> 獨協医科大学埼玉医療センター、日本大学医学部附属板橋病院 | 地域医療連携における看護師の役割とは 2019年度

THE LEADING NURSE

地域医療連携における看護師の役割とは

地域の医療機関が機能の分担と専門化を進め、医療機関同士が相互に円滑な連携を図ることにより、患者さんが地域で継続性のある医療を受けられるようにする。
それが、地域医療連携の目的です。高度化・複雑化する医療の現場で地域医療を守っていくために必要なものとは。そしてその中で看護師が果たすべき役割とはどのようなものなのか。
獨協医科大学埼玉医療センターと、日本大学医学部附属板橋病院の取り組みをご紹介します。


獨協医科大学埼玉医療センター

写真:獨協医科大学埼玉医療センター

退院直後の不安定な患者さんをいち早く安定した状態に戻すため、地域の多職種と情報を共有

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在宅医療部訪問看護師
訪問看護認定看護師

水村 志保さん

 当院では、急性期治療直後やがん・神経難病の患者さんが訪問看護の対象になることが多く、総合医療相談部の退院支援看護師からの依頼を受けて訪問看護をしています。退院直後の不安定な患者さんを、地域の訪問看護師と協働しながら、いち早く安定した状態で生活の場に戻すことが私たちの大きな役割になると考えています。大学病院では医療依存度が高い患者さんも多いため、私たちも地域に出向き、地域の訪問看護師や薬剤師と情報を共有しています。重症心身障がいで人工呼吸器や点滴が必要な患児に対し、退院直後に病棟看護師と一緒にお宅へ訪問し、地域の訪問看護師に呼吸器の操作方法や病状の観察方法などケアの内容を直接やりとりすることで連携を図っています。

 在宅医療や地域連携は今後ますます多岐に渡ります。患者さんが〝住み慣れた地域で暮らすための支え″がさらに重要になると考え、地域と大学病院との、橋渡しを担っていきたいです。

医師

訪問診療により患者さんの変化を素早くキャッチし、診療科に橋渡しをする

総合診療科 医師 齋藤 登さん

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 2016年4月に総合診療をスタートし、2018年から訪問診療を開始する予定です。

 これまでは当院を退院した患者さんは、地域のクリニックに移行していましたが、今後は訪問診療により、入院中から引き続き、在宅でも高度な医療を提供することができます。それにより大学病院であっても、入院から退院後のことまで、患者さんに安心して任せてもらえるようになると思います。

 また、こちらから訪問することで、患者さんの変化をいち早くキャッチでき、適切な診断ができるため、速やかに治療が開始できるようになります。

外来から在宅まで、切れ目のない支援を

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看護師

入院前から患者さんの問題点に着目します!

患者支援窓口 古屋 まゆみさん

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 「患者支援窓口」には外来で診療を終えたばかりの入院予定の患者さんがみえます。患者さんの現状の受け止めや理解、不安な思いを聞き、身体・精神・社会的情報を集約しています。入院前から私たちが、個々の患者さん・家族が抱える問題の把握にかかわり、問題への早期介入や解決の準備が行え、病棟看護師・総合医療相談部の退院調整看護師やソーシャルワーカー等に情報をつなぎ、安全で安心した入院過程を提供できるよう橋渡しをしています。

 退院時に窓口に寄って頂いた方から「無事に退院できました」と声をかけて頂けると、私もとてもうれしく、やりがいを感じています。

退院支援看護師

疾患と生活の両面から通院、退院の支援を行う

総合医療相談部 慢性疾患看護専門看護師 松元 智恵子さん

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 外来の患者さんが自宅で過ごすための日常的なサービスの調整や、地域との連携を図る在宅療養支援をしています。

 例えば高血圧で通院されていた高齢患者さんが認知症を患い、独居の場合、地域包括支援センターにつなげます。当院は大学病院なので、急性期を脱した慢性疾患の患者さんは、地域の病院につなげることもあります。

 高齢患者さんはいくつもの疾患を抱えているため、複数の診療科にかかっています。そのため退院にあたっては、他科の医師との調整を行うなど、包括的な調整を心がけています。

 全ての病歴を見て、生活の視点から考え支援することが、看護師の役割だと考えています。

ソーシャルワーカー

依頼を待つ退院支援ではなく、病棟に出向き、いち早く介入

総合医療相談部 MSW 山根 修さん

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 外来、入院、治療など、疾患に伴って起こる社会的、経済的、心理的な問題の調整支援にあたっています。総合医療相談部には、退院支援看護師が3名いるので協力し合い、在宅療養や転院のための支援を行います。

