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SPECIAL TOPIC 1 看護部長インタビュー [トップが語る学生へのメッセージ]

SPECIAL TOPIC 1

[トップが語る学生へのメッセージ]
看護部長インタビュー

看護も教育も一番大切なものは人間力。
指導者の人間力に自信があります

日本大学医学部附属板橋病院

副院長・看護部長

縣 美恵子さん

看護理念を理解して浸透させるために、
4つのキーワードを設定

貴院の看護部が提唱するJHOS(ジェイホス)ナーシングとは何ですか。

 当院の看護理念は、「人間味あふれる看護の実践」で、ここには私たちの深い思いが込められています。
 この看護理念をどうしたらスタッフ全員に浸透させることができるかを、看護部みんなで考えた結果、4つのキーワードが出てきました。それは自信(J)、誇り(H)、思いやり(O)、信頼(S)です。
 自信とは変なプライドではなく、患者さんの命、人生の一番大切な部分に接するので、自信を持てなければ何もできないということです。看護師になったからこそ勉強し、看護師として生きていくという自覚を持つという自信です。
 誇りとは、自分が努力して高みを目指し、頑張ってきたから誇りを持てるわけで、頑張ってきた自分へのプレゼントです。そして私たちが考える思いやりとは、患者さんをケアするときに知識や技術だけではなく、患者さんの立場にたてる、患者さんを思いやる気持ちです。
 この3つがそろって患者さんとの信頼関係ができ、またチーム医療の中でお互いに信頼関係が持てるのです。この4つのキーワードの頭文字を取り「JHOSナーシング」と名付けました。
 そして今では、どんな人を育てるか、どんなことができる人を育てるか、いつも基本はJHOSで、教育のプランを立てるのもJHOSです。

人材育成では、具体的にどのようなことを実践されていますか。

 当院はラダーシステムを取っていますが、1年目は思いやりのある看護師を育てるために、ナラティブや振り返りができるようなグループワークを中心に、集合研修とOJTを行っています。
 将来的には、コストパフォーマンスに役立つことができる人、クオリティを上げることができる人になるように育てています。例えば研修に行って資格を取りたいという申し出があったとき「その資格を取ることで、あなたはどういうクオリティにかかわれる? コストパフォーマンスについてどういうかかわりができる? あなたがいることで病院にプラスになることは何?」と必ず聞くようにしています。
 そのときに「私はこれができる」「私がいることで、こういうことに役立つ」などしっかりと答えられ、自分の力で自分のモチベーションを上げていける、そういう人材に育てていきたいと考えています。

その中で、新人育成の目標は何ですか。

 私が新人にまず教えていることは、やってはいけないことと、やらなくてはいけないことの2つです。相手が人であるために、相手にとって失礼のない話し方や態度、チームの中で生きていけるノウハウを1年目にしっかり教えています。

職場の上司とスタッフの推薦により、
選ばれた看護師が新人の指導者となる

教育・指導について、特に力を入れていることは何ですか。

 自信と誇りの中に思いやりのある人は、患者さんのケアだけでなく、後輩を育てるためにも必要です。そのために、教育担当者、学生指導者にもJHOSの心を持ってもらうように徹底しています。
 一歩踏み出したばかりの新人を、看護のプロになるように責任を持って育てることが私の使命です。この大切な新人を指導する人は、自分が新人の頃を思い出し、そのときの立場にもう一度立ち戻れなければなりません。それがベテランとしての新人に対する思いやりだと思います。
 さらに新人の気持ちを汲んでサポートできる、新人の状況に合わせて声かけができる、こうした人間力のある人を新人の指導者にあて、新人8~10人に4人の指導者をつけています。
 また、指導者については各部署の管理者たちがスタッフの日々の行動を見て、指導者にふさわしいと思う人を推薦してもらい、その人物を他のスタッフたちはどう思っているのか、信頼されているのかなど厳しい審査をして選出しています。

では、貴院の看護師として求める人物像を教えてください。

 自分自身をしっかり持っている人ですね。流され過ぎず、主張し過ぎずに相手の言っていることをしっかり聞ける人です。
 現在、当看護部ではさまざまなシステムの改革に取り組んでいます。毎日が新しいこと、改革の日々です。そこで「新しいことをやりなさい」と言われたときに、できない人には理由を箇条書きにして出してもらいます。そのできないことをクリアすれば、次のステップにつながるからです。何でも「わかりました」と言って、人の言うことを聞くだけの人ではなく、病院で働く人のために、患者さんのために、いい組織に変えていきたい、その一員になってやってみたいと思う人に来てもらいたいですね。

最後に看護学生にメッセージをお願いします。

 学生のときは、基礎の基礎をしっかり学んでおいてほしいと思います。基礎を学んでいる間は、本当に自分は看護職でいいのか悩む時期もあると思いますが、そこでたくさん悩んでほしいですね。
 さんざん悩んで看護師になっても、いざ看護師として働き出すと、きっと「あれもできない、これもできない」と思う人が多いでしょう。しかし、それは100人中100人、みんなが思うことです。みんなゼロからのスタートなので安心して入職してください。入職してからは、人間力の高い選ばれた先輩たちが教育担当者として新人たちの心を支え、知識や技術を身につけていくことをしっかりサポートしていきます。

写真:副院長・看護部長 縣 美恵子さん

日本大学医学部附属板橋病院

[住所]〒173-8610 東京都板橋区大谷口上町30-1

Profile プロフィール

あがた みえこ

国立病院九州がんセンター附属看護学校を卒業後、日本大学医学部附属板橋病院に入職。泌尿器科、耳鼻科、整形外科などの一般病棟を経験し、ICU へ。その後、一般病棟の師長、救命救急センターの師長を歴任し、業務安全担当副看護部長を経て、2016年7 月より現職。日本大学大学院グローバルビジネス研究科にてMBA を取得。

写真:副院長・看護部長 縣 美恵子さん
縣さんは主任時代に大学で集団心理を学び、さらに師長として忙しい時期にもかかわらず、大学院に進学しMBAを取得。仕事も進学もできたのは、「今でいう『イクメン』だった公務員の夫の協力があったからこそ」という。

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