半世紀を超える伝統を持つ愛仁会は、医療・介護・福祉・保健のトータルヘルスケアを展開する社会医療法人だ。「貢献、創意、協調」という理念どおり、それらが一体となって地域社会の健康と福祉に貢献している。
なかでも一番の特色は充実した周産期ケア体制にある。中核をなす高槻病院は、地域支援病院として救急や研修にも力を注ぐ、大阪府産婦人科医療相互援助システムの基幹病院だ。ここにはNICU(新生児集中治療室)、MFICU(母体胎児集中治療室)を設置。同じくNICUを置く千船病院とともに、総合周産期母子医療センターに認定されている。これらの病院には院内助産センターを設置、助産師がチームを組んで手厚いケアを実践しているのも大きな特徴だ。
看護師・助産師をはじめとするスタッフの教育制度もユニークだ。厚生労働省臨床研修指定病院のノウハウを活かした『愛仁会看護職員能力開発ガイドライン』をベースとして、新人から指導者まで一貫した教育体系を確立している。
入職1年目には基礎となる新人臨床研修を実施。2?5年目の実践コースで看護・助産の臨床実践能力を開発。その後は、各自の希望に応じて「看護管理者」「ジェネラリスト」「スペシャリスト」「看護・助産教員」という体系化された4つの道を選択し、キャリアアップを図っていく。
「効果をあげているのが、入職3カ月目に出身校を訪問し、恩師に自身の成長ぶりを報告する母校訪問制度です。勤務病棟の先輩や患者様から普段の勤務や看護技術・態度についてのメッセージを書いていただき、それを持って恩師に報告します。本人の意欲が高まるうえ、学校側にも好評をいただいています」と看護担当特任理事の内藤正子さんは語る。
働きやすい職場環境づくりにも力を注いでいる。たとえば、勤務体系は基本的に週37.5時間勤務で、ライフスタイルに合わせて混合型、分離型、日勤専従、夜勤専従などが選べる選択的勤務体制を取っている。またナースの平均受け持ち患者数は、7対1から6対1に近づいている。
「このような愛仁会独特の制度を導入することで、離職率は目に見えて改善されています。不安感いっぱいの新人を大切に育てていくため、教育体制と働きやすい職場環境の整備に努めるとともに、管理者の能力開発や指導者の育成にも力を注いでいます」と内藤理事は言う。
高槻病院の小児科病棟に勤務する入職1年目の看護師・平野さきさんは、高槻病院の小児科病棟で働くことが目標だったという。「幼少の頃、高槻病院に通院したときの看護師の方がとても好印象で、ずっと目標に頑張ってきました。病棟には、今の自分の状況を言葉で伝えられない子どもも入院しています。声掛けをして、その表情やしぐさから子どもの今を理解するように努めています。将来は、小児看護専門看護師になりたいです」と、力強く語ってくれた。
外科泌尿器科病棟の看護師・礒部佳苗さん(入職1年目)は、愛仁会の看護方針、教育体制に魅力を感じて入職した。「将来的には在宅看護に進むか、助産師資格をとり新生児医療に携わりたいので、まずは知識と技術をしっかりと身につけようと、さまざまな患者さんと接することができる外科病棟を希望しました。患者さんの願いや気持ちに耳を傾けることで、笑顔を取り戻されたときに看護師で良かったと実感します」
一方、千船病院産婦人科病棟で助産師として活躍する入職4年目の森田理恵さんは「昨年プリセプターを務め、今年はエルダーナースとしてバックアップしています。最初は誰でも不安と緊張感でいっぱいですが、先輩のフォローもありますし、高度医療も備わっています。安心して技術や知識を高め、お母さんと赤ちゃんに寄り添い、信頼される助産師をめざしてほしいですね」と語る。
同じ入職4年目の助産師、望月綾美さんは「母子の生命を預かる責任の重い仕事ですが、妊娠から出産まで、順調に赤ちゃんが成長していくのを見るのはうれしいものです。特に出産という最高に幸せな瞬間に立ち会える楽しさは格別です。私たちは実習生の指導にもあたっていますが、厳しい授業や国家試験を乗り越えた先に待っている、すばらしい幸福感をぜひ味わっていただきたいですね」と語る。
内藤理事は「毎年、一人ひとりに対してどんな研修を受けたいか、将来どんなキャリアを望んでいるかといったキャリア支援調査を実施し、できるだけ希望に沿うように配慮しています。だから皆さんとても意欲的で、夢を実現するために努力してくれています」と話している。


