市民の生命と健康を守るため、臨床実践に強いナースを育成するのが神戸市立医療センターの教育方針で、①看護実践能力、②マネジメント能力、③人間関係能力、④教育・研究能力の4つの面から臨床実践能力の向上を図っている。また、ナース一人ひとりが目標を持って、自己の能力やライフステージに応じたキャリア開発ができるよう、きめ細かな教育プログラムが組まれている。
入職1年目には、先輩ナースがマンツーマンで指導するプリセプター制度が用意されている。看護現場で実践的な指導を受けるばかりでなく、日常的な疑問や悩みなども気軽に相談できる頼もしい存在だ。このほか、同期が互いに知識を深めあうグループディスカッションや宿泊研修、基本的な看護技術を習得する実技研修など、プログラムは実に多彩だ。
神戸市立医療センターの教育計画は、2年目以降も基礎研修から専門研修、管理者研修まで、各人のレベルに合わせてステップアップしていけるよう配慮されている。さらに研究発表会や長期留学・短期(国内・海外)派遣制度、看護大学編入学・大学院留学制度など、向学心に燃えたナースの意欲に応える、さまざまな教育研修の機会が設けられている。
そんな教育制度を利用して資格を取得し、スペシャリストとして活躍しているナースが次々と生まれている。現在、12分野25名の認定看護師、3分野4名の専門看護師のほか、数名のナースが資格取得をめざして看護大学や大学院などで学んでいる。
中央市民病院の手術室で活躍する手術看護認定看護師の迫平智江さん、感染管理看護認定看護師の新改法子さんも、長期留学制度を利用して資格を取得した体験者だ。
「手術という、人生の一大事に直面していらっしゃる1人の患者さんと向き合い、意識がないため口では訴えることのできない不安や苦痛をくみ取って、安全で安楽な手術を受けていただけるように誠意をつくす。これはナースとして最も大切な、そしてとてもやりがいのある仕事だと思います。その専門性をもっと深めようと、志願して認定看護師の資格を取りました。最近、手術室勤務を希望する新人さんが増えているのは、そんなやりがいが理解されてきたからでしょうね」と迫平さんは語る。
また新改さんは「手術室の一員として器械類の洗浄・滅菌に従事しているうち、それが感染リスク低減の重要なポイントであることに気づき、長期留学制度を利用して認定看護師の資格を取得しました。現在は手術室だけでなく、院内全体の感染サーベイランスを実施してデータを収集・分析するとともに、リンクナースに対する指導を行うなど、感染率の低減に努めています」と語る。
西市民病院の手術看護認定看護師の進藤亜寿香さん、感染管理看護認定看護師の小林佑子さんも同様だ。
「神戸市立医療センターでは、東京女子医科大学で学ぶ6カ月間は休職扱いとなり、授業料の一部も負担してくれますので、とても恵まれていると思います。資格を取得した後は、術前の不安軽減や全身状態のアセスメント、術中の不安軽減や褥瘡予防・体温管理・異常の早期発見、そして術後のケアなど幅広い看護業務に携わり、看護技術の向上や看護観を広めるうえで大いに役立っています」と進藤さんは語る。
小林さんは「手術看護をするなかで、感染のリスクを低減させるためには、より多くの知識が必要であることを痛感し、認定看護師への道を進むことにしました。感染管理という名称が使われているのは、感染を未然に防ぐためにはスタッフ全員に対する日常的な啓発活動や管理が必要だからで、手術看護のかたわらそうした面にも力を入れています」と語る。
患者さんはもちろん、ナースのメンタルヘルスにも大きな役割を果たしているのが、精神看護専門看護師(リエゾンナース)だ。西市民病院の新田和子さんは、「かつて、精神神経科病棟に勤務していたとき阪神・淡路大震災に遭遇し、うつ症状を訴える患者さんがかなり増えました。そうした患者さんをメンタル面からサポートしたいと思い立ち、大学院修士課程で2年間学んで精神看護専門看護師の資格を取りました。現在、精神神経科の医師、心理療法士、ケースワーカーなどとともにリエゾンチームを組み、患者さんの心と体のケアにあたっています。各病棟のナースから相談を受けて、ケアの方法をアドバイスするなどの指導を行うとともに、ナース自身のメンタルヘルスサポートにもあたり、スタッフがいきいき働けるように、精神看護全般の活動を行っています」と語る。


