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SPECIAL TOPIC 1 看護部長インタビュー [トップが語る学生へのメッセージ]

SPECIAL TOPIC 1

[トップが語る学生へのメッセージ]
看護部長インタビュー

「感じる心」は精神科看護の原点。
深い洞察力と共感力を持った人材を
育成します

東京都立病院 松沢病院

看護部長

紀子さん

患者さんの心に寄り添い、
生きることを支える看護が精神科看護

都立病院の果たす使命はどのようなものですか。

 都立病院は明治12年に設置された歴史を持ち、現在は8病院(総合病院5、小児1、精神1、神経難病1)と、2つの療育センターを有し、幅広い医療と看護を提供しています。その使命は高度・多様化する医療ニーズに迅速かつ的確に対応し、良質な医療を提供するとともに、東京都全体の医療サービス水準の向上に貢献することです。
 この使命を果たすために、行政的医療と言われる「法令等に基づき対応が求められる医療」「社会的要請から特に対策を講じなければならない医療」「新たな医療課題に対して先導的に取り組む必要のある医療」を適切に提供する役割を担っています。

精神科の専門病院である貴院の特徴をお聞かせください。

 日本で最も歴史のある精神科専門病院で、一般病床90床を含む898床の規模を持つ病院です。東京ドーム4個分の広大な敷地には、四季折々の木々や草花が植えられ、患者さんの療養空間を大切に考えた開放的な雰囲気があります。
 また精神科救急、精神科急性期、身体合併症、認知症、依存症、医療観察法、精神科青年期など、精神にかかわる大半の医療分野を担っています。

新卒で精神科の専門病院に入職することはハードルが高いと考える学生さんもいるようですが。

 これからの精神科医療は心だけでなく、身体的疾患を抱えた患者さんのケアも求められます。さまざまな疾患に対応するためにも、看護師としての知識や技術を習得できる環境は整っています。
 目に見えない心へのアプローチは戸惑うことがあるかもしれませんが、心の病は別の形で患者さんから表出されます。患者さんの心に寄り添い、一人の人間として生きることを支える看護が、精神科看護です。どんな精神科のベテラン看護師でも、最初はみんな初めてです。学習と経験を積み重ねリフレクションすることで、精神科看護師として成長できます。

都立病院の教育の特徴を教えてください。

 都立病院には「東京看護アカデミー」という教育体系があり、個々の習熟段階に応じてキャリア発達を組織的に支援しています。都立病院看護キャリアパスでは、臨床実践能力別到達目標(キャリアラダー)を設け、体系的に学びを深めていきます。入職後3年間かけて看護師としての自立を目指す基礎コース、4年目以降は看護実践能力に磨きをかけるジェネラルコースで構成されています。
 さらに職業人としてだけでなく、社会人として組織人としての成長ができる研修もあります。集合研修だけでなく各病棟には実地指導者や教育担当者が在籍し、きめ細やかな支援体制を取っています。

精神科領域で目指している看護は、どのようなものですか。

 松沢病院看護部の理念は、「病院理念に基づき、優しさと思いやりをもった看護を提供する」です。精神科の看護師には、知識・技術とともに「感じる心」が必要です。看護の対象者は「人」です。人に対する深い洞察力と共感力を持って理解することで、その人らしく生きるための支援ができます。心と身体を病んでいる人に、やさしく寄り添い、社会の中で尊厳を持って暮らしていけるよう、看護専門職としての知識や技術を駆使した看護の提供を目指しています。

人間を対象とした看護の仕事は、
生涯学び続けることが不可欠

看護師に求められるのはどんな資質ですか。

 都立病院の目指す看護師像は「患者中心の看護が提供できる」「質の高い医療・看護サービスが提供できる」「専門職として自ら学び成長できる」です。看護は人間を対象とした仕事ですから、人間愛があり、人間に興味を持ち続けられることが大切です。
 看護は生涯を通じて学び続けることが求められます。基礎教育で学びが終わるのではなく、臨床での経験を積み重ねていくことが不可欠です。それは、看護が人間相手であるからこそ、臨床の中でしか得られないことがあるからです。そして刻々と変化する医療・看護の動向をキャッチし、新しい知識や技術を更新していかなくてはなりません。

貴院がアピールしたい点をお聞かせください。

 当院は精神科だけでなく、身体合併症病棟や一般病棟もあります。外科系手術、透析医療、終末期医療も行っており、心と身体の双方の視点から全人的看護を実践しています。精神科医療は、患者さんを生活者として捉えて介入するため、看護の視点は医師の診療と同等な位置づけとなります。そのため専門看護師や認定看護師も多く在籍し、専門性を高められる環境があります。
 また、新人看護師には精神科の専門・認定看護師が中心となり、年間を通してメンタルケアを行う「つくしサポート」があるので、精神面の支援も万全です。また、都立病院には8つの病院と2つの療育センターがあり、個々のライフ・ワーク・バランスに応じて転勤異動も可能です。自分のキャリア・デザインに沿って選択できるので、退職することなく看護師としてのキャリアを継続できる環境があります。

学生の方にメッセージをお願いします。

 看護専門職の存在意義は、医療・看護の視点から社会貢献を行うことです。「自分がやりたい看護」ではなく、あくまでも主役は患者さんで、「患者さんが必要としている看護」を身につけてほしいと思います。学生時代から社会とのつながりを大切に、社会で生活する人々にとっての安寧とは何かを考えて、基礎学習を積み重ねてください。
 人が病院とかかわるのは人生のほんのひとときですが、その時間がその後の人生を左右することもあります。人の痛みや苦しみ、喜び、悲しみを理解し感じ取る感性を磨くことが大事です。患者さんが病と向き合い、その人らしく生きていけるよう、患者さんの心に寄り添える看護師を目指してください。

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東京都立病院 松沢病院

[住所]〒156-0057 東京都世田谷区上北沢 2-1-1

Profile プロフィール

みうらのりこ

看護専門学校卒業後、1984 年に都立病院入職。2009 年、認定看護管理者取得。広尾病院、駒込病院、墨東病院、東京都保健医療公社病院などを経て、2014 年4 月より現職に。2017 年4 月、松沢病院に着任。

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病院のインフォメーションは、患者さんとのファースト・インプレッション場面。精神科ベテラン看護師の対応力が発揮される。
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患者さんが作業療法で作成した、完成度の高い焼き物「松沢焼」。

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出町 美奈さん

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岡内 愛香さん