 神奈川県横浜市鶴見区下末吉3-6-1
[TEL]045-576-3585(人事室)
Profile プロフィール
近藤 寛さん
特定行為研修室 新潟県出身・東京医療保健大学大学院卒業
大学病院の手術室勤務を経て、2008年入職。大学院卒業後、診療特定看護師に。看護師特定行為21区分38行為修了。
市ノ川 隆久さん
心臓血管センター 神奈川県出身・東海大学卒業
大学病院、総合病院の勤務を経て、2016年入職。研修を受講し領域特定看護師に。呼吸器関連、動脈血液ガス分析関連の3区分7行為研修を修了。
病棟では周術期看護、終末期ケア、化学療法、患者さんへの指導など、多岐にわたる業務に携わっています。入職当初は、住む場所や生活環境が変わることに不安を感じましたが、プリセプターが業務に関することだけでなく、生活面も気にかけてくれたので、安心できました。
現在2年目ですが、来年からは教える立場にもなるため、根拠を持った看護を行い、患者さんの立場になって行動できる看護師としてもっと成長していきたいです。