> 湘南鎌倉総合病院(吉岡 睦美さん) | 専門領域で活躍する先輩ナース 2020年度
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巻末特集 専門領域で活躍する先輩ナース

写真:吉岡 睦美さん

納得できる治療選択ができるように、
寄り添い、情報を提供し、
一緒に考える

湘南鎌倉総合病院
移植コーディネーター

睦美さん

師長の「移植を勉強してみない?」の一言に、
チャンスを活かそうと思った

 新卒で入職したのは、学校系列の大学病院の混合外科病棟でした。看護の力で傷を治せることや回復過程が見られることがうれしくて、外科系病棟のケアにやりがいを感じ、当院でも最初は一般外科の混合病棟で働いていました。入職した1年後、当院に移植外科が設立され、同年中に移植手術が開始になることが決まりました。そのとき病棟師長から「移植を勉強してみない?」と声をかけられたのです。
 最初は全く未知の分野で不安もありましたが、看護師になって7年目になっていたので、新しいことに挑戦する良いチャンスだと思いました。そして、その年に東京女子医科大学病院での1カ月の移植研修や学会に参加しながら勉強し、日本移植コーディネーター協議会の研修を経て、認定資格を取得しました。
 その間も、移植外科の立ち上げに加わり、院内の整備や看護師向けの勉強会を開催し、院内マニュアルを作成しました。
 当院では院内教育だけでなく、こうした認定資格のための研修や学会参加、学会発表などへのフォローが手厚く、キャリアアップにとても協力的です。私の場合も研修費や都内での滞在費、その間の給料など、全て病院から支給されました。金銭的、時間的な支援がなければ、今の私はなかったかもしれません。

移植を勧めるのではなく、
新しい腎不全ライフの獲得を支援する

 移植コーディネーターには、臓器を提供する側のドナーコーディネーターと、移植を受ける側のレシピエントコーディネーターがいます。私は腎移植専従のレシピエントコーディネーターで、腎代替療法選択の説明や援助、献腎登録、術前面談や病棟及び他部署との連絡、移植カンファレンスの準備、移植学会や勉強会への参加、さらに海外支援まで、仕事は多岐に渡ります。
 移植コーディネーターだからといって移植を勧めるのではなく、まずは患者様に腎不全の治療方法を理解してもらい、患者様自身が自分のライフスタイルを考え、腎臓のドナーとなる家族としっかり話し合えるような的確な情報提供を行うことが大切です。後悔のない治療選択をすること、さらに患者様自身の新しい腎不全ライフを獲得してもらうことが、私の一番の目標です。
 70代のご夫婦は、最初はレシピエントとなる夫が「腎臓をもらってまで元気になりたくない」と移植を拒んでいたのですが、ドナーとなる妻に「あなたの人生は私の人生。私の腎臓を提供してでも元気になってほしい」と言われ、移植手術を受けました。一般的に「移植は70歳まで」と言われていて、私も移植は若い方にする治療だと思っていました。しかし、このご夫婦のケースを通し、高齢であるからこそ、ご自身の余生をどのように過ごすかにおいて、移植が重要な治療選択であるのだと気づくことができました。このご夫婦のように、移植手術や治療を経て退院され、元気に通院される姿を見られることが、私のやりがいです。
 毎年ひとつ、新しいことに挑戦することが目標なので、今年は腎不全の学びを深めるために腎臓病療養指導士の資格取得を目指し勉強中です。そして近い将来、移植コーディネーターの独立した部門として「移植支援室」を立ち上げ、さらにより良い情報提供、支援を行っていきたいと思います。

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湘南鎌倉総合病院

[住所]〒247-8533 神奈川県鎌倉市岡本1370-1

[TEL]0467-46-1717

Profile プロフィール

看護部・腎移植専従コーディネーター 神奈川県出身・東海大学医療技術短期大学卒業
大学病院の混合外科病棟勤務を経て、2011年に同院に入職。2014年9月に日本移植学会の認定レシピエント移植コーディネーターの資格を取得。2017年に外科の混合病棟から腎臓内科病棟へ異動。2018年6月から看護部所属の腎移植専従コーディネーターとなる。

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生体腎移植を希望する患者さんと家族の初回の面談には、たっぷり1時間はかけて話を聞く。そのため、事前の患者さんの情報収集は欠かせない。
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同院では以前より、アフリカでの透析支援を行い、2017年からはタンザニアからの医療研修も受け入れている。2018年3月、タンザニア国内で初めての腎移植手術を同院の医師とタンザニア医師で実施した。吉岡さんも手術前後の患者さんのケア、現地ナースの指導を行った。

「全国から集まる先輩ナースたち」実家のある静岡と程よい距離。寮には同期が多いので安心して暮らせます 「生命を安心して預けられる病院」という理念に、強い感銘を受けて入職しました。病院自体も周りの環境も、患者さんに安心感を与えられる雰囲気で気遣いが感じられます。当院のある神奈川県鎌倉市は、実家の静岡と程よい距離感なので気に入っています。寮には同期がたくさんいるので、いろいろ相談し合うなど安心して暮らすことができ、その分、仕事に集中できます。