> 東京医科大学病院(清田 朝子さん) | 看護部長インタビュー 2020年度
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SPECIAL TOPIC 1 看護部長インタビュー [トップが語る学生へのメッセージ]

「温かな心のこもった看護」を実現するためには、
知識・技術だけでなく、現場力が不可欠。
個々の成長を支援するさまざまな環境を提供

東京医科大学病院

副院長・看護部長

朝子さん

自分の看護を体現するための
多様な教育プログラム

大学病院として、どのような役割を担っていますか。

 当院は東京都区西部地区の中核病院として高度で安全な医療を提供する役割を担っています。三次救命救急指定病院としての対応や、大学病院でしか行えない医療や治療の提供はもちろんですが、同時にこの地域の方々の入院から退院後を見据えた医療を提供することも求められています。
 入院されたすべての方が回復して退院するわけではありません。医療が院内完結型から地域完結型に移行した現在は、転院や在宅医療などのケアを継続するために地域との連携が不可欠です。病院から積極的に地域へつないでいく時代だと思います。

新人教育で力を入れていることを教えてください。

 入職時のオリエンテーションから基礎看護技術研修、宿泊研修、フォローアップ研修など、さまざまな集合教育と現場でのOJTを連動した仕組みを整えています。研修にはシミュレーションやチームビルディングを多く取り入れ、体験学習を通して評価を行い、定期的にフィードバックしていきます。
 例えば宿泊研修で課題に沿って行うグループワークは、コミュニケーション能力を養うだけでなく、チームの中での役割分担やリーダーシップを培うものとなっています。研修で気づいた課題は、現場にフィードバックし、研修での学びがどう体現されているかを確認します。

メンタル面のサポートも充実しているようですね。

 入職から数カ月経つと、現場での問題にぶつかり、つらくて辞めたいと落ち込む新人も出てきます。しかし、今起こっていることと向き合わなければ前に進むことはできません。
 看護部では病棟以外に専任の教育担当者を設け、面談する機会をつくっています。さまざまな悩みを言える場所を提供し、必要であれば臨床心理士に相談できる環境を整え、新人看護師のメンタル面をサポートしています。

2年目以降はどのようなプログラムがありますか。

 2年目以降はクリニカル・ラダーに沿って、段階別に研修に参加するシステムがあり、多くの研修でアクティブラーニングを取り入れています。個々の成長に合わせて、研修を選択していきます。知識・技術を習得するだけでなく、「どういった看護を実践したいか」を体現できる看護師を育成したいと考えています。
 さらに自分の実践したい看護が見えてきて、専門性を高めたい、興味ある領域を深めたいという人に向けてはバラエティに富んだプログラムを用意しています。認定・専門看護師の資格取得も、研修扱いで在籍したまま通学でき、学費補助を受けられるなどのサポートがあります。資格取得が目的ではなく、患者さんやご家族、スタッフへ専門性を発揮して、よい看護実践を実現することを目的としています。
 よく面接で、どんな教育が受けられるかという質問がありますが、教育は与えられるものではありません。自ら学び個々が成長しないとチームの成長はありませんし、よい看護を提供することができません。自分は何のために成長するかを考えることが大切です。私たちは教育環境を整えるだけでなく、どう成長したかを大切にしています。

看護は誇りある崇高な仕事。
現場で醍醐味を感じてほしい

看護理念への思いをお聞かせください。

 私たちは「温かな心のこもった看護」という理念を大切にしています。これは急性期であっても、変わらず求められる看護の本質だと考えます。それを実現するためには、知識・技術に裏付けされた現場力を備えた看護師として成長することが必要です。
 近年の医療現場は機械化が進んでいます。効率性がよく、誤差も少ないのはいいことですが、看護の基本はタッチングです。体温や血圧測定の際、最近は患者さんに触れない人もいるようですが自分の手で患者さんに触れ、状態を観察するという基本を忘れないでほしいです。

チーム医療にも定評がありますが、看護師に必要な役割は何ですか。

 患者さん中心の医療を推進するためにも、チーム力は重要です。お互いの専門性を尊重し、院内では個々の力を発揮できる環境の中で職種を超えた連携が構築されています。その中心となるのが看護師で、患者さんによい医療を提供するためには看護師の力が不可欠です。医師や多職種との調整役としてチーム全体をまとめ、横断的に活動しています。
 さまざまな場面でマネジメント能力やリーダーシップを発揮することができるのは看護師です。これはキャリアに関係なく、1年目であっても求められます。患者さんやスタッフとの関係性の中で築いてほしいと思います。

就職活動のアドバイスや、学生時代にやっておくべきことは何でしょうか。

 就職活動では、インターンシップなどに参加して自分の目で確認することが大切です。自分自身の五感を駆使して、自分を活かして働ける場であるかを感じてください。また、勤務場所も大切です。看護の仕事は夜勤などもあり、生活サイクルが学生時代とは異なります。生活をベースに仕事を考え体力面でも継続できるかをしっかり考えてください。生活リズムが安定するまでは、寮に入ることを勧めています。
 看護師は人とのつながりは欠かせません。学生時代にさまざまな年代の人と出会うことは、人とかかわる能力を養うことにつながります。学生時代は今しかありません。学生であることを謳歌して、充実した生活を送ってください。

学生へのメッセージをお願いします。

 看護師は、人の生死にかかわる責任の重い仕事です。しかし生命と向き合い、倫理観をもって他人の人生に寄り添えることは看護の醍醐味と言えます。先輩たちの働く姿を見て、誇りある崇高な仕事だと実感できる環境を整えていきたいと思います。
 学生の皆さんは原石です。私たちは皆さんの可能性を感じて一緒に働きたいと思っています。「こんな可能性がある」「こんな看護をしたい」という思いをもって看護師としてスタートしてください。皆さんには、これからの時代を担っていく人材として期待しています。
 当院はこれまでの歴史から、未来へと歩き始めました。2019年7月には新病院がオープンします。高度急性期医療に対応した医療設備も整っていますし、急性期医療に興味のある方には、多くの学びが得られます。次の時代に向けて一緒に看護の歴史を築いていきましょう。

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東京医科大学病院

[住所]〒160-0023 東京都新宿区西新宿6丁目7-1

Profile プロフィール

きよたあさこ

聖母女子短期大学卒業後、日本医科大学附属病院に就職。約10年間病棟勤務の後、東京医科大学病院へ。小児外科、血液内科病棟等で看護師長を経験し2008年教育担当副看護部長。2014年、東京医科大学茨城医療センター看護部長を経て2018年3月より現病院看護部長。

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学生時代に実習指導現場でシスター寺本(寺本松野)から教えていただいた「愛によりて真理へ」の精神と「一期一会」が人とのかかわりの基本になっています。看護管理者となった今でも変わらず心に刻まれています。

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