 入院した早い段階で患者さんの情報をキャッチし、速やかに退院支援を開始することが大切です。そのために、私は自分の担当部署である救命センターに毎日出向き、カルテから患者さんのニーズを確認しています。

 転院する場合は、地域の病院の情報も必要なので、常にベッドの空き状況を把握し、社会的な問題もサポートできるように、社会的資源の情報提供も行っています。

日本大学医学部附属板橋病院

写真:日本大学医学部附属板橋病院

どんなに医療依存度が高くても、家族と過ごせる時間を提供したい。この思いで退院支援をしています

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医療連携センター
退院支援看護師

廣瀬 由美子さん

 退院支援看護師として、特別室病棟と神経内科、整形外科の混合病棟を担当しています。当院では入院時に病棟看護師が退院支援の必要があるかをスクリーニングし、必要な場合は退院支援看護師に依頼がきます。

 以前、ALS(筋萎縮性側索硬化症)の60代の患者さんの意思決定に立ち合いました。退院調整では、中心静脈栄養やNPPV(非侵襲的陽圧換気療法)の管理、導尿の手技などを指導しました。地域の訪問診療と訪問看護、ケアマネジャー、保健師、ヘルパー、福祉の方と密に連絡を取りカンファレンスをして退院することができました。その方の娘さんから「しっかり指導してもらったので、失敗することなく点滴の管理ができました」と言っていただけて、とてもうれしかったですね。

 どんなに医療依存度が高くても、家族と過ごせる時間、家族水入らずの生活を送る時間を提供することに、とてもやりがいを感じます。

退院支援看護師を増員し、よりきめ細かい退院支援を実践

看護部長 縣 美恵子さん

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 入院期間の短縮とともに、患者さんの中には治療やケアについて、さまざまな不安を抱えながら退院や転院せざるを得ないこともあります。その不安を何とか軽減したいという思いで、2017年4月から退院支援看護師を14人に増員し、2病棟に1人の退院支援の専任看護師を配置しました。

 また、当センターの看護師たちは現在さまざまな研修に参加し、退院支援に必要な知識や技術を習得中です。意欲ある看護師たちの学びが退院・転院される患者さんに対し、よりきめ細かい支援へと結びつくことを期待しています。

入院時のスクリーニングで多職種が早期に介入

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医師

退院する患者さんの不安軽減に看護師の支援が欠かせない

医療連携センター センター長 循環器内科 高山 忠輝さん

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 当院は特定機能病院であり、高度急性期医療を担当しています。そのため、急性期治療後の回復期・長期療養が見込まれる患者さんに対しては、連携医療機関を中心に地域の医療機関への転院支援や、自宅療養へのスムーズな移行を退院支援として行っています。 退院支援は看護師が中心となり、医学的な質問にも答えるなど退院や転院に対する患者さんの不安軽減に役立っています。

 病棟にも退院支援看護師を配属しているため、病棟の担当看護師や病棟管理師長とのコミュニケーションが十分に取れ、患者さんが入院された早期から退院・転院支援が行われていることが、大きな特徴です。

退院支援看護師

0歳から高齢者まで、高度な医療ニーズに応えた退院支援を行う

医療連携センター 退院支援師長補佐 齊藤 みちよさん

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 当センターには私を含め、14名の専従の退院支援看護師がいます。主な役割は退院支援、転院支援がスムーズに行われているか、退院や転院を困難にしている要因は何かなど、退院支援全体の管理業務を行っています。
 当院は大学病院としては初めて訪問看護を行った歴史があり、古くから在宅支援に力を入れてきました。大学病院、高度急性期病院のため、患者さんが0歳から高齢者までと幅広く、各年代への対応が求められます。
 また医療依存度の高い患者さんは、当センターの看護師が訪問し、地域の訪問看護師やヘルパーに器械の使い方やケアの方法を説明するなど、協働で在宅支援を行っています。

ソーシャルワーカー

患者さんの心とからだ、暮らしを支援できるチーム医療を目指す

医療連携センター 精神保健福祉士 医事課課長補佐 古屋 克己さん

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 私の主な仕事は、前方連携としては地区の医師会の先生方と当院を結ぶこと、後方支援では当センターのスタッフが転院支援や退院支援を行うに際し、福祉の立場からの助言をすることです。特に社会資源や医療費などの仕組みついては、患者さんに聞かれたときにすぐに答えられるようにしています。

 患者さんの中には退院や転院に納得していない場合もあり、このようなケースでは看護師にアドバイスをしたり、患者さんやご家族との話し合いに私も参加したりします。

 多職種で協働し、患者さんの心とからだ、暮らしを支援できるチーム医療を目指しています。

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大森 啓吾さん

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関谷 裕美さん