全国38病院 臨床現場を徹底取材!

■川崎病院■

ナースそれぞれの進捗に合わせた教育で
持っている実力を上手に引き出す
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リフレッシュ研修、エンゼルメイクの研修の様子

「手のぬくもりが伝わる看護」を実現するプライマリーナーシング

 川崎病院は、1936年に当時の川崎重工・川崎製鉄・川崎汽船など川崎グループの企業病院として開設された伝統ある病院だ。常に患者様の視点で治療を実践し、優れた医療陣と充実した設備によって地域医療に貢献し続ける総合病院となっている。
 看護部では、「手のぬくもりが伝わる看護」の実践であるプライマリーナーシングを採用している。看護部長の西垣千鶴さんは「患者さんを入院から退院まで責任を持って受け持ち、優しさと思いやりを持った“安全で安心な看護”を提供するため、患者さんと看護師が互いに大切に思えるプライマリーナーシングの実施を選択しました」と語る。また、職場環境の改善にも力を入れている。「職場環境の整備はより良い看護の提供につながると考え、勤務体制は二交替、三交替の選択制や夜勤専従、短期間勤務を取り入れています。結婚や出産後も家庭と両立し看護師として活躍し続ける人が増えています」(西垣看護部長)。ライフスタイルに合わせた勤務形態が、看護師たちを支えている。

従来は1年間で学んだことを1年半をかけてじっくり教える

 同院では、看護師のスキルアップが、良質なサービスを提供することになると考え、教育体制の充実や良好な環境づくりに力を注いできた。特徴の一つには、個性に合わせた教育が挙げられる。同じ新人でも、進捗度や個性を考慮し、個々に合わせて学べるように研修プログラムを組んでいる。副看護部長(教育担当)の吉田詠美さんは「従来は、3年目ほどの看護師が教育を担当していましたが、教える側、学ぶ側両者に負担がかかるので、“みんなで育てる”ようにしました。また、1年で終わらせていたプログラムを1年半ほどかけて、じっくり確実に身につけられるようしています」と説明する。配属後は、初期は1?2週間、その後1カ月間隔で定期的に集合研修を実施。これは同期がその時々に悩みをうち明けられる機会をつくり、不安の解消を図るためだという。さらに、キャリアアップのため、院内研修を充実させるとともに、院外研修を望んだ場合には積極的に援助もしている。こうした手厚い体制の結果、新人定着率はほぼ100%に近い。

患者さんと職員の安全を確保する医療安全にも力を注ぐ

 もう一つの特徴は、医療安全にも力を注いでいる点だ。各部門と連携して「医療安全管理室」を設置し、専従担当者を置いている。室長の西川博子さんは「事故防止活動を通して、患者さん、ご家族、職員の安全を確保し、医療の質を保証するために組織横断的に活動しています。各部署のマネジャーやリスクマネジャーと協同し、医療安全文化の構築を図り、浸透させるように努めています」と話す。医療安全の考え方として『ヒトは必ず過ちを犯す』ということを念頭に、『誰がしたか』ではなく、『なぜそうなったか』『どうすれば解決できるか』という観点で解決策を立てている。「この考え方は、新入職員へのオリエンテーションで必ず伝え、職員全員が同じ気持ちで医療安全対策にかかわれるようにしています」(西川室長)。同院の理念である「良質な医療を提供し、信頼される病院」を目指して、全職員が、安全とは何か、安心とは何かを常に心のなかにもちつつ働くこと。それが「手のぬくもりの伝わる看護」にもつながっている。

チーム医療のなか看護の専門性を発揮する

 同院では専門性の習得にも注力し、特に糖尿病の治療には定評がある。市原紀久雄院長と大塚章人内科部長の2人の糖尿病学会専門医がおり、糖尿病学会の認定教育施設でもある。「主役は患者様であり、その生活の手助けをするのが医療者の役割である」という考えのもと、3タイプの糖尿病教室を用意。医師、看護師、管理栄養士、薬剤師、臨床検査技師が「糖尿病教育チーム」を組み、専門性を活かしながら患者指導を行っている。糖尿病担当のチームリーダー本多優江さんは糖尿病教室やインシュリン導入の患者指導など、外来・病棟の枠を越えて療養指導を行っている。また、慢性疾患看護専門看護師を目指している辻野美樹さんは「生活の手助け」の場として、医師の指示のもと「フットケア外来」を主体に行っている。患者さんからは「目が悪いので爪が切れなくて困っていた。本当に助かる」などと好評だ。
 同院にはスペシャリストやそれを目指す看護師に理解があり、それを支える制度もある。辻野さんのように結婚や出産をしながら認定看護師や専門看護師を目指している者もいる。「自分自身の生活を大切にしながらも、看護師として専門性を発揮できる場が当院にはあります」と辻野さんは話している。

  • 「数年前に新人教育体制を見直して、チーム性に換えてから、離職率が急速に低下しました」と語る吉田詠美看護部副看護部長
  • 「院内リスクマネジメント部会」では毎月テーマを決めて、設備の点検を行っている。この日は各病室の扉の横に設置された消毒液の設置日と使用期限日のチェック
  • 「糖尿病教育チーム」では、定期的にメンバーが集まって勉強会を開き、研修の成果などを発表している
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